英雄伝説～運命が改変された少年の行く道～（閃Ⅰ篇）

～精霊領域・リスレドネー～



「さあ、一気に行くぞっ！」

「気を逃すな！一斉にかかれっ！」

戦闘開始時リィンはクラフト―――激励で、ユーシスは威厳ある号令で闘志を高めるクラフト―――ノーブルオーダーで仲間達の闘志を高め

「オォォォォ……………ハアッ！！」

ガイウスは体力を引き換えに自身の闘志や力を上昇させる野生の叫び―――ワイルドレイジで自身の能力を上昇させ

「敵ユニットの傾向を解析……！掴めました……！空と時属性に抵抗を持っています！アークス、駆動……！」

エマは敵の弱点属性や抵抗属性を探る魔導杖に搭載された機能―――ディフェクターでリザイラの抵抗属性をリィン達に教えた後、クオーツに指を走らせて高火力のアーツを放つ準備をした。



「先制攻撃よ！――――メルトレイン！！」

そしてアリサが上空へと矢を放ってリザイラ目掛けて炎のエネルギーの矢の雨を降り注がせ

「……！」

「まずは小手調べですわっ！」

「フフ、耐えられるかしら？」

ミルモ、フィニリィ、ベルフェゴールが風、雷、暗黒の魔力弾をリザイラに向けて次々と放った！



「――無駄です！」

しかしリザイラは自分を中心としたドーム型の簡易結界を一瞬展開して全方向からの攻撃を防ぎ

「行きます―――狼口一閃！！」

そこにプリネが目にも止まらぬ速さでリザイラに突撃して斬撃を叩き込んだが、結界に罅が入った程度だった。

「あら、やりますね。―――大地の精霊達よ！豪破岩槍撃！！」

自分の結界に罅を入れたプリネに感心したリザイラはプリネに向けて魔術を放ち

「！！クッ……！？」

足元から突如凄まじい勢いで次々と現れる岩の槍を回避したプリネだったが、全ては回避しきれず、ダメージを受けた。



「すごい―――ねこパンチ！！」

「っ！？」

その時ベルフェゴールが拳を結界に叩きつけて結界を破壊し

「水の精霊達よ！」

「っと！」

すぐに水の魔力球を次々と放つリザイラの反撃にベルフェゴールは片手で結界を展開しながら防いでリザイラから距離を取り

「燃え尽きなさい……！ファイアッ！！」

ベルフェゴールがリザイラから離れると同時にアリサは溜め込んだエネルギーを炎の矢として解き放った！

「甘い！レイ＝ルーン！！」

しかしリザイラは片手から極太の純粋エネルギーのレーザーを放って炎の矢を消滅させると共にアリサに反撃し

「私の魔力、思い知りなさいっ！レイ＝ルーン！！」

フィニリィもリザイラと同じ魔術を放って互いの魔術攻撃を相殺した！



「竜巻よ……薙ぎ払えっ！」

「…………！」

「えいっ！エアリアル！！」

リザイラに近づいたガイウスが槍を回転させてリザイラの目の前に竜巻を発生させると共に詠唱をちょうど終えたミルモは魔術―――大竜巻を発動し、その後にエマも竜巻を発生させるアーツを発動し、三つの竜巻はリザイラを呑みこんだ。

「この程度の竜巻では私を傷つけられません！」

しかしリザイラは全身から膨大な魔力を解放して自分を襲う竜巻を一瞬で霧散させ

「吹き飛びなさい！迅風！！」

「グッ！？」

「キャッ！？」

「…………！」

片手から魔力風を解き放ってガイウスとエマを吹き飛ばし、ミルモは結界を自分の目の前に展開して必死に耐えていた。



「ハァァァァ……喰らえっ！！」

その時騎士剣に闘気を溜め込んだユーシスが闘気を鳥の形にして解き放つクラフト―――ライトニングバードをリザイラに放ったが

「無駄です。」

リザイラは片手で結界を展開して防御した。

「二の型―――疾風！！」

「！」

しかしその時リィンが電光石火の速さで攻撃を仕掛け、ユーシスの攻撃を防御していた影響で反応が遅れたリザイラはリィンの斬撃を受けて表情を歪め

「暗黒の霧よ、全てを包み込め！崩壊のディザイア！！」

「フフ、闇に包まれなさい！崩壊のディザイア！！」

「クッ……！？」

更にプリネとベルフェゴールの魔術によって自分の周囲に発生した暗黒の霧に包まれ

「―――行きますわよ！大放電！！」

「キャアッ！？」

フィニリィが槍から放電した電撃をその身に受けて怯んだ。



「さっきのお返しよ！―――メルトレイン！！」

「……！」

「白き刃よ……お願いっ！！」

その隙を逃さないかのようにアリサが炎の矢の雨を降り注がせ、ミルモは両手から次々と圧縮した空気の塊の魔力弾を解き放ち、エマは魔導杖から白銀の刃を数本発生させてリザイラ目掛けて放ち

