英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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異伝~改変の運命の鼓動~(FC篇完結)
~???~
「…………………」
ゼムリア大陸とは異なる世界のどこかの大地の崖から腰までなびかせる夜空のような美しい黒髪の若いメイドは悲しそうな表情で海を見つめ
「エミリオ……ごめんなさい………貴方やスタンさん達に救ってもらった命だけど……私、これ以上貴方の犠牲のお蔭で手に入れた生で生きて行くことに耐えられない………今、私もそっちに行くわ………あの世ではずっと貴方の傍にいるからね………」
誰かに対する謝罪の言葉を呟いた後地面の蹴って海に身投げをし、メイドが海に叩きつけられる瞬間、メイドは光に包まれ、その場から消えた!
18年後――――
~???~
「いよいよ……か。」
18年後、仲間達と共に世界を守る最終決戦に勝利した漆黒の服と外套を身に纏い、何かの動物の顔の骨の仮面を被った黒髪の少年は光に包まれた。
「ジューダス………おまえはどこへ帰るんだ……?」
「わからない……元々、ジューダスなる男はどの場所、どの時代にも存在しない。時空間の彼方をさまようか、リオン=マグナスとして消滅するか……」
仲間の一人である銀髪の青年の疑問に黒髪の少年は首を横に振った後己が消えるかもしれない事に一切恐怖を抱かず静かな口調で答えた。
「そんな……!それでいいのか、ジューダス!?」
その時仲間の一人である金髪の少年が黒髪の少年が消えるかもしれない事に悲しみを抱き、血相を変えて尋ねた。
「ジューダスとして生きると決めたときから覚悟していたことだ。それに……お前達と出会え、”今度は”最後まで共に戦えた。一度死んだ男が手にするには大きすぎる幸せだ。それが手に入ったんだ。悔いはない。」
金髪の少年を安心させるかのように黒髪の少年は穏やかな笑みを浮かべた。
「ジューダス……!」
「スタン達の意志を継ぐお前達を僕が助け、守るつもりだったが実際は逆だったかもしれないな……ありがとう、カイル、ロニ。」
「ジューダス………」
「さらばだ………」
黒髪の少年は穏やか笑みを浮かべながら自分にとって大切な仲間達に別れを告げ、光に包まれ、消滅し、さらに残りの仲間達も光に包まれてその場から消えた。
ごめんなさい………より良い未来を作る為に貴方の”運命”を再び変えてしまって……でも………今度は貴方が……な人と一緒だよ………
そして誰もいなくなったその場には謎の少女の声が響いていた。
~???~
「クク、弱い、弱いなあ!?もっと強い奴はいないのか!?」
ゼムリア大陸とは異なる世界にして、黒髪の少年達がいた世界とも違う世界のある場所で斧を持った大柄な男性が血塗れで倒れている周囲の人物達を見て叫び
「グッ……!一体お前は何者だ!?一体何の為にこのラントを攻めてきたんだ!?」
男性との戦いで傷つき、疲労している青と紫のオッドアイの青年は男性を睨んで叫んだ。
「クク、俺は強い奴と戦い、全て殺し、俺が最強である事を示すだけだ!貴様は少しはやるようだなあ?もっと俺を楽しませろやっ!ぶるあああぁぁぁっ!!」
柄な男性は狂気の笑みを浮かべて叫んだ後青年に襲い掛かったその時、
「アルスはやらせない!クリティカルブレード!!」
「!!」
紫色の髪のツインテールの少女が男性に奇襲し、少女の奇襲に気づいた男性は後ろに下がって回避した。
「ソフィ姉さん!」
「遅くなってごめん、アルス。アルスはケガをした人達と一緒に避難して!」
「そんな!?幾ら俺の先祖達と一緒に俺達の世界―――エフィネアを救った”英雄”の一人であるソフィ姉さんでも奴を一人で相手にするなんて無茶過ぎる!」
少女の指示に驚いた青年は血相を変えたが
「今、ケガをした人達を助けられるのはアルスだけ。あなたの先祖が……アスベルが大切にしていた言葉――――大切な人達を”守る”為にもアルスは一旦退いて!」
「ッ……!わかった……!すぐに応援を連れて加勢しに戻るから、それまでの間だけ頼むソフィ姉さん!」
少女の指示に唇を噛みしめて頷いた後退却行動を開始し、少女は自分にとって故郷に当たる領地を襲撃した狂気の瞳を宿した襲撃者との戦闘を開始した!
