転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1310話
エリナから責める視線を向けられてから、10分程。正直、この10分は数倍の長さに感じたが……周囲の者達もそんなエリナが発する雰囲気に押されるかのように黙り込んだ頃、ゲートが起動する。
突然ゲートの近くに幾つもの光の繭が姿を現したのを見て、周辺にいる者達は全員が驚きの声を発する。
光の繭……転移フィールドが消え去ると、そこにはきっちりとしたスーツ姿で、いかにも出来る女ですといった印象のエザリアと、イザーク、量産型Wの姿があった。
イザーク……いや、来るとは思ってたんだけどな。
オウカとくっついたにも関わらず、まだマザコンは治っていなかったらしい。
そして何より周囲の連中がざわめき、中には今にも逃げ出しそうになっている者すらいるのは、エザリアやイザーク、量産型W以外にここに姿を現した存在が大きいだろう。
つまり、シャドウミラーの中で最も機体数の多い無人兵器、メギロート。
一見するとカブト虫のようにも見えるその機体は、虫型に近い機体故に木星蜥蜴の機体と勘違いする者がいてもおかしくない。
特に避難民の連中にしてみれば、木星蜥蜴から逃げ回って生き延びてきたのだから虫型の機体に対する忌避感は強い。
同じ虫型の姿をしていも、バッタやジョロとメギロートではその大きさは大分違うんだけどな。
それでも虫型の機体というだけで大きな忌避感を覚えてしまうのだろう。
「安心しろ!」
周囲に響かせるように、大声で叫ぶ。
その声は騒いでいた者達を落ち着かせる……とまではいかないが、混乱させない程度の力はあったらしい。
「前もって言った通り、このメギロートという無人機は俺達シャドウミラーの機体だ。木星蜥蜴の機体と似ていると思う者もいるかもしれないが、お前達の方から危害を加えるような真似をしなければ安心だ。……エザリア」
視線を向けて名前を呼ぶとそれだけでエザリアは俺が何を言いたいのか理解したのだろう。メギロートを後ろに……ゲートを挟んで向こう側へと移動させる。
勿論それだけだとここに集まっている者の中で何人かが妙な真似をしないとも限らないから、マシンガンを身につけた量産型Wが早速ゲートの警備を始めるが……
うん? その量産型Wの姿を見て、ふと違和感を覚える。
いや、明確な違和感とまではいかないが、それでも何かこう……何だ?
今までの、俺が知っている量産型Wとは多少違うような、そんな感じ。
いや、今はその事を気にしている場合じゃないか。
その件は取りあえずこの騒ぎが落ち着いてから、改めてレモン辺りに聞けばいいのだから。
ゲートを設置した以上、通信をしようと思えばすぐにでも出来る筈だし。
「アクセル」
取りあえずゲートの警備態勢を整えたエザリアの言葉に、俺はプロスペクターと……エリナの方へと視線を向ける。
「……ま、いいわ。気になる事は後で聞けばいいもの」
エリナの方も一旦矛を収めたらしく、その隣に佇んでいるプロスペクターの方も安堵の息を吐いているのが分かった。
ま、今はそんな事をしている訳にはいかないってのはエリナにも分かったんだろう。
出来ればこのままエザリアとの交渉に熱中して、その辺を忘れてくれればいいんだが。
「交渉はどこで行う? エザリアがこっちに来たんだし、ナデシコでやるか? それとも、ネルガルの研究所の方でやるか?」
「そうですね、研究所の方はまだ片付けが終わっておりません。出来ればナデシコで行いたいのですが……」
「だろうな」
研究所の様子はこの目で見た以上、プロスペクターの言葉には頷かざるを得ない。
「エザリアはいいか?」
「ええ、私はまだこの世界の事を十分に理解している訳じゃないから、その辺は任せるわ。それと、今回の交渉はあくまでも交渉前の意見の擦り合わせ、という認識でいいのよね?」
「はい、勿論その通りです。あ、名乗るのが遅れましたが、私はプロスペクターと申します。彼女はエリナ・キンジョウ・ウォン。今回の交渉で、ネルガルの代表という形になりますな」
プロスペクターの言葉に、エリナは今まで俺を見ていたのとは全く違う表情へと一瞬で変わり、笑みを浮かべて口を開く。
「エリナ・キンジョウ・ウォンです。まさか、異世界という存在をこの目に出来るとは、私は非常に幸運ですね。また、異世界の政治家とこうして交渉する機会を持てた事を感謝します」
