魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~
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第2章:埋もれし過去の産物
第42話「託された想い、砕ける闇」
前書き
今更ですけどストーリー構成の才能がホスィ...。
のめり込むようなストーリーが書けるようになりたいです...。(´・ω・`)
―――....?どうしたのシャル?
―――...いえ、何かお嬢様が思い悩んでいるように見えたので...。
―――...ちょっと...ね。闇の欠片と、あの“夢”の事を考えてたの。
―――“夢”...ですか?
―――うん。私とお兄ちゃんにそれぞれそっくりな人が出てくる“悪夢”。
―――......。
―――“そっくり”っていうので闇の欠片からその夢の事を思い出したの。
―――...何か思い当たる事が?
―――.....ねぇ、シャル。
―――なんでしょうか?
―――...知ってる事、全部教えて。
―――.......それが、お嬢様の命令であるならば。
―――知っておかなきゃいけない。そんな気がしたの。
―――...なるほど。分かりました。
―――.......そっか....。
―――お嬢様にとっては、まさに“悪夢”でしたね。
―――心に...魂に刻まれた記憶だから、夢で見たのかな。
―――おそらくは。
―――...となると...うん。...きっと.....。
―――...お嬢様?
―――シャル、ちょっとやっておきたい事があるの。
=out side=
「っ、ぁああああああ!!」
―――ギィイン!ギギギギギィイン!!
迫りくる魄翼の猛攻を、サーラは片手で剣を振い、凌いでいく。
「っ.....!」
「ぐ...!ふぅ...!ふぅ...!」
その猛攻を妨害するように、多数の魔力弾と、砲撃魔法が飛来してくる。
それによってほんの少しだけ空いた間でサーラは息を整える。
「(ようやく...ようやくあの時に近い力を取り戻せた...!だけど...!)」
その一瞬の間に、彼女は思考する。
「(....ユーリはあの時よりも攻撃が過激になっている。...それはおそらく暴走を抑え込もうとしている反動でしょう。...故に、力を取り戻して彼女達が援護してくれてやっと互角...!...いえ、片手を負傷している今では、不利...ですね。)」
再度飛んできた魄翼を避け、追撃を切り払う。
...そう、彼女は既にこれまでの戦いで片腕を負傷してしまったのだ。
それが利き腕ではないのが...いや、片腕だけなのは不幸中の幸いだろう。
だからこそ、今の今まで拮抗した戦いができていた。
...尤も、ユーリは傷をほとんど負っていない...いや、無傷に近いのだが。
「サー...ラ....!」
「ユーリ...!」
絞り出すような声を出すユーリに、サーラは益々焦る。
「ダメです...!もう、抑えられな....っ!」
「くっ....!」
ユーリがそう言った瞬間、今まで発せられていた魔力が格段に上がった。
...今まで抑えていた暴走が、再開してしまったのだ。
「逃げ....て....っ!!」
「っ...!!」
―――ッギィイイイン!!
「ガッ....!?」
咄嗟にサーラはアロンダイトを盾にし、魔力弾の攻撃を防ぐ。
しかし、追撃の魄翼によって吹き飛ばされてしまう。
「っ....あの時と...同じ...!」
圧倒的な魔力と威圧感。
援護射撃の魔力弾が、まるで砂煙を防ぐかのように魄翼に阻まれてしまっている。
レヴィの接近も既に魄翼に許されない状況になっていた。
「........。」
「っ!」
―――ギィイン!!
