ぶそうぐらし!
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第20話「しゅうげき」
前書き
この小説ではランダルコーポレーションがラスボス(の〇ハザなどにおけるアン〇レラ)です。
そうしなければ、大学編辺りで終わらせれないので...。
=遼side=
プールで遊んだ翌日、適当に生徒会室でのんびりしてたら、由紀と美紀、圭達が少し慌てた様子で入ってきた。
「どうした?」
「せ、先輩!また太郎丸が...!」
...どうやら、また太郎丸が首輪を抜けてどこかへ行ってしまったらしい。
「三階や屋上をくまなく探したんですけど、それでも見つからなくて...。」
「だからバリケードの外も探そうと...。」
...なるほど。さすがに危険だから俺や蘭、胡桃に助力を...。
「分かった。二人もそれでいいか?」
「いいよー。」
「なんか、太郎丸が逃げない方法考えた方がいいんじゃないか?」
胡桃の言う事も尤もだな。
...しかし、首輪もダメで扉とかも開けるとなると...どうするんだ?
「つ、疲れたよー....遼君、後は任せたぁ....。」
...ところで、誰か由紀を介抱してやってくれ。
「胡桃は二階を、一階は蘭が探してくれ。俺は地下を探す。」
「分かった。」
「任せて!」
それぞれ探す所を決め、早速探しに行く。
一階は奴らが入ってきている危険があるけど...蘭なら大丈夫だろう。
「(...さて、久しぶりに地下に来た訳だが....。)」
機械室を通り、地下への階段を下る。
何かしら足跡があればよかったんだが、さすがに床に飛び散っている血も乾いているのでそれには期待できなかった。
「太郎丸ー!いるなら返事してくれー!」
地下一階の通路に、俺の声が響き渡る。
耳を澄ませて、なにか物音が聞こえないか確認する。
―――....わん....きゃん...。
「(っ、聞こえた!)」
かろうじて太郎丸の鳴き声が聞こえた。
...いや、太郎丸だけじゃない。
「...太郎丸より高い鳴き声...?」
とにかく、地下二階から聞こえたからそっちへ行こう。
「太郎丸ー...っと、お?」
地下二階に降り、見渡すと、見覚えのある影があった。
「っと、いたいた...そしてなぜかもう一匹いる...と。」
そこには、太郎丸と白っぽい毛並の小さな犬がいた。
「...ま、予想はしてたけどな。」
さっきの鳴き声の時点で大体こうなんじゃないかと予想はしていた。
「わん!わん!」
「きゃんきゃん!」
「...とりあえず、部室に戻るぞ。」
俺が手招きをすると、太郎丸が寄ってきて、それについてくるように子犬もついてくる。
「...人ではないけど、他にも生存してる奴がいてよかったな。」
「わん!」
太郎丸もそこは嬉しかったようだな。
とにかく、俺は二匹を連れて部室へと戻った。
もちろん、途中で蘭と胡桃も回収してな。
「次郎丸はどうかな?」
「それだと安直すぎません?似ている訳でもないですし。」
二匹を連れ帰った後、なぜか子犬(♀)の名前を決める事になった。
「じゃあ...太郎丸二世!」
「勝手に世代交代するな!」
「あうっ!」
由紀の案に胡桃が突っ込む。というか、雌にその名前は...。
「....命でどうだ?」
ふと、思いついた名前を言ってみる。
「どうして命なの?」
「この状況下で生き延びてたからな。見た所野良みたいだし。尊い命って事だ。」
先生が意味を聞いてきたので、俺はそう答えた。
“みこと”は“命”とも“尊”とも書くからな。意味合いとしてもバッチリだ。
「命...いいな、それ。」
「じゃあ、命ちゃんでけってーい!」
そう言って由紀は命を掲げるように持ち上げる。
「きゃん!」
「わっ、っとと..。」
「...俺たちに...というより、太郎丸に懐いてる感じだな。」
地下に二匹でいたって事は、太郎丸からそこに行ったのだろう。
「...ま、これからは二匹を世話しなくちゃな。」
「そうね。」
なんとかなるだろう。今までもそうしてきたし。
そう言う事で、新たに部員(?)が増えた。
「皆!屋上に来て!!」
数日後、命が現れて馴染んできた頃に、悠里が部室に慌てて入ってきた。
「どうしたんだりーさん?」
「ヘリが...ヘリが見えたの!」
「なにっ!?」
悠里の言葉に部屋にいた全員が驚く。
「とにかく、屋上に来て!」
「お、おう!」
悠里を追いかけるように胡桃や美紀たちが屋上へと向かう。
今は由紀や先生たちもいたので、全員で屋上へと向かう事になった。
「......。」
「どうしたの遼?」
「...いや、ちょっと、な。」
嫌な予感がした。だが、とりあえず俺たちは屋上へと向かった。
「ほら、あれよあれ!」
「...確かにヘリだな。どれ...?」
悠里が指差す方向に、ヘリが見える。
よく見ようと俺は双眼鏡を使って見てみる。
「(....ん?下部に....機関銃、だと?)」
「どうしたの?....何か、見えた?」
蘭が気になって俺に聞いてくる。
「(...こっちに気付いている?それに.....っ!?)」
―――チュン!!