ゼムリア歴1201年――――
~夜・ボース市長邸~
「う………ん………?」
エステル達が旅立つちょうど一年前、海に身投げし光に包まれて消えたはずの黒髪のメイドが目を覚ましてベッドから起き上がった。
「ここは一体………?」
ベッドから起き上がったメイドが周囲を見回して戸惑っていたその時、扉が開き、金髪の女性が部屋に入って来た。
「あら、目が覚めたようですね。」
「あの……貴女は……?」
「私はボース市長メイベル。貴女が私の屋敷の前に倒れていたので、リラ達に頼んでここまで運んでもらいました。貴女を診て頂いたお医者様の話では特に怪我をしている所はなく、到って健康だそうです。」
「私が屋敷の前に倒れて………?」
女性の話を聞いた黒髪のメイドは首を傾げていた。
「それで……どうして私の屋敷の前に倒れていたのでしょうか?もしかして私に何か用がおありだったのでしょうか?」
「……………………………」
女性の質問を聞いた黒髪のメイドは戸惑いの表情で黙り込み
「わからないんです………何もかも……自分が今まで何をしていたのかも………」
「え?もしかして……記憶がないのですか?」
黒髪のメイドの答えを聞いた女性は目を丸くした後、驚きの表情で尋ねた。
「はい……かろうじて自分の名前だけは覚えていますけど……今までどこで、何をしていたのか、全く思い出せないんです………」
「そう……………」
不安そうな表情になっている黒髪のメイドを女性は黙って見続け
「―――貴女、名前は?」
やがてある事を思いつき、メイドの名前を聞いた。
「え?マリアン・フュステルですけど………」
「マリアン、ね。私から一つ提案があるのだけどいいかしら?」
「提案、ですか?」
「ええ。記憶が戻るまでの間でもいいから私の屋敷で住み込みで働かないかしら?その服装からすると、貴女は誰かに仕えていたメイドのようだし……リラの補佐にちょうどいいかもしれないわ。ええ、そうしましょう!これでリラの負担も少しは減るわね!」
「え?え??あ、あの……どうして見ず知らずの私を雇って下さるのですか?」
自分の今後を勝手に決めている女性の行動に戸惑ったメイドは不思議そうな表情で尋ねた。
「ボース市長として、貴女の今の状況を見過ごせないからですわ。―――これからよろしくね、マリアン。」
こうして黒髪のメイド――――マリアン・フュステルはボース市長メイベルに雇われ、市長邸で働く事となった。
現在――――
~七耀教会、星杯騎士団所属、特殊作戦艇”メルカパ”漆号機~
「ヨシュア……レーヴェ…………………………」
ヨシュアが姿を消した翌日の朝、”星杯騎士団”の中でもある地位についている者達のみしか所有する事が許される特殊飛行艇―――”メルカパ”。本来なら”星杯騎士”達のみしか乗船していないはずの飛行艇の中にいる一般人らしき女性――――夜空のような美しい黒髪を腰までなびかせ、琥珀の瞳を持つ女性は甲板に出て、悲しそうな表情で朝日が昇りかけている外の景色を見つめていたが、やがて手に持っていた仮面を顔につけて飛行艇の中に入って行った。
―――――――――空は蒼く――――――――――――
―――――――――全てを呑みこんで――――――――――――
―――――――――それでも運命の歯車は止まらない――――――――――――
――――――愛する少女にハーモニカを託した少年は独り姿を消した―――――
――――少女は少年を連れ戻す旅を決意し、少女の義兄や義妹も少女の力になることを決意する――――
――――だが、静かに鳴らされた鐘は世界にその刻が来たことを告げていた―――
―――――幼き天才少女は因縁の再会を果たす。因縁の相手と再会した少女の選択とは―――――――
――――――出会う新たな敵と新たな仲間―――――――
―――――――――王国は再び試練の嵐を迎える――――――――――
ハーモニカに残された小さな思いを追って進む彼らの道が、新たな”軌跡”を描き出す………!
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