英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第51話
その後ギルドに戻ったルーク達はルグランに報告していると、ラヴェンヌ村の村長から竜が村を襲った後飛び去り、更にアガットが消火活動を行った後竜を追って行ったという話を聞いた。
アガットの行方を追うと共にラヴェンヌ村の様子を確かめる事を決めたエステルとルークは話を聞いていても立ってもいられないティータと、ティータの様子を心配して申し出たレン同行者に加えた後ラヴェンヌ村に急行した。
ラヴェンヌ村に到着したルーク達は果樹園が丸ごと焼き尽くされている村の凄惨たる光景を目の当たりにして、言葉を失ったが気を取り直して、村長に状況を聞き、アガットは竜を追って北――廃鉱に行った可能性があったので、急いで廃鉱に向かった。
~廃鉱~
「あ……!」
仲間達と共に廃鉱に到着したエステルは入口が開いている廃鉱を見て声を上げた。
「ここって……廃坑の入口だったよね。扉が開いているってことはひょっとして……」
エステルは廃鉱が開いている事に驚いたその時、ティータが傍に落ちている鎖を見つけて調べ、レンは足跡を調べていた。
「お、お姉ちゃん!この落ちてる鎖……ついさっき外されたみたい!」
「足跡もごく最近……いや、数時間前についたレベルね。」
「や、やっぱり……!」
「という事はアガットが中に入って行ったのか……急いで追いかけるぞ!」
ティータとレンの報告を聞いたエステルは血相を変え、ルークは真剣な表情で廃坑を見つめた後号令をかけ
「オッケー!」
「はいっ!」
「ええ!
ルークの号令に頷いたエステル達はアガットを探して廃鉱に入り
「…………………」
エステル達を追うように膨大な殺気を纏っているジューダスも気配を消して廃坑の中へと入って行った。
~廃坑・露天掘り場所~
ルーク達が廃鉱に入ったその頃、古代竜が何かに抗うかのように暴れていて、レーヴェは冷静に見ていた。
「………………………………」
レーヴェが”ゴスペル”を取り出して、”ゴスペル”を起動すると暴れていた竜は静まった。
「よし……それでいい。ふむ、データを取るにはまだしばらくの時が必要か。まったく、面倒な仕事を押しつけてくれるものだな。」
目を細めて竜を見つめてレーヴェが呟いたその時
「……何が面倒だと……?」
「お前は……」
アガットがレーヴェに近づいて来た。
「その金色の剣……やっぱりあの時の赤い隊長か。ずいぶん久しぶりじゃねぇか。」
「ランクC”重剣”、アガット・クロスナー。いや、クーデター事件の後、Bに昇格したそうだな。」
「ヘッ……さすがは元・情報部だ。あの時はネズミみたいにコソコソしてやったが……。今回はまた、ずいぶんと派手にやらかしたもんだぜ。」
レーヴェの言葉を聞いたアガットは鼻を鳴らした後、武器を構えた!
「……今度ばかりは逮捕だの悠長な事を言うつもりはねえ。その澄ましたツラごと八つ裂きにしてやるよ……」
「威勢のいいことだ。だが、あの程度の被害、派手というほどではあるまい?10年前……お前が見た光景に較べればな。」
「!!」
レーヴェの言葉を聞いたアガットは顔色を変えた。
「この国の遊撃士の経歴は一通り調べさせてもらった。フフ、やはりお前はどこか俺と似ているようだ。」
「………………………………。クク……似てるだと?何も知らねえ野郎が適当な事を抜かすなあああッ!」
レーヴェの話を聞き、何かを思い出したアガットはレーヴェに強襲し、アガットの強襲攻撃にレーヴェは軽やかに回避した。
「……腕の差が歴然なのは前の手合わせで分かっている筈だ。加えて竜の脅威もあるだろう。なのに何故、あえて1人で挑む?」
アガットの攻撃の回避や反撃をしたレーヴェはつばぜり合いの状態でアガットに尋ねた。
「勝算なんざ知ったことか……。てめえは気に食わねぇ……ただ、それだけなんだよッ!」
「やれやれ……その程度か。これでは竜を使うまでもない。」
アガットの言葉を聞いたレーヴェは呆れた表情で言った。
「なに………!?………うおっ!?」
レーヴェの言葉にアガットが驚いたその時、レーヴェは一瞬で3回斬り込み、アガットを吹っ飛ばした!
「似たところもあるが……俺とお前は決定的に違っている。それは剣を振るう理由だ。」
「な、なんだと……?」
レーヴェの言葉に驚いたアガットは立ち上がり、武器を構えなおしてレーヴェを見つめた。
「俺が剣を振るうのは人を捨て修羅となるがため……。しかしお前は、己の空虚を充たすがために振るっている。」
「………………………………」
「重き鉄塊を振るうことで哀しき空虚を激情で充たす……。怒りで心を震わす間は哀しさから逃れられるからだ。だが、それは欺瞞に過ぎない。」
「…………やめろ………………」
レーヴェの言葉を聞き、何かを耐えるような表情でアガットは呟き
「そして、欺瞞を持つ者が前に進むことはありえない。”理”に至ることはおろか”修羅”に堕ちることもない。今のままでは……お前はどこまでも半端なだけだ。」
「黙りやがれえええッ!!!」
そして続けて言ったレーヴェの言葉を聞いたアガットは大声で叫んだ!
