ぶそうぐらし!
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第19話「すいえい」
前書き
アニメと同じタイトルにしようとしたら、既に第4話で使っていた...。
...あ、アニメよりキャラが増えてるのでアニメ通りではありません。
P.S.原作でついに胡桃が...。この小説では本当に治療してる設定でよかったです...。
=遼side=
「...っと、部活で使ってたから、開いていたか。」
普通より少し重い扉を開けて、俺は体育館へと入る。
俺がここに来た理由は、昨日プールの話題が出て、この辺りを探索していないのを思い出したからだ。
まだ生徒のゾンビがいるのを見るし、ここにはそれなりに残っているだろう。
「....いるいる。」
ざっとみて暗いが十体以上はいた。
探せばまだまだいるだろう。
「安全のため、悪いね。」
早速殲滅活動に移る。
一人も逃さないようにしようなー。
「...一掃完了...っと。」
体育館を探索し尽くし、ついでにプールの方も探索し尽くした。
もちろん、奴らは殲滅済みだ。
「...さすがにここには食料はなかったか。」
本丸は校舎だからな。ここには特に備蓄は必要ない...と。
「もう何度か見回れば、こっちのプールも使えるようになるだろうな。」
とにかく、今日はこれから屋上の貯水槽を掃除しなきゃな。
そう言う事なので、俺はすぐに屋上へと向かっていった。
「遼君おっそーい!」
「すまんすまん。向こうのプールの様子を見に行ってた。」
もちろん、既に掃除は始まっていたので由紀がご立腹だった。
「あ、そうなの?」
「ああ。...もうしばらくしたら使えるようだ。」
正しくは俺がもうすぐ使えるようにしたんだけどな。
「というかお前らもう水着に着替えてるのか。俺、作業着だぞ?」
「皆早く泳ぎたいんだよ!」
「...まぁ、気持ちは分かるけどな...。」
蘭も由紀も胡桃も、皆はしゃぐように掃除をしている。
さすがに悠里たち大人しい組ははしゃいでないが...。
「そんなにはしゃいでたら転んじゃうよー?」
「うわわっ!?」
「って、言った傍からかよ!?」
先生の言葉の瞬間、蘭が滑ったので、思わず突っ込んでしまった。
「わぅ~。」
「すごーい!太郎丸が滑るだけでピッカピカ!」
「由紀は太郎丸で何やってる!?」
太郎丸が座った体勢のまま滑っていたのを、由紀がそう言って追いかけていた。
...いや、その代わり太郎丸が汚れるぞ?
「....なんだろうか、掃除だけで力尽きそうだ...。」
「が、頑張ってください遼先輩....。」
美紀の激励で何とか立ち直る。
...とりあえず、掃除を終わらせようか...。
「....さて、準備完了だ!」
掃除を終わらせ、水を入れて、後休憩できるようにパラソルとソファーも設置して、準備が完了した。俺も水着に着替え、いつでも入れる。
「本来のプールと違って、底で怪我するかもしれないから飛び込みは....。」
「...え?なに遼?聞こえなかった!」
....注意しようとした途端、蘭が飛び込んでいた。
「くっ...先越されたか...!」
「飛び込むなって言おうとしたんだがな...!」
見れば悠里と先生も同じような顔をしていた。
...俺と同じ考えだったようだ。
「というか浅いんだからどの道飛び込みは....。」
「わぁっ!」
また注意しようとして由紀が飛び込んだ。
「........。」
「.......。」
「......。」
「「「はぁ.....。」」」
言っても無駄だと、俺と悠里と先生は悟って溜め息を吐いた。
「(ってか、肩身狭いなぁ...。男俺一人じゃん。)」
縁に腰かけ、足を浸けながら俺は上を向きながらそう思った。
「どしたのー遼?そんな物思いにふけっちゃってさ。」
「おわぁっ!?ら、蘭!?何くっついてんだよ!?」
いつの間にかプールから上がっていた蘭が後ろからくっついてきた。
「にしし...ほれほれー!」
「っ....!?...あー、もうっ!!」
「きゃっ!?」
―――バッシャーン!
からかうように体を寄せてきたので、思わずプールへと投げ飛ばしてしまう。
「...ったく、からかうなよ。」
「ぷはっ...ごめーん。」
水着姿なんだがら肌と肌が直接触れ合ってしまうんだぞ?
おまけに蘭は水に濡れてたからなんというか....ああもう、忘れよう!
「.....結構、勇気出したんだけどな。」
「...ん?なんか言ったか?」
「なんでもなーい。」
ボソッと何か言ったような気がしたが、気のせいだったか?
って、水かけてきやがった!
「遼も腰掛けてないで入りなよ!」
「はぁ....分かったよ。」
せっかくのプール(貯水槽)だからな...。
...あ、飛びこまずに普通に入ったぞ?