「っ....!!」
咄嗟に顔を横に避け、飛んできた銃弾を躱す。
「っ、なんだ!?」
「全員、急いで三階に行け!決して窓付近には近寄るな!!蘭!」
「分かった!気を付けて!」
いきなりの出来事と俺の言葉に困惑する皆。
それを、蘭は押すように三階へ連れて行く。
「(一瞬見えたけど、あいつら、スナイパーライフルで狙ってた!)」
双眼鏡で見えた光景から情報を整理し、まず俺はロッカーに向かっていった。
「(スナイパーの装填速度は速くても....これぐらいだ!)」
辿り着いた所で身を躱し、また飛んできた銃弾が寸前までいた所に当たる。
「そっちが狙撃してくるなら、こっちだって!」
ロッカーの扉を勢いよく開け、その勢いにつられて倒れてくるスナイパーライフルを掴んで、弾を装填する。
「(機関銃もあるから近づかれる前に...撃つ!)」
相手が撃つよりも早く構え、狙いを定める。
直接狙撃手に当てなくてもいい。ヘリにさえ当たれば...!
「っ、命中!」
ここで運が良かったのか、狙撃手のライフルを撃ち落とすのを肉眼で確認する。
...だが、肉眼で確認できる程近づかれてしまった。
「くっ....!」
―――ガガガガガガガガ!!
咄嗟に階段の方に逃げ込み、機関銃の射撃を凌ぐ。
「(旋回するまでタイムラグがある。その間に...!)」
すぐさま外に飛び出し、ヘリを狙う。
「(チッ...!出遅れた!)」
だが、タイミングが遅かったため、また逃げ込む。
「(今度こそ!)」
間髪入れずにもう一度飛び出し、ヘリに向けて撃つ。
「っし...!」
命中はした。しかし、撃墜には足りない。
「(幸い、俺が屋上に陣取っておけば、奴らも迂闊に下には降りないだろう。)」
俺が上にいる事によって、下に行った場合こちらから好き放題狙える。
あっちもそれが分かっているのか、降りはしなかった。
「俺が死ぬのが先か、お前らが落ちるのが先か....根競べと行こうか!!」
飛び出すフェイントを掛け、また引っ込む。
...やばいな。ホバリング状態で狙ってやがる...。
「遼!」
「っ、蘭か!」
飛び出せず、膠着状態になっている時に、蘭が三階から戻ってくる。
「これ!」
「これは....!」
手渡されたのは、手榴弾。...俺の家から見つかったものだ。
「直撃は無理でも、これの爆風で....。」
「...でかした蘭。後は....!」
この膠着状態から攻勢に出るだけ...!
