インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~
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第5巻
箒の特訓模様×織斑兄妹による真剣模擬戦
本来なら昨日箒・鈴・ラウラをコーチするべくアリーナへ向かうはずだったのだが、急遽次の日になったのは完全に黒鐵改がフリーズした所為。だがこれに関して知っている者は、次元パトロール隊とブラック・シャーク隊と記憶共有者だけである。なのでこうして第三アリーナへ向かう俺と更識姉妹は、箒達を鍛錬相手としてだがセシリアとシャルが主な講師としてやっている。
「あれ?一夏」
「一夏、何故ここにいるのですか?」
「何でアンタらがここに来てんのよ」
丁度訓練が一段落付いたのか、IS解除しているが姿はISスーツを着ている。俺らとの違いはスーツからであり、こちらはMSとIS用のパイロットスーツとされているので特殊フィットスーツでスクール水着状のレオタードと膝上サポーターのようなピチピチではない。
「何、お前らの訓練を見に来ただけだ。ついでに俺らもコーチとしてやるんで、訓練中は俺らの指示を聞けよな。セシリアとシャルは俺らが来るまで何やってたんだ?」
「箒には中距離遠距離用のライフルにて、射撃訓練してて鈴には近中距離を主にやっていましたわ」
「僕は主にラウラと模擬戦してたよ、最もラウラには射撃よりも近距離戦を主としてやってたけどね」
「なるほど、IS活動記録を見させてもらうが今後は俺らも専属コーチとして日替わりで相手は違うと思って構わんさ」
と言う事でIS活動記録として空間からタブレットを取り出した俺だったが、投影型の記録映像が見れるけど俺は主にタブレットで確認するのが癖となっている。箒も射撃訓練やっているから次のステップに進むとして、こちらのISなら応用編もすぐに出来るので何とかなる。
「更識姉妹は鈴とラウラ、箒は次のステップに進んでもらう。初めは経験者の基礎編を見てからにするが、セシリアとシャルは『シューター・フロー』で円状制御飛翔(サークル・ロンド)をやってから応用編をしてもらおうか」
「それは構わないけど、それって射撃型の戦闘動作だったよね」
「基礎編と応用編をやるのは構いませんが、箒さんの役に立ちますの?」
「確かに近距離特化の紅椿ならいらないかもしれんが、戦闘経験値が一定量に達したら紅椿が独自構築してライフルが出るかもしれん。ライフルなのか荷電粒子砲なのかまでは分からんけど、射撃能力が追加されたら重要なのは面性圧力。俺の推測だと連射の出来ない武装はショットガン向きで、一撃必殺の狙撃銃に近いし敢えて近距離で叩き込めばいくら射撃能力が低い箒でもな」
俺の説明により納得したセシリアとシャルだったが、射撃能力に関して斬撃にてやっているけど射撃戦には向かない。どっちかと言うと徒手空拳か剣術に向いているので、今までの訓練だったら別にしなくてもいいかもな。だが未来予知にて、箒の紅椿は経験値獲得したらライフルを独自構築するとな。やがて楯無はラウラと模擬戦で、鈴は簪と模擬戦してしていた。
「さて、準備出来た所で箒。しっかり見ていろよ、今は必要がなくとも今後にて役に立つかもしれないからな」
「分かっている・・・・いくら近距離だけを訓練したって鈴のような者とは相性が悪い事は理解している」
『それでは始めますが、応用編とはアレでしょうか?』
『アレだ、マニュアルだと不可能と言われていた事をハロで制御と共に剣とライフル同時攻撃をする事だ』
『箒さん。しっかりとご覧になって下さいませ』
俺との会話のみ箒には聞こえてないが、互いのISをケルディムとして向かい合う。違いは色のみで、武装は同じであるが動き出した二機は正面から接近しようとせずにそれぞれ右方向へと動き始めた。互いに銃口向け合ったまま、背中を壁に向けて円軌道を描いて行く。
『まずは基礎編として行くよ、セシリア』
『いつでも構いましてよ』
加速し始めてから二機は射撃を開始、円運動を続けながら不定期な加速を行いながら射撃を回避と同時に自ら射撃を返しながら減速せずにどんどん加速していく。本来なら第二世代と第三世代のISにて、機動能力が第三世代並みなのだが俺らのISに世代関係無しの完成系とされている。
