血の髑髏
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第八章
「この髑髏は呪われていますね」
「はい、私達が考えた通り」
「髑髏、そして血の色の水晶から思いましたが」
「その通りでしたね」
「窃盗団達は悪人ですが」
それでもと言った館長だった。
「人命であることは事実」
「その命が失われた」
「はい、この髑髏によって」
「そのことは事実ですね」
「どうされますか?」
博士は館長に顔を向けてだった、彼に問うた。
「この髑髏は」
「このままここに置いていてもです」
「この博物館にですね」
「そうしていてまた誰かが間違って髑髏に見られれば」
「同じことの繰り返しです」
「だからですね」
「この髑髏はここに置くべきではありません」
こう言うのだった。
「決して」
「ではどうされますか」
「バチカンでしょうか」
館長はカトリック教会を出した、言うまでもなくメキシコでも多くの信者を擁する世界最大の宗教組織である。
「あちらに事情をお話してです」
「そのうえで、ですか」
「安全な場所に保管してもらいましょう」
「こうした市井にある博物館では、ですか」
「置いてはいけないものです」
こう判断したのだ、今回のことで。
「ここまで呪われたものは」
「では」
「枢機卿の方に知り合いがいます」
キリスト教で法皇に次ぐ地位にある聖職者だ、彼等の会議で彼等の中から法皇が選出される程である。その地位は一国の君主に匹敵するとまで呼ばれていた時代もあった。
「その方にお話して」
「バチカンの所蔵庫にですか」
「保管してもらいます」
「そうですね、バチカンならです」
博士もバチカンと聞いて言った。
「安全に保管してくれますね」
「あちらなら」
「それでは」
博士の言葉に頷いてだ、館長は。
その日すぐに枢機卿に連絡を取って話をしてだった、そのうえで。
バチカンに極秘のうちに血の髑髏を渡した。髑髏は即座にバチカンの所蔵庫の奥深くに運ばれて永遠に保管もっと言えば封印されることになった。
その一部始終を館長から聞いてだ、博士は言った。
「これで何とかですね」
「あの髑髏は永遠に収められることになりました」
「誰もが見ることにない場所に」
「そうなりました」
「よかったです、ですが」
博士はほっとしながらもこうも言った。
「あの様なものが世にあると」
「恐ろしいことですね」
「あの髑髏は生贄の魂を奪うものだったのか」
こうも考えた博士だった。
「その為あのピラミッドにあったのか」
「そのことはですね」
「はっきりとしませんが」
それでもというのだ。
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