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英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク

作者:sorano
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第98話

~根源区画・奥~



「ほう、これは驚いたぞ。まさか貴様らごときがここまで喰いさがるとは……」

「はあはあ……教授ってば、どんどん口調がぞんざいになってるんじゃない?」

「へっ……余裕が無いんじゃねえのか?」

ワイスマンの口調がぞんざいになっている事に気づいたエステルとアガットは口元に笑みを浮かべた。

「ククク……哀れなことだ。自分達が既に死地にいるとも気付かずに……」

「え……」

ワイスマンの口から出た不穏な言葉にエステルが呆けたその時ワイスマンは転移術で、”輝く環”の真下に移動した。



「あ……!」

「……どうするつもりだ!?」

「このまま”盟主”に献上するつもりだったが気が変わった……。貴様らが歯向かった相手がどのような存在かを思い知るがいい。」

エステル達がワイスマンの行動を警戒しているとワイスマンは、”輝く環”の中心に入り込んだ。 すると、”輝く環”から波動が流れ始めた。

「な、なんなの……」

「こ、これは……」

「まさか………”環”と融合している………!?」

「融合……―――!まさかローレライを取り込んだヴァン師匠(せんせい)みたいな感じになるのか……!?」

”輝く環”に起こった異変にエステルとヨシュアが戸惑っている中、何が起こっているのかを察したアーシアの推測を聞いてかつての最後の戦いを思い出したルークは血相を変えた。すると”輝く環”と融合したワイスマンは巨大な何かに変わった!

「あ……………………」

「こ、こいつは……!?」

「こ、この霊圧は……!」

「ククク……この感覚……思った以上に悪くない……。さて……まずは試させてもらおうか……。人を新たなる段階へと導く”天使”の巨いなる力をね……!」

エステル達が驚いている中、ワイスマンは不気味に笑った。そして”輝く環”を取り込んだワイスマンとの戦闘を開始したエステル達だったが、一切攻撃が何かに阻まれて、通らなかった。



「フフ……やっと思い知ったようだね。これが真の力というものだ。」

戦いで疲労しているエステル達にワイスマンは不敵に笑って指摘した。

「そ、そんな……。何でこっちの攻撃がぜんぜん当たらないのよ……」

「何らかの障壁を展開し続けているんだ……。でも……ここまで通用しないなんて……」

「クク、七至宝の中でも”輝く環”は空間を司る存在……。導力魔法とは比べ物にならない圧倒的な『絶対障壁』を展開できる。もはや私と君たちとでは存在の次元が違いすぎるのだよ。」

エステルの疑問にヨシュアが答えたその時、ワイスマンは凶悪に笑って答えた後、エステル達に魔眼を放って、エステルの動きを封じ込めた!

「うぐっ……」

「こ、ここで魔眼………!」

「クソッ……動きを封じ込めて止めを刺すつもりか……!」

「もしくは私達をさんざんいたぶってから、殺すつもりなのかもしれないね……!」

「チッ……サド野郎が……!」

「ワイスマン……貴方は……」

エステル達が悲鳴を上げている中、ヨシュアはワイスマンを睨んだ。



「クク……その目……やはりお前は殺すには惜しい……。じっくり調整しながら再び『聖痕』を埋め込んでやる……。そしてまた希望を与えてからその芽を摘み取ってやろう……。希望が絶望に変わる表情……今から楽しみだよ……ククク……」

「やれやれ……。もはや悪趣味と言うより病気と言った方が良さそうだな。」

ワイスマンが凶悪な笑みを浮かべて言ったその時ドラギオンに騎乗したレーヴェが現れた!

「あ……!」

「レーヴェ!?」

レーヴェの登場にエステル達が驚いている中、レーヴェはドラギオンに攻撃を仕掛けさせた!

