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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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外伝~可憐な姉妹の想い~前篇

エリスの救出に成功したリィン達は既に日も暮れていた為、エリスとエリゼを第三学生寮に泊める事にした。そしてリィン達はエリスの為に動いてくれたせめてものお礼代わりに夕食をご馳走するというエリゼの申し出によって、エリス捜索の為に動いてくれたトワ達や成り行きとはいえ、エリス捜索・救助に関わったパトリックと共にエリゼが作った夕食を食べようとしていた。



~第三学生寮・夜~



「うわ~……っ!」

エリオットは目の前に出された夕食の豪華さに驚いて声を上げ

「シャロンさんが作る食事と大差ないのではないか?」

「こ、これを全部エリゼ君が作ったなんて……」

ガイウスは目を丸くし、マキアスは信じられない表情をし

「しょ、正直料理の点で比べれば完全にあたしは負けていますよ……」

「え、えっと……元気を出してね、ツーヤ。私は貴女が作った料理が一番好きよ。」

「フッ、さすがはリフィア殿下に仕えているだけはあるな。」

表情を引き攣らせた後肩を落としたツーヤの様子を見たプリネは苦笑しながら諌め、レーヴェは感心した様子でエリゼを見つめ

「どれもおいしそう。さすが皇族専属のスーパーメイドが作った料理だね。」

フィーは興味ありげな表情で夕食を見つめた。



「シャロンは手伝っていないのよね?」

一方ある事が気になったアリサはシャロンに尋ね

「はい。私が手伝ったのは下ごしらえだけです。味付けや盛り付け等をしたのは全てエリゼ様ですわ。」

シャロンは静かに頷いて答えた。

「エ、エリゼさんって本当に凄いですよね……」

「ああ……あれ程の見事な剣技に加えて、メイドとしての能力もこれ程高いとは……」

エマとラウラは驚きの表情でエリゼを見つめ

「アンタには滅茶苦茶勿体ない妹ねぇ?」

「ハハ……そうですね。」

からかいの表情のサラ教官に見つめられたリィンは苦笑した。



「…………一体いつの間にこれほどの料理を作れるようになったのですか、姉様?」

姉が作った豪華な料理を驚きの表情で見つめていたエリスはエリゼに尋ね

「フフ、侍女見習いとしてミルス城で働いていたから、元々料理自体は作れたんだけど…………リフィア殿下の専属侍女長に任命された時、殿下にお出ししても大丈夫なように、私の上司―――エクリア様やペテレーネ様から色々な料理を教えて頂いたのよ。まあ、まだ修行中の身だけどね。」

「そうか?侍女見習い時代に作ってもらった料理も結構美味しかったぞ?」

「…………そうですか………………」

エリゼの答えを聞いたリィンは首を傾げ、姉に女性として圧倒的に差を付けられた事や姉は兄に手料理を食べさせた事があるという事実に複雑な思いを抱えるエリスはエリゼが作った食事を複雑そうな表情で見つめ

「………………」

その様子に気付いていたエリゼは静かな表情でエリスを見つめていた。



「いや、謙遜する必要は無い。我が家の料理人と比べても遜色ないと思うぞ。」

「あ、ああ……僕の実家の料理人が作ってくれる料理と大して変わらないと思う。実家で食べていた帝国風(インペリアル)ディナーを僕達より年下のエリゼさんが作ったなんて、正直この目で見ても信じられないよ…………」

「フフ、あれ程の美少女が作ってくれた料理を口にできるなんて、嬉しいサプライズだよ。こんな有能で可愛い専属メイドがいるリフィア殿下が羨ましいよ。ああ、叶う事なら私の専属メイドに是非なって欲しいよ……!」

