英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)
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第56話
~石切り場・最奥~
「リィン!一体はボク達に任せて!」
「わかった!ベルフェゴール、リザイラ!そっちも一体を任せていいか!?」
一体の魔獣とフィニリィやアムドシアスと共に向かい合ったペルルの申し出に頷いたリィンはベルフェゴールとリザイラに視線を向け
「ええ、任せて♪」
「精霊を語りし愚か者は我が手で滅してあげます……!」
リィンの指示に二人は頷いた後一体の魔獣に向かい、リィン達は残りの一体に向かった。
「―――――」
ペルル達と対峙した魔獣はペルル達を拘束する為に糸を吐いたが
「おっと!」
「遅すぎますわ!」
ペルルとフィニリィは上空へと退避し
「無駄だ!」
アムドシアスは片手で結界を展開して糸を防御した。
「行っくよ~!それっ!!」
上空へと退避したペルルはクラフト―――ごろごろで突撃し、回転するペルルの身体は魔獣の巨体にまともにぶつかった!
「!?――――!」
ペルルの攻撃を受けて驚いた魔獣はペルルを食べようと鋭い牙で噛みついてきたが
「遅い遅い!そんな攻撃の遅さではボクは食べられないよ!」
ペルルは素早く上空へと退避し
「――――――」
魔獣は再び口から糸をペルルに向けて放ったが、ペルルは縦横無尽に飛行しながら糸の攻撃を回避していた。
「我が美しき弓技、受けるがよい!」
そこにアムドシアスがクラフト―――三連射撃で魔獣の巨体に次々と矢を命中させ
「喰らいなさいっ!電磁連槍撃!!」
フィニリィは魔獣の懐に飛び込んで雷撃を宿らせた槍で攻撃した。
「――――!」
懐に来たフィニリィを見た魔獣はフィニリィを食べる好機と見てフィニリィに噛みついたが噛みついたはずのフィニリィはまるで霧のように消え
「うふふ、魔物如きに私の幻影術は見破れませんわ。それっ!!」
「――――――!?」
魔術による幻影で魔獣を惑わしていた本物のフィニリィが魔獣の背後で槍を豪快に薙ぎ払って背中を切りつけた!
「すごいの、行くよ~!ハァァァァァァ…………!」
ペルルは翼に膨大な闘気を溜め込み
「すごい――――ねこパ~ンチ!!」
一気に魔獣に詰め寄って膨大な闘気をこめた丸めた翼を叩きつけた!
「――――――!!??」
強烈な一撃を受けた魔獣はまるでトラックに轢かれたかのように巨体を何度もバウンドして壁に叩きつけられた。
「我が美しき魔力によって滅されるがよい!タキオンの爆発!!」
「――――!!!??」
そこに魔術の詠唱を終わらせたアムドシアスが発動した魔術によって全身から魔力による爆発が起こって魔獣をボロボロにし
「魔物の分際で精霊を語った罪、精霊女王たるこの私が裁いてあげますわ!アウエラの裁き!!」
両手に電撃が迸る程の魔力を球体にして凝縮させたフィニリィが魔力の球体を魔獣に向けて放った!
「―――――――――!!!!???」
フィニリィの魔術――――アウエラの裁きを受けた魔獣は塵も残さず消滅し、魔獣がいた場所はクレーターになっていた!
「――――――」
ベルフェゴールとリザイラと対峙した魔獣は跳躍して二人にのしかかろうとしたが
「無駄よ!」
「ふふふ、無駄なあがきです。」
二人はそれぞれ左右に散開して回避し
「貫いてあげるわ!レイ=ルーン!!」
「邪を貫け!レイ=ルーン!!」
「―――――!!??」
それぞれ左右から極太の凝縮した魔力レーザーを魔獣に放って大ダメージを与えた。
「―――――」
一方二人の攻撃から立ち直った魔獣はベルフェゴールを拘束して食べる為に糸を吐いたが
「だから、そんな事しても無駄よ♪」
ベルフェゴールは縦横無尽に飛び廻って糸を回避し、魔獣は躍起になって飛び廻るベルフェゴールに向かって糸を吐き続けていた。
「大地の精霊達よ!精霊を語る愚か者に裁きを!豪破岩槍撃!!」
「――――――!!??」
そこに魔術の詠唱を終えたリザイラの魔術によって地面から突如次々と現れた岩の槍に全身を貫かれ、全身から血を流した!
「――――――――!!」
形勢不利と判断した魔獣は咆哮して配下の蜘蛛魔獣を呼び寄せたが
「うふふ、せっかく現れた所悪いけど、塵になっちゃいなさい!――――メルカーナの轟炎!!」
「火の精霊達よ、我が呼びかけに答えよ!その力、解放せよ!灼熱と、業火の意思よ!焼き尽くせ!―――フランブレイブ!!」
ベルフェゴールとリザイラの強力な火炎魔術によって呼び寄せられた配下の魔獣達は一瞬で塵も残さず焼き尽くされた!
「うふふ、そろそろ終わらせてあげるわ♪」
そしてベルフェゴールは幻影魔術によって自分の分け身を一体作って分け身と共に魔獣を挟み込み
「さあ、耐えられるのなら耐えてみなさい♪」
「―――――――!!!??」
分け身と共に蹴りや拳での攻撃等、四肢を存分に使った集中攻撃を次々と叩き込み
「それっ!!」
集中攻撃を叩き込んだ後分け身と共にアッパーを命中させて魔獣を天井近くまで打ち上げ
「奥義―――ダークネスイリュージョン!!」
「――――――!!??」
分け身と共に打ち上げられた魔獣の上空に移動して強烈な拳の一撃を叩きつけ、魔獣を地面に叩きつけた!