「フン……止めを刺しておくべきだったか。しかしレーヴェ。君が来たところで何ができる?いかにドラギオンといえど”環”の障壁を破ることは不可能だ。」

「……だろうな。ところでワイスマン。一つ聞いておきたいことがある。『ハーメルの悲劇』……貴様はどの程度、関与していた?」

「!?」

攻撃が効いていないにも関わらず冷静に問いかけたレーヴェのワイスマンへの問いかけを聞いたヨシュアは血相を変えた。



「おお、人聞きの悪いことを言わないでくれたまえ。あれはあくまで帝国内の主戦派が企てた事件だろう?どうして私が関与するのかね?」

「それは貴様が“蛇”だからだ。弱味を持つ人の前に現れて破滅をもたらす計画を囁く……。そして手を汚すことなく、自らの目的を達成してしまう……。……それが貴様のやり口だろう。」

「あ……」

「実際、主戦派の首謀者たちは当時あったという政争に敗れて後がない者たちばかりだったと聞く。もし、10年前の戦争すら今回の計画の仕込みだったのなら……全てのことに説明がつくと思ってな。」

「ククク……なるほどな。まあ、おおむね君の指摘通りと言えるだろう。」

「!!」

ワイスマンが『ハーメルの悲劇』の全ての元凶である事を肯定するとヨシュアは目を見開いて驚いた!

「もっとも私がやった事は、彼らに猟兵くずれを紹介してハーメルの名を囁いただけさ。それだけで事態は動きだし、瞬く間に戦争へと発展してしまった。クク……人間の業を感じさせる実験結果だったよ。」

「お前……!お前が『ハーメルの悲劇』の……『百日戦役』の元凶だったのか!」

「……貴様……。……貴様のせいで……ミーシャは……俺の妹は……」

「……許せん……!お前だけは絶対に許さん……!」

「貴方のその所業は決して教会は……いえ、女神は許さないと思いなさい、”外法”!」

「……吐き気がしてきたわ。」

「なるほど……。大方、予想通りということか。」

ワイスマンが『ハーメルの悲劇』の元凶にして『百日戦役』を起こした元凶でもある事を知ったルーク達が怒りの表情でワイスマンを睨んでいる中、吐き気がしたエステルはワイスマンから視線を逸らし、レーヴェは取り乱すことなく冷静な様子で呟いた。



「……おや、意外と冷静だね。私としてはもう少し、憤って欲しいところではあるが。」

「フフ、俺の心はとうに冷め切っているからな……。しかし先ほどの、貴様に背後から昏倒させられた失態、”剣帝”としては屈辱の極みだ。その借りだけは返させてもらうぞ。」

「なに……」

レーヴェの言葉にワイスマンが驚いたその時、レーヴェは自らの剣――ケルンバイターを『絶対障壁』に叩き付けた!

「ば、馬鹿な……。”環”の絶対障壁が……。!!!そうか……その剣は!」

「そう……。俺が”盟主”より授かった剣……。貴様の杖と同じく、『外』の理で造られた魔剣だ……」

「クッ……迂闊であったわ……。……ええい……離れろ……離れろ……この痴れ者がッ!」

レーヴェが持つ剣が自分自身が誇る絶対障壁を破壊する手段である事に気づいて焦ったワイスマンは何度もレーヴェとドラギオンを攻撃した!

「ガッ!?」

ワイスマンの攻撃によって、ドラギオンは破壊され、レーヴェは吹っ飛ばされた!



「グッ……」

「クク……死ねっ!!」

「レーヴェ!逃げて!!」

倒れたままのレーヴェに止めを刺す為にワイスマンは光の槍を頭上に作って、レーヴェに向け、それを見たヨシュアはレーヴェに視線を向けて悲鳴を上げた。

「クク……もう遅い。」

「レーヴェ―――ッ!!」

そしてレーヴェに光の槍が襲い掛かったその時!

「うふふ、この”貸し”はいつか利子込みで返してもらうわよ、”剣帝”さん♪―――ヤアッ!!」

レンがレーヴェの前に飛び込んできて、二振りの小太刀を振るって槍を弾き飛ばした!