へぇ……この変わり身の早さは凄いな。いや、変わり身っていうとちょっと表現が悪いか? それでも場に合わせた表情を作るのが上手いのは、ネルガルという大会社の会長秘書をやっているだけはある。
そんなエリナに対し、エザリアも笑みを浮かべて口を開く。
「そう言って貰えると私も嬉しいわ。アクセルの扱いには色々と困ったでしょう? 腕は立つものの、一国の代表という立場の割りにフットワークが軽いのよ」
「それは分かります。まさか一国の代表がこうして自分だけで他の世界に来るような真似をするなんて……いえ、私達も迂闊にそういう事は言えないのですが。うちの会長も色々と問題がある方ですから」
「あら、そうなの。お互い上に立つ者の性格には苦労するわね」
「全く」
出会ってからまだ数分も経っていないというのに、あっという間に意気投合したな。
会長秘書と政治班のトップ。似ているようだし意外と馬が合うんだろう。
「一応言っておくけど、アクセルに惚れると苦労するわよ?」
「なっ!?」
お互いに気が合うという事は、性格も似ているという事。
つまり、相手に主導権を与えたくないと思うのは当然であり、だからこそエザリアはエリナを牽制する為にそう告げたのだろう。
実際、そう告げられたエリナは言葉に詰まっているのだから、その牽制には十分以上の効果があったらしい。
……うん。いやまぁ、牽制の仕方に色々と思うところはあるけど、取りあえず黙って様子を見よう。
「な、何を根拠にそんな事を言ったのか、聞いてもいいかしら?」
「あら、貴方のアクセルに対する態度を見ていれば、男女関係に疎くない限りそのくらい予想出来るわ」
「……そ、そう。でもそれは貴方もアクセルにそういう気持ちを持っているから、そう思うのではないの?」
「ふふふ。あらあら、こう見えても子持ちなのよ。夫はいないけど、アクセルにそういう想いを抱いたりはしないわよ」
エザリアの口から出た言葉の何にショックを受けたのか、エリナは目を大きく見開いて唖然とする。
「どう見ても子供がいるような年齢には……ああ、もしかして子供はまだ小さいのかしら?」
「いえ? ほら、そこにいる私と同じ髪の色の……」
そう告げ、エザリアの視線が向けられたのは当然イザーク。
その本人は特に何も感じた様子もなく、エザリアの護衛に専念をしている。
ただ、イザークのマザコンぶりを考えれば、恐らく内心で喜んでいるのは間違いないだろう。
事実、少し眉がヒクリと動いているように見えなくもないし。
だが……そんなイザークとは裏腹に、エリナは驚愕に目を見開いてエザリアへと視線を向けていた。
「そんな、嘘でしょ? 彼は私と同じ年か、少し下に見えるのに……」
「ふふっ、自慢の息子よ」
何だかんだでイザークも既に20代。確かにエリナと同じ年齢くらいに見えるだろう。
実年齢はエリナより上だろうが、数年前からホワイトスターでは時の指輪の融合の効果によって加齢の速度が上がっていたから、その影響だろう。
おまけに、今はホワイトスターにいる限り受信機を持っていれば全員不老になれるというおまけ付きだし。
そうなんだよな、人間が最後に求めるのは不老不死。
シャドウミラーに入れば、不死とはいかずとも不老はお手軽に手に入る。
その辺を使えば、シャドウミラーに入りたい有能な人物は幾らでも探す事が出来る。
……ただ、大抵そういう奴ってのは野望とかがあって妙な騒動を引き起こしたり、何か裏があったりする可能性が高い。
寧ろ、時の指輪が融合する前よりも迂闊に人を選ぶ事が出来なくなったってのは痛い。
そして、何よりエザリアが恐ろしいのは……時の指輪云々のとか関係なく年齢を重ねていた筈なのに、普通に20代に見えるといったところか。
イザークと並んでいるのを見れば、大抵の人物が親子ではなく姉弟と見るだろう。いや、人によっては兄妹と見る者すらいるかもしれない。
コーディネイターって、実は物凄い可能性を秘めているんじゃないだろうか。
今のエザリアがその辺の街中にいれば、普通にナンパされたりもするだろう若さを持っているし……強気な性格が結構顔に出ているから、声を掛けるには勇気がいるかもしれないが。
エザリアの言葉を聞いて驚いたのは、当然エリナだけではない。
ここに集まってきているナデシコのクルーや避難民の殆どが驚きの表情を浮かべている。
