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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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~武術大会・決勝戦~後篇

幻燐戦争、深凌の楔魔との戦い、イスト村攻防戦、邪龍との戦いを生き抜いた歴戦の英雄の一人であるカーリアン。その強さはすでに魔神の領域まで達しており、例え片腕に負傷をさせても強かったが対するエステルは幻燐戦争の英雄2人の力を宿し、出身が謎ながらも実力は正遊撃士に届くほどのヨシュア、一般人でありながらも正確無比な射撃に強力なアーツを扱うオリビエ、そして正遊撃士の中でも最高クラスと言われるA級正遊撃士であり、達人クラスの強さを持つジンという強者揃いのメンバーでの戦いは徐々にエステル達が押していた。



~グランアリーナ~



「ハァッ!」

「せいっ!」

「たあっ!」

「それぇっ!」

息ぴったりなエステルの剣とヨシュアの双剣の攻撃とジンの籠手での攻撃をカーリアンは片方の剣で捌いた。そしてもう片方の剣で反撃をしようとしたが

「くっ………」

火傷した腕が思いのほか、動かせず反撃できなかった。

「はぁぁ、せいっ!」

そこに攻撃後、一端距離を取ったエステルが剣を鞘に収めた後、棒でクラフト――金剛撃を放った!

「甘いわ!」

しかしカーリアンは双剣で防御した。

「月華掌!!」

「時の槍よ、今ここに具現せよ!………シャドウスピア!!」

「炎の矢よ、具現せよ!………フレアアロー!!」

しかしそこにジンのクラフトが、ヨシュアとオリビエのアーツが命中した!

「きゃあっ!?やってくれるじゃない!」

ヨシュア達の攻撃が命中し、呻いたカーリアンはエステル達を睨んだ。



「(………先にあの娘を潰さないとまずいわね………)行くわよっ!」

そしてカーリアンは近付けば、反撃がしにくい棒を武器としているエステルに攻撃した。

「させないわっ!」

「嘘!?」

しかしエステルは即座に棒を仕舞った後、鞘から剣を抜いて防御し、カーリアンを驚かせた。

「たあっ!」

「双連撃!」

「フッ……これは避けられまい!」

そこにジンの拳が、ヨシュアのクラフトが、オリビエのクラフトがカーリアンを襲った!

「ちっ!」

ヨシュア達の攻撃に気付いたカーリアンは舌打ちをした後、持っている武器で捌いた。

「ヤァッ!」

「!!」

さらにエステルの剣での攻撃に気付き、カーリアンは横に跳んで回避した。そしてエステルのある構えを見て、驚いた。

「嘘!?その構えは!」

「行くわよ……!フェヒテンイング!!」

「くっ………3段斬り!!」

リウイ達しか使えないはずの技をエステルが使った事に驚いたカーリアンだったが、クラフトを放って相殺した。クラフトを相殺されたエステルは今度は斬りの構えをした!

「アネラスさん、技を借りるね!さあ、行くわよ!!」

そしてエステルは2回戦でアネラスが見せた強烈な連撃のクラフト――八葉滅殺をカーリアンに放った!

「まだまだまだまだまだまだぁっ!」

「くっ…………」

普段なら隙を見つけて反撃するカーリアンだったが、片腕が火傷した影響であまり動かないため、防御するだけで精一杯だった。



「とどめっ!」

そしてエステルは最後の一撃をジャンプして、降下しながらカーリアンを攻撃しようとしたが

「そこよっ!冥府斬り!」

「キャッ!?」

カーリアンが放った強力な一撃のクラフトの威力に負けて、吹っ飛ばされた。

「続けて行くわよ!」

吹っ飛ばされたエステルを追撃しようとカーリアンは吹っ飛ばされて行くエステル目掛けて走ろうとしたが

「させるか!たあっ!」

「せいっ!」

「フッ!」

「ちっ!」

ジン達の攻撃に気付き、舌打ちをしてエステルを追撃するのを断念した。

「よっと!」

一方吹っ飛ばされたエステルだったが、空中で受け身を取って着地した。

「今のも駄目か………もっと、速く攻撃しないと駄目か。(そう言えば、パズモやテトリの前の主って凄い速さで舞うような剣技や剣に闘気を込めて衝撃波を出して戦っていたって聞いたわね。速さに舞う、剣に闘気を込める……か。よし!試してみよう!)」

