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Gカップ★グラドル

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2部分:第二章


第二章

 彼女は青いジャージを手に取っている。恵理香はそんな彼女を見て言った。
「いつも思うけれどさ」
「何?」
「山本ちゃんもいい身体してるよね」
「な、何言ってるのよ」
「だって、すらりとしてるし」
 山本の肩を後ろから抱いて言う。背は恵理香の方が大きい。彼女は一六六程で山本は一六二程であろうか。二人共決して小柄ではない。恵理香ははっきり言えば大きい方であろう。
「お肌だって奇麗だし。とてもあたしより年上には見えないわよ」
「私だってまだ二十五なのよ」
 少し頬を赤らめさせて言い返す。桜色に染まった様子が結構可愛らしい。
「当たり前じゃない」
「あたしより奇麗だし」
「だから言ってるでしょ。節制しなさいって」
「だってあたしまだ二十歳だし」
 恵理香は言う。
「そんなに気をつけることも」
「タレントはお肌が命なのよ」
 ジャージのズボンを履きながら言う。脚も奇麗で整っている。
「いつも気をつけなさい、いいわね」
 そして今度は上を着ていた。ジャージ姿がよく似合う。
「そうしたら山本ちゃんみたいになれるの?」
「だからあんたはタレントなのよ」
 何度も釘を差す。
「お肌が荒れていたらまずいでしょ」
「アップにならないとわからないんじゃ?」
「見ているファンは見ているわよ」
 山本はあくまで厳しい。
「わかったわね。じゃあ行くわよ」
「はぁい」
「それが終わったらシャワーね」
「また一緒に入るの?」
「悪い?」
 今度は怒っていなくて尋ねる顔であった。
「何か誤解されないかしら、レズとか何とか」
「別にされないわよ。マネージャーなんだし」
「けれどマネージャーと噂になるってことも多いわよ」
「女同士だとないわよ」
 山本はそれは心配してはいなかった。
「それに公でベタベタしているわけじゃないでしょ」
「それはそうだけれど」
「わかったら行くわよ、油断しているとすぐ太るから」
「了解」
 こうして山本は恵理香を連れてランニングに出た。これが二人のいつもの朝のはじまりであった。タレントとそのマネージャーの朝である。
 それが終わりシャワーを浴び朝食と身支度の後で事務所に向かう。今日はまず事務所で打ち合わせであった。
「まずはここをね」
 部屋に篭もり二人でグラビアの打ち合わせをする。卓を挟んで向かい合っていた。
「この水着で」
「その水着なの?」
 紹介された水着を見て声をあげる。それは恵理香のあまり好きではない色の水着であった。白いビキニである。
「それ嫌よ」
「けれどここにはこれよ」
 山本はそれでもこの水着でいこうとする。
「その方が映えるから」
「それじゃないと駄目なの?」
「駄目ね」
 きっぱりと言い切った。
「ここにはこれしかないわ」
「ううう」
 恵理香はそこまで言われて口を波線の様にさせた。
「こっちの青のビキニの方がいいなあ、あたし」
 カタログを指差してせがんできた。だが山本は厳しい。
「それは前着たでしょ?」
「だけれど」
「水着会社との都合があるのよ、我慢しなさい」
「どうしても?」
「着るだけで貴女が買うわけじゃないでしょ?」
「それはそうだけれど」
「そのかわりここではこれにするから」
「あっ、その水着ね」
 ここでは山本は恵理香の気を引かせてきた。白のワンピースを提示してきたのである。どういうわけか恵理香は白いビキニは嫌いでも白のワンピースはいいのである。思えば変な話である。

 
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