英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)
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最終話(終章終了。SC篇に続く)
~グランセル城・空中庭園~
「…………………」
睡眠薬を口に入れ、倒れたエステルをベッドに運ぶためにヨシュアはエステルに近付いたその時、エステルの体から4つの光の玉が出て、光の玉からそれぞれ攻撃が来た!
(光よ、集え!光霞!!)
(燃えよっ!)
「ヤアッ!」
「ハッ!」
光の爆発や炎の玉、矢や連接剣の刃がヨシュアを襲った!
「!!」
攻撃に気付いたヨシュアは素早い動きで回避した。そしてヨシュアが攻撃が来た場所を見ると、そこにはエステルを護るようにパズモ、サエラブ、テトリ、ニルが立ちはだかってヨシュアを睨んでいた。
「なんで……なんでこんな事をするんですか!ヨシュアさん!!」
(そうよ!エステルは貴方の過去を聞いてなお、貴方を受け入れようとしていたのに……なのに……なのに、なんで貴方はそれを裏切るのよ!エステルの事、好きなんでしょう!?)
テトリは弓に次の矢をつがえた状態で、悲しそうな表情で涙を流して叫んだ。また、パズモもヨシュアを睨みながら、聞こえないとわかっていても念話を送った。
(小僧………!以前、我が貴様に警告した事を覚えているか………!)
サエラブは今にも飛び掛かりそうな態勢で、ヨシュアを睨んで念話を送った。
「覚えているよ。『もし、貴様がエステルを害するような事があれば、我は全力を持って貴様を排除する。………例え、エステルがそれを望まなくても』……だろう?」
サエラブの問いかけにヨシュアは静かに答えた。
(………覚えているのなら、話は速い……!これ以上、エステルに近付くなら、容赦はせんぞ……!)
「……ニルはこう見えて、かつては”守護天使”とも言われた天使。契約者を”守護”する者として……例え今までの仲間だったとはいえ、容赦はしないわよ?」
サエラブの言葉に同意するように、ニルは連接剣の切っ先をヨシュアに向けて、睨みながら言った。
「………ちょうど、君達にも最後に頼みたい事があったんだ。………これからは僕に代わって、君達がエステルを支えてくれないかな?」
(ヨシュアに頼まれなくとも、エステルは私が護るわ!私はエステルが好きでこの娘を護りたいから契約したのよ!……第一、エステルを悲しませた貴方にそんな事を言う資格はないわ!)
(笑止!貴様に言われなくとも、ここにいるみなは、そのつもりで契約したのだ!)
ヨシュアの言葉を聞いたパズモやサエラブはヨシュアを睨みながら、念話を送った。
「私達に頼むぐらいなら、ヨシュアさんがずっとエステルさんを護ればいいじゃないですか!なんでそれをしないんですか!?」
「…………天使であるニルは人間の感情もある程度、感じられるけど……今の貴方は以前と違って、何も感じられないわ………本当に貴方は人間なの?」
テトリは悲痛そうな表情で叫び、ニルはヨシュアを睨みながら尋ねた。
「そうだね。………ニルの言う通り、僕は”人間”じゃなく、”化物”だよ。………これからのエステルをよろしくお願いします。」
ニルの言葉に答えたヨシュアはパズモ達に深く頭を下げた後、去って行った。
(エステル……………)
「エステルさん………」
ヨシュアがいなくなったのを確認したパズモやテトリは悲しそうな表情でエステルを見た。
(……いつまでもここに留まっていては、エステルが風邪をひくな。………ニル………我の背にエステルを乗せてくれ。我が部屋まで連れて行く。)
「ええ………」
サエラブの念話に頷いたニルはエステルを抱きあげてサエラブの背に乗せた。そしてサエラブはニル達に念話を送った。
(………エステルが今後、どうするかはわからんが、我等がすべきことは全員わかっているな?)
(ええ!どんな強大な敵が来ようと……エステルは殺させない!)
「はい!我が弓と魔術の力でエステルさんを護る事です!」
「それがニル達の使命なのですから、当然ですわ。」
サエラブに尋ねられたパズモ達はそれぞれ力強く頷いた。
(ああ!これからが我等の真の能力が問われる時だ!全員、心せよ!)
(ええ!)
