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究極変態スナイパーブリーフ13

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7部分:第七章


第七章

「俺の身体は清潔だ。安心しろ」
「う、うぐぐぐぐぐぐ・・・・・・」
「そう、少なくとも俺は平気だ」
 しかし彼は平気ではなかった。彼は絶望の声をあげながら座っている豪奢な椅子に後ろから倒れていきそのまま事切れた。あまりものショックに心臓麻痺を起こしそのまま死んでしまったのである。
「死んだか」
 ブリーフ13は完全に死んでしまった彼を見て呟いた。
「これで俺の仕事はまた一つ終わったな」
 彼の死を見届けてそのうえで店を去るのであった。その白ブリーフにバニーの耳と蝶ネクタイに袖、ガーターの網タイツにハイヒールの格好で。店の外に出て姿を消すのであった。
「メッサリコもフェデリコもか」
「はい」
 リムジンの中でしわがれた声を出す髪の毛が一本もない老人が浅黒い肌にラテンの顔の美女の話を聞き低いながらも驚きの声をあげていた。
「二人共。あの男によってです」
「ブリーフ13か」
 老人もそれが誰なのかよくわかっているのだった。
「あの男がメッサリコとフェデリコを」
「それでドン」
 美女は老人をこう呼ぶのだった。
「どうされますか?仇は」
「無論だ。討つ」12
 彼の決断は迅速だった。それしかないというように。
「しかしだ。策もなしには動かん」
「といいますとどういったふうに」
「わしを狙ってくるのは明らかだ」
 明らかに憔悴している目であった。しかしそれでもその日狩りははっきりとしていた。前を見据えてしっかりとしている目だった。
「ならばやり方がある」
「といいますと」
「日本に連れて来ている奴等を全員集めろ」
 彼は言う。
「そしてそのうえで青山に行く」
「青山といいますと」
「いや、北海道か」
 ここでさらに北を言うのだった。
「北に行く。いいな」
「北にですか」
「あの男のことはわかっている」
 やはり顔に恐怖の汗はかいていたがそれでもはっきりとした声であった。目の光も。
「全てな。よくわかっている」
「といいますと」
「寒い方がいい」
 彼はまた言った。
「ブリーフ13、二人の仇を取らせてもらうよ」
 言葉には強い決意があった。それはさながらコーザ=ノストラであった。仲間の仇はにとしても取る、裏社会独特の掟がそこにあった。
 そして数日後老人は北海道の網走の屋敷の中にいた。雪が降り積もるその場所に彼はいた。屋敷の周りには多くの黒服の男達がいた。
「ドン、全員集まっています」
「武器は全員持っているな」
「はい」
 彼の言葉に頷く美女だった。
「それはもう」
「そうか。なら大丈夫だ」
 老人はそれを聞いてまず安心した。
「しかしだ」
「しかし?」
「全員コートを着ているか」
 彼が次に問うたのはこのことだった。
「そして手袋はしているな」
「ええ、それはもう自分達から」
 屋敷の中は暖房で実に暖かくなっている。そして屋敷の外で警護にあたっている黒服の男達は皆コートに手袋とかなりの重装備だ。寒さに対する備えは万全であった。
「身に着けています」
「それならいい。寒さにも備えるのだ」
「しかしドン」
 美女もまたスーツだけでなくその上にコートを着ている。彼女にしろかなりの重装備だ。雪も寒さも全て退けてしまいそうな程である。
「何故寒さにも。それに」
「それに。何だ?」
「この様な場所に何故雪の中に入ったのですか?」
「あの男は常に下着一枚で行動している」
 老人は屋敷を暖めているストーブを見て述べた。部屋はログハウス調の木造でありそこに暖炉があればさらに似合うものだった。木の床の上に絨毯が敷かれソファーはふわりとしておりテーブルの上にはウォッカがある。老人はそのウォッカを一口飲んでいた。部屋の中にもボディーガード達が何人もいる。
「それだ。ならば寒さには弱い筈だ」
「だからですか」
「少なくとも寒さのせいで動きは鈍る」
 彼はこのことも読んでいるのだった。
「そこを衝けばだ。簡単に倒せる」
「そうだったのですか。それでこの北海道に」
「北海道は日本で最も北にある場所だ」
 老人は強い声で述べた。
「だからだ。そしてこの網走はさらに北だ」
「その北海道の中でも」
「ここならブリーフ13の動きは鈍る」
 言葉は確信になっていた。
 
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