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英雄伝説~光と闇の軌跡~(SC篇)

作者:sorano
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外伝~新たな出会い、そして工匠都市へ~

~レウィニア神権国・王都プレイア・郊外~



呼び止められたリウイ達は首を傾げて振りかえるとなんと光の現神の中でも最も勢力があると言われる軍神――マーズテリアの紋章が印された魔導鎧を装備し、槍を持っている女性とどことなく高貴な雰囲気を纏い、弓を装備しているエルフがいた。

「なっ!!軍神(マーズテリア)の神官戦士!?」

「……私達に何の用かしら?」

女性の内の一人――マーズテリアの神官戦士を見たカーリアンは驚き、ファーミシルスは警戒した様子で尋ねた。

「……初めまして、メンフィル王。マーズテリアの神官戦士、ロカ・ルースコートと申します。闇夜の眷属と人間の共存を実現した高名な陛下に会えて、光栄です。」

マーズテリアの神官戦士――ロカはリウイ達に会釈をした。

「………今のメンフィル王はシルヴァンだ。俺の事はリウイでいい。……それでマーズテリアが俺達に何の用だ?」

「用……といいますか、行き先は私達と同じなのでよければ私達も御供をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」

「フム……それにしてもマーズテリアがユイドラに何の用があるのだ?」

ロカが語った用が気になったリフィアは尋ねた。

「マーズテリアではなく、私個人の用です………今、ユイドラはある魔神が率いた軍に攻められているのです。……今はなんとか耐え凌いでいるようですが、ユイドラは全ての種族が協力し合う街。そんな事が長く続けば、ユイドラに住む闇夜の眷属達の立場がなくなってしまい、領主であるウィルも街の人達から攻められてしまいます。

……彼にはこの魔導鎧を作ってもらった恩もあるので、彼を手助けするためにユイドラへ向かっているのです。」

「なぬ!?魔神に攻められているだと!?一体どこの馬鹿がそんな真似をしているのだ!」

ロカの説明を聞いたリフィアは憤り、魔神の正体を尋ねた。

「……それはこちらの方が説明して頂きます。フォーチュラ殿、お願いします。」

「……わかった。」

ロカに促されたエルフ――フォーチュラは頷き、リウイ達に会釈をした。

「……申し遅れました。私はルーン=エルフのフォーチュラ・シード。……このような形で我が友が興味を持っていた方に会えるとは思いもしませんでした、リウイ殿。」

「友……だと?エルフが何故、俺に興味を持ったのだ?」

フォーチュラの言葉に驚いたリウイは尋ねた。



「友と言っても、エルフではありません。フィーノ、セフィリア夫妻という人間の異界守の友です。……今はもうその2人は寿命が尽き、冥き途へと旅立ってしまいましたが……」

「異界守……テルフィオン連邦国家の一つ、ヴァシナル公国の街――エテの街の地下にある迷宮、『歪みの主根』 。その迷宮の秩序を保つ者達がそのような呼び名で呼ばれていたと記憶しています。」

ファーチュラの説明を聞き、ファーミシルスは自分の持っていた情報をリウイに話した。

「………光の三太陽神が盛んな国の者がよく俺に興味を持ったものだな?」

「………フィーノは出会った時から闇夜の眷属と敵対する事に疑問を持っていました。街の者達は彼の考えに同意しませんでしたが、彼は闇夜の眷属と人間はいつかわかりあえると信じていました。そして後に彼の妻になったセフィリアも彼の考えに同意し、貴方達メンフィルやエディカーヌの事等も調べておりました。……そして紆余曲折があり、フィーノの努力によってエテの街は人間と僅かですが闇夜の眷属と共存する街になりました。」

「……そうか。もし生きていたら一度会ってみたかったものだ………」

フォーチュラの説明を聞いたリウイは弱冠残念そうな表情をして答えた。

「……フォーチュラといったな。お主はウィルとどんな関係だったのだ?」

リフィアはフォーチュラとユイドラ領主――ウィルフレド・ディオンとの関係が気になり、尋ねた。

「……ユイドラ領主というより……彼の妻――セラヴァルウィ・ディオンと私は共に学んでいた時がありました。………ユイドラの現状を知ったのは彼女の便りで知り、かつての学友を助けるために今、ここに到るのです。ロカとはたまたま酒場で相席になり、彼女の目的が私と同じだとわかったので、彼女とユイドラへ向かっている途中だったのです。」

