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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~聖魔の魔人姫との契約~後篇

8月4日――――



~翌朝・マルーダ城・客室~



「…………ん………(殺気!?)……ッ!!」

翌日ベッドで眠っていたリィンは目覚めると同時に殺気を感じると慌てた様子で飛び起きて身構えた。すると

「フフ、おはようございます、兄様。」

「フフ、よく眠れたかしら、リィン?」

なんと膨大な威圧を纏って目にも見える程の怒気をメラメラ燃やし続けるエリゼとアリサが微笑みながらリィンを見つめていた!



「エ、エリゼ!?それにアリサも……!え、えっと……朝から何の用だ?」

二人に驚いたリィンは二人の様子を見て本能的に恐怖を感じ、大量の冷や汗をかきながら尋ねた。

「―――昨夜セレーネがメサイア様が兄様の部屋に入って行く所を見たというお話を聞きましたのでその事についての詳細を聞く為に参りました。」

「いい”っ!?」

エリゼの言葉を聞いたリィンは表情を引き攣らせ

「ねえ、リィン。私達の予想だとメサイア皇女と”性魔術”で”契約”したのだと思うのだけど?」

「そ、それは……っていうか、何でアリサが”性魔術”の事を…………」

アリサに問いかけられ、表情を青褪めさせた。すると

「―――ご挨拶が遅れて申し訳ありません。これからリィン様の使い魔としてリィン様に仕えるメサイアと申します。今の私は皇女という身分ではなくリィン様の使い魔ですので今後は呼び捨てで気楽な態度で接してくださいませ。」

「メ、メサイア!」

メサイアがリィンの隣に現れて二人に会釈し、その様子を見たリィンは慌てた。

「”やはり”ですか……ウフフフフフフフ……!」

「凄いわね、リィンったら……”また”皇族を使い魔にするなんて。しかも皇族はこれで”5人目”よ?貴方みたいな男性、初めてよ…………フ、フフッ、フフフフフフフ…………!」

「……………………」

(ア、アリサがまた怖くなっている……)

(アハハハハハ!どうやってメサイアの事を知らせるのかと思ったけど、まさかこんな形で知られる事になるなんてね♪)

(ふふふ、さすがご主人様。私達の期待を裏切りませんね。)

膨大な威圧を纏い続ける二人に微笑まれたリィンは表情を青褪めさせて身体を震わせ、ミルモはアリサを怖がり、ベルフェゴールは腹を抱えて笑った後からかいの表情になり、リザイラは静かな笑みを浮かべて見守っていた。



「アハハ……ある意味凄いよね、リィン。」

「使い魔の方々が全員”皇族”ですものね……」

「さすがだな、リィン。」

「えへへ……同じお兄様に仕える者同士として頑張りましょうね、メサイア様♪」

一方その様子を出入り口で見守っていたエリオットは苦笑し、エマは表情を引き攣らせ、ガイウスは感心し、セレーネは嬉しそうな表情でメサイアを見つめ

「フッ、もはや何らかの特殊能力なのではないかと疑ってしまうぞ。」

「た、確かにここまで来れば”偶然”で済まされないぞ……」

からかいの表情で呟いたユーシスの言葉を聞いたマキアスは冷や汗をかいてリィンを見つめ

「……皇女を惹きつけるフェロモンでも出しているんじゃないの?」

「そんな事はありえないと言い切りたい所だが実際アルフィン皇女殿下の件もあるからな……」

呆れた表情でリィンを見つめるフィーの言葉を聞いたラウラは困った表情で答えてリィンを見つめていた。



「アハハハハハ!ここまでタラシな男は初めてみたわよ♪」

サラ教官は腹を抱えて笑った後からかいの表情でリィンを見つめ

「フッ、クロスベルにいるヴァイスハイト・ツェリンダーが知ればどういう反応をするだろうな?」

「フフ、機会があれば教えてあげるのもいいかもしれないわね。」

「世界は違えどメサイアさんはヴァイスさんの娘ですから、ヴァイスさんがメサイアさんの事を知れば、間違いなくリィンさんはヴァイスさんに色々な意味で目を付けられる事になるでしょうね……」

