頑張れフェレット
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3部分:第三章
第三章
「まずはね。僕が右で」
「君右好きだね」
「別にいいじゃない。それで君が左」
それぞれ分けるというのだ。
「それでいいよね。分かれて見ようよ」
「僕が部屋の左側で君が右側」
トレーパーは相棒の言葉を聞いて述べた。
「それで探すんだね」
「その通りだよ。じゃあ探そうか」
「うん、それじゃあね」
こうして彼等は蜘蛛を探しはじめた。そうしてそのうえで居間のあちこちにあるものの中を見たり探し回ったりするのだった。
テーブルの上に上がってそこに置かれたままだったコップをひっくり返す。それでまだなかに残っていたコーヒーが零れて絨毯にまで滴り落ちる。
ティッシュを口で引っ張り次から次に出す。ティッシュが床に散乱する。
そしてテレビのリモコンのスイッチを押す。するとテレビがついたが彼等はその音に驚いてまた騒ぐことになってしまったのだった。
「ひゃっ、テレビが!?」
「勝手についたよ。これどういうこと!?」
「いや、わからないよ」
ブライアントもそれがどうしてなのか全くわからなかった。
「これって一体何なのかな」
「お化けがいるとか?」
トレーパーはこう考えたのだった。
「まさか」
「お化けって?」
「いや、あの蜘蛛かも」
しかしすぐにこうも考えるのだった。
「蜘蛛がやったんだよ、絶対に」
「あの蜘蛛がだよね」
「そうだよ。あいつ一体何処に行ったんだ?」
勿論蜘蛛がそんなことは絶対にできないということがわかっていない彼等はここでいぶかしむ顔になってまた話をするのだった。
「一体何処に行ったんだ?本当に」
「もっと探そう」
トレーパーの提案はこれだった。
「もっとね。部屋の中をね」
「そうだね。それしかないよね」
「うん、それしかないよ」
ブライアントに対してあらためて言うのだった。
「こうなったら許せないよ、テレビで僕達を驚かせるなんて」
「全く。じゃあ今度は」
「何処を探すの?」
「棚の上やテレビの上を探そう」
ブライアントの今度の提案はこれであった。
「もうこうなったら徹底的にやらないとね」
「そうだね」
トレーパーも彼の言葉にはっきりと頷くのだった。
「こうなったらね。売られた喧嘩だし」
「侵入者の癖に生意気なんだよ」
ブライアントは完全に怒っていた。
「こうなった何としても探し出して」
「やっつけよう」
「うん」
こう言い合い本当にテレビや棚の上に上がってそのうえで蜘蛛を探し回る。そこで洋介と桜がいっしょに映っている写真を下に落としたり棚の上にあった小道具を落としたり壊したり割ったりしていく。その破片が次々と絨毯の上に落ちたり棚の上を汚していくのだった。
しかしそれでもだった。蜘蛛はいない。何処にも見つからないのだった。
「いた?」
「ううん」
トレーパーの言葉に首を横に振るブライアントだった。彼等はそれぞれ棚の上にいる。そすいて人形をひっくり返してその中を探りながら話をしていた。
「全然。やっぱりいないよ」
「そうなんだ、そこにもいないんだ」
彼等は蜘蛛がどうしても見つからずいよいよ困ってきた。
「まさか本当に消えたとか?」
「そんなことはないだろ」
流石にそれはないと彼等も思うのだった。
「やっぱりそれは」
「じゃあ一体何処に行ったんだろ」
ブライアントもトレーパーもわからなくなっていた。
「あの蜘蛛、本当に」
「この部屋の中にいる筈だけれど」
そう思ってまだ探し回る。そしてここで。不意にブライアントがテーブルの上を見て相棒に対してすぐに大きな声で言ってきたのだった。
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