英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第87話
居住区画を探索していたエステル達は他の建物と比べると明らかに大きい建物を見つけ、その建物の探索を始めた。
~第35クレイドル市役所~
建物内にある端末を見つけ、エステル達は端末を調べ、”ゴスペルの再発行申請”という欄を選び、そして試しにクローゼが裏の”四輪の塔”で見つけたデータクリスタルに書かれてあった人物――セレスト・D・アウスレーゼを入力してみた。
「氏名…………………………該当者アリ。生体パターン………………73%合致。申請者本人を『セレスト・D・アウスレーゼ』であると暫定確認しました。”ゴスペル”の再発行を行います。」
端末から機械的な声が出ると、なんと”ゴスペル”が現れた!
「あ……」
「わわっ……!」
「何もないところからいきなり現れやがった……!」
「……どうやら大昔に使われていた本物の”ゴスペル”みたいだね。」
突然現れたゴスペルにクローゼ達が驚いている中、ヨシュアは真剣な表情でゴスペルを見つめていた。
「うん……。”結社”が造ったレプリカと雰囲気が似てるかも。」
「それにしてもまさか、生体パターンが私と似ていたなんて……。さすがに偶然によるものだと思いますけど……」
「えへへ、偶然じゃなくて女神様のお導きだったりしてね。とりあえず、持っていたら何かの役に立つかもしれないし……ありがたく貰っちゃいましょ。」
「うふふ、そうですね。」
その後ゴスペルを手に入れたエステル達は探索を再開し、エレベーターらしき足場に乗って、上昇した。すると”公園区画”の時と同じように周りを見渡せる場所に到着し、そして近くにあった端末を操作して、”レールハイロゥ”を起動させて、”公園区画”と”居住区画”の線路を繋いで”レールハイロゥ”で簡単に行き来できるようにした。
~第35クレイドル駅~
「来た……!」
「さてと、これでやっとこの乗物が使えるのよね?」
「今は戻る必要もないし、後でいいだろう。」
「そうね。」
”レールハイロゥ”をいつでも使えるようにした後エステル達は再び端末を操作して、地下道のゲートのロックを解除しようとしたが、”アクシスピラー”の指示により認証が必要になったという警告が出た。
「って、何よそれ……」
「どうやら前のようには行かなくなったみたいだね。」
「しかし、さっきは可能だったのに”アクシスピラー”からの指示によって止められるとは……。おそらく、”結社”の仕業でしょうね。」
端末の文章を読んだエステルが驚いている中、ヨシュアとクローゼは真剣な表情で考え込んでいた。
「そ、そんな……」
「さっきの”ゴスペル”を使ってみたらどうだ?その端末にも”ゴスペル”を使用しろみたいな事が書いてあるし。」
「う、うん……」
表情を暗くしていたエステルだったがルークの指摘を聞いて気を取り直し、先ほど手に入れた”ゴスペル”を端末の上に置いた。すると”ゴスペル”は今までのように妖しい黒い光を放った。
「当駅付近にあるゲートのロックを解除しました。地下道125号の利用が可能です。」
すると端末からエステル達にとって吉報となる機械的な声による報告が聞こえてきた。
「やった……!」
「これで他の区画に行けるようになるね。」
「これからもこの”ゴスペル”が必要になってくるでしょう。大切に持っておきましょう。」
そしてエステル達は地下道を進み、次の区画に到着した後探索を続けていると驚くべき物が見つかった。
~リベル=アーク・工業区画”ファクトリア”・第3ファクトリア~
「―――まさか、こんな所まで連れて来られちまうなんてな。これから俺たち、何をさせられるっていうんだ?」
「さあな……。ただ、教授と執行者が揃って出かけたことを考えると大した任務は残っていないだろうさ。せいぜい、空賊のような連中を捕まえる程度じゃないか?」
「そういえば……たしかリベールの飛行船が不時着していたはずだろう。そちらへの対応はいいのか。」
「教授たちが戻るまでは放置しておけとの命令だからな。ま、船を修理するまでは連中だって何もできないだろうさ。」
エステル達が探索を始めた場所――”第3ファクトリア”には”グロリアス”が停泊していて、見張りの猟兵達が談笑していた。
(”グロリアス”……こんな所に停まってたんだ。)
(ジークの言っていた通り浮遊都市の東側でしたね……。それにしても、なんて大きい……)
(で、でけえ……!タルタロスよりも大きいんじゃねぇのか……!?)