エステルはパズモやテトリから聞いたパズモ達の前の主が使っていた剣技の特徴を思い出し、その場で少しの間瞑想した後、決意の表情になった後、持っている剣を両手で掴んで、剣を振り上げて剣に闘気を込めた!

「ハァァァァァ……!」

エステルが剣に闘気を込めると、剣全体を闘気が包み込んだ。そしてエステルは剣を振りおろして、剣に込められた闘気を放った!

「円舞剣!!」

「なっ!?キャアッ!?」

エステルが放った技名を聞いて驚いたカーリアンは、エステルの技に反応するのに遅れて、エステルの技を受けてしまい、のけ反った。そしてヨシュア達は畳みかけるようにクラフトを放った!

「絶影!」

「ぬおぉぉぉぉぉっ!千手悔拳!!」

「そぉれっ!クイックドロウ!!」

「この………やられっぱなしでいると思わないでよね!……白露の桜吹雪!!」

ヨシュア達の攻撃を必死に捌いていたカーリアンはSクラフトを放った!

「くっ!」

「ぐっ!」

「おあっ!」

カーリアンのSクラフトによって、ヨシュア達はダメージを受けると同時に吹っ飛ばされた!

「身妖舞!!」

「嘘っ!?」

しかしカーリアンの攻撃範囲外にいたエステルはSクラフトを放って、硬直しているカーリアンに素早く、舞うかのように剣で2回斬りつけ、カーリアンにダメージを与えた。

(ふわ~……エステルさん、凄いです。ご主人様の剣技を真似するなんて……!)

(ほう……まさか、”飛燕剣”をこの目にする時が来るとは………クク、本当にお前は我を驚かせてくれるな、エステル。)

一方エステルの身体の中にいたテトリはエステルがかつての主の剣技――飛燕剣を使った事に驚いた。また、サエラブも伝説となっている東方の剣技を目にして、驚いた。

「みんな、大丈夫!?」

後ろに大きく飛んで後退したエステルはカーリアンのSクラフトを受けて、蹲って呻いているヨシュア達に声をかけた。

「このくらいの傷では俺は倒れん……さ!」

ジンは体に伝わる痛みを平気であるかのように、余裕の笑みを浮かべて立ち上がった。

「大丈夫ってほどじゃないけど……まだ……行ける!」

ヨシュアは痛みに顰めながらも、未だ闘志が衰えない表情で立ち上がった。

「フッ………シェラ君にぶたれた鞭の痛みに比べればまだまだだよ!……いたた……」

オリビエは強がった後、情けない表情で痛みにしかめながらも、立ち上がった。



「それにしても、エステル。君って、剣はそんなに得意じゃなかったんじゃ……」

「えへへ……今まで出会った人達から技を借りただけよ!」

ヨシュアの疑問にエステルは苦笑しながら答えた。

「ハハ……さすがに父さんの血を引いているだけはあるね。……それにしても、さっきの剣技は見た事なかったけど、誰の剣技なんだい?」

ヨシュアはエステルが相変わらず自分の才能に鈍感である事に苦笑した後、カーリアンにダメージを与えた剣技を尋ねた。

「あ、うん。”飛燕剣”って言うパズモ達の世界の東方の剣技でパズモやテトリの前の主の人が使っていた剣技なんだ!パズモ達からどういう剣技か、聞いて一か八かで真似してみたら、成功したのよ!」