援護射撃をものともせず、ユーリは一気にサーラに接近する。
サーラは振るわれた魄翼をアロンダイトで防ぐが...。
「しま....!?」
魄翼が広がり、二つの腕となってサーラを捕らえてしまった。
「(くっ...!体のダメージが大きすぎて反応が遅れてしまった...!)」
しかし、本当にやばいのはこの後だ。
「....私に忠誠を誓ってくれたサーラ。...貴女を喪うのは心苦しい。」
「が.....!?」
ユーリは動けないサーラの胸に手を入れる。
物理的にではなく、魔法を使用しており、人体には影響はないようだ。
だが、それはリンカーコアに干渉し、その魔力で大きな剣を作り上げた。
リンカーコアに干渉された事により、サーラは苦悶の声をあげる。
「だけど、私を止められないのなら、ここで....さよならだ。」
「ユー..リ....!」
ゆっくりと禍々しい赤色の剣を引き抜くユーリ。
サーラはそんなユーリに声を絞り出して呼びかける。
「....“エンシェントマトリクス”....!」
「っ.....!」
大きく飛びのき、ユーリはそれをサーラ目掛けて投げつけた。
「(この..ままでは....!)」
目の前に防御魔法を張り、それを防ごうとする。
だが、手を翳さず無詠唱だったため、それは脆く、破られる。
サーラが覚悟を決め、次に来る衝撃に耐えようとした。
「―――斬り裂け!焔閃!!」
〈“Lævateinn”〉
刹那、その魔法は炎の魔剣によってサーラを拘束していた魄翼ごと断ち切られた。
=優輝side=
「ぐ..ぅ....!」
〈マスター!〉
「大丈...夫だ....!」
体とリンカーコアが痛む。
けど、それを僕は耐える。この程度では倒れるわけにはいかないから。
「無事か!?」
「なんとか...そちらは....?」
「......。」
サーラの聞き返しに、僕は答えられなかった。
...何せ、今の僕の左手にはシュネーのシャルが握られているのだから。
さっきの魔法だって、シャルを使って放った魔法だ。
ちなみにリヒトはグローブ型となって専ら僕の体を保護してくれてる。
「....想いを託されて、僕はここに来た。」
「っ...!ですが、その体では...!」
「大丈夫だ。」
すぐに察したサーラの言葉に僕はそう返す
殺してしまったあいつに比べれば...な。
想いも託されたんだ。ここで倒れたらなんの意味もない。
「...彼女を助けてあげて、と。今ならまだ間に合う、と...そう言っていた。」
「.....!」
「だから、助太刀する...!」
飛んでくる魄翼の攻撃を杖形態のシャルで受け止める。
創造魔法によって射出した武器で勢いを弱め、リヒトとシャルというデバイスの二重使用による身体保護と強化で、ボロボロでもそれを成した。
「...私も、おそらく貴方も既に魔力も体力も限界に近いです。」
「.......それが?僕達に、そんなの関係ないだろう?」
とっくに分かっている事をサーラは僕に言った。
だけど、それを僕は一蹴する。
「...ですね。」
「...一撃で決めてくれ。活路は僕が開く。」
「.....はい。」
そう言って、二人で凌いでいた魄翼の攻撃に目を向ける。
「...力を貸してくれ、シャル!」
〈Jawohl Meister...お嬢様の想いは貴方のために。〉
杖形態のシャルから剣のように魔力の刃が現れる。
「....薙ぎ払え、魔剣!!」
〈“Lævateinn”〉
腰あたりに構え、薙ぎ払うようにシャルに込めた魔力を解き放つ。
魔力は真っ赤な炎の剣のように広がり、僕らを襲ってきていた魄翼を全て薙ぎ払った。
「っ.....!」
「穿て、神槍!!」
〈“Gungnir”〉
攻撃も防御も薄くなった所を、間髪入れずにシャルを媒体に大きな真紅の槍を作りだす。
そして、シャルを思いっきり振りかぶり、槍の部分だけを投擲した。
―――ズガァアアアアン!!!
「っぁ....!?」
魄翼と防御魔法でユーリは防ごうとするが、グングニルは容易く魄翼を突き破り、防御魔法と拮抗して大爆発。
煙幕が晴れるとようやくユーリはダメージを負っていた。
「(恭也さん、御神流の奥義、借りますよ...!!)」
―――“御神流奥義之歩法、神速”
視界がモノクロとなり、全てが止まって見えるようになる。
ほんの少しすれば頭痛が訪れるが、それよりも早くユーリに接近、背後に回り込む。
「(取った!)は、っ...!?」
「っ、ぁああああああ!!?」
不意を突き、完全に拘束してしまおうとした瞬間、魔力の衝撃波によって僕は飛び退かされる。
ユーリは絶叫のように大声を上げ、その魔力を頭上に塊として固め始めた。
「これは...!?」
「っぐ...なんて魔力...!」
鈍器で殴られたような頭痛を抑え、サーラの下へ一度戻る。
「...私が片手を犠牲にして防いだのより強い....いや、比べものにならない...!?」
「....無限の魔力にものを言わせた超極大殲滅魔法って所か....!」
「暴走が再開したから、ここまで...!」
...普段の僕なら、これは防げないだろう。....でも!
「....もう、シュネーと同じ結末を....生み出したくないんだよ!!」
なけなしの魔力を絞り出す。それだけじゃない、大気中の魔力も使う。
...シュネーは、緋雪に生まれ変わっても僕が不甲斐ないせいで、結局生きたまま救われる事がなかった...!ユーリだって、あいつが“助けてあげて”と言ったんだ。...だからもう、同じ存在を生み出す訳には、いかないんだよ!!
