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英雄伝説~光と闇の軌跡~(FC篇)

作者:sorano
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第70話

無事ドロシーを紅葉亭に送り届けたエステル達は修理を終えたティータと合流し、時間も遅くなったので女将から泊まっていくことを提案されありがたく旅館に泊まることにした。女将に勧められ旅館に泊まることになったエステル達は部屋に荷物を置いた後、旅館名物の温泉に入っていた。



~エルモ村・紅葉亭・夜~



「はぁ~気持ちいい。温泉って初めてだけど予想以上ね。こりゃ、病みつきになっても仕方がないわ~。」

「えへへ……ミント、こんなに広いお風呂初めて!気持ちいいね、ティータちゃん!」

「えへへ、わたしもかなり病みつきなんです。小さな頃から、おじいちゃんに連れてきてもらってましたから。」

エステルの呟きやミントの喜びににティータは頷いた。そこにリフィア達が入って来た。

「わあ………」

「ほう、ウィルが作った温泉と比べれば狭いがこれはこれでいいな!」

「ねぇ、プリネ。なんでタオルを体に巻いてなきゃダメなの?邪魔なんだけど。」

「お姉様、基本的に女性は例え同性と入る時でも体を洗う時以外はあまり肌を晒してはいけないんですよ?……それにここには男女混浴の温泉もありますから……」

「……別にそんなの気にしないんだけど。ウィルと入った時も裸だったし。」

「え……ま、まさか、リフィアお姉様も……?」

ツーヤやリフィアは温泉の風景に目を輝かせ、タオルを邪魔そうにしているエヴリーヌにプリネが説明したが、エヴリーヌの言葉に固まった。

「ん。難しい杖を作ってくれたお礼にエヴリーヌといっしょにウィルの背中を流してあげたよ。なんか、ウィルは遠慮してたけど強引にやったよ?」

「………(お、お姉様達らしいといえばらしいですが……)……とにかく、エステルさんやティータちゃんを見ればわかると思いますが、温泉に入る時は必ず体にタオルを巻くものだと理解していて下さい。」

「ウィルから教えて貰った”かけ湯”みたいな決まり事みたいなものだね。わかった。」

そしてリフィア達は桶を使って湯を身体にかけた後、温泉につかった。

「気持ちいいです……」

「ええ……湯加減もちょうどいいし、本当に気持ちいいわね……」

温泉に入って気持ちよさそうにしているツーヤの呟きに頷くように、プリネも気持ちよさそうな表情で同意した。

「う”……(わかってはいたけど、プリネって腰が細い上、胸が大きいわね……下手したらシェラ姉以上かも……うう、たった2歳年上なだけなのにどうしてこんなに違うのかな?)」

