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英雄伝説~運命が改変された少年の行く道~(閃Ⅰ篇)

作者:sorano
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第40話

そして―――4日間に渡って行われる、士官学院の中間試験が始まった。リィン達は日頃の成果を全てぶつけ……ようやく全ての試験が終わり、HRの時間になった。



~トールズ士官学院・1年Ⅶ組~



「いや~っ、4日間、ホントご苦労様だったわね。ちょうど雨も止んだみたいだし、タイミング良かったじゃない。これも空の女神の粋なはからいかしらね♪」

「フッ……」

(確かにありえるかもしれないわね。)

(ええ……何せ空の女神の一族の一人が太陽のような明るい人ですものね……)

リィン達を労うサラ教官の言葉を聞いたレーヴェは静かな笑みを浮かべ、プリネとツーヤはそれぞれ念話をして苦笑していた。



「また適当なことを……」

一方アリサはジト目でサラ教官を見つめ

「つ、疲れた……」

「……もうムリ……」

エリオットとフィーは疲れた表情になっていた。



「ふふ、フィーちゃん、お疲れ様でした。」

フィーの様子を見たエマは微笑み

「……ふう…………」

ラウラは全ての試験を終えた安堵による溜息を吐いていた。



「ま、明日は自由行動日だし、せいぜい鬱憤でも晴らしなさい。それと、試験の結果は来週の水曜日に返却されるわ。そうそう―――その日の午後には今月の”実技テスト”もあるからね。」

「はあ……それがありましたか。」

「少しは空気を読んでもらいたいものだがな。」

テストがまだある事を思い出したマキアスは疲れた表情で溜息を吐き、ユーシスは呆れた表情で指摘した。



「次の”特別実習”についての発表もあるんですね?」

「ええ、来週末にはそれぞれ、実習地に向かってもらうから。ま、そういう意味でも明日は羽根を伸ばすといいわね。」

「…………ふむ………………」

「うーん、久々に部活に顔を出しておこうかしら……」

サラ教官の話を聞いたガイウスとアリサはそれぞれの今後の行動を考え込んだ。



「ああそれと、あたしはこの後、ちょっと野暮用が入っていて、レーヴェはメンフィル帝国にプリネ達の状況についての定期報告の関係でこれから学院を出るから。どっちも明日の夜まで戻らないからくれぐれも寮のことは頼んだわよ♪」