「へ……」

「レ、レン!?」

レンの登場にルークが呆け、エステルが驚きの表情で声を上げたその時

「レーヴェ!今、傷を治療するわ……!」

ステラがレーヴェに駆け寄り、オーブメントを駆動させ、更に譜術を詠唱してレーヴェの傷の治療を始めた。

「大気に舞いし精霊たちよ、清浄なる調べを奏でよ―――フェアリーサークル!!」

さらにその時、いつの間にかイオンと共に到着していたアリエッタがエステル達に治癒譜術を放ち、エステル達の傷を回復すると同時に魔眼の効果を解き

「間に合ったようですね……!」

イオンは譜術を放ち終えたアリエッタと共にエステル達に駆け寄って来た!



「ジュエ卿……!」

「助かったぜ、イオン……!それにしてもあの状況でどうやってここまで来たんだ?」

アリエッタと共に自分達に駆け寄って来たイオンをアーシアと共に明るい表情で見つめたルークはイオン達が自分達を先に行かせるために仲間達と共に大型の人形兵器達と戦っていた事を思い出して訊ねた。

「”剣帝”が、ルーク達の所に向かうと、ステラ、嫌な予感がするから”剣帝”を追うと言って、”剣帝”の後を追おうとしましたから、アリエッタ達が先行して、援軍に来ました。」

「うふふ、それに”真打”は遅れてやってくるものでしょう♪」

「全くもう、この娘ったら……でも、本当に助かったわ。」

アリエッタの説明に続くようにウインクをして答えたレンをエステルは苦笑しながら見つめた。

「フフ、皆さんが無事で本当によかったです。―――ルーク、あの絶対障壁を破るには先程”剣帝”の話にあったように”外”の理によって作られた武器による攻撃が必要です!なので、貴方の”ローレライ”の力が宿るその剣による攻撃も効果があります!」

「へっ!?でもさっき”ローレライの鍵”で攻撃したけど、効かなかったぞ!?」

イオンの助言に驚いたルークは先程の戦いでゼムリア大陸に来てからずっと使い続けている愛剣――――”ローレライの鍵”で攻撃しても絶対障壁に阻まれた事を思い出して指摘した。

「それは”ローレライの鍵”に秘められている力を引き出せていなかったからです。―――かつてその剣の力を引き出してヴァンからローレライを解放した貴方ならば、真の力を引き出せるはずです!」

「!そういう事か!」

「イチかバチかだ……!セイファートよ、私に邪悪なる者を打ち破る真の極光の剣を!」

そしてイオンの助言で絶対障壁を破壊する方法に気づいたルークはワイスマンに向かって行き、同じように絶対障壁を破壊する方法を思いついたレイスもルークに続くようにワイスマンに向かった!



「これで決めてやる! 響け、集え!全てを滅する刃と化せ!!」

「我が内なる力を知れ!!己が無力を知れ!!」

ローレライの鍵に”第二超振動”を込めたルークが絶対障壁を攻撃すると同時にレイスは自身の細剣に凄まじい光を宿して剣技―――爪竜連牙斬で攻撃し、二人の攻撃によってレーヴェの剣によってつくられた絶対障壁の罅が凄まじい勢いで広がり始めた。

「ロスト・フォン・ドライブ―――――ッ!!」

「極光剣――――――ッ!!」

ルークが最後の一撃を放つと同時にレイスは跳躍して細剣に宿した自らに秘められた力で斬撃を叩き込んだ!



「バ、バカな………!『絶対障壁』が……!その”剣”と”力”は一体……!ガアアアアアアアア――――ッ!?」

ルークが放った”ローレライの鍵”の真の力を引き出して”第二超振動”を解き放つSクラフト―――ロスト・フォン・ドライブとレイスが放った”極光壁”の”力”を剣に収束して攻撃するSクラフト―――天覇極光斬。二種類の”外の理”による攻撃を受けた絶対障壁は粉々に破壊され、更に二人の攻撃はワイスマン自身にも攻撃を届かせてワイスマンを怯ませた!