「セイッ！！」

「そこだっ！！」

ガイウスは槍から突風を、ユーシスは再び闘気の鳥をリザイラ向けて放ち

「……………！」

リィンは仲間達の攻撃を受け続けているリザイラ目掛けて走り

「ハァァァァァァァ……業炎撃！！」

太刀に闘気によって発生した炎を纏わせてリザイラ目掛けて振り下ろした。しかし！

「この程度で私が倒れるとお思いですか？」

「！？クッ……！」

ダメージを受けながらもリザイラは余裕の笑みを浮かべて簡易結界でリィンの太刀を受け止め

「虚空の迅風！！」

「グアッ！？」

至近距離で魔力風を命中させてリィンを吹き飛ばし

「猛りの風よ！撃滅の大嵐！！」

「うあっ！？」

「「キャアアアアアッ！？」」

「…………！？」

「チィッ……！？」

「グッ……風が……怒っている……！？」

魔力風を広範囲に発生させて吹き飛ばしたリィンやリィンの傍にいるアリサ、エマ、ミルモ、ユーシス、ガイウスを苦しめ

「水精女王よ、力を貸しなさい！水精女王の大海！！」

「クッ……！」

「っと！これはちょっと本気で防がないと不味いわね……！」

プリネとベルフェゴールには津波を襲い掛からせ、二人はそれぞれ簡易結界を展開して防御し続け

「大地の精霊達よ、力を貸しなさい！メテオグレイブ！！」

フィニリィには圧縮した地属性の魔力球を放ち

「雷の精霊達よ、力を貸しなさい！旋風爆雷閃！！」

対するフィニリィは槍を天へと掲げて爆発を起こしながら走る雷を放って自分に来た攻撃を相殺した！



「フフ、今のを相殺しますか。以前の貴女なら同じ上位魔術とはいえ、防げなかったはずですけどね。」

上位魔術を相殺したフィニリィにリザイラは感心し

「この私を以前の私と同じと見くびってもらっては困りますわ！愛する人間と共に戦う事で様々な部分で成長したのですから！」

「愛……ですか。フフ、人間を”野蛮”と称していたあの貴女が変われば変わるものですね。ならばもっと見せて下さい……！精霊が人を愛した事によって得た力を……！」

フィニリィの答えを聞いて静かな笑みを浮かべた後両手からバチバチと電撃が迸る程の圧縮した巨大な魔力球を発生させ

「望む所ですわ！」

対するフィニリィもリザイラのように両手からバチバチと電撃が迸る程の圧縮した巨大な魔力球を発生させ

「「アウエラの裁き！！」」

それぞれ同時に魔力を溜め込んだ球体を解き放った！解き放たれた二つの魔力球はぶつかり合い、ドーム型の爆発を起こして相殺し、二つの魔力球がぶつかり合った場所はクレーターになっていた！



「我が槍技、受けなさい！貫鉄槍！！」

そして爆発によって発生した煙を利用して現れたフィニリィはリザイラに奇襲し

「！レイ＝ルーン！！」

フィニリィの奇襲をギリギリ回避したリザイラは片手から凝縮した魔力エネルギーを自分に背を向けているフィニリィに放ち

「我が魔力よ、貫け！レイ＝ルーン！！」

対するフィニリィも振り向くと同時に片手から凝縮した魔力エネルギーを放って、リザイラと攻防を続けていた。



「いたた……みんな、大丈夫！？今、助けるわ！セントアライブ！！」

「息吹よ……！セレネスブレス！！」

「…………！」

フィニリィがリザイラと激しい攻防を繰り広げている中、アリサは癒しの光を上空から降り注がせる矢を上空へと放ち、エマは魔導杖に搭載されてある特殊回復アーツ（クラフト）でアリサの傷を回復し、ミルモは魔術―――癒しの風で仲間達の傷を回復した。

「ありがとう。ユーシス、ガイウス、まだ行けるか？」

「ああ……まだ大丈夫だ。」

「フン、さすが伝承上の存在である精霊を統べる存在だけあって、今まで戦った奴等とは桁違いの強さだな。」

リィンに心配された二人はそれぞれ戦いに支障はない事を伝えた。



「……やはり魔術を得意としているだけあって、魔法(アーツ)や魔術等の魔法攻撃に対する強い抵抗力を持っていますね……」

「そうなると物理攻撃で攻めるしかないが……近づけば、結界で防がれるぞ？」

エマの推測を聞いたユーシスは対抗策を考えたが自分達の物理攻撃を無効化した結界の存在を思い出して厳しい表情をし

「何とか隙をつければいいんだけど……」

リィンは真剣な表情で考え込んでいた。

（だったら、私達が隙を作ってあげるわ。）

その時ベルフェゴールの念話が聞こえてきた。

「え……（何で俺の考えがわかるんだ！？）」

念話を聞いたリィンは驚きの表情でベルフェゴールを見つめ

（フフ、契約しているんだから主の考えも使い魔である私にも伝わってくるわよ。―――それより、さっきの話だけど私達が特大の魔術を放って隙を作ってあげるから、ご主人様達で決めちゃいなさい！）