「...と、ホントに浅いな。」
仕方ないと言えば仕方ないんだが。
「って、あぶな!?」
「くっ、今度は躱されたか!」
また水を掛けられそうになったのを躱す。
「うおわっ!?」
「あ。」
すると後ろに回っていたのか、胡桃に水がかかる。
「く...やったなこのっ!」
「すmぶはっ!?」
謝ろうとした所に水をかけられ、なんか変な声が出た。
「あはは、遼、今の声なに!?」
「ぐ....元はと言えばお前だろ!」
「きゃっ!?」
蘭が愉快そうに笑っていたので容赦なく水をかける。
「あ、私も混ぜてー!」
さらに由紀も混ざり、乱戦のように水を掛け合う事になった。
「つっかれたー...!」
ソファーの傍...一応日陰になる場所に俺は寝そべる。
「....見事に三対一に持ってかれたわね。」
「さすがに多勢に無勢だわ...。水は避けられん。」
ていうかなんであいつら手を組むんだよ。俺一人だけ男だからか?
「蘭!そっち行ったぞー!」
「まっかせてー!」
「...あいつらは元気だなー。」
蘭たちは持ってきておいたビーチボールで遊んでいた。
そこへ美紀や圭も混ざる。
「プールなんていつぶりかしら...。」
「めぐねえー!そっち行ったよー!」
「え?ええっ!?」
遠慮気味にプールに入った先生に、容赦なくボールが飛んでいく。
それを上手く対処できずに顔に当たってしまった。
「...っと。先生。」
「あ、ありがとう遼君...。」
こっちに飛んできたので俺がキャッチし、先生に投げ渡す。
そのまま、先生も蘭たちに混ざっていった。
「...そういや、忘れてたけどさ。」
「...?何かしら?」
ふと思い出した事を悠里に聞く。
「この前あのロッカーから水鉄砲が見つかったんだよな。」
「...。あら、そうなの?」
...ん?今の間は....?
「せっかくだし、それで遊ばね?」
「いいわね。いくつかあるし、皆でやりましょうか。」
悠里がそう言ったので、俺はロッカーから水鉄砲が入った箱を取り出す。
「(....ん?今、見ていないのに複数あるって分かったよな?)」
俺は“見つかった”としか言ってないし、数に関わる言葉は使っていなかった。
なら知っていたのだろうけど、さっきは今知ったような素振りを...いや、待てよ?
「(...もしかして...これ、悠里のか?)」
....まぁ、だからどうしたって事なんだが。
「(ま、意外だな。園芸部だったって聞いたけど、これで遊ぶ機会でもあったのか。)」
水鉄砲の入っている箱を開ける。
種類は豊富で、ハンドガンタイプやライフルタイプもある。
「わぁ、水鉄砲だー!」
「せっかく水も豊富に使ってるし、これでも遊ぶぞ。ほれ、美紀と圭も。」
「あ、ありがとうございます。」
「水鉄砲...何気に使うのっていつぶりだろ?」
由紀が水鉄砲に気付いたので渡しておく。
近くにいた美紀と圭にも渡す。
「あ、遼!私にもパス!」
「分かった!ほらよ!」
蘭が要求してきたのでライフルタイプを渡す。
「....よし!」
「っ!?」
水を詰め、早速俺を狙ってきたので、間一髪で躱す。
「勝負だよ遼!」
「こっちまだ水入れてねぇっての!」
勝負は別にいいけど、せめて水を入れてからにさせろ。
「(水道の水は隙だらけになる。入れれるのは...プールか!)」
胴体、足、頭と狙ってくるのを連続で身を躱す。
蘭も補給するならプールだと思っているようで、近づかせる気はないようだ。
「いきなり撃ちあいかよ!?しかもハイレベル!?」
「は、走ると危ないわよー...。」
胡桃と先生がなんか言ってるが、銃関連なら負ける訳にはいかないんだよな!
