赤とオレンジ
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第0章 原作前
再び!
空は紫色。周りには木々が生い茂っている。
今俺が何処にいるのかというと…冥界だ。
なぜこんなところにいるのかというとその理由はニ日前に遡る。
「ちょっといいかな?」
リビングにいると父ちゃんに突然話しかけられた。
「なに?」
「二日後に冥界のとある山でドラゴンを退治してきてくれないか?」
「突然なんで!?」
「ある人に頼まれてしまってね」
という訳で俺はここ冥界の山にいる。
そもそも意味わからん!なんで俺がやるの!?頼んだやつがやれよ!
今ここで愚痴っていてもしょうがない。探すとするか…
あれこれ彷徨って一時間経つがドラゴンがいない。
なんでいないんだよ!?ここにいるんじゃないのか!適当だな…おい・・・。
『相棒、この先に嫌な気配がする。おそらく俺と同じドラゴンだ。気をつけろ。下級ドラゴンだと思うが気を抜けばやられるぞ』
ドラゴンか・・・それは面倒な相手だな。ドラゴンとは力の塊。前に言ってたな。下級であろうとも気は抜けないな。
すると「きゃぁぁああああ」という女の子だと思われる悲鳴がこの先の方から聞こえる。
この声何処かで聞いたことあるような…と思いつつ声のする方へ急いで向かった。
気配のあったところに着くとそこには・・・・トカゲに翼の生えた蒼い西洋風のドラゴン。その姿はドライグに似たような感じだ。
そのドラゴンから視線を下にやると紅髪の女の子と銀髪のメイドさんがいた。
あ・・・あれは確かリアスちゃんとシルフィアさんだ。
なんでこんなところにいるんだ?
リアスちゃんはビビっているのか足が震えている。シルフィアさんはリアスちゃんを守るかのように目の前に立っているが少し焦っているような表情をしている。
「リアスちゃん、シルフィアさん大丈夫ですか?」
「あなたは確か・・・」
「・・・空?」
2人が誰か気づいたように声をかけてくる。
「そうだよ。お二人共久しぶりですね」
話しながら、2人の目の前に立ち守るように構える。
「空様はリアス様と一緒に早く逃げてください!」
シルフィアさんはリアスちゃんと逃げるように言い、リアスちゃんも「逃げて!」と言うが、二人を無視してドラゴンへ走って突っ込んでいく。
左腕にはいつの間にか赤龍帝の籠手を出現させていた。
今日はリアス様がこの森に行ってみたいと言われ護衛として付いてきましたが、この森を歩いていると目の前に巨大な怪物が姿を現した。
大きな目に今でも私たちを飲込めそうな大きな口に鋭い牙、全身には蒼い鱗。
そう、この怪物は・・・ドラゴン。
そのドラゴンが襲ってきた。
そのドラゴンが口から炎をはいてくる。
私たちの体の何倍もあるかという巨大な炎。
「きゃぁぁああああ」
悲鳴をあげて泣いているリアス様を抱き炎を避ける。すると炎が通ったところは木々や草は萌えてしまいはいとなっており、さっきまで草で緑だった地面が剥き出している。
リアス様を下ろして目の前に立ちドラゴンと向かい合う。
向こうはおそらく下級ドラゴン。下級ドラゴンだとはいえ炎はこの威力、そして最強の種族のドラゴンと対峙するのにリアス様を守りながらだと戦いにくい。
リアス様を見ると足をガクガク震えて膝をついてしまっている。抱いて逃げても追いつかれてしまう可能性が高いため逃げるのも厳しい。
どうするか思考していると、目の前に10歳くらいの少年が現れた。
「リアスちゃん、シルフィアさん大丈夫ですか?」
その少年は見たことがあるような気がします。それは確か・・・。
「・・・空?」
リアス様が空と言った。
空様と言えば・・・ミナト様とクシナ様の息子。年齢もリアス様より一つ下なだけ。目の前の少年も背丈は同じくらいですし、なによりも昔とあまり顔が変わってない。
「そうだよ。お二人共久しぶりですね」
やはりこの少年は空様のようですね。
そんなこと思ってる場合じゃない!