PICのように肩部推進翼と任意装備出来る小型推進翼を使って姿勢制御・加速・停止の三次元的な動き、本来オート制御されているが俺らのは全てハロで制御となるのでマニュアルに近い。
『流石ケルディムをよく使うセシリアだね』
『シャルロットさんこそ、同じケルディムを使ったとしても動きに違いが見えますわね』
そういうやり取りをしていると、二人は更に射撃を激しくしていくが他の面々も模擬戦からそのまま空中見学していた。
「これは・・・・」
「箒も凄さが分かると思うが、あれは射撃と高度なマニュアル機体制御を同時に行っている。回避と命中の両方に意識を割きながらで、機体を完全に自分のモノにしてるけど本番はこれからさ。二人共・・・・アレを開始せよ」
そう指示を出すと先程まで軽いマニュアル機体制御をしていたが、ここからが俺らのISでの訓練プランでよくやらせる事だが。射撃と格闘をやりながらハロにて機体制御を任せている事で、命中と回避も全てやってくれるから射撃と格闘を同時に扱えるようにする。機体制御をハロに一任、銃と剣を同時に扱う事で更に相手を混乱させる事も可能だからだ。
「何よコレ!射撃と格闘を同時にやっている何て、こんなの見た事ないわよ!」
「我らの部隊でも不可能な事だ、射撃と格闘を同時進行させる技術など今までどこの国や軍隊でも見た事がない。これはブラック・シャーク隊のみ使えるようだな」
「ラウラちゃんの正解、これについては今まで隠していたけど一夏達の部隊なら軽くやってしまうわ」
「それに機体制御をマニュアルではなく、全てハロによる制御によって今見ている動きを可能にさせた。ライフルで撃ちながら剣や投擲武器にて攻撃をする・・・・ブラック・シャーク隊だと必ずやる訓練の一つとされている」
機体制御のPICは本来オート制御となり、細やかな動作は難しくマニュアルにすれば機体制御を同時に意識しなくてはいけない。今やっているのは先程の応用編だから箒らにとっては、同じ動きをしろと言われても無理としか言い様がない。箒にとって難しい課題だが、常に平静で感情的にならず二つ以上の事を同時に考え続ける。
「箒はあくまで基礎編のをやってもらいたい、経験値も重要だけど高度なマニュアル制御も必要となってくる。オートもいいが、もし敵がやってきて素早く攻撃する時に必要な事だ。二人共、射撃と格闘の同時攻撃から先程見せた『シューターフロー』で円状制御飛翔(サークル・ロンド)に戻って構わんよ」
『了解しましたわ』
『実は僕らもなかなかしないんだよねー』
互いの銃弾をシールドビットで守られてから、先程の見本をまた見せてから箒にはしばらく俺らと共に猛特訓する事にした。もちろん鈴とラウラもそうだが、更識姉妹が模擬戦相手をしてもらうので何とかなった。そんで二日が経つけど、放課後になると専用機持ちである箒・鈴・ラウラとブラック・シャーク隊である俺らが日替わりで相手を変えるが箒のみ俺となっている。
「で、何でここに織斑先生がいるの?」
「放課後のみ千冬で構わんよ、何やら一夏ら部隊のみ使用出来るプランがあるらしいと聞いたのでな」
「ならば丁度良かったが、千冬に使ってもらいたい試作品がある。これは対IS用武器であるが、千冬専用ブレードとされている。一見日本刀にしか見えんが、握れば分かるさ」
「一見すると鞘付きの日本刀にしか見えん、持ってみると分かるようだが通常より重いな。IS専用ブレードより軽いが・・・・」
「ならば俺が持つ剣での模擬戦しながらその試作品を自分のモノにすればいいさ、セシリアとシャルは箒のマニュアル制御訓練を頼む」
そうして俺が持つ擬態後の剣と対決となったが、セシリアとシャルは厳しく箒を見ていた。意識を制御に集中し、アリーナ・フィールドの中心に位置するバルーンへと視線を定めていた。俺と千冬は地上でやっていたけど、鈴とラウラと更識姉妹は別アリーナにて訓練中だと中間報告で聞いている。
「箒さん、スピードが落ちていますわ。もっと集中しなさいませ」
「わ、分かった」
「筋は良いんだけど、ライフルを持った箒にとって無駄かもしれないけど一夏が必要だとすればそれをやる事だね」
「そりゃそうだ、俺が指示を出しておけば部下であるお前らからの指示=俺の指示とされている」