「聞いただけで技を真似したって……」

「ほう……異世界にもカルバードのような”東方流”があるのだな。」

「ハハ……さすがはエステル君だねぇ。野生の勘と言った所かい♪」

エステルの説明を聞き、ヨシュアは驚き、ジンは異世界にも”東方流”がある事に感心し、オリビエは茶化した。

「エステル。さっきの剣技をもう少し詳しく教えてくれないかい?」

「”飛燕剣”の事?いいわよ。えっとね……」

そしてエステルはヨシュアにおおまかに”飛燕剣”の特徴を説明した。

「こんなところね!」

「……ありがとう、エステル。お陰で僕もその剣技を出来るかもしれ……」

エステルにお礼をいい、口を開いて何かを言いかけたヨシュアだったが

「それぇっ!」

「!!やばっ!?」

「!!」

「はっ!」

「おおっと!?」

そこにカーリアンが放った衝撃波がエステル達を襲い、それに気付いたエステル達は急いで回避した。

「フフ……まさかセリカとリウイ、2人の技を同時に使う人間が……しかもそれが異世界の人間だなんて、驚いたわ。それに正直、私がここまで追い詰められるとは思わなかったわ。本当に貴女って、最高よ!」

カーリアンは好戦的な笑みを浮かべて、エステル達に言った。

「へへ~んだ!言ったでしょ?誰が相手でも必ず勝つって!」

カーリアンにエステルは不敵な笑みを浮かべて答えた。

「フフ……貴女の言った通り、さすがの私もヤバくなって来たわ。でも、そう簡単には負けないわよ!」

そしてカーリアンはエステル達目掛けて、双剣を構えて走り出した!

「みんな!時間を少しだけ稼いでもらえる?」

エステルは再び、剣と棒をそれぞれ片手に持ってヨシュア達に言った。

「また何か思いついたようだね……了解!」

「期待しているぜ!」

「フッ……今回の美味しい所はエステル君に任せるよ♪……では、まずボクからだ!」

エステルの言葉にヨシュア達は力強く頷いた。そしてオリビエは背負っていたリュートを取り出した。



「この曲は貴女に捧げるレクイエムさっ!」

そしてリュートの弦を一回鳴らした後、懐からバラを一本取り出して放り投げた!そしてカーリアンに一瞬だけ背中を向けた後、カーリアンの正面に向くとオリビエの両手になんと銃口があるリュートがあった!

「ふっ………これは避けられまい!」

そしてオリビエはバラが散ると同時に銃口から怒涛の銃撃をカーリアンに放った!

「ちっ……鬱陶しいわね!」

オリビエの怒涛の銃撃をカーリアンは足を止めて、捌いていた。

「そぉれ、おまけだっ!」

そして怒涛の銃弾を撃ち終わったオリビエは特大の銃弾をカーリアンに放った!

「それぇっ!」

特大の銃弾に当たればただでは済まないと思ったカーリアンは衝撃波を銃弾に当てた。衝撃波に当たった銃弾はアリーナを響き渡らせるほどの爆音と眩い光で爆発した。

「ぬおぉぉぉぉぉぉ……………!」

そしてオリビエのSクラフト――レクイエムハ―ツの爆発の煙が晴れると、そこには闘気を体全体に溜めこんでいるジンがいた。

「はぁっ!!」

ジンが叫ぶと、ジンの体全体に膨大な闘気が宿った!

「泰山………玄武靠!!」

そして拳を前に出して、カーリアンに信じられない速さで突進した!

「でやぁぁ!」

「カハッ!?……いいのをもらってしまった……わね!」

ジンにとって最大奥義となるSクラフト――泰山玄武靠を受けてしまったカーリアンは呻いたが、それでも立ったままだった。カーリアンは目標を自分に最大の一撃を与えた後、闘気が霧散したジンに変えて、攻撃しようとしたが、殺気と闘気を体全体に覆って、双剣を構えているヨシュアに気付いた。



「これで決める……ハッ!」

「その技は通じないわよ!」

ヨシュアのSクラフト――断骨剣を試合で見て、対処方法があるカーリアンは不敵な笑みを浮かべて、防御した後反撃をしようとしたが

「ハァッ!そこっ!せぃやっ!」

「なっ!?……ぐっ!?」

ヨシュアは一瞬で双剣を残像を残すほどの速さでカーリアンに3回攻撃して、怪我をしてなかったカーリアンの腕に傷を作らせ、いつの間にか元の場所に着地して、静かに新たな技名を呟いた後、さらに攻撃の構えをした。”飛燕剣”の技の一つ――”蓬妖舞”が加えられたその技の名は……!