「………………!」
全身ボロボロで瀕死の状態の魔獣はよろよろと立ち上がろうとしたが
「精霊達の裁きを受けなさい!―――火の精霊よ、焼き尽くせ!」
「――――!!??」
全身に膨大な魔力を溜め込んだリザイラの魔術によって足元から発生した業火をその身に受けて怯み
「切り裂け、風の精霊達よ!」
更に続けて放たれたカマイタチをその身に受けて全身をズタズタにされ
「貫け、地の精霊達よ!」
そして地面から突如現れた岩の槍に次々と貫かれ
「吹き上げなさい、水の精霊達よ!」
更に地面から水柱が発生して魔獣を空へと打ち上げ
「―――これが精霊達の裁きです!スプリームエレメンツ!!」
「――――――――!!!??」
最後にリザイラが自分の目の前に展開した地・水・風・火の4属性の魔法陣から放たれた極太の4属性の魔力が凝縮された魔力レーザーをその身に受け、塵も残さず消滅した!
「敵ユニットの傾向を確認……―――掴めました!幻属性が弱点です!アークス、駆動……!」
リィン達と共に魔獣と対峙したエマはクラフト―――ディフェクターで魔獣の弱点をリィン達に教えた後弱点属性のアーツを放つ為にオーブメントを駆動させた。
「四の型・改―――紅蓮切り!!」
「竜巻よ、薙ぎ払えっ!!」
「受けるがいい!――――パワーピアス!!」
リィン、ガイウス、ユーシスは魔獣に接近して次々とクラフトを叩き込んだが
「―――――!!」
「くっ!?」
「グッ!?」
「チッ!?」
魔獣は巨体を突進させたり、数本ある足を器用に使って攻撃してリィン達に傷を負わせ
「――――――!!」
天井近くへと跳躍してリィン達にのしかかってきたが、リィン達は間一髪それぞれ散開して回避し
「ガーちゃん、行っけ―――!」
「――――」
「!?」
地面に着地した瞬間を狙ったミリアムの指示によってアガートラムがクラフト―――バスターアームを魔獣の巨体に叩きつけて怯ませた!
「みんな、今助けるね!風よ、みんなに力を!―――癒しの風!!」
ミルモは魔術でリィン達の傷を回復し
「行くわよ……!ファイアッ!!」
アリサはクラフト―――フランベルジュを魔獣の顔の部分に命中させた。すると紅蓮の矢が命中した魔獣の顔は燃え上がり始め、魔獣はその場で暴れて顔についた火を消そうとしていた。
「そこですっ!シルバーソーン!!」
「――――――!!??」
苦しんでいる魔獣に追撃するかのようにエマが放ったアーツによって銀の楔が魔獣を囲んだ後幻属性のエネルギーを楔から放って魔獣にダメージを与えた。
「――――――!!」
遠距離攻撃のアリサ達が厄介と判断した魔獣は糸を吐いてアリサ達を拘束しようとしたが
「ガーちゃん、バリア!!」
「―――――」
ミリアムの指示によってアガートラムがアリサ達の前でクラフト―――アルティウムバリアを展開して糸を防ぎ
「―――――!」
「二の型―――疾風!!」
「セイッ、ハアッ!」
「フン、雑魚は引っ込んでいろ!」
「私達の邪魔をしないで!落雷!!」
魔獣が咆哮によって呼び寄せた配下の魔獣達はリィン、ガイウス、ユーシス、ミルモが次々と攻撃して滅した。
「行きます!踊れ、炎よ!―――アステルフレア!!」
そしてエマはクラフト―――アステルフレアを魔獣に命中させ、魔獣は炎に包まれ
「これで止めよ!これが私の切り札よ!オーバルエネルギー充填……!ジャッジメント―――アローッ!!」
アリサが導力弓から放った炎の矢のエネルギー、そして最後に導力弓が展開した魔法陣から放たれた極太の炎のレーザーが魔獣に命中して大爆発を起こした!
「ガーちゃん、行くよ――――ッ!!」
「――――――」
そして止めを刺す為にミリアムがアガートラムを自分の身の丈程あるハンマーへと変化してハンマーとなったアガートラムを両手で持って、魔獣に向かって行って跳躍し
「どぉぉぉりゃあああああっ!ギガント――――ブレイ――――クッ!!」
ハンマーと化したアガートラムを炎に包まれ、全身酷い火傷を負っている魔獣に叩きつけた!
「――――――――!!??」
すると魔獣を中心とした広範囲に地面から凄まじい衝撃波が発生し、魔獣は全身を砕かれて消滅し、セピスを落とした!
「ぐっ、何とか終わったか……」
「ふー、さすがにちょっと手古摺っちゃったかな。」
「だが……これで終わりだろう。」
「ええ……あの眼鏡の男には逃げられちゃったけど……」
「はあはあ……あの状況では仕方ないですよ……」
魔獣の撃破を確認したリィン達はそれぞれ安堵の表情で武器を収め、リィンは猟兵崩れに近づいた。
「さてと……大人しく投降してもらえるか?」
「……ぐうっ…………」
「わ、わかった……身の安全の保証を要求する……」
自分達に勝ち目がない事を悟った猟兵崩れ達は抵抗する事を諦め
「フン、図々しいな。」
猟兵崩れの一人が呟いた命乞いにユーシスは呆れた。
「だが、何とか戦を回避するきっかけとなってくれれば……」
「とにかくARCUSでお祖父様に連絡するわ!そちらを経由してゼンダー門に繋げてもらう!」
「ええ、実行犯を捕まえたことを中将にお知らせしないと……!」
(……んー、間に合うかな?)
リィン達がそれぞれ猟兵崩れの拘束やゼンダー門への連絡を慌てた様子で行っている所を横目で見つめていたミリアムは考え込んでいた。
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