「わあ……プリネさんって、スタイルがいいですね。」

プリネが温泉に入った時、湯につかった為タオルが体に張り付きよく見えるようになったプリネの体つきを見て、エステルは内心羨ましがり、ティータは感嘆の声をあげた。

「あ、あの……できれば、そんなによく見ないで欲しいのですが……」

エステルやティータに見られたプリネは恥ずかしそうな表情で両手で胸を隠した。

「そんな事言ったって、実際プリネって女性として完璧なスタイルだもん。同じ女性として普通、一体何をしたらそうなるか気になるわよ……」

「それは余も思ったな。余と同じ食事をしているのにどうしてそんなに魅力的な体に成長したのだ?」

「リフィアお姉様まで……私は特に何もしておりません。恐らくお母様の遺伝かと思います。それにリフィアお姉様も十分魅力的な体だと思うのですが……」

「そうか?余としてはもう少し背と胸があってほしいのだがな……」

プリネの答えにリフィアはあまり成長しない自分の体を見て、唸った。



「遺伝かあ……じゃああたしは、将来はお母さんみたいなスタイルかな?」

エステルは自分の将来の姿をレナと重ねて思い浮かべた。

「ねえねえ、ママ。」

「ん?どうしたの、ミント。」

「ミントもプリネさんみたいに胸が大きくなれるかな?」

「あはは……それは成長してからのお楽しみね。まあ、食事は好き嫌いなく食べて、規則正しい生活をしていたら大丈夫だと思うわ。」

「えへへ、そっか。ツーヤちゃんも大きくなれるといいね!」

「うん。あたしもご主人様みたいな女性を目指そうと思っているもの。」

「フフ……ありがとう、ツーヤ。」

自分が見本にされた事に照れながらプリネはツーヤにお礼を言った。

「そういえば、エステルさん。わたし、エステルさんに聞きたいことがあるんですけど。」

「聞きたいこと?なになに?何でも聞いていいわよ?」

ティータの疑問にエステルは答える姿勢に入った。

「えと、あの、その……。エステルさんとヨシュアさんって結婚して何年なのかなぁって。」

「…………………………………………」

しかし、ティータの疑問に驚き、笑顔の状態で固まった。

「ドキドキ……」

「ワクワク……」

「ジー………」

エステルが答えるのをティータやミントは目を輝かせて待ち、ツーヤは興味深そうな表情で待っていた。

「えっと、ゴメン。聞き間違っちゃったみたい。あたしとヨシュアが何だって?」

「あう、ですからぁ。結婚して何年になるのかな~って。」

「な、な、な……。なんでそうなるワケ!?」

固まっていたエステルだったが、ティータの疑問は何かの間違いだと思い、を聞き返すために尋ねたが返って来た答えに絶叫した。



「だ、だって名字が同じだし……。兄妹にしては似ていないからてっきりそうなのかな~って……それにミントちゃんがエステルさんの事、”ママ”って言ってますし。」

「に、似てないのは血がつながっていないからっ!みょ、名字が同じなのはヨシュアが父さんの養子だから!それにミントはあたしの養女みたいな感じだから、そう言ってるだけ!」

ヨシュアと結婚していると思った理由にエステルは即座にヨシュアと夫婦でない理由を答えた。

「あ、そーなんですか……。えへへ、ごめんなさい。ちょっと勘違いしちゃいました。」

「と、とんだ勘違いだわ……。そもそも、あたしもヨシュアもまだ16歳なんだから。結婚なんて全然先の話だし、ミントみたいな大きな子供がいる訳ないでしょ?」

ティータの勘違いにエステルは呆れながら答えた。

「そ、そーですよね。いくらお互いが好きでもそんなに早く結婚しませんよね。」

「エステル、ヨシュアとの結婚式を行う際は必ず余達を呼ぶのだぞ?その際は、余が最高の祝いの言葉を贈ろう。」

「ねえ、ママ。ヨシュアさんはいつ、ミントのパパになるの?」

「ガクッ……。だ、だからぁ!あたしとヨシュアは恋人でも何でもないの!ただの家族よ、家族!」

ティータやリフィア、ミントの言葉を聞いたエステルは再び絶叫した。

「そ、そーなんですか!?」

「そーなんですかって……。………………………………。ねえ、3人共。あたしとヨシュアってそーいう雰囲気に見える?」

「そーいう雰囲気って?」

エステルの疑問にティータは首を傾げて尋ねた。

「だ、だから……。こ、恋人同士みたいな雰囲気よ。らぶらぶとかあつあつとかいちゃいちゃとか、そういうの。」

ティータの疑問にエステルは照れながら答えた後、顔を背けた。

「あう……そーいう感じはしませんけど。でもでも、いつも一緒で自然な感じだし、お互いのことを分かり合ってるような感じだし……」

「ティータちゃんのいう通りだよ、ママ。ミント、ママとヨシュアさんはいっしょにいて当然みたいな雰囲気を感じたもの。」

「うむ。ずっと旅をして思っていたが、エステルの伴侶はヨシュアしかいないと余は思っているぞ?」

「いや、それはまあ、少しはそうかもしれないけど……。それって、家族とか親友でもありそうな雰囲気じゃない?だいたい、あたしとヨシュアってそんな雰囲気になったことすら……(な、何思い出してんのよ~!っていうか、あたし今まであんな恥ずかしいことを平気で……)」

3人が言った理由をエステルは誤魔化して否定しようとしたが、旅に出る前にしたロレントの時計台での約束やマノリア村で昼食をとっていた時の出来事等思い出した後、顔を真っ赤にして黙った。

(ご主人様、どうしてエステルさんの顔が急に赤くなったのでしょう?)

