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Blue Rose

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第六話 声も身体もその七

「柔らかくなってるかな」
「そうでしょ」
「実際にね」
「そんな感じよ」
「ううん、筆跡とか変わるのかな」
 優花はその自分の字の変化をその目で見てもだった、このことがどうにもわからなくてそれでこう言ったのである。
「そうなのかな」
「書道やってたら変わるけれどね」
「そうそう、あそこは書くのが活動だからね」
「書いてれば字が上手になる」
「癖も出るわよね」
「指導も受けるし」
 女子達は書道の話からした。
「まあすぐにはね」
「変わるかっていうとね」
「そうそうないけれどね」
「本来はね」
「そうよね」
「けれどね」
 それでもという返事だった、優花に対して。
「実際蓮見君の文字ってね」
「普通に変わってるわよ」
「前から柔らかくて優しい感じの字だったけれどね」
「女性的な」
「その字がね」
「余計になのよ」
 前以上にというのだ。
「柔らかくて優しくね」
「余計に女性的になってるわ」
「それもいい意味でね」
「私達もこうした字はね」
「ちょっとね」
 書けないというのだ。
「男の子の字には思えないわ」
「ちょっと以上にね」
「本当に女の子以上に女の子の字よ」
「そうなってるわよ」
「何でかな」
 首を傾げさせての言葉だった、今の優花のそれは。
「変わっていってるのかな」
「字はその人が出るっていうけれど」
 女子の一人が言って来た。
「それで?」
「僕の?」
「そう、人間性がね」
「僕の人間性が出てなんだ」
「字が変わってきてるんじゃないかしら」
「女の子の字になってきてるのかな」
 複雑な顔になってだ、優花は言った。
「そうなのかな、ってことは」
「ってことはって?」
「僕が女の子になってきてる?」
「そんなのないでしょ」
「そうだよね」
「ええ、けれどね」
 それでもとだ、その娘もふとだった。
 気付いた顔になってだ、優花に言った。
「蓮見君最近何か女の子っぽいよね」
「そうなのよね、実際」
「字だけじゃなくてね」
「顔もそんな感じになってきて」
「髪の毛の感じもね」
「雰囲気とかもね」
「物腰も」
 つまりあらゆることがというのだ。
「女の子みたいになってきてるわ」
「お肌もどんどん奇麗になってて」
「睫毛も長くなってない?」
「顔なんかもうね」
「私達より可愛いわよ」
「というか女装したらよ」
「完全に美少女よ」 
 口々にだ、優花に言うのだった。 
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