世界をめぐる、銀白の翼
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
龍騎 ~記憶のない戦いの記録~
オレが世界に降り立ってから、すでに二日が経過していた。
最主要人物の名は城戸真司
その名を調べてわかったが、どうやらOREジャーナルという出版社に勤めるジャーナリストのようだ。
更にわかったことは、かつてミラーワールドといる鏡の中の世界で13人もの仮面ライダーが最後まで勝ち抜けば願いが叶うと、己の願いをかけてバトルロワイヤルを繰り広げていたのだ。
そして、彼は仮面ライダー龍騎として戦った。
しかしそれを本人に尋ねたら
「かめんらいだー?ミラーワールド?なんですかそれ?あ、うちに投稿する方ですか!」
という反応だった。
彼が生きているならば、彼が優勝者じゃないのか。
なぜ忘れているのか。
疑問もあるということで、今こうして彼を尾行しているのだ。
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追っているうちに、彼は目的地に着いたらしい。
喫茶店に入ったようである。
喫茶店の名は花鶏。ちなみに「あとり」と読む。
小さいが、雰囲気のいい店だ。
そこで城戸さんはコーヒーを頼むが、紅茶しかないと言われ、紅茶を頼む。
紅茶は苦手だが、なにも頼まないのは不信に思われるのでオレも一応頼んだ。
うーむ・・・苦手なオレでも飲める。
なぜだ。腕がいいのか?
城戸さんが紅茶を飲み終わり、喫茶店を出る。
オレも勘定を済ませ、店を出ようとする。
が、入れ代わりで入って来た男に肩を捕まれ、留められてしまった。
「おい貴様。何故城戸をつける」
「・・・・ほぉ」
どうやらこの男、オレが城戸さんをつけていたのに気付いていたらしい。
その男に引きずられるように連れ出され、場所を公園に移して話を続ける。
「で、なんでオレがあの人をつけてると?」
「一昨日と昨日、城戸を花鶏で見た時に、お前塀の外から中を窺ってただろ」
どうやらこの男、秋山蓮は花鶏に住み込みで、と言うより、居候しているついでに店を手伝っているらしい。
ああ、そりゃ気づかれるな。
「あー、じゃあ城戸真司さんの知り合い?」
「ああ。ま、あっちは知らないが・・・」
「ん?・・・まあいいや。なあ、仮面ライダー、もしくはミラーワールドという単語を知っている、かぁ!?」
軽く質問する蒔風だが、その語尾が不意につり上がった。
仕方ないだろう。
その質問にたいして、蓮がいきなり蒔風につかみ掛かってきたのだから。
「お前、どこでその言葉を知った」
「放して放して!!!・・・・・って、知っているんですね?そのことを。では、城戸真司が仮面ライダー龍騎であることは?」
「なに・・・・」
カチャと、蒔風の言葉に警戒心を強め、蓮が手の平に収まるくらいの黒い名刺入れのような物を取り出して構える。
「ん?ああ、それがライダーデッキか。あんたもライダー・・・・ふむ、ナイトか・・」
「貴様・・・どこでそれを知った!!!何者だ!!」
「説明します。しますから落ち着いてください」
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五分後
蒔風が説明を終えると、蓮が口を開く。
「信じられないな」
「だろうねぇ。でも城戸真司が狙われているのは絶対」
「知るか。今はそれどころではない」
「閉じられたミラーワールドが開きかけてきているとか?」
「なぜ・・・・貴様が元凶か!」
「だから言ったっしょ!「奴」がやってるんでしょうってさ!!」
「そんな奴が・・・本当に?」
「信じられなくてもいい。ただ、知っていてくれ。あと、なぜ城戸真司の記憶がないのか教えてくれるとありがたいです」
「・・・・・・・」
蓮が訝しげな表情をしながらも説明した。
13人のライダーバトル
多くの人間がその戦いで命を落とした。
ある者は愛するものを救うため。
ある者は邪魔者を消し、利益を得るため。
ある者は戦いを楽しむため。
ある者は自らの命を救うため。
ある者は戦いをやめさせるため。
ある者はゲーム感覚で。
ある者は英雄になるため。