「はいっ!」
「わかったわ!」
そしてサエラブを除き、パズモ達はエステルの身体に戻った。そしてサエラブはエステルを乗せて、エステルが泊まっている部屋に向かった。
~グランセル城内・廊下~
「ん……?」
神妙な顔で廊下を歩いていたカシウスはエステルを背に乗せて歩いている狐――サエラブに気付いた。カシウスに気付いたサエラブはカシウスの前で立ち止まった。
「確か、サエラブ……だったな。わざわざ運んでくれてすまなかったな。」
(………………………)
カシウスの労いの言葉を黙って頷いたサエラブは首をエステルの方にやって、受け取るよう促した。
「……よっと。」
サエラブの意図を理解したカシウスはサエラブの背からエステルを抱き上げた。サエラブはそれを見届けると、光の玉になってエステルの身体の中に入った。
「やれやれ……まさかレナが昔言ってた事が実現するとはな………レナには敵わないな………」
カシウスはエステル達の修行の旅でできたエステルの交友関係を思い出し、苦笑しながらエステルを自分が泊まっている客室に運んで行った。そして部屋にある手紙を見つけ、ヨシュアが去った事を察した…………
~同時刻・メンフィル大使館~
一方その頃、大使館に戻ったリフィアはリウイにある事を言ってリウイを驚かせた。
「ユイドラに行く……だと?帰って来て早々いきなり何故、そんな事を言う。」
「エステルにこの剣の修復を頼まれたからな!ウィルなら見事、この剣やプリネがテレサ殿からもらった刀を見事な武器に鍛え直せるだろうから、ウィルにこの剣の事を依頼するためにユイドラに行くのだ!もちろん、プリネやエヴリーヌ達も連れて行く!」
「………依頼をするだけなら、以前のようにその武器と報酬を送ればいいだけではないのか?」
リフィアの説明を聞いたリウイは尋ねた。
「余が久しぶりにウィル自身に会いたいのだ!結婚をし、ハーフエルフの娘も産まれているようだからな!短い間だったが、あ奴とは戦友!戦友としていつか祝福をしようと思っていたから、ちょうどいい機会なのだ!」
「………プリネ達にも話したのか?」
リフィアの様子から止めても無駄に感じたリウイは溜息を吐いた後、尋ねた。
「うむ!プリネがどうしてもリウイに話しておけと言うから、今話しているのだ!それとレンやイリーナもつれて行くぞ?」
「…………待て。レンはともかく、なぜイリーナまで連れて行く?」
リフィアの説明を聞いたリウイは驚いた後尋ねた。
「何を言っておる?イリーナは見習いとはいえ、プリネの専属侍女だぞ?連れて行って当然だろう!……それにもしかしたら、魂が目覚めるきっかけができるかもしれんしな!」
「魂が目覚めるきっかけ……………まさか。”姫将軍”と会わせるつもりか!?」
リフィアの言葉を聞いたリウイは考えた後、リフィアがしようとした事が思い当たり、驚いて尋ねた。
「うむ!セリカやマリーニャに会うためにレウィニアにもよろうと思っていたしな!プリネ達にも広い世界を見せれる上、”イリーナ”が”イリーナ様”になるきっかけも作れる!まさに一石二鳥だろう!」
驚いているリウイにリフィアは胸を張って答えた。
「……………………………」
リフィアの話を聞き終えたリウイは言葉をなくし、そしてその場で両目を閉じて考えた後、やがて両目を開き答えた。
「いいだろう。………ただし俺達もついて行くぞ。」
「ほう?こちらの世界の政務はよいのか?」
リウイの以外な答えに驚いたリフィアは尋ねた。
「………数ヵ月後に行われるグランセルで開かれる『不戦条約』についての会談にシルヴァン達が参加するつもりでな。……そろそろこちらの政務をやらせて、こちらの実際の状況を知って貰おうと思っていた所だ。今までは報告を見るだけだったしな。」
「なるほど。しかし本国のほうはよいのか?」
「そこは心配ない。シルヴァンは城で両方の政務を務めるつもりでいる。……もちろん、カミ―リも手伝うようだがな。」
「さすが余の父と母!さて………と。プリネ達にリウイ達もついて行く事を言わなくてはな!1週間後ぐらいには旅立つつもりだから、それまでに用意をしておくのだぞ!」
「ああ。」
リウイの返事を聞いたリフィアは部屋から出た。
「………………………………………」
リフィアが部屋を出ていった後、ある人物と再会してしまう事にリウイはしばらくの間悩んでいたが、やがて気を取り直してペテレーネ達を呼んで、今後の事について話し始めた…………………
―――――――――空は蒼く――――――――――――
―――――――――全てを呑みこんで――――――――――――
―――――――――それでも運命の歯車は止まらない――――――――――――
―――――――愛する少女と決別した少年はハーモニカを愛する少女に託し独り姿を消した―――――――
―――――――そして少女は少年を連れ戻す旅を決意し、少女の娘も少女の力になる事を決意する―――――――
――――だが、静かに鳴らされた鐘は世界にその刻が来たことを告げていた―――
―――――そして明かされる少女の真実。それを知った覇王は何を思うか。そして全てを知った少女は何を思うか―――――
―――――――――そして覇王は因縁の再会を果たす。因縁の相手と再会した覇王の選択とは―――――――
――――――出会う新たな敵と新たな仲間―――――――
―――――――――王国は再び試練の嵐を迎える――――――――――
ハーモニカに残された小さな思いを追って進む彼らの道が、再び闇の英雄達の道と交わらせ、そして彼らと共に新たな”軌跡”を描き出す………!
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