「が、ぐぅううう....!!?」
〈マスター!?〉
「構う、な...!リヒト...!」
リンカーコアと体から激痛が走る。
でも、それでも魔力を操るのをやめない。
「貴方は...!」
「...お前は...最後の一撃に備えろ...!」
サーラはトドメを刺すまで動かす訳にはいかない。
「しかし、その体では...!」
「っ、お前の手で助けなくてどうする!“忠義の騎士”ぃっ!!!」
「っ.....!」
かつておとぎ話で呼ばれていた名で僕は叫ぶ。
「...分かりました。」
「...その忠義、彼女に示してやれ...!」
僕はそれだけ告げ、彼女に背を向けてユーリと相対する。
「行く、ぞ...シャル....!」
〈分かりました!〉
既に、まるでアルマゲドンのように大きな魔力の球となって、ユーリの頭上で蠢いていた。
まさに無限の魔力がないとできないような魔力。
全てを闇に呑み込み、絶望へと誘う凶悪な魔法。
...それに、僕はシャルを向けた。
「託された想いを...今、この手に!!」
「っぁあああああああ!!!」
ユーリの魔法がこちらに向かうと同時に、僕も魔力をシャルに集束し終える。
そしてそれを....解き放つ!!
―――“黒き太陽、絶望の闇”
―――“託された緋き雪の想い”
「っぐぅうううう.....!!?」
膨大...いや、今向かい合ってる魔法でさえ無限の魔力と思えてくるほどだった。
それを、僕はなんとかサーラを庇うように拮抗させていた。
「....負.....け..る、か...よ....!」
掻き消えそうな声を絞り出し、負けそうになる体を支える。
「シュネーが...緋雪が...!僕なんかのために託してくれた想いなんだ...!」
完全に押されていた状態から、再び拮抗させる。
周りの音も視界も気配でさえ、魔力の暴風で掻き消えても、僕は負ける訳にはいかない。
「負けて...たまるかぁあああああああああああああああああああ!!!!」
想いを強く、貫く!!
シャルから放出された魔力は、ユーリの魔法を貫き、霧散させた。
...だが、結果として大気中の魔力濃度が高くなり、僕は堕ちる。
「(でも...それでいいんだよ...!)」
崩れ落ちる僕の視界に、再び赤黒い魔力を集めるユーリが映る。
...ったく、本当、無尽蔵な魔力だな....!
...だけどな...!
―――...お前の騎士の“忠義”は、それを討ち破るぞ?
=サーラside=
「...今こそ、助けます...!ユーリ!」
彼が作ってくれた時間。それを利用して、私は魔力をアロンダイトに集束させた。
...いや、私の魔力だけではない、先程の大魔法の残滓である魔力も集束させる。
「っ...ぁああ...!ぁああああああああ!!」
「......!」
ユーリは苦しそうに唸りながらも、再び魔力を集束し始めた。
先程とは違い、正面に集束させている。
「(これは...集束砲撃...!)」
見覚えがあった。...そう、生前での戦いだ。
あの時、私はこの魔法で死に追いやられた。
...尤も、相打ち覚悟でその時はユーリを封印させたのだが...。
「...来い、ユーリ!今度こそ、その“闇”を...討ち破って見せます!!」
私もアロンダイトを頭上に掲げるように構える。
「サー...ラ....ぁああああああああああ!!!!」
―――“決して砕かれぬ闇”
赤黒い、全てを絶望へと呑み込んでしまうような砲撃魔法が私に向かって放たれる。
...生前の時よりも、それは強大だった。
「...我が主は、天上天下ただ一人。貴女を助けるための忠義を、今ここに示す!!」
その魔法に対し、私は勢いよくアロンダイトを振り下ろした。
―――“我が忠義は貴女のために”
視界が、光に包まれた。
=out side=
「くっ....!」
優輝は何とか崩れ落ちて落下していた体を立て直し、上空を見る。
「....何が起きたのですか?」
「...シュテルか。....決着が、付いたんだよ。」
優輝を助けるためか、接近していたシュテルが聞いてきたので、そう答えた。
「...後は、“エグザミア”のシステムを暴走しないように解析するだけだ。」
「なるほど。では、王の出番ですね。」
そう言っておそらく念話の素振りを見せる。
「王の持つ“紫天の書”は、エグザミアのシステムの暴走を無力化させる事ができます。...ただ、一定以上弱らせる必要がありましたが。」
「その条件は今、満たしたって訳か。」
そう言う優輝の視界には、白銀の極光が赤黒い極光を打ち破る光景が映っていた。
