ドリトル先生北海道に行く
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第九幕その三
「ただ観るだけだよ」
「ああ、先生泳げないからね」
「だからだよね」
「泳ぐことはしない」
「そうなんだね」
「水着は持って来ていないよ」
先生はこれまでの旅行でそうしたものを持って行ったことはありません。
「パラソルとかシーツもね」
「そうだよね、先生はね」
「旅行先で泳ぐことはしないからね」
「いつも正装でね」
「そうしたこととは無縁だからね」
「溺れてしまうよ」
泳げないからです、実際に。
「だからそれはいいよ」
「うん、じゃあね」
「ここから観るだけだね」
「それでマリモを買って」
「それもプレゼントだね」
「日笠さんに」
「あっ、そうだね」
言われて気付いた先生でした。
「日笠さんにもね」
「買わないとね」
「絶対にだよ」
「それは忘れない」
「いいよね」
「わかってるよ、ただね」
先生は日笠さんの名前を出した皆に言いました。
「皆本当に日笠さんのことは言うね」
「先生が忘れない為にね」
「あえて言ってるんだよ」
「日笠さんのことを忘れない様にね」
「絶対にね」
「忘れないよ、これでも記憶力は確かなつもりだから」
先生は皆にはっきりと言いました。
「日笠さんは大切なお友達の一人だからね」
「ここで普通にアウトなことを言うのがね」
「困るんだけれどね」
「僕達をしては」
「とてもね」
「サラさんは気付いているだろうね」
「あの人は絶対に気付いてるよ」
「ああ、サラのお土産も買わないとね」
先生はサラの名前が出たところで思い出しました。
「絶対に」
「まあサラさんはね」
「日笠さんの次でいいよ」
「妹さんはね」
「あの人のことはね」
「いや、サラは妹だから」
それでと返した先生でした。
「第一だよ」
「肉親だからなんだね」
「サラさんは第一」
「お土産を忘れたらいけない」
「そう言うんだね」
「そうだけれどよくないのかな」
「日笠さんだよ」
皆一斉に先生に言いました。
「まずはね」
「最初に日笠さんと考えないと」
「サラさんはその次でいいから」
「妹さんはね」
「ううん、そういうものかな」
本当にわかっていない先生です、それで首を傾げさせるのでした。
ですがその先生にです、王子が言いました。
「とにかくね、摩周湖は観たし」
「それでっていうんだね」
「何を食べようか」
「そうだね、摩周湖にもアイヌ料理のお店があったね」
「そこに行くの?」
「そうしようか」
「そうだね、じゃあね」
それならと言ってです、そのうえで。
先生達は皆で一緒にでした、この日もアイヌ料理を食べるのでした。ただそこの前に言うことはといいますと。
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