「っと、はっ、ほっ、っと!!」
「っ、プールに逃げ込まれた!」
しゃがみ、滑り込み、小ジャンプで躱し、プールに飛び込む。
すかさず手に持ってた水鉄砲の水を補給する。
「くっ...!」
「今度はこっちから攻める!」
プールに浸かったまま、俺と蘭は撃ちあう。
下半身は水に浸かってるので、どちらも上半身を狙って撃ちまくる。
躱す度に勢いで水が弾け飛び、近くにいた胡桃が被害を被っていた。
「っていうか水飛沫で当たってるかどうかが分からないぞ!?」
「大丈夫!当たってない!」
「同じくだ!」
俺も蘭も当たったら潔く負けを認めるからな。悔しくはなるけど。
「その代わり私とめぐねえが水に掛かってるぞ!?」
「ああっ!?目に...!?」
ええと....悪い、胡桃、先生...。
「「っ!!」」
...と、そうこうしている内に、互いの水鉄砲の弾で相殺するという出来事が起きた。
「(今だ!)」
「っ、させない!」
すかさず俺は潜り、一気に蘭に接近する。
蘭はそんな俺を踏みつけようと足を振り上げる。
「(ちょ、さすがに危ねぇ!?)」
水中で踏みつけられたら溺れるっての。
「(だが、これで終わりだ!)」
踏みつけを回避し、一気に水面に上がると同時に蘭を撃つ。
「.....引き分けだよ。」
「...正直、水中に入るのは愚策だった。」
結果は相打ち。蘭は俺が上がるところを待ち伏せしていた。
幸い、俺が撃つのが早かったから相打ちに持ち込めたがな。
「...ってか、俺ら水鉄砲でなにこんな真剣になってんだ?」
「....さぁ?」
我ながらなんて茶番だ...。
「(...まぁ、久しぶりにはっちゃけて遊べたからいいか。)」
なんというか、張りつめてた精神が解放された気分だ。清々しい。
「ふぅ...疲れたっと。」
「...正直、遼先輩がここまではしゃぐとは思いませんでした...。」
俺がプールから上がり、座り込むと美紀がそんな事を言ってきた。
「銃関連にはそれなりにプライドがあるからな。遊びでも負ける訳にはいかないんだ。」
「父親には負けてるけどねー。」
「親父はチートだから。」
うん。あの人は着の身着のままで戦争に行って生還するから。
「....せっかくだから私も水鉄砲で遊ぶか。」
「あら、相手になろうかしら?」
胡桃が俺の置いた水鉄砲を手に取ってそう言う。
それに悠里が反応する。
「りーさんが?」
「ええ。せっかくのプールだもの。私も楽しむわ。」
実際は久しぶりに水鉄砲で遊んでみたいんだろうな。
「じゃあ私達は私達で遊んどこっか。」
「うん!みーくんとけーちゃんも遊ぼー!」
蘭たちは蘭たちで遊ぶようだ。
「はふぅ...久しぶりだから、さっぱりしたわ....。」
「あ、先生。」
先生も俺の方にやってきて、休む。
「...皆元気ね...。」
「何気に体を動かし足りてませんからね...。」
それに暑いから普通に運動するのは億劫になるし...。
「そうね...こういう日も、悪くないわね....。」
「そうですね...。」
二人してのんびりと座って水鉄砲で遊んでいる皆を見渡す。
...そこでふと先生が視界に入る。
「っ......。」
「....?どうしたの?」
「い、いえ....。」
なんというか....水に濡れて先生が色っぽく見えた...。
普段、少し俺たちぐらいの若い雰囲気を出してるから余計に....。
「顔赤いわよ?」
「....この日光ですからね。日焼けでもしたんだと思います。」
適当に嘘をつく。
先生の水着姿を見て少し意識してしまったなんて言える訳がない。
「....はぁ...。」
「...どうしたの?」
ふと溜め息を吐いた俺に、先生が聞いてくる。
「...いえ、なんだが場違い感が...俺だけ男子だし...。」
見渡す限り女性ばかり。
...なぜ男の生存者がいなかったし...。
「(...そのせいで余計意識したのかもな...。)」
男は俺一人。他は皆女性だ。しかも皆可愛いと言える程。
...おまけに今日は水着姿。意識するのも仕方ない...か?
「(いやでも、先生を意識するのはおかしいだろ...。)」
生きるか死ぬかの日々で生徒も先生もないと思うが。
「ふぅ.....。」
「....わぅ?」
寝転んだ体勢で顔を上に向ける。
すると太郎丸の姿が目に入った。
「...そういや、お前はオスだったな。ほれ。」
「わん!」
太郎丸を手招きし、適当に遊んでやる。
「わうっ!」
「え?きゃっ、ちょっと...!」
すると、太郎丸は先生にじゃれ付き始める。
「ちょ、ちょっと...きゃあっ!?」
立ち上がり、太郎丸を降ろそうとして...って、こっちに倒れてきた!?
しかもちゃっかり太郎丸は離脱してるし!?
「うおっとと...!大丈夫ですか?」
なんとか受け止め、倒れるのを防ぐ。
「っ...!え、ええ..だ、大丈夫よ...。」
「...ホントですか?」
なんか様子が変だけど...。
「ご、ごめんね?」
「いえいえ...って、うおわっ!?」
受け止めていた腕を離し、先生は俺にお礼を言ってくる。
返事をした時、いきなり横から水が飛んできたので直撃は避ける。
「な、なにすんだよ蘭!」
「べっつにー?遼が変な事考えてないかなーって思っただけ。」
水を撃った張本人である蘭はなぜかそっぽを向きながらそう言う。
「考えてねぇよ...ったく。」
「.........。」
なんで拗ねたような表情してるんだよ蘭は...。
―――バシャーン!