「...一応、私も銃を持ってきたけど...。」
「...出待ち状態だ。簡単には飛びだせない。」
幸い、相手も俺を仕留めるまで下に降りる気はないが...。
「....まだ、実戦には使ってないが...やる、か。」
「なにか策があるの?」
蘭が俺に聞いてくる。
「....“縮地”って奴を、全力で使う。」
中国武術にもある技術で、踏み込みを応用することで途轍もないスピードを出せる。
それを使えば、待ち伏せの攻撃を喰らわずに済むかもしれない。
「...尤も、全力で使って飛び出すから、その後の体勢を考えてないけどな。」
「大丈夫なの?それ。」
「...どの道、このままでは何も変わらないからな。」
さすがにこの武装では俺も死ぬ可能性がある。
ちなみに、親父だったらもう終わらせてるだろう。
「一か八か...だ。」
手榴弾のピンを外す。
確か、10秒で爆発するはずだ。だから....。
「(...5秒からが勝負だ...!)」
1秒、2秒、3秒、4秒...5秒!
「(今っ!!)」
思いっきり足を踏み込み、一気に飛びだす。
その瞬間、向こうも機関銃を撃ちまくるが、一瞬こちらのが早く、躱せた。
「(7...8...9!)喰らえ!!」
そして、振り返り様に思いっきり手榴弾を投げる。
ギリギリ届きはしないが、それでも手榴弾の爆風の範囲まで飛ばせた。
―――ドォオオオオオン!!!
「蘭!!」
「了解!!」
爆風で、ヘリの制御ができなくなる。
その隙を狙って、俺と蘭でプロペラを撃つ。
「...よし、後は堕ちるだけだな。」
「でも、まだ油断はできないよ。」
テイルローターである部位のプロペラを撃ち落とし、ヘリはそのまま堕ちて行く。
そのままヘリは駐車場の方に墜落した。
「急いで確認に行くぞ!」
「うん!皆はどうする?」
「地下に避難するように伝えておいてくれ!」
「りょーかい!」
俺たちは急いで三階に降り、蘭は皆に指示を、俺は校長室と倉庫から武器を持って、急いで校庭に向かう。
二階まで降りたら、窓から飛び出して時間も短縮しておく。
「(まだ生きている可能性がある。...用心しなくてはな...。)」
蘭も後から武器を持ってくるだろうし、俺はゆっくりと墜落したヘリに向かう。
墜落の音におびき寄せられて街のゾンビ達が来ているが、今は気にしない。
「っ....!出てきた...!」
這い出すように人影が動くのを見て、俺は近くの車の影に隠れる。
「......なっ!?あれは....!!」
伺うように様子を見て、そこである事に気付く。
―――ヘリから燃料が漏れていた。
「っ、伏せ....!」
咄嗟に身を低くし、その瞬間にヘリは爆発した。
「っぐぅぅううう.....っ!?」
爆風に煽られ、車も吹き飛んでいく。
車の影に隠れていた俺は、車が押されるのと同時に爆風の影響を受け、吹き飛ばされた。
「っ....く、そ...!」
地面を転がり、止まった所で何とか立ち上がる。
そこで視界に入ったのは、燃え上がるヘリといくつかの車。
「(...蘭が皆に地下に行くように言ったはずだから、煙の被害は受けないはず。むしろ、まだ爆発する危険のあるこの場の方がやばい...か。)」
だが、体が痛む。
これでは思ったように動けない。
「(とにかく、ここから...。)」
―――ダァン!!
「っ....!?」
顔の横を発砲音と共に何かが通り過ぎる。
「まだ...生きてるのか!?」
すぐさま反撃でハンドガンを撃つ。
どこに潜んでいるかはさっき撃たれたので大体は把握している。
「(っ、外した!)」
すぐさま近くにあった倒れている車の影に身を隠す。
ちらっと見えたが、発砲した奴は爆風に吹き飛ばされたのか、ボロボロな状態で倒れていた。
「(そこまでして俺たちを殺したいのか!?)」
ボロボロで、もう助からないと分かっていても俺を殺そうとしている。
一体、どんな目的で...!?
「(っ、蘭...!)」
蘭が追い付いてきたのか、校舎の角から顔が見える。
...俺には気づいているな。
「(...俺が隙を作りだして撃ってもらうか。あいつなら分かるだろう。)」
相手は瀕死だから俺一人でも行けるだろうけど...念には念を入れて、だ。
「っ....!」
俺は爆風によって傷ついた体に鞭を打ち、近くに転がっている車の影に向かって走る。
それを、相手は撃とうと狙ってくるが、瀕死だからか狙いが定まらないらしい。
簡単に避ける事が出来た。
「(蘭....!)」
俺も銃を撃ち、気を引く。
俺がこのまま仕留めてもいいけど、できれば無力化して情報を聞きたいからな。
後は、蘭に任せて...!
