剣士さんとドラクエⅧ
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58話 島国2
にしても……この、城の内部も、どこからツッコめばいいのかな?魔物が出る所からたったの一枚の扉越しに玉座の間っていうのが一番のツッコミどころだったことには間違いないけど、それ以外にも色々酷いんだけど。警備の視点にも、今までの常識的にも。
まず、玉座の間は玉座の間だ。王や王族などの主君のおられる場所だ。だからさ、守りやすくしているもんなんだよね。間違っても、「店や銀行と一緒にしたりしない」。すぐ横に宝物庫があるのは……守りが固めれていいんじゃないかな……これはいいとしても。なんで……かな。
軽く覗いただけだから、品揃えを全部見たわけじゃないけど、……流石に武器は売ってないけど、どういう反応をすればいいのかな?カウンターの下に幾らでも武器を隠せるよね?強盗防止のために店側で武器ぐらい持ってるもんだよね?店の人も、衛兵と同じ様な訓練をしたのかな?そうじゃなかったら……流れの商人とかなら……少なくとも近衛として、ちょっと認めたくないな。
……と、ここまでが僕の現実逃避。遠い目をして足取りの重い僕の腕をむんずと引っ掴んだトウカに半ば引きずられるようにして城の内部に連れて行かれた僕……と、それに着いて来ざるをえなかったみんなは、なるべくゆっくりと進むようにしてトウカの進行を妨害する。いくらなんでも国主に挨拶……は、いいとしても、部屋まで行くもんじゃ無いんだけど……ねぇ。本格的につまみ出されたくないんだけど……。
……あれ?衛兵少なくない?国主の部屋へ向かうってのに……あぁ、なんとも心配な国だ……。僕が配置を命令する立場ならこの五倍ぐらいは衛兵を配置したいよ……だって、魔物と扉一枚で隔てている国なんだから、何時襲撃してきても国主を守れるようにしたいでしょ……?なんて、半分以上引きずられながら考えるよ。足が床を擦ってるよ、そんなに引っ張らないで。
・・・・
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・
潮風を浴びながら目を細める。風を浴びるのは実に気持ちがいいね。え、メダル王の国?……あぁ、王様が病気で王女様が代わりに小さなメダルを集めているっていう話だったよ。それだけ。悪いけど……私はトロデーン以外わりとどうでもいいから……まぁ、年若き王女様が苦労なさっているのは大変だなって思うけど。私は冷たい人間だから……それ以上は何も思わないかな?
「……少し休もうぜ」
ぶっ続けで次の目的地となるベルガラック目指して進んでいたんだけど、魔物が出るわ出るわ。フィールドと何ら変わりない数の魔物になんとも言えない。私はひっきりなしに戦うのは楽しいんだけど……ククールは疲れちゃったのかな?あれ、エルトもゼシカも頷きながら船に聖水まきはじめちゃった。
「あと……どれくらいだ?」
「星が出ないと正確にはわからないけど、まぁ、四分の一ってとこだよ」
「そうか……」
答えたら余計にがっくりしてるけど、知らされないよりはいいんじゃないかな?海の魔物と戯れるのは新鮮で楽しいのにな。それに暇さえあれば釣りできるよね。ずっと陸の物ばっかり食べてきたから美味しくて好きだな。もちろん、魔物じゃない魚だよ。エルトとかククールとかに止められるから魔物は食べれないし……スライムのゼリーはいつか食べるつもりだけど。止めてくれるな。
「大海原で戦うのもいいもんだね」
「そうでがすね。トウカの兄貴、水でがす」
「そう言ってくれるのはヤンガスぐらいだよ……ありがとう。じゃあアモールの水あげ……」
「ホイミ!でがす」
「……遠慮しなくていいのに」
なにさ……みんなしてアモールの水を、むしろ渡してきて……。
「トウカは怪我することも多いから自分で持っておくべきなんだよ」
「なんのための前衛と後衛?」
「悪いな……だが回復しきれねえのは事実だ」
……まぁ、私は魔法が使えないからその対応もわかるけど。ゼシカはほぼ常にククールの隣にいるから私程回復が間に合わないということはないだろう、ね。前衛で一人魔法を浴びたら瀕死になるし……まあ、後ろに人がいない限り大体よけれるんだけど。
「そうか」
まぁ、納得したんだけど、なんか嫌だなぁ。魔法が使えないから、回復を道具に頼るしかないから、一番攻撃を受けるから、魔法で受けるダメージが一番大きいから。納得できる理由は沢山あるけど、それって私が弱いからだ。魔法が使えないのは……自分でどうにかできるものでもないけど、それでも……なんだかね。
「……悪いように解釈してるみたいだから言うけどさ、トウカ」
「ん?」
「船の上だからいまいち分からないかもしれないけど、普段の旅でトウカが単騎突撃して魔物の数を減らしてくれなきゃ、僕達はとっくに全滅していたと思うよ」
「それは……ないと思うけど」
「トウカに何かあったら冗談抜きで全滅だよね、みんな?」
「ああ、死ねるな」
「あの数の魔物に囲まれたらあたしも無理ね」
「あの数は……無理でがすよ」
……フォローに走ってるのはなんでさ?別に傷ついてなんかなかったし、私が魔法が使えないのは今更で、捌ききれないのも……私が弱いからだって。捌ききれないということは、捌ききれるようになれるということで、もっと強くなれるということ。伸びしろがまだあるという事じゃないか。
「ああ、分かったから。アモールの水だろうが薬草だろうが使いきれない程常備してるから安心してよ。みんなを魔物みたいな奴らに殺させはしないし……勝者はいつもボクさ。潰すのもね」
安心づけるように笑えば、何故だか後ずさられた。なんでさ。
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