「教官が二人ともいないからと言って、羽目を外し過ぎて他の教官達の手を煩わせないようにほどほどにしておくのだな。」

その後用がないリィン、アリサ、エリオット、エマ、ユーシス、マキアスの6人は共に下校していた。



~トリスタ~



「は~、何ていうか解放感に満ちているよねぇ。結果発表を考えるとちょっと憂鬱だけどさ。」

リィン達と共に下校しているエリオットは安堵の溜息を吐いた後不安そうな表情をし

「フフン。悪いが僕は自信があるぞ。エマ君の方はどうだった?」

マキアスは口元に笑みを浮かべてエマに視線を向けた。



「そ、そうですね。……悪くはないと思います。」

「むむっ…………」

エマの答えを聞いたマキアスはその場で唸り

「やめておけ、見苦しい。」

その様子を見ていたユーシスは呆れた表情で指摘した。



「ふふ、そういうのも含めて結果発表待ちってことね。そう言えば……サラ教官のあれってどう思う?」

「ああ、これから誰かと会う約束があるってやつか。野暮用で、明日の夜まで戻らないらしいけど……」

「うーん、普通に考えれば恋人と会うとかでしょうか?」

アリサの質問を聞いたリィンは考え込み、リィンと共に考え込んだエマは推測した。



「……信じられんな。アレにそんなものがいるのか?」

エマの推測を聞いたユーシスは不思議そうな表情で呟き

「うーん、美人なのは認めるがあの性格と生活態度を見ると……」

マキアスは呆れた表情で呟いた。



「好き放題言ってるな。……まあ、俺も同感だけど。」

二人の会話を聞いていたリィンは呆れた後二人の意見に同意し

「はは、リィンなんて一案、苦労させられてそうだもんね。」

リィンの意見を聞いたエリオットは苦笑していた。



「恋人と言えば……レオン教官にはいないのかしら?」

「言われてみればそうですよね……実際、女子生徒達の中ではレオン教官に憧れている方達もいますし……」

アリサの疑問を聞いたエマは考え込み

「……まあ、確かに性格や生活態度に関してアレとは正反対の存在と言ってもおかしくないレオン教官なら相手は何もせずとも逆に向こうから寄ってくるだろうから、選び放題だろうな。」

「実際、容姿は抜群な人だし、冷静沈着で剣の腕も恐ろしい程あるから恋人がいてもおかしくないな。レオン教官の恋人関係についてリィンは何か知らないのか?」

ユーシスの推測にマキアスは納得した様子で頷いた後リィンに尋ね

「へ?何で俺に聞くんだ?」

マキアスに尋ねられたリィンは不思議そうな表情で尋ね返した。



「君はメンフィル軍に所属しているんだろう?同じ軍人として噂とかは聞いていないのか?皇女の親衛隊副隊長の恋人関係なら噂になっていてもおかしくないと思うが。」

「ああ…………―――あくまで噂だけど、レオン教官に恋人がいるって噂は確かにある。」

マキアスに尋ねられたリィンは頷いた後答え

「え!そ、そうなの!?」

「相手はどんな方なのですか?」

リィンの答えを聞いたアリサは驚き、エマは興味ありげな表情をして尋ねた。



「その相手なんだけど……プリネさんなんだよな。」

「ええっ!?」

「プ、プリネが!?」

「た、確かにプリネさんに恋人がいるような言動が本人から聞いた事はアリサさんやラウラさんから聞いていますが……」

「信じられん……相手は皇族……しかも”英雄王”の娘だぞ?」

「ああ……余りにも身分が離れているから、普通に考えてもありえない組み合わせじゃないか?」

リィンの答えを聞いたエリオットとアリサは驚き、エマやユーシス、マキアスは信じられない表情をしていた。



「噂によればリウイ陛下が直々に剣を合せてレオン教官の腕を認めたから、リウイ陛下を含めたメンフィル帝国の皇族はプリネさんと恋人関係である事に関しては公認しているらしい。」

「ええっ!?あ、あの”英雄王”とレオン教官が剣を合わせたの!?」

「……そう言えば以前の旧校舎でのオリエンテーリングの時にプリネはメンフィル帝国は皇族が認めれば皇族と平民の結婚も可能だと言っていたな……」

「そ、そうなのか!?エレボニア帝国では絶対にありえない事だな……」

リィンの説明を聞いたエリオットは驚き、ある事を思い出したユーシスの話を聞いたマキアスは信じられない表情をし

「後でプリネにカマをかけて口をわらせましょ。」

「フフ、そうですね。でも、それならプリネさんの人間関係に関して一番詳しいと思われるツーヤさんに聞くのもいいかもしれませんね。」

口元に笑みを浮かべたアリサの言葉にエマは微笑みながら頷いた。



「そういえば……明日も生徒会の手伝いをするの?」

「ああ、そのつもりだよ。試験勉強ばかりだったからいい気分転換になりそうだし。」

アリサに尋ねられたリィンは頷き

「なるほどな。」

「旧校舎の探索をする時はぜひ呼んでくださいね。」

「ああ、今度は僕達も君の力にならせてもらおう。」

「はは、それじゃあ遠慮なく声をかけさせてもらおうかな。」

「ふふっ、いつの間にか全員参加することになったね。」

今まで旧校舎の探索を共にしてこなかったメンバーからの申し出を聞いたリィンは明るい表情で頷き、エリオットは笑顔になった。



「そういえば……ガイウス、どうしたんだろう?学院長に呼ばれたってさっき言ってたけど……」

「ああ、そうだったな。」

「学院長……何の用事なんだ?」

「わからないけど……ラウラとフィーも先に教室を出て行っちゃったのよね。ケルディックの臨時領主を務めている関係でケルディックに用があるプリネとプリネの護衛のツーヤは仕方ないけど……できればみんなで帰ろうと思ったのよね……」