「……魔神がユイドラを襲っているって言ってるけど、誰がユイドラを襲っているの?」

ユイドラを襲っている魔神の正体が気になったエヴリーヌは尋ねた。

「……彼女の便りでは魔神はこう名乗ったそうです………『ディアーネ』と。」

「嘘!?」

「邪龍との戦い以降、音沙汰がないと思ったら…………何をやっているのだ、奴は………」

魔神の名を聞いたカーリアンは驚き、リウイは頭痛を抑えるかのように、片手で頭を抑えた。



「……うむ、決めたぞ!」

「リフィアお姉様……?」

「嫌な予感………」

急に声を出したリフィアにプリネは首を傾げ、エヴリーヌは嫌な予感がした。

「そのディアーネとやらを余の下僕にしてくれる!」

「………本気で考えているのか?奴は隙あらば、寝込みを襲うような奴だぞ?」

リフィアの決意に驚いたリウイはリフィアに尋ねた。

「余達に屈した者を使いこなせず、何が王者ぞ。それに闇討ち?上等だ!返り討ちにして、余の力を思い知らせてくれる!」

「「「「「「「「「…………………………………」」」」」」」」」

胸を張っているリフィアを見て、リウイ達は驚いてリフィアを見ていた。

「フフ……さすがリフィアお姉様ですね。相手が魔神であろうと変わりありませんね。」

驚いていたプリネだったが、やがて微笑んだ。

「うふふ、さすがリフィアお姉様!レンも見習わなくっちゃ!」

「……相変わらず、お前には驚かされるな。」

レンとリウイも同じように口元に笑みを浮かべて言った。

「………さすがはリウイ様の血を引く御方。今後のメンフィルが楽しみですわ。」

「あら♪私の血を引いている事も忘れないでよ♪」

「フン。貴女の血を引いていなければ、リフィア様の放浪癖はなくなっていたんではなくて?」

「なんですって~?」

「ふ、2人とも落ち着いて下さい。」

今にも喧嘩をしそうなファーミシルスとカーリアンを見たペテレーネは慌てて仲裁を始めた。

(……ご愁傷様、ディアーネ。……リフィアに目をつけられたら、逃げられないよ?ま、同じ深凌の楔魔として愚痴ぐらいなら聞いてあげるよ。)

エヴリーヌは溜息を吐き、ディアーネの不運を哀れんだ。

「リフィアさんって、凄いですね、イリーナさん。ご主人様のお父さんがリベールにとって英雄なのはあたしでも知っているぐらいなのに、そんな人を驚かせるんですから。」

「ええ………それにとても明るくて優しい方よ……私や妹もリフィア様の明るさと優しさのお陰で、両親を亡くした悲しさを乗り越えられたんだから……」

ツーヤの言葉にイリーナは昔を思い出し、遠い目をして答えた。



「フフ………さすがはシルフィア様の血を引くだけあって、勇敢な方ですね。」

「………ぜひ、フィーノ達と出会って欲しかったな………」

ロカやフォーチュラも同じように口元に笑みを浮かべた。

「………そこのエルフはともかく、マーズテリアの神官戦士。本気で俺達と行動を共にする気か?」

ロカやフォーチュラの事をどうするべきか気付いたリウイはロカに尋ねた。

「はい。それが何か?」

「………お前達からすれば、俺はお前達の模範であった者の神核を奪わなければならない事にしてしまった存在だぞ?」

「……シルフィア様の事ですね。存じ上げております。あの方こそ、真のマーズテリアの聖騎士なのですから……」

「そうだ。なのになぜだ?お前達からすれば、俺達は忌むべき存在だろう。」

「私は光と闇は争わず、手を取り合っていけると信じています。……それをリウイ様達やウィル達が証明してくれていますから……」

そう言ってロカはリウイ達に微笑んだ。

「…………変わった女だ。神殿からの処罰が怖くなければ勝手にしろ。」

「はい。ありがとうございます。」

「……貴方達の出会いにルリエンに感謝を……」

リウイの返事を聞いたロカは会釈をし、フォーチュラは祈りをささげた。

「さて……出発が遅くなったが、行くとするか!ユイドラへ!」

そしてリフィアはリウイ達に先に進むよう促した。



こうして新たな同行者を加えたリウイ達は全ての種族が協力し合う工匠都市――ユイドラへ向かった。そしてその一方、エステルがヨシュアを連れ戻す決意を決めてから、すでに2カ月が経とうとしていた……… 
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