決戦!!天本博士VS超時空天下人ヒデヨシ
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15部分:第十五章
第十五章
こうして小田切君達は観客席の一つに案内された。そうしてそこに座って催しを見ることになった。小田切君達はパンを貰いそれを食べながら催しがはじまるのを見るのだった。
「とりあえずさ、何が行われるんだろうな」
「僕達じゃないのはよかったけれど」
ライゾウとタロはさっきまで自分達がいたその闘技場を見て言うのだった。
「この観客のボルテージの高さ見たら相当派手なことが行われるらしいけれどな」
「一体何だろうね」
「やっぱり剣闘士達の戦いかな」
小田切君はパンとそれとポケットに適当に入っていたダイアで買ったワインを飲んでいた。なおこの時代のワインは水で割ってそのうえで飲んでいる。当然小田切君達もだ。
「まだ誰も出て来てないけれどね」
「まあどっちにしろ血生臭いものなんだろうな」
「僕そういうのはあまり好きじゃないけれど」
ライゾウもタロもあまり見たくはなさそうだった。
「アニメとかだったらよかったのにな」
「恋愛ドラマとかね」
「そういうのはこのコロシアムではやらないね」
小田切君もあまり面白くなさそうな顔をしていた。
「あくまで派手な殺し合いとか戦いだよ」
「やれやれ、じゃあ場所変えないか?博士探す為にもさ」
「このパンとワインお腹の中に入れ終わったら」
とりあえずお腹の中に入れておくものは入れておくことにするライゾウとタロだった。
「どうだよ、小田切君さ」
「場所。変える?」
「そうだね」
そしてそれに小田切君も賛成して頷くのだった。
「食べるもの食べたらね」
「どうせ金目のものはポケットに入れたら適当に金貨とか宝石とか出て来るんだろ?」
「博士の作った白衣だからね、それ」
実は博士の作る白衣のポケットは四次○ポケットなのである。何でも収めることができるし欲しいものが必要な時に出て来るのだ。ただし博士のポケットからはまともなものが出て来たためしはない。武器だの道具だのそうしたものばかりだ。
「とりあえずその白衣があれば何とかなるし」
「ここ出ようよ」
「そうしようか。食べ終わったし」
ここで丁度食べ終わったのだった。
「じゃあ行こうか」
「ああ、それじゃあな」
「出ようか、ここ」
こうして彼等が席を立つ。するとその時だった。
「な、何だあの爺は!」
「やたら大きいじゃないか!」
「大きなお爺さん!?」
小田切君はそれだけ聞いてまさかと思った。
「ひょっとして博士が?」
「おい、コロシアムに出て来たぜ」
「何て派手な登場の仕方なんだ」
「ふははははははははははははははははは!!」
何故か世界は皆既日食で真っ暗になり何処からか照らし出された七色のサーチライトに映し出された博士が高笑いと共に空中に現われた。そうしてそのうえでコロシアムの中央に降り立ったのであった。
「破壊と滅亡を司る天才科学者天本破天荒、ここに見参!」
「何だ!?巨人族の者か!」
「確かにでかいぞあの男!」
「人としてはな!」
ローマ市民達は彼の姿を見て言う。実はこの時代ローマ人達は小柄だった。ジュリアス=シーザーは一八〇程度あったがこれはかなり大柄だったのだ。博士は同じ程ある為結果として彼等から見ればかなり大柄になるのだ。
「どちらにしろ神ではないな」6
「邪悪な者だ」
「間違いない」
誰もが直感的にそのことを悟っていた。
「あの黒と白の服の男、一体」
「破壊と滅亡の神なのか」
「何かさ、全然外れじゃねえよな」
「そうだね」
タロはローマ市民の話を聞いて言うライゾウのその言葉に頷いていた。
「あの博士じゃね。それも当然だよ」
「で、どうなるんだろうな」
ライゾウはまた言った。
「このままよ。大騒動起こすんだろうな」
「それは間違いないね」
そんな話をしているうちに博士はコロシアムの中央に降り立った。漆黒のマントがそのまま翼に見える。まさに破壊と滅亡の翼である。
「さあ、ローマ帝国の市民達よ」
七色のサーチライトに照らされた博士の言葉が続く。
「今こそ見せようぞ、この天本破天荒の素晴らしい発明を!」
「皇帝」
「うむ」
あの緋色の服に月桂冠の男が周りの者の言葉に応えていた。
「ここはやはり」
「あれだ」
彼は言うのだった。
「近衛軍を出せ。いいな」
「はい、すぐに」
すぐにコロシアムにずかずかと槍に盾、それに鎧と兜で武装した兵士達が入って来た。彼等が何者なのかはもう言うまでもない。
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