「『絶対障壁』がなくなった……今なら攻撃が効くわ!刃よ、行けッ!まだまだっ!―――奥義!ヘヴンサウザンド!!」

「ガッ!?」

絶対防壁が破壊される様子を見たアーシアは仲間達に助言をした後自分の最大奥義をワイスマンに叩き込み

「ミーシャの仇……今ここで取ってやる……!らぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

「その身に刻み込みなさい、滅びの太刀を!ハァァァァァ……!」

アガットは重剣に凄まじい闘気による炎を纏わせ、ワイスマン目がけて突進し、レンもアガットに続くように全身に膨大な闘気を纏って跳躍した!

「テメエの顔も見飽きたぜ!奥義!ファイナリティブラスト―――――ッ!!」

ワイスマンに突進したアガットは重剣で斬り上げながら跳躍し、アガットが攻撃した部分からは次々と大爆発が発生し

「絶―――――黒皇剣――――ッ!!」

アガットのSクラフトが終わると間髪入れずに跳躍したレンが二振りの小太刀をワイスマンに叩き込んで風のエネルギーを爆発させると共に無数の鎌鼬をワイスマンに叩き込んだ!

「グアアアアッ!?」

レンの絶技―――終ノ太刀・黒皇と爆炎の闘気を重剣に集中させ、敵を斬りあげるアガット最大の奥義――――ファイナリティブラストによって大ダメージを受けたワイスマンは悲鳴を上げた。

「ヨシュア、行くわよ!」

「了解!そこだっ!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ………!」

「「奥義!太極無双撃!!」」

「があああああっ!?」

そこにエステルとヨシュアが協力技(コンビクラフト)を放ってワイスマンに追撃し

「アリエッタ、合わせてください!」

「はい、イオン様……っ!」

仲間達が攻撃している間に二人で協力して放つ譜術の詠唱を終わらせたイオンの呼びかけにアリエッタは頷いた後イオンと共に譜術を放った!



「我らが呼びかけに応えよ!」

「開け、異空の扉!」

「黎明へと導く破邪の煌きよ、罪深き者達に裁きを!」

「凍てつく魂の叫び、その身に刻め………おぉぉぉぉぉぉぉ………」

そして譜術を発動した二人に続くようにステラとステラによって傷を治療されたレーヴェもSクラフトを発動し

「塵も残さず!」

「虚空へ消え去れ!」

「刹那の輝きに時を見よ――――」

「絶!」

二人が発動した譜術によってワイスマンを左右から包囲するように巨大な太陽が現れると、二つの太陽は同時に輝いてワイスマンを焼き尽くし、更にステラのSクラフトによって光の十字架による連鎖爆発をその身に受けると共にレーヴェのSクラフトによって全身が凍結した後強烈な一撃を受けた!

「「デュアル・ザ・サン!!」」

「エヴァンジル!!」

「冥皇剣!!」

「キャアアアアアア―――――ッ!?」

二つの灼熱の恒星の間に敵を閉じ込め焼き尽くす禁断の譜術と破邪の譜術、そして”外の理”によって作られた剣で解き放たれた絶技をその身に受けた大ダメージを受けたワイスマンは悲鳴を上げた!