「ぐっ...!?」
「遼!」
「ナイスショット!」
蘭が相手の手に命中させ、銃を持てなくさせる。
その瞬間に、俺はそいつに向かって走りだす。
「ぐ、く...!」
「させねぇよ。」
撃たれた手でなお、銃を取ろうとするので、俺はその銃を取り上げる。
「貴様...!」
「...洗いざらい吐いてもらうぜ?なんで襲ってきたのか、諸々な!」
しかし、色々聞き出すためにはこのゾンビ共が群がり、炎が燃え盛って未だに爆発の危険がある中を抜けて、こいつを応急処置しなければならない。
「蘭!奴らの処理を頼む!」
「分かった!任せて!」
奴らは蘭に任せるとして、俺は目の前まで来ている奴らの相手とこの火の海を抜ける事に専念するとしよう。
「(...だけど、結構数が多いな...。)」
おまけに、奴らの体が燃えているせいで近づきたくない。
温度覚をだいぶ失った俺だけど、だからこそ火傷に気づけないかもしれんからな。
「ぐ....死ね...!」
「っ...!」
だが、そこで肩で支えていた奴が腰に差していたナイフを俺を刺そうとしてきた。
咄嗟に俺はその腕を掴んでそのまま地面に転がす。
「(どこまで俺を殺そうとするんだこいつは!?...いや、むしろそこまでして生かしてはおけない程の秘密が、この学校...もしくはこの街にあるのか!?)」
そんな考えに至った俺だが、男につられて寄ってきたゾンビが視界に入り、それどころではないと悟り、戦闘態勢に入った。
「くそ...!おい!死にたくなければ...って、え...?」
目の前に来たゾンビを殴り、蹴り飛ばし、転がした男に言う。
...しかし、その男は既に動かなくなっていた。
「まさか...!...チィッ...!」
とりあえず近くの奴らは粗方始末し、息を確かめる。
...死んでいた。
「蘭!撤退だ!撒いてから俺たちも地下に行くぞ!」
「分かった!」
死んでしまったのなら仕方がない。
とにかく、俺たちも火から避難しようと校舎内へ向かう。
「燃えてくれるのは助かるな。手間が省ける!」
「私達も滅茶苦茶暑いけどね!」
近くの奴は蹴り飛ばしながら、俺と蘭はそう言う。
「....っし、粗方撒いたな。」
「じゃあ、校舎内に入るよ!」
熱気と爆発の塵によって服はボロボロで汚れている。
こりゃ、洗濯が大変だなと思いつつ、俺たちは地下へと向かった。
「...っふぅ...煙がやばい...。」
「火はともかく、煙が凄いね...。」
屋上の方が燃えたからか、地下近くまで煙が充満していた。
「...っと、あったあった。」
「...閉まってるね。」
シャッターまで辿り着いたが、閉まっていた。
...まぁ、避難してるから当然だな。
「って、熱っ!?」
「火事の熱気がここまで来てるからな。俺に任せろ。」
シャッターを開けようとして火傷しかけた蘭に代わり、俺が開ける。
「っ、っと。」
温度覚がほとんどなくなっているが、それでも熱く思えた。
なので、一気に開ける。
「...って、遼たちか...。」
「...胡桃?なにしてんだ?」
開けると、なぜか胡桃と先生が警戒態勢に入っていた。
「いや、シャッターの前で物音がしたからさ。」
「あぁ...。」
相手は銃火器持ち。俺らがやられた可能性もあるから、警戒してたんだな。
「とりあえず、火事以外の危険はなくなったから俺らも避難しにきた。」
「そうなのか。とにかく、入ってくれ。」
俺たちはシャッターの中に入り、シャッターは俺が閉じておく。
「皆は?」
「地下二階にいる。...りーさん、結構ショックを受けてるみたいだ。」
...助けかと思ったら、殺しに来たうえに火事だもんな...。
「分かった。すぐ行こう。」
俺たちは小走りで地下二階へと向かった。
「あ、胡桃ちゃん!...遼君と蘭ちゃんも!」
下に降りると、由紀が出迎えてくれた。
「ぁ...二人共....。」
「...大丈夫か?悠里。」
どう見ても無事じゃない様子で、悠里は美紀と圭に介抱されていた。