(フフ、どうしてでしょうね?(エステルさん、とうとうヨシュアさんの事を意識し始めましたね……))

エステルの様子を不思議に思い、ツーヤはプリネに尋ねたがプリネは顔を真っ赤にして俯いているエステルを微笑ましそうに見ながら誤魔化した。

「???エステルさん?お顔、まっかですけど……」

「あわわ……何でもない、何でもないから!いや~、それにしても温泉ってホントーに効くよね!?血の巡りが良くなりすぎて頭がクラクラするっていうかっ!」

「は、はあ……」

勝手に慌てているエステルの様子にティータは首を傾げながら頷いた。

「そ、そういえば露天風呂があったんだっけ?のぼせてきちゃったし、あたしちょっと行ってくるね!」

「あ、ママ!ミントもいっしょに行く!」

「あ、はい……あ、そーいえば。エステルさん、露天風呂って……。……混浴なんですけど。」

慌てているエステルは温泉から立ち上がり、ティータの言葉を最後まで聞かずに逃げるように露天風呂に行った。そしてミントもエステルを追うように露天風呂に行った。

(どうせエステルの事だからなんか騒ぎを起こしそう……エヴリーヌは知~らない。……気持ちいい……後で露天風呂にも行こう……どんな温泉かな?ウィルが作った温泉みたいなのがいいな……)



(は~、あせった……。心臓がバクバクいってる……。あたし……この前からどうしちゃったんだろ……。今まで、ヨシュアをそういう風に意識したことなんてなかったのに……。………………………………。ええい、悩むのやめっ!あたしのキャラじゃないしっ!)

露天風呂がある場所に出たエステルは先ほどのティータ達との会話を思い出して顔を真っ赤にした後、首を何度も横に振って忘れた後表情を元に戻した。

「うわあ~……すっごく広いね、ママ!」

「そうね。じゃあ、いっしょに浸かろうか。」

「うん!」

露天風呂の大きさに喜んでいるミントにエステルは微笑ましそうな表情で見た後、ミントといっしょに温泉に浸かった。

「は~っ、いい気持ち~!中のお風呂もよかったけど外のはまたカクベツよねぇ。うーん、広くてのびのびできるし……」

「ねえ、ママ!こんなに広いんだから、いっしょに泳ごうよ!」

「そうね……誰もいないみたいだからここは……」

ミントの提案にエステルが頷こうとした時、湯気の向こうから声が聞こえて来た。

「……言っておくけど、泳いだりしたらダメだからね。」

「ギクッ……な、何を言ってるのかしら!?そ、そんなことしないわよ!いい、ミント?いくら広いと言ってもここはお風呂なんだから、そんな事はしたら駄目よ?」

「はーい。」

湯気の向こうから聞こえて来た注意の声にエステルは図星をさされたかのような表情をした後、ミントを諭した。

「あれ、ちょっと待って………今の声って………………………。」

ミントを諭した後、エステルは湯気の向こう方聞こえた声の主を思い出した後、目をこらして湯気の向こうを見た。すると湯気は晴れ、そこにはヨシュアが温泉に浸かっていた。

「……………え。………………………………………………………………………………………」

「あ、ヨシュアさん。」

「やあ、エステル、ミント。お先に入らせてもらってるよ。はは……この格好だとさすがにちょっと照れるね。」

ヨシュアを見て、エステルは口を開けたまま放心した。

「露天風呂って広くてお星様が見えて素敵だね、ヨシュアさん!」

「ハハ、そうだね。」

「………………………………………………」

ミントとヨシュアが和やかに会話をしている中、エステルは放心の状態から戻らなかった。

「ママ?どうしたの??」

「えっと、その……。こういう状況で黙られると落ち着かないんですけど……」

エステルの様子にミントは首を傾げ、ヨシュアはエステルの様子を見て居辛そうに言った。

「え、う、あ……。きゃあああああああああああ!」

ようやく我に返ったエステルは旅館全体に響き渡るほどの声を上げ、旅館の女将から注意をされた…… 
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