「わぁっ!?胡桃ちゃん、りーさん!?」
「先輩方!?大丈夫ですか!?」
すると、いきなりプールの真ん中に胡桃と悠里が飛び込み、皆がそっちへ注目する。
「は、はは...夢中になりすぎちまった...。」
「でも、楽しかったわね。」
「まぁ、そうだな。」
どうやら、水鉄砲の撃ちあいに熱中しすぎて飛び込んだらしい。
「もう、胡桃さん、悠里さん、飛び込んではダメよ。」
「ごめん、めぐねえ。」
「すみません、夢中になりすぎて...。」
「まったく...。」
仕方ないと言った風に許す先生。
なんだかんだ言って先生も解放された気分で遊びたいんだな。
「ほら、美紀。」
「う、うん....。」
ふと、目を横に向ければ、いつの間にかプールから出ていた美紀と圭が、太郎丸と一緒にいた。
...どうやら、仲直りしようとしてるらしい。
「わぅ。」
「あっ.....。」
「だ、大丈夫だよ。気長にやっていこうっ!」
太郎丸にそっぽを向かれ、落ち込む美紀を圭が慰める。
...一度できた溝は深いなぁ...。
「....美紀!」
「あ、はい!」
俺は近くにあった“物”を取り寄せ、美紀を呼ぶ。そして、それを投げる。
「あ、っとと...。」
「...それで遊べば、少しは仲直りできるだろ。」
投げたのはフリスビー。よくペットと一緒にやったりするからな。
ちなみに購買部の所にあったのを拝借した。
「...ありがとうございます。」
「おう、頑張れよ。」
仲直りできるのを、俺も祈っておくか。
....結論から言えば、圭の助けもあって仲直りできたようだ。
ただ、フリスビーを追いかける側に由紀も混ざっているのだが...。
「太郎丸ー!行くよー!」
「わん!」
美紀が呼びかけ、太郎丸は元気よく返事する。
...元々仲良くしてたからな。少しでもヨリを戻せばすぐ仲直りできたのだろう。
「そーれっ!」
「わんわん!」
「待て待てー!」
美紀によって投げられたフリスビーを太郎丸と...なぜか由紀も追いかける。
「(...まぁ、由紀は犬っぽい所もあるけどな...。...いや、関係ないか。)」
まぁ、楽しそうならいいや。
「ほら、いつもの貯水槽だぞー。...綺麗になってるが。」
風も少し冷たく感じるほど、時間も経ったので、切り上げて片づけに入る。
「いきなり環境が変わって大丈夫なのか?」
「...こんな状況だし、いつまでも生きていられないと思うわ。...なら、せめて綺麗な環境でいいじゃない?」
俺の言葉に、先生がそう言う。...一理あるな。
「もし死んでしまうのなら、捌けばいいんじゃないかな?」
「...まぁ、食える魚もいるけどさ...。」
とりあえず、葉っぱを浮かべてこれでオッケー...と。
「さて、終わったから着替えるぞ。」
さすがにいつまでも水着は肌寒いからな。
俺たちは片づけも終わったので、それぞれ更衣室で着替えた。
~おまけ・その頃の...~
「....よし、準備完了っ!」
「......。」
バッグにできるだけ必要な物を詰め込み、腰には武器となる鈍器などを付けておく。
そして、手にはバールのようなもの。
「食料が少し心配だけど...どの道動かなければ、死ぬだけよね。」
瑠璃ちゃんにも少しだけ荷物を持ってもらっている。
...と言っても、軽い医療関係の物だけだけど。
「...幸い、大学まではそう遠くない。...行けば、何か得られるかも...。」
それまでは、瑠璃ちゃんを護らなきゃ...ね?
「大丈夫よ。きっと、助かるから。」
「.......。」
きゅっっと服の裾を握ってくる瑠璃ちゃんに、私はそう答える。
...例え私が犠牲になっても、彼女だけは助けたいからね。
「さぁ、行きましょう!」
「.....!」
そう言って、私達は大学へ向かうため、学校から一歩踏み出した。
―――...遼、私は頑張ってるから、貴方も頑張りなさいね...。
後書き
自制心は強いけど動揺はする遼。
遼の好みのタイプは遼自身にも分かりません。というか作者も分かりません。(設定してないから)
ちなみに、学校の生徒・先生としていない時(つまり今回)は、名前呼びだったり、めぐねえと呼んだりします。
...作者にはこれが限界だったんだ...!せっかくの水着回なのに...!
※注意※めぐねえ達の水着は脳内妄s...補完でお願いします。
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