「...時に、強い意志は実力差を根底から覆す事がある。」
「....なるほど。それがあの方と、貴方ですね。」
誰かを助けたいと、救いたいと思う意志。
それが優輝と緋雪、サーラとユーリという圧倒的な実力差を覆したのだ。
「...僕も行くか。シュテルは?」
「我らは紫天の下に集うマテリアル。王がいる所へ行くのが普通です。」
「そうか。」
二人は揃って光の残滓が残っている場所へと向かっていった。
「....機能破損....永遠結晶にダメージ...。」
光に包まれ、ユーリは落下する。
だが、その顔はどこか安らかだった。
「(これで...いいんです....これで.....。)」
自身が死ぬ事により、もうエグザミアの脅威はなくなる。
それだけで、ユーリは満足だった。
「.....っ.....?」
しかし、そこでふわりと体が受け止められる。
「無事...ですか?」
「サー...ラ.....?」
受け止めたのは、ユーリの騎士であるサーラだった。
「...ふ、我の策が上手く嵌ったようだ。」
「王....?」
ふと、ユーリが視線を横に向けると、そこにはディアーチェが佇んでいた。
「彼女のおかげで、結晶の暴走を完全に止める事ができたのです。」
「...!エグザミアが...止まっている...?」
自身の暴走の原因であるエグザミアが完全に停止している事に、驚くユーリ。
「...唯一エグザミアのシステムに干渉できる紫天の書を用いた完全な暴走の鎮静化及び、紫天の書の盟主の制御下へのシステムの上書き.....さすがだな。」
「貴方は....。」
そこへ、優輝とシュテル、レヴィも現れる。
「体への負担も大きい。今は眠っておきな。」
「...彼の言うとおりです。今は、眠ってください...。」
優輝の言うとおり、いくら無限の魔力とは言え、大量の魔力の酷使にユーリの体にはだいぶ負担が掛かっていた。
だから、この場にいる全員がユーリに休むよう諭した。
「....そうさせて...もらいますね.......。」
長きに渡り、苦しみ続けた反動だろうか。
ユーリは吸い込まれるようにそのまま眠ってしまった。
「....さて....。」
「.......。」
優輝は改めるようにサーラと向き合う。
「....時間か?」
「...はい。」
優輝の問いにそう答えたサーラは、体から光の粒子が出ていた。
「貴様、その体....!」
「...限界を超えて戦い続けていましたからね...再び眠りに就きます。」
「.....やはり...か。」
サーラのその言葉に、優輝は納得する。
優輝がサーラの下に駆けつけた時点で、優輝は気づいていたようだ。
...既に、サーラの活動時間は残り少ない...と。
「今の私の本体はアロンダイト。アロンダイトに私の魂を込め、肉体を魔力で作りだしているにすぎません。」
「....二度と会えない...という訳ではないんだな?」
「....はい。」
―――...僕とは、違うんだな。
その言葉を聞いて、優輝は少し安心する。
緋雪と違って、死ぬわけではない...と。
「残念ながら、アロンダイトは何故かあの男から主を変えていません。今でこそ、天巫女の力で私が表に出て正気でいますが....。」
「時間が来たら元に戻ってしまう...か?」
言外の言葉を理解してそう言う優輝。
「...それに、天巫女の加護はユーリに託します。...もう、二度とユーリが苦しまないためにも。」
「その結果、自身が犠牲なろうとも?」
自身を犠牲にしようとしているサーラに優輝は問う。
「...私は既に死んだ身です。...想いを託し、誓いを果たせた。それだけで、十分です。」
「っ...残された彼女はどうするんだ!?」
つい、自身の境遇と重ねてしまい、優輝はサーラに怒鳴る。
「.....ユーリには、新たな騎士がいますから...。」
優輝はハッとしてディアーチェ達を見る。
...そのディアーチェ達は、ただただサーラの言葉を受け入れていた。
「貴様の想いは分かる。...だが、貴様の代わりはおらぬぞ?」
「分かっています。...ですが...。」
光の粒子が増える。...時間も迫っているらしい。
「時間もありません。...打つ手は...ないんです。」
「っ.....。」
“打つ手がない”...その言葉を優輝は受け入れたくなかった。
緋雪の時と同じ結末を、生み出すとしか思えなかったから。
...しかし、受け入れるしかなかった。
「...ユーリに加護を託します。....我が身に宿る加護を...“譲渡”。」
サーラが光に包まれ、その光がユーリへと移る。