~廃鉱内~
「ア、アガットさんの声!?」
「この響き方だと露天掘りの場所みたいね。急ぐわよ!」
アガットの叫びを聞いたエステル達は急いで向かった!
~廃坑・露天掘り場所~
「ッらああああああッ!」
攻撃は決してレーヴェに命中せず、全て回避された。
「ク、クソが……」
「無様だな……。せめてもの情けだ。そろそろ終わらせてやる。はあああああああッ……」
そしてレーヴェは剣を構え、力を込めた!
「クッ…………」
その様子を見たアガットは一歩退き、武器を構え直そうとしたが
「―――せいッ!」
それよりも速く、レーヴェが一気に間合いを詰めてアガットに斬り込んだ。
「……かはッ………」
レーヴェの攻撃をまともに受けたアガットが地面に崩れ落ちると共に重剣は真っ二つに折れた!
「………………………………」
崩れ落ちたアガットを一瞥したレーヴェは竜を見つめ
「さてと……そろそろ時間のようだな。今のうちに『ゴスペル』の制御式を調整しておくか……」
「……ま、待ちやがれ……」
レーヴェが何かをしようとしたその時、アガットは傍に落ちていた武器を拾って、武器をレーヴェに向け立ち上がった!
「ま……まだだ……。まだ終わっちゃいねえぞ……」
「この期に及んでまだ戦おうとするとは。いいだろう。至らぬ身のまま果てるがいい。」
レーヴェがアガットに止めを刺そうとしたその時!
「だめーー!!」
なんと導力砲を持ったティータがアガットを守るかのように、アガットの前を立ちはだかった!
「チビスケ…………なんで……こんな所にいやがるッ……」
「えとえと………アガットさんが心配で、それでお姉ちゃんと…………」
アガットの疑問にティータが答えたその時
「「「ティータ!!」」」
ルーク達がかけつけてアガット達に近づこうとしたが
「……留めろ。」
レーヴェがゴスペルを出して呟くと、鎮まっていた竜がエステル達に向かって炎のブレスを吐いた!
「くっ……!」
「ヤベッ!?」
「厄介ね……!」
竜が吐いた炎のブレスによってエステル達は近づけず、レーヴェと竜を睨み
「……………」
ルーク達の背後から現れたジューダスは素早い動きで竜の視界から離れるように廻りこみ、気配を殺してレーヴェに近づき始めた。
「………………………………」
「あ、あう………こ、来ないでくださいっ!」
自分達に歩み寄って来るレーヴェに恐怖を感じながらもティータは武器を構えて導力砲をレーヴェに向け
「ば、馬鹿野郎……。そんな物が通用するかっ!いいから……とっとと逃げろ……!」
ティータの様子を見たアガットはティータに警告した。
「ラッセル博士の孫娘、ティータ・ラッセルか……。天才少女と聞いていたがいささか無鉄砲が過ぎるな。女子供を手にかけるのは趣味ではないが―――必要とあらば斬る。大人しくそこをどくがいい。」
「き、貴様ああっ!」
レーヴェが剣の切っ先をティータに向けたその時アガットは怒りの表情で声を上げ
「ど、どきませんっ!」
ティータは決意の表情でレーヴェを睨んで叫んだ!
「わたし……アガットさんに助けてもらってばかりだから……。こういう時くらいしかお返しすることができないから……。ううん……違う……。ぶっきらぼうで……フキゲンな顔ばかりして……いっつもわたしのことチビスケって子ども扱いするけど……。本当はとっても優しくて……いつも見守っていてくれて……。大好きで……大切な人だからっ!」
どこか優しげな様子を見せて語ったティータは導力砲を地面に置きそして――
「だからわたし……ゼッタイにどきませんっ!!」
両手を広げてアガットを庇い、叫んだ!
「……あ…………」
「フッ、健気なことだ。その半端者に、そこまで慕う価値があるとも思えないが……」
ティータの言葉にアガットは呆け、レーヴェが感心したその時!
「幻影刃!」
「!!」
ジューダスがレーヴェの背後から強襲し、強襲に気付いたレーヴェは側面に跳躍して回避した!
「あっ!あの黒髪の人はさっきの!」
「確かもう一人の異世界の人―――ジューダスって人よね?うふふ、よく見たらヨシュア………いえ、ヨシュア以上のカッコイイ容姿ね。」
「へっ!?あ、あいつが!?」
ジューダスの登場にエステルは声を上げ、レンが呟いた言葉を聞いたルークは驚いてジューダスを見つめ
「……………何者だ?」
レーヴェは目を細めて予想外の乱入者を睨んでいた。
「フン、今からこの僕の手によって冥府に向かう愚か者にわざわざ僕の名前を教える必要がどこにある?」
「ほう……”剣帝”であるこの俺に一人で挑むか………フッ、アガット・クロスナーよりは楽しませてもらえそうだな?」
ジューダスにシャルティエの切っ先を向けられたレーヴェはジューダスから感じる強さを悟ると不敵な笑みを浮かべて剣を構え
「―――貴様はこの僕の怒りに触れた。この世で最も大切な者を傷つけられた僕の怒り、思い知るがいい!―――シャル、僕の大切な者を傷つけた愚か者に手加減する必要はない!最初から全力で行くぞっ!!」
(はい、坊ちゃん!!)
そしてジューダスはレーヴェとの戦闘を開始した!
今ここに!愛する女性の存在によって己の運命を”修羅”へと変えた剣士達の戦いが始まった!
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