「”断骨剣・妖の型”。………はぁぁぁぁぁぁ!!」

そしてヨシュアは双剣に自分の持つ闘気を込めた!

「はっ!」

双剣に闘気を溜め終えたヨシュアは信じられない速さでカーリアンに攻撃した。

「なっ!?剣が!?」

ヨシュアの神速の攻撃をなんとか両手が満足に動けないながらも防御したカーリアンだったが、ヨシュアの双剣に籠っている闘気の一撃の威力にカーリアンの双剣が弾き飛ばされた!

研ぎ澄まされた漆黒の刃に速さに重視を置く”飛燕剣”の技の中でも珍しく、力を込め威力を重視する技――”殲綱斬”が加えられたその技の名は……!

「”漆黒の牙・斬の型”。………後は頼むね、エステル………」

ヨシュアは静かに新たなSクラフト名を呟いた後、力を使いはたしたヨシュアはその場で倒れて立ち上がらなくなった。そこに剣を鞘に仕舞って、棒を両手に構えたエステルが並んだ。



「みんな、ありがと!行くわよ……!はぁぁぁぁ!」

エステルはその場で回転して、闘気と棒の遠心力によってできた巨大な竜巻を作った!

「いっけ~!」

そしてその竜巻を棒を思いっきり振って、カーリアン目掛けて放った!

「(……これは、完全に私の負けね……)フフ……貴女達の最高の技、私に見せて頂戴!」

カーリアンは自分に襲いかかる竜巻を見て、武器もない状態では何もできない上、体も今までの戦いの疲労や怪我で思うように動かなかったため、諦めた後自分に止めをさす技がどんな技になるのか、楽しそうな表情で叫んだ。そして闘気でできた竜巻はカーリアンを襲った!

「っつ!?まだ……この程度では倒れないわ!」

竜巻によってどんどん傷ついていくカーリアンは叫んだ。

「これが!あたしの!とっておき!!我に眠りし命の炎よ……ここに来たれ!」

そしてエステルは鞘から剣を抜いて、片手で握り、もう片方の手には棒を握って叫んだ!すると、剣は”聖炎剣”になり、棒は”聖炎”によって刃が宿り、槍と化した!

「これで……終わりよ!」

エステルは両方の武器を構えて、そのままカーリアン目掛けて突進した!その技は棒、槍、剣が合わさった究極の技にして、聖なる炎を宿した奥義!

「聖技!!」

突進したエステルは槍と化した棒と剣で、カーリアンを十字(クロス)に斬った!!

「グランドクロス!!」

エステルがカーリアンの背後まで駆け抜け、叫ぶと闘気と聖炎によってできた十字架がカーリアンに刻まれた!

「カハッ!?まさかこの私が負ける……なんて……ね……見事……よ。私の完敗……ね。」

エステルが放った究極のSクラフト――聖技・グランドクロスの威力にカーリアンは呻いた後、地面に倒れ、立ち上がらなくなった。

「はあ、はあ………ク!?まだ、倒れちゃ……駄目!!」

魔力、闘気を共に使いはたして、体力も限界だったエステルは元の姿に戻り、そのまま地面に倒れそうになったが、元に戻った棒を杖の代わりにするかのように地面にさして、倒れるのを踏みとどまった。また、剣は元の折れた剣に戻った。



「勝負あり!蒼の組、ジンチームの勝ち!」



そして審判はカーリアンの状態を見て、エステル達の勝利を宣言した……………! 
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