静かな笑みを浮かべるレーヴェの言葉を聞いたプリネは微笑み、ツーヤは苦笑しながらリィン達の様子を見守っていた。



~同時刻・ゼムリア大陸・クロスベル自治州・クロスベル市・クロスベル警察分室・特務支援課ビル~



「ハックシュン!!」

一方その頃エレボニア帝国とカルバード共和国に挟まれた自治州―――クロスベル自治州の中心部であるクロスベル市にあるビルの中にいる金髪の男性はくしゃみをした。

「?風邪ですか、ヴァイス。」

その様子を見た蒼銀色の髪を持つエルフの女性は尋ね

「フッ、エルファティシアさん達と何度も一夜を共にして寝不足になった事が原因で体調を悪くしたんじゃないかい?」

「ワ、ワジ君!?朝から何て事を言うのよ!」

エメラルドグリーンの髪の中性的な容姿を持つ少年の言葉を聞いたベレー帽を被っているピンクブラウンの髪の女性は慌てた様子で少年を睨み

「もしくはモテモテのヴァイスハイトに嫉妬している女の子がヴァイスハイトをどうやって自分の物にするのか画策しているのかもしれないわね♪」

深い緑色の髪をなびかせている可憐な容姿を持つエルフの女性はからかいの表情で男性を見つめた。



「た、確かに局長ならありえるかも……」

「お願いしますから色恋沙汰で事件を起こさないで下さいよ……」

「キョクチョー、モテモテだもんね♪」

エルフの女性の言葉を聞いたジャケットを身に纏った茶髪の青年は苦笑しながら答え、パールグレイの髪の娘は疲れた表情で溜息を吐き、黄緑色の髪の女の子は無邪気な笑顔を浮かべ

「このリア充王が!ちょっとは痛い目にあいやがれ!」

オレンジのコートを身に纏っている赤髪の青年は悔しそうな表情で男性を睨んだ。



「フッ、残念ながら俺は女性達との付き合いに関しては完璧だぞ?それに体調にも気を使って、エルファティシア達を抱いているから、体調管理も完璧だ。」

「そんな事を胸を張って言わないで下さい。それより少しは警察局長としての自覚を持ってください。」

静かな笑みを浮かべて言った金髪の男性の言葉を聞いた茶髪の青年は呆れた表情で指摘した。



「おいおい、よりにもよって俺と”同類”のロイドに言われる筋合いはないぞ?」

「ええっ!?何でですか!?というか局長と俺のどこが似ているんですか!?」

しかし男性に指摘された青年は驚き

「確かにそれは言えてるわね。しかも自覚がない分、局長より性質(たち)が悪いわ。」

「エリィ!?」

数ヵ月前に恋人同士になったばかりの娘にジト目で見つめられて責められた青年は信じられない表情をし

「エリィを恋人にしていながら、複数の女性達から好意を寄せられているロイドはヴァイスと”同類”と言ってもおかしくありませんね。」

「うふっ♪もしかしてヴァイスハイトを超えるつもりなのかしら♪」

「アル警視にエルファティシアさんまで!?というか、それ以前にエリィ以外の女性に好意を寄せられているなんて身に覚えがありませんよ!?」

二人のエルフの女性の指摘に更に慌て

「アハハハハハ!さすがはロイドだよ!”まだ”気付いていないんだ♪」

「ワジ!?”まだ”ってどういう事だよ!?」

(す、すみません、ロイドさん。今のワジ君の言葉は否定できません……)

腹を抱えて笑っているエメラルドグリーンの髪の少年の言葉を聞いて驚いている茶髪の青年の様子を見たベレー帽を被る女性は苦笑し

(くかかかかかかっ!ここまで鈍感なのはもはや”奇跡”に近いぞ!?)

(ハア……どこで育て方を間違えてしまったのかしら?)

茶髪の青年の身体の中にいる悪魔は腹を抱えて笑い、天使の女性は疲れた表情で溜息を吐いて頭痛を抑えるかのように頭を抑えた。

「この弟貴族が!局長と共に本物の”女神”のフェミリンスのお姉さんかレシェンテちゃんから天罰を受けろ!」

「ロイドもモテモテだもんね♪」

「ランディやキーアまで!?……ううっ、局長を注意するはずが何で俺が責められる事になったんだ……?」

そして悔しそうな表情で自分を睨む赤髪の青年や無邪気な笑顔を浮かべている黄緑色の髪の少女の言葉を聞いた茶髪の青年は疲れた表情で溜息を吐いた。



こうしてリィンは新たなる心強き仲間を手に入れた…………! 
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