「そうですね…………」

残念そうな表情をしているアリサの言葉に頷いたエマは考え込み

「?」

エマの様子を見たエリオットは首を傾げた。



「……気のせいかもしれないけど。最近、ラウラとフィー、どこかぎこちなくないか?」

「そ、そうなの?」

リィンの意見の聞いたエリオットは戸惑い

「ふう……気付いていたんだ。」

アリサは静かな表情で頷いた。



「その、今月に入ってから何かあったみたいで……お互い避け合ってるような気がするんです。」

「フン、言われてみれば。しかし、どちらも細かいことを気にするようなタイプではないと思ったが。」

「うーん、そうなのよね……」

「私達もそれとなく探ってはいるんですけど。」

「……ひょっとしたらあの事が原因かもしれないな。」

クラスメイトがそれぞれ話し合っている中、黙って考え込んでいたマキアスは呟いた。



「あの事……?」

「どういう事?」

「その、特別実習での出来事をA班・B班で報告し合っただろう?……フィーが爆薬を使って牢屋の扉を開いた事も含めて。」

「そういえば……」

「フィーって、学院に来る前に”猟兵団”にいたんだよね。確かにビックリしたけど……それがどうしたの?」

マキアスの話を聞いたアリサは目を丸くし、エリオットは戸惑いの表情で尋ねた。



「いや、それを話した時、ラウラが一瞬だけ険しい顔になった気がして……すぐに普通の顔に戻ったから気のせいかと思ったんだが。」

「そうだったのか……」

「でも、それがどうして?」

「いや、そこまではさすがにわからないが……」

エマに尋ねられたマキアスは戸惑いの表情で考え込み

「フン、事情は人それぞれだろう。――いまだ家名を明かさない人間もいるくらいだからな。」

ユーシスは呆れた様子で答えた後アリサに視線を向けた。



「ちょ、ちょっと……今ここでそれを言うの!?」

「別に他意はないが。まあ、お前の家名については大方予想できているからな。」

「そ、そうなの?」

「あ、あなたねぇ……」

ユーシスの話を聞いたエリオットは驚き、アリサはジト目でユーシスを睨んだ。



「まあまあ、アリサさん。」

「前から言ってるようにアリサが教えてくれる気になるまで詮索したりはしないからさ。」

「そ、その……勿体ぶってるわけじゃないのよ?ただ、あまり周りに知られると面倒な事になるかなって……」

リィンの言葉にアリサが考え込みながら答えたその時

「―――お嬢様。お帰りなさいませ。」

「え―――」

以前リィンが出会った不思議なメイドがリィン達に近づいてきた。



「シャ、シャ、シャ……シャロン!?」

メイド―――シャロンの姿を見たアリサは口をパクパクさせた後ジト目でシャロンを睨み

「――はい。お久しぶりでございます。」

シャロンは静かな表情で答えた。



(あの時の……)

(リィン、知ってるの?)

「どうして貴女がここに……ま、まさか……母様が!?」

「ふふっ、はい。会長に申し付けられまして。今日から第三学生寮の管理人を務めさせていただきます。」

「!!!」

シャロンの説明を聞いたアリサは目を見開いて驚いた後肩を落とした。一方シャロンはリィン達の正面に移動した。



「初めまして―――シャロン・クルーガーと申します。アリサお嬢様のご実家、”ラインフォルト家”の使用人として仕えさせていただいております。皆様のお世話をさせて頂きますのでよろしくご指導、ご鞭撻ください。」

そしてシャロンはスカートを摘み上げて上品に会釈をした後自己紹介をした。 
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