「...よかった....無事で...本当、よかった....!」
「...悠里先輩、ずっと遼先輩と蘭先輩の事を心配してたんです。」
突然泣き出した悠里に戸惑う俺らに、美紀が補足してくれる。
「...大丈夫だ。後は、しばらくここにいれば、危険はなくなる。」
「っ...遼、君....!」
悠里は俺を見上げるように見ながら、大きく泣き出してしまった。
...今までずっと溜め込んできた辛さも一緒に吐き出しているのかもな。
「...そういえば、遼君。...あの、ヘリの人達は...?」
「....墜落させた際、一名以外全員死亡しました。」
一瞬、由紀や皆のために少し誤魔化そうとしたが、そうしても何の意味もないので、正直に話す事にした。
...由紀が聞いているけど、いいのか?平然とはしてるけど...。
「っ....!」
「墜落した後、俺たちは様子を見に行きましたが、その残った一名が瀕死の状態で俺を殺そうとして、そのまま力尽きました。....つまり、全滅です。」
今まではゾンビとなって、必死にあれは同じ人間じゃないと思い続けていた皆だが、同じ人間が死んだ事を思い知らされ、つい息を呑んだ。
「目的も不明瞭。なんでここにいるのが分かったかも不明。...ただ、おそらく奴らは俺たちに生きていてほしくない“理由”があり、どうしてでも殺そうとした。...それだけは確かです。」
「.......。」
俺の言葉を聞き終わり、先生は考え込む。
「....ランダル..コーポレーション....。」
「....!それって...!」
先生が呟いた会社名に、蘭が勘付く。
「...ゲームなら、確かに製薬会社は怪しいけど、まさか現実もだなんて...。」
「でも、マニュアルの緊急連絡先では一番上に書かれているの。...少なくとも、無関係ではないはずよ...。」
胡桃の言葉に先生がそう返す。
「...どの道、既にここで生きているっていうのはばれている。...次が来る前にさっさとここから離れるべきだと思う。」
「...私も同意見かな。それほど、時間の猶予はない。」
俺と蘭はここから早めに旅立つ事を勧める。
ヘリに乗っていた奴らが、既に本部辺りに連絡していたかもしれないからな。
「...火事が収まり次第、各自で準備するべきだな。」
「.....こことも、さよなら、ですね...。」
俺の言葉に美紀がそう言う。
「どの道、今回の件で、ヘリの爆発の際に校舎の三階辺りが火事になったから、もうここで生活はできないだろう。」
「そう...ですね...。」
また新たな拠点を探さないといけない。
そう考えて、皆表情が暗くなる。
「―――卒業式だよ!」
「...は?」
しかし、そこで突然由紀が声を上げる。
「この学校にいられなくなる...つまり、卒業式だよ!」
「...こんな時に何言ってるんですか...。」
由紀の能天気な言葉に、美紀は突っ込む。
「学園生活部がなくなるんでしょ?さすがに私にも分かるよー。」
「違うんです!それどころじゃ...。」
目の前の現実を否定し、飽くまで“学園生活部”がなくなるという由紀。
それを美紀が否定しようとして....。
「...分かってるよ...。」
「....っ?」
どこか、いつものお気楽な雰囲気じゃなくなった由紀に、皆が少しばかり驚く。
「....いつも、目を逸らしてた。そんな私を見捨てずに、皆頑張ってくれたんだもん。....いい加減、恩返しもしたいから...。」
「由紀....お前...。」
俯き、いつも被っている猫っぽい雰囲気の帽子を脱ぐ。
そして、俺たちに向かってそう言った由紀の目は、目の前の“真実”を見ていた。
「ありがとう。皆。....私はもう、平気だよ。」
後書き
今回はここまでです。
なぜか、原作のヘリがランダルコーポレーションの手先になってしまいました。(おまけに敵)
由紀のネコ帽子を脱ぐ=猫かぶりをやめる?
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