「空様はリアス様と一緒に早く逃げてください!」
「逃げて!」
リアス様も空様に言うがそれを無視して、ドラゴンとへ向かって行った。
その際、左腕に出した赤い籠手は・・・。
あれは確か神をも滅ぼす事の出来る神器。十三種の神滅具の一つ・・・赤龍帝の籠手。
ミナト様とクシナ様の息子さん、底が知れない。
あれをやるか、ドライグ。
『わかった。ただし制限時間は1時間だぞ?それ以上は肉体が保たない』
それだけあればあのドラゴンを倒せるさ。
小さな声でこう呟く。
「禁手化」
『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』
籠手が赤く光り出し、徐々に体全体も赤いオーラに包まれる。
俺の体はドライグのような鱗が体にある。
それはドライグの姿を模した全身鎧。
籠手にあった宝玉は体の至るところにいくつかついている。
背中にはロケットブースターのようなものがある。
つまりこの状態は禁手だ。
この状態になると身体能力が大幅に増大し、倍加も瞬時に行う事ができる。
上空に浮かび蒼いドラゴンと対峙する。
風が強く吹き荒れる。
地上はからは数メートル離れているのに砂埃が舞い上がってくるほどだ。まるで竜巻のような風。
だが、その風が嘘のように止まり静寂が訪れ、木の葉が地面に落ちる。
その瞬間、俺と蒼いドラゴンは飛び出した。
上空でお互いの拳と拳がぶつかり合う。
向こうの拳は俺の顔二個分あるのではないかという大きさだ。
ドォォ!!
拳がぶつかり合ったとは思えない音が辺り一面に響き渡る。
こんなのを生身で受けたらとんでもない事になる。鎧があってよかった。
『油断するなよ、相棒。相手もドラゴンだ。油断するとやられるぞ』
ああ、そんなことくらいわかってらぁ!
背中の魔力噴出口を使い飛び出し、高速でドラゴンの周りを飛びながら、下から腹に詰め寄る。
『BoostBoostBoostBoost』
倍加の音声を高らかに鳴らしながら、俺の拳を一撃いれる。
ゴスンッ!
鈍い音を鳴らして、さらに上空へ打ち上げる。
ドラゴンは上空で体制を立て直しこちらを向く。翼を羽ばたかしてこちらへ突っ込みながら炎を吐き出してくる。
中々の熱量だ。鎧の下まで感じる。
ドライグでさえも『中々だ』と言っているくらいだ。だが、これくらいじゃくたばらない。
『このくらいでくたばったら赤龍帝の名が泣く』
ドライグもこんなこと言ってる。
確かに俺も同意見だ。
左手に魔力を溜めて乱回転させ螺旋丸を作る。
その左手を前に突き出し、炎の中へ飛び込んでいく。炎が周りに避けていく。
ドラゴンの目の前に来たところで高らかに吠える。
「螺旋丸!!」
「ゴホッ!」
顔面に直撃し、血反吐を吐きながら、後方へ後退していき、そのドラゴンは彼方へと消えていった。
リアスちゃんとシルフィアさんの元へ降り立ち、禁手を解除した。
「お二人共無―――」
俺が言葉を発した瞬間に何かで腹を貫かれてしまった。
「ぐはっ!」
口から血を吐いて、前へ倒れ込んでしまい、腹からも大量の血が流れ出ていた。
油断してた。まさかあんな伏兵がいるとは・・・。
『油断しすぎだ。もう少し緊張感をもて!それくらいの傷ならワシに任せとけ』
九喇嘛から怒気の含んだ口調で言われる。
ドライグはというと・・・
『大丈夫か?相棒!』
とても心配してくれている。素直に嬉しい・・・。
「きゃ、きゃぁぁあああ」
リアスちゃんの悲鳴が耳に入ってくる。
少し目を向けると、目からはポロポロと涙を流し、顔がくしゃくしゃになっている。
シルフィアさんも口にこそ出さないが、涙を流して、攻撃した者を睨みつけている。
その視線を辿るとそこには・・・。
「偽りの魔王の血族よ。我らが始末してくれる!!!」
そこにはフードを被った男女10人の姿があったのだった。
そして誰も気づかなかった。
空の身体がオレンジ色の魔力がで包み込まれ、傷が塞がっていっていることに・・・。
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