左手にショットガンを持たせながら待機、モードをバズーカとしているのでエネルギー再充填まで二十秒。PICをマニュアル制御しながら、射撃時の反動も自分で相殺しなければならない。箒にとってこれは予想以上にキツいし、反動制御に失敗すれば真後ろの壁か俺らがいる所へ頭から突っ込むハメになる。
「(セシリアとシャルロットは簡単にやっていたが、シューター・フローだけでも難しいと言うのに)」
実際二人はマニュアル操作でやれるだけの技術を持っているが、ハロとのコンビネーションでやっているので基本的にマニュアル操作をハロだけで任せている部分は各機体によって違う。紅椿と一体化している脚を慎重に動かすが、箒の教え方は所々に擬音が入るので遠心力を利用しつつ制御する。まるでスケートのような感じで滑るが、千冬もただ教師をやっているだけではなさそうだ。
「千冬、真剣を持つ同士で模擬戦出来る何て余り無い事だろ?」
「そうだな。日頃から小娘らにIS操縦を教えて来たが、私が戦う所を見たのは大会以来かもしれん。それにこれはビームサーベルと刀の二通りが出来るようだし、模擬戦相手が一夏なら手加減無用だ」
「それはこっちのセリフだ、ブリュンヒルデと呼ばれた千冬でもISを纏っていなくとも相手出来る程の力を持つ俺と同等かもしれんがな」
「箒、集中ー」
「は、はいっ!」
「今、一夏の事を考えていたでしょ」
「ち、違う!」
とまあこんな感じで千冬と模擬戦しながら見ていたが、今は意識を機動制御に集中させてアイススケートをやっているようなイメージを浮かびつつ遠心力に流されつつ逃がすと言う動きとなっていた。
「(しかし、これはやはり射撃タイプの動作だろうな。本当に私の役に立つのだろうか・・・・?)」
「はい、そこで余計な事を考えないの。ちゃんと集中しないとどうなるか知らないよー」
「すみません」
実際俺の指示もそうだが、セシリアとシャルの指導は優秀な訓練官であると同時に分からない部分でさえ分かりやすく箒に理解させるのも俺の仕事の一つだ。擬音ばかり使う箒に、実際やっている事を説明させたら見事に擬音だらけだったのでまずはそこから直す事となった。
「小娘ばかり目を向いているが、私ではつまらんか?」
「いんや、この模擬戦は楽しくやっていると同時にアイツの教官でもある。なのでアレを習得させたら、次は何をさせるか頭の中で考えていた」
「一夏の太刀筋は相変わらず手厳しい程だが、生身でISに立ち向かう事など私しか出来ない事かと思っていた」
「俺が持っている剣も特別だが、千冬が持っている剣も意識させれば色々と使えて便利な代物になるだろう。ただし、今回は試作品なのでな」
そう言っていると上でやっている箒の速度が上がってきたので、そこで瞬時加速をしてみる事となった。シューター・フローの円軌道から直線軌道にシフトさせて、相手弾幕を一気に突破させてから零距離でショットガン。箒にとっていきなりの指示だったが、俺からも急げ!と指令だったのか意識を瞬時加速にシフトさせた。だけどやはり素人がすぐに出来る事でもないが、これに関しては練習あるのみ。
「いたたた・・・・やはり上手くいかんな」
シューター・フローを途中停止させた為、制御しきれずに壁にツッコんだ箒。
「瞬時加速のチャージしながらシューター・フローも途切れさせない事だね、難しいけどこれも一夏の為だと思って練習に励もう」
「そうですわ、いきなり出来る者はいませんが練習あるのみ。なのでちゃんと覚えてほしいので、先程の繰り返しとなりますわね」
「わ、分かった。二人がそう言うならば、練習あるのみだが本当に身に付くのか?『一夏の指令だからね、きっと何か考えがあるんだよ』そうだな、それに千冬さんと真剣勝負やっている事が最早師範レベルと言いたい」
箒らが休憩としてドリンクを飲んでいると金属音が鳴り響いていたが、それは剣と剣の火花が散る音でありたまにビームサーベルとして使っていた千冬だったがこちらの剣はそんじょそこらの鈍ら剣ではない。別外史で暴れている俺がよく使っている武器だそうで、箒の特訓が終わる頃には五戦共引き分けとなった。そして今後放課後、時間が空いたら俺の鍛錬に付き合う事になった。
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