ある者は復讐のため。
ある者は楽な生活のため。
ある者は満たされるため。
ある者は妹を救う男の指示で。
ある者は自らを確かな存在にするため。
ある者は人を守り、戦いを止めるため。
熾烈な戦い、苛酷な潰し合い。
様々な想いと力が入り乱れ、秋山蓮・仮面ライダーナイトはライダーバトルに勝利した。
そして願った
「ライダーバトルがなかったことに」
・・・と
どうやら蓮の願いは昏睡状態の恋人を復活させることだったらしいが、その原因がライダーデッキなどを作り出した科学者の実験だったそうだ。
故に、彼らはすべてを忘れて蘇った。
いまは共に戦ったもの、潰しあった者のことを忘れ、生活している。
蓮だけは勝利者だったので、記憶もライダーデッキも持っている、というわけだ。
「そうか・・・・ん?」
「・・・・!」
蒔風と蓮が何かに気付いた。
甲高い音が頭に響き、なんらかの脅威が迫っていることを知らせる。
「この音は・・・・」
「ミラーワールドのモンスターが近くにいる証拠だ。しかし・・・ああ、ライダーデッキを触ったからか」
ライダーでない者も、ライダーデッキに触れることで、ミラーワールドのことを知覚できるようになる。
偶然にも触れた蒔風も、その音を耳にしていた。
「らしいな。ってか、じゃあモンスターが!」
蓮が厳しい表情で頷く。
「方向は・・・こっちか!」
その方向は・・・・
「城戸が向かった方向だ・・・・(バッ)」
蓮と蒔風が走り出した
その気配の先に、戦いがあると知って。
to be continued
後書き
・仮面ライダー龍騎《作品名》
13人の仮面ライダーがバトルロワイヤルをし、生き残った者の願いをかなえる、というストーリー。
戦いの末に生まれる、一つの命に値するエネルギーを利用して願いをかなえるらしい。
主人公・城戸真司は偶然にも手にした龍騎のライダーデッキを切っ掛けに、戦いに巻き込まれていく。
そして、その戦いを止めるために奔走するのだった。
・仮面ライダー《単語》
この世界の仮面ライダーを開発したのは、神崎士郎という男。
ミラーモンスターの存在を知った彼は、その力を契約という形で借りて戦うすべを作り出したのだ。
それが、この世界のライダーである。
・ライダーデッキ
仮面ライダーになるための変身アイテムであり、契約の証。
仮面ライダーである物はこれを所有している。
本来は無地だが、モンスターと契約することでそれに見合った力を得、モンスターの紋章が刻まれる。
これをバックルに嵌め込むことで彼等は変身する。
ちなみに、戦闘で敗れなくともデッキを破壊されると敗北となる。
というのも、契約モンスターとの契約がそれによって破棄され、ライダーである人間はその餌食になってしまうからだ。
・ライダーバトル
13人の仮面ライダーによるバトルロワイヤル。
なかには城戸たちの前に姿を現さなかった者もいるので、どこかでやられてしまったのだろう。
この戦いの果てに生まれる命同様のエネルギーを求め、神崎士郎が始めた戦い。
その目的は、いずれ死んでしまう運命にある妹・神崎由依を救うためにそのエネルギーが必要なため。
最終的に勝ったのはナイト。
その願いによってこの世界ではなかったことにされており、それを記憶しているのは優勝者である彼のみとなっている。
・今回の世界
最終回において、生き残ったのは仮面ライダーナイト・秋山蓮。
彼の願いは、本編で述べたとおりライダーデッキの実験中にミラーモンスターが乱入してそれで死亡した恋人を救うこと。
最後には「ライダーバトルをなかったことに」し、よって実験も起こらなかったことになり恋人も蘇生。
戦いのさなか死んでいった者たちもみな、甦った。
しかしその記憶を留めているのは彼のみ。ライダーデッキを所持しているのもそのため。
前回も言った通り、このようになっています
アリス
「ご都合主義ですね」
こうでも解釈しないと・・・・
アリス
「次回、蒔風は城戸真司のもとに駆け付ける。そして・・・」
ではまた次回
人を守るためにライダーになったんだから、ライダーを守ったっていい!!
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