ユーシスの称賛に頷くようにパトリックも戸惑いの表情で答え、アンゼリカは嬉しそうな表情で食事を見つめた後目を輝かせてエリゼを見つめ

「えへへ、こんなご馳走、初めてだよ♪どれから食べようか、迷っちゃうよ。」

「ハハ……僕達は大した事はしていないのに、何だか申し訳ない気分だね。」

「遠慮するなって!エリゼちゃんがご馳走してくれるって言ってんだから遠慮なくご馳走になろうぜ!」

トワは嬉しそうな表情で食事を見つめ、苦笑するジョルジュの言葉にクロウは胸を張って答え

「フフ、クロウさんの仰る通り、遠慮をする必要はございませんので、どうぞお召し上がりください。」

エリゼは微笑みながらリィン達に食事を食べるよう促した。



こうして、リィン達はエリゼが用意した完璧な夕食に舌鼓を打った後……トワ達やパトリックはエリゼにご馳走になった事の礼を告げた後それぞれの寮に戻り……リィン達もそれぞれの自由時間を満喫し始めた。



~リィンの自室~



「兄様、少しよろしいでしょうか?」

リィンが自室で自習をしているとノックの音と共にエリゼの声が聞こえ

「エリゼ?ああ、鍵は開いているからそのまま入って来ていいぞ。」

リィンの返事を聞いたエリゼは扉を開いてエリスと共に部屋に入った。



「エリスもいるのか……ハハ、こうして兄妹3人が揃うのは本当に久しぶりだな……」

「そうですね。……まあ、兄様は訓練兵を務めている時は侍女見習いとして王宮で働いていた姉様と顔を合わせる時間はあっても、勉学の時は私と顔を合わせる時間は無いほど忙しいようでしたが。」

リィンの言葉を聞いたエリスはジト目でリィンを見つめ

「うぐっ。エリゼは仕方ないだろう?同じ城で働いていたんだから。」

エリスの言葉に呻いたリィンは反論したが

「……そうは言いますがメンフィル軍に入隊した兄様は訓練兵用の寮にお住まいで、私は侍女見習い用の寮で住んでいた上、訓練兵は城を守る近衛兵と違って外での演習や城下町の見回りを主としているのですから、条件としてはエリスとさほど変わらないはずですが?」