「（……わかった。）みんな、ちょっと考えがあるんだけど……」

ベルフェゴールの念話に頷いた後アリサ達に作戦を伝えた。

「……なるほど。わかった、その案に乗ろう。」

「……わかったわ。ミルモ、お願いね。」

「……！」

「必ず成功させませましょう……！」

「フン、この俺が援護に回るのだから、必ず成功させろ。」

リィンの作戦に仲間達はそれぞれ力強く頷き、リィン達は行動を開始した。



「？フフ、どうやら”何か”をしてくるようですね……」

フィニリィと攻防を繰り広げていたリザイラは突如フィニリィが攻防を切り上げて自分から距離を取って行く様子やリィン達がそれぞれ戦いの構えをしているのを見て静かな笑みを浮かべた。

「白き刃よ……お願いっ！！」

そしてエマは再びクラフト―――イセリアルエッジを放ち

「無駄です。」

リザイラは簡易結界で防御した。

「ハァァァァァァァ……喰らえっ！！」

しかしそこにユーシスがクラフト―――ライトニングバードを放ち

「…………！」

ミルモは魔術――――気体連弾を放ち

「イセリアルエッジ！！」

ミルモの魔術が終わるとエマが再び同じクラフトを放ち、3人は順番に遠距離攻撃のクラフトやアーツを放ってリザイラの結界を攻撃し続けていた！



「フフ、その程度の波状攻撃で私の結界が破れるとお思いですか？」

3人の波状攻撃を余裕の笑みを浮かべて受け止めていたリザイラはもう片方の手に魔力を集束し

「レイ＝ルーン！！」

3人に向かって凝縮した魔力エネルギーを放った。しかし！

「させませんわ！レイ＝ルーン！！」

ユーシス達の傍に移動していたフィニリィが片手から凝縮した魔力エネルギーを放ってリザイラの反撃を受け止めていた。



「汝、その諷意(ふうい)なる封印の中で安息を得るだろう……永遠に儚く……セレスティアルスター！！」

その時大魔術の詠唱を終えたプリネが上空から光の柱を降り注がせ

「フフ、究極の深淵に呑まれなさいっ！アルマティルワン！！」

プリネと共に大魔術の詠唱を終えたベルフェゴールがリザイラを闇世界に閉じ込め

「これはさすがに本気で防がないといけませんね……！」

二人の大魔術を防ぐ為にリザイラは自分を中心としたドーム型の結界を展開し、降り注ぐ光の柱と全方向から襲い掛かってくる闇の波動を防ぎ続け、二つの大魔術が終わる頃には結界も破壊されていた！



「風よ……俺に力を貸してくれっ！オォォォォォ…………！」

そして魔術によって発生した爆発の煙が晴れる頃ガイウスは全身に風を纏って空高く跳躍して鷹のオーラを纏い

「カラミティ―――ホークッ！！」

そのままリザイラ目掛けて突撃して十字槍をリザイラに叩き込むと共に竜巻を発生させ

「グッ……！？」

無防備な所に攻撃を叩きこまれたリザイラは呻いた。



「アリサ、行くぞっ！」

「ええ、任せて！オーバルエネルギー……充填！！」

そしてそれぞれのARCUSから強い光を放つリィンの呼びかけに頷いたアリサは導力弓を構えて目の前に魔法陣を発生させた後無数のエネルギーをリザイラに命中させ

「焔よ……我が剣に集えっ！！」

リィンは自身の魔力と闘気によって太刀に炎を纏わせた後突撃して縦と横の斬撃をリザイラに叩き込んだ後一端下がり

「ファイアッ！！」

凝縮した導力エネルギーの炎の矢を導力弓に番えたアリサは矢を解き放ち、アリサが矢を解き放つと同時にリィンは再びリザイラ目掛けて突撃し、レーザー状になった炎の矢と共に炎を纏った斬撃をリザイラに叩き込んでリザイラの背後へと駆け抜けた！

「「フレイムブラスト！！」」

全てを燃やし尽くす業火を纏いし斬撃を叩きこむリィンとアリサの協力技(コンビクラフト)――――フレイムブラストはリザイラに命中すると炎の大爆発を起こし

「キャアアアアアアッ！？クッ……これが……人に与えられた力……恐るべし…………！」

リィンとアリサの大技をまともに受けたリザイラは悲鳴を上げて地面に膝をついた！