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マルシュキニアイ

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第三章

「楽しみで仕方ないよ」
「それは何よりですね」
「さて、それじゃあね」
 あらためてだ、ワイダはマリノフスキに尋ねた。
「君のお兄さんの奥さんの妹さんだけれど」
「彼女のことだね」
「うん、どんな娘かな」
「これがかなり可愛くてね」
 笑ってだ、マリノフスキはワイダに答えた。
「まだ彼氏がいないのが不思議な位だよ」
「リトアニアも美人が多いけれどね」
「我が国と同じだけね」
「まあ元々同じ国だけれどね」
「ははは、それを言ったら同じだね」
 美人の話をする時もこの歴史的経緯が出る。
「どうにも」
「そうだね、混血もしてるしね」
 ポーランド人とリトアニア人はだ。尚ポーランド独立の為に全てを捧げたコシューシコはリトアニア人だった。
「それならね」
「リトアニアに可愛い娘が多いのも道理だね」
「我が国に負けない位にね」
「こうして言葉も通じますし」 
 ウェイターも笑って言う。
「そういうことですね」
「そうそう、とにかくね」
「うん、僕の兄貴の奥さんの妹だね」
「どんな感じだい?」
 ワイダはマリノフスキにまた尋ねた。
「それでね」
「こんなのだよ」 
 こう言ってだ、マリノフスキは自分の携帯を出してだ。彼女の写真を出した。
 小柄で楚々とした顔立ちをしている、頬は適度にふっくらとしており色白だ。ただその頬が薔薇色になっている。鼻の高さはやや低めだ。
 目は青く湖の様だ、大きく可愛い目である。眉の形もいい。 
 髪の毛は栗色で長く伸ばしている、ロングスカートとブラウスがよく似合っていてリガの街の中で笑顔でいる。
 その彼女を観てだ、ワイダは言った。
「確かにね」
「可愛いだろ」
「日本に行ったらアイドルになれるね」
「いや、リトアニアで女優だよ」
「そっちかな」
「そうだよ、女優だよ」
 祖国リトアニアでというのだ。
「日本ではないよ」
「遠いからだね」
「日本のアイドルは有名だけれど」
「それでもか」
「日本のアイドルになるよりはね」
 遠いその国に行くよりはというのだ。
「祖国で女優だよ」
「それかアイドルか」
「君アイドル好きだね」
「嫌いじゃないよ」 
 ワイダは自分の趣味も話に出した。
「実際にね」
「そうだね、それでアイドルマニアだったね」
「そうだよ、まあとにかく可愛い娘だね」
「名前はマルガリータ=マイローニスというんだ」
 マリノフスキはその娘の名前も話した。
「いい名前だね」
「そうだね、それでその娘もだね」
「今回の祭典に出るよ」
「あの服を着てだね」
「そう、マルシュキニアイにショナスをね」
 マリノフスキは笑ってワイダに答えた。 
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