「うっ。というかそこで何でエリゼがエリスの味方をするんだよ……」

エリゼの説明に再び呻いて疲れた表情でエリゼに尋ねた。



「それは勿論エリスの姉ですから。姉としてエリスの気持ちは痛いほどわかっています。――――本当ならエリスも私達と一緒にミルスに留学したかったのでしょう?」

リィンの指摘に静かな笑みを浮かべて答えたエリゼはエリスを見つめ

「それは………………」

「…………やっぱり、姉様には敵いませんね。お二人がミルスに留学している間、私はどれだけ寂しい思いをしたか…………」

エリゼの言葉を聞いたリィンは複雑そうな表情をし、エリスは疲れた表情で答えた後悲しそうな表情をし

「エリス……寂しい思いをさせて本当に悪かった。これからは寂しい思いをさせないようにできるだけ会いに行くようにするよ。勿論、エリスから会いに来ても歓迎するし。」

「に、兄様…………コホン。ええ、事情があったとはいえ兄様は兄妹の交流を疎かにしていたのですから、当然です。」

リィンに頭を撫でられたエリスは頬を赤らめて嬉しそうな表情をしたがすぐに気を取り直して答えた。



「フフ…………―――さてと。今日兄様に会いに来た”もう一つの本題”に入らせて頂きますね。」

二人の様子を微笑ましそうに見つめていたエリゼは微笑みながらリィンを見つめ

「へ……手紙の件じゃなくて、まだあるのか?」

見つめられたリィンは戸惑いながらエリゼを見つめた。



「ええ。―――エリス。」

「はい、姉様。」

そしてエリゼに視線を向けられたエリスは扉の鍵を閉め

「え”。エ、エリス。い、一体何を……」

エリスの行動を見たリィンは表情を引き攣らせてエリスを見つめたが

「兄様。」

「な、なんだ。」

エリゼに名指しされ、エリスの声の様子から何かに怒っていると判断して反射的に姿勢を正してエリゼを見つめた。



「以前手紙に書いてあった兄様と使い魔契約をしてくださったベルフェゴール様にご挨拶をさせて頂こうと思いまして。ベルフェゴール様を呼んで頂けませんか?」

「う”っ。わ、わかった。――――ベルフェゴール。」

威圧を纏ったエリゼに微笑まれ、逆らえないと判断したリィンはベルフェゴールを召喚した。

「うふふ、こうして会うのは初めてかしらね♪私はベルフェゴール。ご主人様を守っている使い魔の一人よ。よろしくね♪」

「……………………兄様?これは一体どういう事ですか?ベルフェゴール様が女性だとは手紙には一言も書いてありませんでしたよね??」

「そうですね。私はベルフェゴール様が女性である事はプリネ姫達のリウイ陛下への報告からリフィア殿下の経由で知りましたけど、兄様はベルフェゴール様が女性である事は今までの手紙に書いていなかったですよね?」

ベルフェゴールに微笑まれたエリスはベルフェゴールのまさに”絶世の美女”と言ってもおかしくない整った容姿や肌や豊満な胸を存分に見せつけている服装を見て固まった後エリゼと共に膨大な威圧を纏ってリィンに微笑み

「す、すまん。書き忘れていたんだ。」

二人に微笑まれたリィンは冷や汗をかきながら答えた。



「うふふ、エリゼ達の様子からするとご主人様はエリゼ達にリザイラの事は教えていないのかしら?」

一方3人の様子を面白そうに見ていたベルフェゴールはリィンに尋ね

「ベ、ベルフェゴール!」

尋ねられたリィンは表情を青褪めさせた状態で慌てた様子でベルフェゴールを見たが

「……兄様?」

「まさかとは思いますが……他にも契約している方がいらっしゃるのですか?」

「うっ…………」

エリスとエリゼに微笑まれ、表情を引き攣らせた。



「ふふふ、家族に私の存在を黙っているとはご主人様も人が悪いですね。」

するとリザイラが静かな笑みを浮かべてリィンの傍に現れ

「リ、リザイラ…………」

現れたリザイラを見たリィンは大量の冷や汗をかいて表情を引き攣らせて恐る恐る妹達を見た。

「我が名はリザイラ。”精霊王女”です。ご主人様の事が気になり、共に連れていって欲しいと申し出た所、快く受けて下さり、こうして共にしています。」

「伝承で出てくる精霊の王族―――リザイラ様、ですか。」

「に・い・さ・ま~?これは一体どういう事ですか?リザイラ様の事を今まで黙っていた件も含めて、全て説明してもらいますからね??」

その後リィンは二人にベルフェゴールとリザイラの事を説明した。



「…………なるほど。お二人のような伝承の存在と言ってもおかしくない方達がいつも兄様を守って下さっている事に関しては妹として心から感謝いたします。」

ベルフェゴール達の事情を聞き終えたエリスは頷いた後膨大な威圧を纏ってベルフェゴールとリザイラに微笑み

「うふふ、どういたしまして♪」

「ふふふ、”ご主人様を守っている事に関しては”という言葉が少々気になりますね。」

(た、頼むからこれ以上余計な事を言うのは止めろよ……!)

微笑まれたベルフェゴールはからかいの表情になり、リザイラは静かな笑みを浮かべ、その様子を見ていたリィンは大量の冷や汗をかいて二人に念話を送った。



「それでまだ聞きたい事はあるかしら♪」

「ええ。まだ肝心な事は聞いておりませんよ。」

ベルフェゴールに尋ねられたエリゼは膨大な威圧を纏って微笑みを浮かべて答え

「い、一体何だ?」

リィンは恐る恐る尋ねた。



「―――兄様がお二人と契約した際の”方法”に関してはまだ聞いておりませんよ?」

「う”っ。」

エリゼの質問を聞いて表情を引き攣らせて冷や汗を滝のように流し始め

「契約した際の”方法”?姉様、それは一体どういう事ですか?」

ある事が気になったエリスはエリゼに尋ねた。

「―――異種族の方達と”契約”する方法は色々あるのだけれど……異性同士が”契約”する際の方法――――”性魔術”で兄様がベルフェゴール様達と契約している可能性が非常に高いのよ。」

「”性魔術”?名前からして魔術のようですが……一体何なのでしょうか?」

そしてエリゼはエリスに”性魔術”に説明をし始めた……………… 
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