「お、おのれ………ここまで私を侮辱する真似をするとは……!それもこれもレーヴェの身を心配してレーヴェを追った貴様によるものだ!何故、貴様は敵であった者の為にそこまでする!?」

度重なる大ダメージを受けたワイスマンは自分が追い詰められたのはレーヴェを追ったステラのせいだと思い、ステラを睨んで声を上げた。

「それは…………………」

「ステラさん……」

「………………」

ワイスマンの叫びに対して顔を俯かせて黙り込んでいるステラをヨシュアは辛そうな表情で見つめ、レーヴェは静かな表情で見つめた。

「―――彼女が”剣帝”の身を心配して、彼を追ったのは当然の行動ですよ。彼女が僕達と共に行動していた理由はは”自分の死によって闇に堕ちてしまった大切な幼馴染である剣帝と弟のヨシュアを連れ戻す為”なのですから。」

するとその時イオンが静かな表情で前に出てステラの代わりに答えた。

「へっ!?」

「……あ……や、やっぱりステラさんは本当に……!」

「!!」

イオンの話を聞いたエステルは驚き、イオンの話によってステラの正体が明確になった事を悟ったヨシュアは希望を持った表情で、レーヴェは目を見開いてステラを見つめた。



「―――今まで辛い思いをさせてしまってすみません、ステ――――いえ、”カリン”。もう正体を隠す必要はありません!予定より少々早いですが、仮面を取り、素顔を顕わにして構いません!」

「イオン様……はい、ありがとうございます……!」

そしてイオンの許可を聞いたステラは深く被って髪を隠していたフードと今まで頑なに顔を隠し続けていた仮面を取った。するとフードが取れた事によって腰まで届く美しい黒髪が顕わになると共に”ヨシュアと非常に似ている容姿とヨシュアと同じ琥珀の瞳を持つ素顔”が顕わになった!

「やっと………会えたわね……ヨシュア……レーヴェ……」

「あ…………」

「カ……リ……ン…………」

素顔が顕わになったステラに微笑まれたヨシュアとレーヴェは呆けた表情をした。

「そ、それがステラさんの素顔……って、ちょ、ちょっと!?な、何でそんなにヨシュアと似ているのよ!?し、しかも”カリン”って名前は確かヨシュアの死んだお姉さんの名前じゃない……!」

「うふふ、エステルったらまだ気づかないなんて、相変わらず鈍いわねぇ……ここまで決定的な証拠が揃ったら、ステラお姉さんが誰なのか誰だってわかるわよ♪」

「いや、事情を知らない奴からしたら絶対にありえない事だから、わからないだろ……」

ステラの顔を見つめて呆けていたエステルだったが、ステラがヨシュアの容姿と非常に似ている事に気づくと信じられない表情でステラを見つめ、エステルの様子をからかいの表情で見つめているレンをルークは苦笑しながら指摘した。



