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戦国異伝

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第二百五十一話 周防の戦その十一

「どれ位残っておる」
「傀儡は七割やられました」
「そして魔界衆の者達もです」
「その数をかなり減らし」
「半分近くにまでなっています」
「そうか」
 その数を聞いてだ、老人は。
 難しい顔になりだ、棟梁達に言った。
「まだ御主達は残っていてじゃ」
「はい」
「そしてまだ同胞達も残っています」
「それならですな」
「ここは」
「抜かったわ」
 苦々しい顔でだ、老人は今言った。
「まさか我等をこうして攻めるとはな」
「はい、釣ってですな」
「そしてですな」
「我等を誘き出し」
「そのうえで囲んでくるとは」
「これがじゃ」
 まさにとだ、老人は忌々しい顔のままで言った。
「織田信長の攻めか」
「織田信長自身を囮にし」
「そのうえで誘き出し」
「そして大軍で一気に囲み攻める」
「鉄砲を次次に撃って」
「これでは勝てぬ」
 到底、というのだった。
「最早な」
「この陸では」
「それは適いませぬな」
「この有様では」
「到底」
「こうなっては仕方がない」
 こうも言ったのだった。
「わかるな」
「はい、海ですな」
「既に船の用意は出来ております」
「ここには傀儡だけを置き」
「そのうえで」
「最後の戦じゃ」
 海においてというのだ。
「わかったな」
「はい、それでは」
「海の戦で勝って」
「そしてですな」
「あの者達を滅ぼしますな」
「ここで妖術を使おうと思ったが」
 それでもというのだ。
「この状況では気が練れぬ」
「ですな、必死に追ってそれだけ気力も使いました」
「ですからここはです」
「妖術は使えません」
「残念ですが」
「しかしじゃ」
 この場では駄目としてもというのだ。
「海なら違う」
「海の上で気を練り」
「そしてそのうえで」
「妖術を使い」
「今度こそは」
「一ノ谷ではどういう訳か効かなかった」
 その妖術がというのだ。
「しかしじゃ」
「今度こそは」
「海での戦では」
「妖術を使いましょう」
「是非共」
「そうじゃ、使う」
 まさにだ、その妖術をというのだ。 
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