戦国異伝
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第二百五十三話 最後の合戦その十二
「上様に」
「はい、兄上は甘いものがお好きですから」
「左様ですね」
「帰蝶様もそのことは」
「妻ですので」
これが帰蝶の返事だった。
「やはり」
「左様ですね」
「市殿もご存知でしたね」
「いつもそうしたものを口にされていました」
市が見る信長はというのだ。
「柿や蜜柑、無花果に」
「お菓子もですね」
「それに西瓜もです」
こちらもというのだ。
「かなりお好きで」
「そうですね、あの方は」
「ではですね」
「そうしたものも用意して」
そのうえでというのだ。
「待ちましょう」
「それは間もなくですね」
「そう思います」
空を見てわかったことだ、二人で。
「ですから」
「落ち着いて待ちましょう」
「この安土で」
「そしてです」
そのうえでというのだ。
「お花も用意しましょう」
「お迎えする為に」
「そうしましょう」
「では」
こう話してだった、そのうえで。
帰蝶は周りに花を用意する様に命じた、だがそれは今すぐにではなく。
「上様が戻られれば」
「その時にですね」
「花がこの安土を飾る」
「その様にされますね」
「百花、いえ万の花で」
それだけの花達でというのだ。
「城を飾り」
「そしてですね」
「上様を迎えましょう」
「それでは」
侍女達も頷いて花の用意にかかった、帰蝶達も天下を見ていた。そのうえで信長を迎える用意をしていた。
第二百五十三話 完
2015・11・21
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