天巫女の加護がサーラからユーリへと移ったのだ。
...それと同時に、光の粒子がさらに増える。
「....貴方に、言伝を頼んでいいですか?」
「っ....なんだ?」
もう数分も持たない。それを理解していた優輝は言葉を詰まらせながらも聞き返した。
「“立ち止まらないでください。私は...貴女の騎士は必ず貴女の下へ戻る”...と。」
「っ.......。」
優輝はそう言うサーラを見て、緋雪とのやり取りと重ねてしまう。
「....分かった。」
だからこそ、まだ会える可能性を秘めている彼女の言葉を必ず伝えようと、優輝は力強く了承した。
「....では、新たなユーリの騎士達といずこの王よ....。」
「...ムート・メークリヒカイト。...今は志導優輝だ。」
溢れると言わんばかりの量の光の粒子がサーラから出てくる。
そんなサーラに、改めて名前を伝える優輝。
その様子に、ディアーチェもシュテルとレヴィに目配せをする。
「シュテル・ザ・デストラクターです。」
「レヴィ・ザ・スラッシャーだよ。」
「ロード・ディアーチェぞ。....後の事はしばし、我ら紫天の書のマテリアルに任せるがよい。...立派な盟主に仕立て上げて見せようぞ。」
落ち着いた佇まいで、いつも通り活発な様子で、傲慢で尊大のような態度で、サーラに名を告げるディアーチェ達。
「...忠義の騎士、サーラ・ラクレス。また会える日まで、休むといい...。」
「.....私が再び目覚めた時、ユーリが無事でなかったら許しませんよ?」
優輝の言葉に、サーラはそう言いつつ、ディアーチェにユーリを託した。
「安心せい。貴様の代わりとはいかぬが、貴様以上の活躍をしてやろう。」
「...ふふ、そうですか...。....あぁ、安心しました....。」
その言葉と微笑みと共に、サーラの体が消えてゆく。
―――...またいつか、会いましょう.....。
「....行ったか。」
「ああ。...あいつの下に、アロンダイトは転移したみたいだな。」
サーラが消え、残ったアロンダイトも織崎の下へと行ったのを、優輝たちは確認する。
「終わったな。」
「...あぁ...終わった.....終わった....のか....。」
「む?」
明らかに歯切れの悪い言い方の優輝に、ディアーチェは訝しむ。
「.....っ!?っぐ、ごほっ...!?」
すると、突然優輝は血を吐く。
「き、貴様!?どうしたというのだ!?」
「が、ぐ...!?ツケが...回ってきたか....!ぐ....!?」
血を吐きながら優輝は崩れ落ちて行く。
「貴様!しっかりせぬか!おい!貴様!!っ...レヴィ!」
意識を薄れながらも優輝が視たのは、必死に自身を助けようとするディアーチェ達と...。
―――後悔のように思い浮かんだ、緋雪の儚い笑顔だった...。
後書き
Lævateinn…今までにも緋雪が何度か使ってた魔法。シャルを媒体とし、炎のように赤い魔力の大剣を作る。“斬り裂け”や“薙ぎ払え”は所謂Fateで言う“真名開放”で、強力な魔法を放つ。
Gungnir…レーヴァテインと肩を並べる魔法。レーヴァテインが近距離~中距離なら、これは中距離~遠距離を担当する魔法。貫通力も殲滅力もある魔法。
黒き太陽、絶望の闇…無限の魔力に物を言わせ、超巨大な魔力弾を相手にぶつけ、炸裂させる魔法。術者以外の魔法が命中してもちょっとやそっとじゃ誘爆しない。“絶望”と“闇”をドイツ語にした魔法名。
既にサーラに向けて放たれており、その時は今回の四分の一ぐらいだったが、それでも片腕を犠牲にしなければ防げない程だった。
託された緋き雪の想い…赤い魔力をシャルから放射状に放つ魔法。威力は想いの強さに比例する。緋雪から託された想いを魔法にしたもの。“意志”と“緋・雪”をドイツ語訳が魔法名。
決して砕かれぬ闇…ユーリ(暴走)の最強魔法。全てを絶望に呑み込む集束砲撃を放つ。その威力はトリプルブレイカー五発分以上(曖昧)。エグザミアの名を冠する魔法。
我が忠義は貴女のために…名前の通り、忠義を力に変えた集束砲撃。サーラがその場で編み出した最終奥義。
魔法名はサーラの名字と“忠義”のドイツ語訳を組み合わせたもの。
ようやく第2章も終わりに向かう...と見せかけてもうちょっと長引きます。
...いや、ホントオリ展開だらけでどうしようかと思ってます...。リリなのキャラを使っていかなくちゃ...。
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