「―――改めて自己紹介をさせて頂きます。私の本当の名はカリン・アストレイ。ヨシュアから既に私の事は聞いていると思いますが、ヨシュアの姉です。」

ステラ――――かつて『ハーメルの悲劇』で死んだはずのヨシュアの姉であるカリン・アストレイは名乗り上げ

「ええええええええええええええっ!?ステラさんがヨ、ヨシュアのお姉さんのカリンさんって……!な、何で死んだはずのカリンさんが生きているのよ!?」

「おいおい……どうなってんだ!?」

「なるほど……彼女に正体を隠させていた理由も何となくわかったよ。あの外道に彼女まで生きている事を悟られない為なのだろう?」

ステラがカリンである事にエステルは混乱し、アガットは戸惑い、カリンが今まで正体を偽っていた事を察したレイスはイオンに視線を向け

「ええ。彼女の血縁者であるヨシュアが帰還した時は、正直いつ彼女の正体が皆さんに判明してしまうのかヒヤヒヤしていましたけどね……」

レイスの疑問にイオンは苦笑しながら答えた。



「姉さん……本当に姉さんは生きていたんだ……!でも……姉さんはあの時死んで、遺体も埋めたのにどうして……」

「…………!”七の導師(セブンスフォンマスター)”。まさかお前達”守護騎士(ドミニオン)”が持つ”真の聖痕”によるものか?」

ヨシュアが今にも泣きそうな表情でカリンを見つめている中、ヨシュアの疑問を聞いてある事に気づいたレーヴェはイオンに訊ねた。

「―――死んだはずの彼女が何故今この場にいるかの説明は後にさせてください。今はあの外法の制圧が先です。彼女の為にも力を貸してもらえますか?」

「………いいだろう。」

そしてイオンの指摘に頷いたレーヴェはワイスマンを睨んだ。



「おのれ―――――ッ!ケビン・グラハムに続いて小癪な真似をしてくれたな、”七の導師(セブンスフォンマスター)”ッ……!ならばその女を殺して、”漆黒の牙”と”剣帝”を絶望に陥らせて、この私が人形にしてくれる!死ねえ!!」

一方怒りに震えたワイスマンは複数の光の槍をカリンに放ったが

「はっ!!」

「せいっ!!」

ヨシュアとレーヴェがカリンの前に出て、それぞれの武器を振るって、光の槍を弾いた!

「今度こそ絶対に姉さんを!エステルを!レーヴェを!僕の大事な人達は失わせない!」

「あの時は守れなかったが………今度こそはカリン。絶対にお前とヨシュアを守る………!」

ヨシュアとレーヴェはカリンを庇うかのように、カリンの目の前で決意の表情でワイスマンを睨み

「ヨシュア………レーヴェ………」

「えへへ………なんだか照れるわね。」

二人の決意を聞いたカリンは優しい微笑みで二人の背中を見つめ、エステルは照れていた。



「フン、戯言を………!所詮貴様らの無駄な足掻きというものだ。無限の力を秘めた”環”の前では―――」

ヨシュアとレーヴェの様子を見たワイスマンが鼻を鳴らして答えたその時、ワイスマンの身に異変が起こった。

「な、なんだ……?”環”が…………私の中の”環”が……!」

突然の異変にワイスマンが戸惑っていたその時、地下から蛇のような生命体が登ってきてワイスマンに噛みついて、一体化した!

「ぐっ……おおおおおおっ……!」

すると”輝く環”と融合したワイスマンの姿はさらに変化し、凄まじい力が(ほとばし)った!

「て、天使………!?」

「くっ………何て霊圧………!」

「恐らく、あれが”輝く環”の真の力だと、思います……!」

「へっ……上等だっ!」

「どうやらこれが最後の悪あがきみたいだな………」

「うふふ、これが本当の最後の戦いって事ね♪腕がなるわ。」

異形化したワイスマンを見たルークは驚き、ワイスマンから感じる膨大な霊圧を感じ取ったアーシアは表情を歪め、アリエッタの推測を聞いて鼻を鳴らしたアガットはワイスマンを睨み、ワイスマンが追い詰められている事を悟ったレイスは真剣な表情で呟き、レンは不敵な笑みを浮かべた。



「遊撃士として!リベールの市民として!そして何よりも人として!」

「ワイスマン……貴方は僕達が倒す!」

師匠(せんせい)から学んだ”アルバート流”の剣……老師から学んだ”八葉一刀流”の剣……そしてエステル達やティア達との旅で得た経験……存分に震わせてもらうぜ!」

「うふふ、さっさと倒して最高のハッピーエンドを迎えさせてもらうわよ♪」

「リベール王子レイシス・フォン・アウスレーゼ!リベールに住む全ての民の為に……全身全霊で参る!」

「ミーシャのような奴がもう現れない為にも……テメェをブッ倒す!」

「私が夢見た世界に少しでも近づく為にも……全身全霊を持って貴方を倒す!」

「空の女神(エイドス)……そしてユリアよ……どうか僕達に勝利の加護を!」

「今度こそ、イオン様を守る為に、アリエッタ、絶対に負けません……!」

「これ以上悲劇を繰り返さない為に……全身全霊を持って貴方を倒します!」

「貴様に受けた屈辱………今ここで全て返させてもらうぞ………!」

そしてそれぞれの決意を叫んだエステル達はワイスマンとの決戦を開始した! 
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