特に女は目が爛々と輝いているようにすら見える。……実際輝いてるんだろうけど。
そんな女達の視線に押されるように、何より本人がその秘密を知りたいと思ったのだろう。エリナがエザリアへと向けて近づきながら口を開く。
「もし良ければ、美容の秘密を教えて貰えないかしら?」
「そう、ね……」
一瞬言葉に詰まってこっちに視線を向けてくるエザリアに、微かに首を横に振る。
不老の件を教えるのはまだ早い。
それを見て納得したのか、エザリアは綺麗な笑みを浮かべてエリナへと答える。
「貴方も交渉を任されているということは、当然相応の地位にいるのでしょう? そういう地位にいる人にとって、ストレスというのはかなり問題になってくるわよね?」
「……そうね。今もそうだし、地球にいる時もストレスを少しも感じないような日なんてのはないわね」
「でしょう? それが普通よ。けど、問題はそのストレスをどうやって解消するのかに尽きるわ。シャドウミラーという国では、そのストレスを解消する手段については他の追随を許さないものがあるの。それを最大限利用しているというのもあるでしょうね」
あー……魔法球だな。
外での1時間が魔法球の中だと2日。
ぶっちゃけ、昼休みにでも魔法球に入って中で2日休日を過ごしてから、また午後からの仕事を頑張るとか普通に出来るしな。
しかも、今の魔法球は改良を重ねたおかげで1時間きっかりじゃなくて、10分とか20分とかでも利用出来る。
その上でシャドウミラーのメンバーなら時の指輪の効果があるから、1時間が2日になったところで影響は全くない。
ただし、ホワイトスターに時の指輪を融合させた結果、魔法球に融合させていた時の指輪は取り出したので、シャドウミラー以外の者が魔法球を利用した場合は普通の魔法球のようにしっかりと時間が経過するようになってしまったが。
いやまぁ、元々魔法球は基本的にシャドウミラーの利用を前提としているので、その辺はあまり気にすることじゃないんだろうけど。
唯一の例外はネギま世界の連中か。
純粋な性能として、エヴァの保有している魔法球よりもシャドウミラーの所持している物の方が高性能である為、ネギま世界の元3-A組やその周辺の人々は結構利用していた。
けど時の指輪の効果がなくなった以上、これからはそう簡単に利用も出来ないだろう。
ホワイトスターの方の受信機はシャドウミラー所属の者しか付ける事は出来ないし。
そんな魔法球で何かストレスを感じたらすぐにでもそれを発散しているエザリアだけに、ストレスで困るという事はまず有り得なかった。
だが、エリナの方はそんなエザリアの言葉を聞いて、不思議そうに首を傾げている。
この辺はシャドウミラーという組織を知らないからこそだろう。
「ストレスを発散させるにしても、そんな時間的な余裕があるのですか? 一国の政治家で、他の世界との交渉を任されるような方にそんな時間があるとは、とてもではないが思えないのですが」
「あら、もう少し気楽に話してくれていいのに。……けど、そうね。今までの経験から考えれば、恐らく貴方もその辺をいずれ理解出来るようになるかもしれないわね」
謎かけのように告げるエザリアの言葉に、エリナは不思議そうに首を傾げる。
そんなエリナを見ながら、俺の方にどこかからかうような視線を向けてくるエザリア。
……完全に分かった上でやってるな。
そしてエザリアの近くで護衛として佇んでいるイザークは、俺の方にジト目を向けてくる。
いつもであれば睨んできてもおかしくないんだが……これもオウカと付き合って丸くなったとでも言うべきか。
「ともあれ、その辺の話もしたいところですが、何よりこの世界についての話をする必要があるのでは? そろそろ場所を移して本格的に交渉を始めましょうか。いえ、その前に出来ればアクセルからこの世界の件を詳しく聞かせて欲しいので、部屋を用意して貰えるかしら」
エザリアの言葉にエリナもすぐに頷き、こうしてこの場は解散という事になり、ゲートの護衛として量産型Wとメギロートをこの場に残し、俺達はナデシコへと向かうのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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