物陰に隠れて様子を窺っていたエステルは真剣な表情でグロリアスを見つめ、クローゼとルークはそれぞれ驚いた様子でグロリアスを見つめていた。
(……どうやらドルンさん達を助けるチャンスみたいだね。)
(教授と執行者たちが出払っているようですからね。)
(厄介な奴等もいない事だし、思い切って突入してみるか?)
(ちょ、ちょっと待って。突入するのはいいけど、ジョゼットに声をかけた方がいいんじゃないの?あの子のお兄さんたちを救出するわけなんだし……)
ヨシュア達が小声でグロリアスに突入するかどうかを相談しているとエステルが慌てた様子で制止した。
(エステル……)
(か、勘違いしないでよ?別にあの子を気遣ってるとかそういうわけじゃなくて……その……遊撃士としての仁義をねぇ。)
(うふふ、エステルさんらしいです。)
(だったら、一端アルセイユに戻ろうぜ。”レールハイロゥ”のお陰で区画間の移動も楽になったから、すぐだろう。)
(うん。)
その後エステル達は”レールハイロゥ”を使って、アルセイユまで戻った後メンバー編成をしなおし、同行メンバーにジョゼット、ルーク、クローゼ、レンを選んでグロリアス内に囚われている空賊達を救出する為に見張りの猟兵達にジョゼットとレンが銃撃で奇襲した。
「なっ……!?」
「て、敵襲……!?」
エステル達の奇襲攻撃に驚いた猟兵達が攻撃が来た方向に視線を向けるとエステル達が猟兵達の前に現れた。
「貴様らは……!」
「お、お前達の船はまだ修理中なのだろう!?どうしてこんな所にいる!?」
エステル達が拠点としている位置は自分達の拠点と真反対の位置であるはずなのに、エステル達が現れた事に驚いた猟兵達は信じられない表情でエステル達を見つめた。
「あいにく自分の足でここまで辿り着いたのよね~。」
「兄貴たちを返してもらうよ!」
その後エステル達は協力して電光石火の速さで猟兵達を制圧した。
「よっしゃ、一丁上がり!」
「よし……このまま艦内に突入するよ。ジョゼット、ついてきて。」
「う、うんっ!」
見張りを無力化したエステル達はグロリアス内に突入した。
~”紅の方舟”グロリアス内~
「こ、これが”グロリアス”の中……」
「……とても船の中とは思えない広さですね……」
「間違いなく現存している飛行船の中でも最大級の大きさでしょうね。」
「下手したら軍の基地や砦より厄介かもしれねえな……」
グロリアスに突入し、艦内の広さを目にしたジョゼットとクローゼはそれぞれ信じられない表情をし、レンとルークは真剣な表情で呟いた。
「まー、実際ウンザリするほど広いわよ。それに結社の人形兵器があちこちに放たれてるだろうし。」
「…………………………………………。あんたたち、この艦から脱出したことがあるんだよね?兄貴たちの居場所、見当はつく?」
エステルの話を聞いて考え込んだジョゼットはエステルとヨシュアに尋ねた。
「あ、うん……そうね。あたしが最初に閉じ込められていた船室あたりかもしれないけど……」
「いや……あそこは一応、客室だからね。多分、監禁用の牢屋に閉じ込められているはずだ。」
「か、監禁用の牢屋~!?」
「そ、そんな物まであるんだ。前に脱出した時には見かけた覚えはなかったけど……」
船の中に牢屋まである事に驚いたジョゼットは声を上げ、エステルは目を丸くした。
「あの時は、脱出防止用の電磁バリアが展開されていたから行ける場所が制限されていたんだ。今はまだ、電磁バリアが展開されていないみたいだから……ドルンさんたちを助けるチャンスかもしれない。」
「そ、それで……その牢屋はどこにあるの!?」
「……この先の通路に下の階に続く小階段があった。そこを降りれば牢屋のはずだよ。」
「牢屋に降りる小階段ね……。よーし、まずは調べてみましょ!」
ヨシュアの先導によってエステル達が歩き始めた中レンは振り向いて背後を見つめていた。
(うふふ、侵入する絶好の機会は作ってあげたから、後は手筈通りに頼むわよ。)
不敵な笑みを浮かべたレンはすぐに表情を戻してエステル達と共に先を進み始めて少しすると、なんと銀が空間の中から現れ
「さて……始めるとするか。――――この紅き戦艦を海の藻屑と化させる”仕込み”を。」
現れた銀は口元に笑みを浮かべて呟いた後エステル達の後を追い始めた!
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