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戦国異伝

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第二百五十話 信長の先陣その十一

「やはり最後の最後は」
「海ですな」
「そこでの戦いですか」
「ここで海となりますと」
 まさにだった。
「壇ノ浦」
「あちらですな」
「やはり最後の最後は」
「あの場での戦いですか」
「あそこになりますか」
 こう三人で話すのだった、夜の星達の動きを見て。
 そしてだ、その星達の動きを見ながらだった。竹中はまた言った。
「魔界衆はどうやら相当古くからです」
「本朝にいて」
「何かとしておりましたな」
 雪斎と黒田が応えた。
「あの星の輝きを見ますと」
「実に古いものが感じます」
「上様、我等の星の輝きは新しいですが」
「それでも」
「はい、ですから」
 それでというのだった。
「その古い星達が消え」
「上様と我等の光が輝く」
「これからは」
「そうなりますか」
「そうですな、それがはじまります」
 こうしたことを話してだ、そしてだった。
 三人はそれぞれ休息に入った、幕府の軍勢は休息に入っていた。
 その休息の中でだ、ふとだった。
 羽柴は寝る前にだ、弟の秀長に言った。
「のう、よいか」
「どうされましたか、兄上」
「いや、わしは今大名じゃが」
「それが何か」
「あっという間になったがな」
 それがというのだ。
「夢ではないな」
「まだ起きておられますな」
 これが秀長の返事だった。
「ならば」
「そうじゃな、わしは起きておるな」
「これからです」
「夢は見るものじゃな」
「そうです、しかしですな」
「百姓の倅のわしがな」
 それでもというのだ。
「大名になるなぞな」
「まさに夢の様ですか」
「そう思う、それにな」
 さらに言うのだった。
「先程文が来たな」
「ねね様からの」
「どうも子が出来たらしいしな」
「それはようございますな」
「うむ、全くじゃ」
 こう言うのだった。
「本当にな」
「まさに幸ばかりがと」
「来る様じゃ」
「しかし大名になったことは」
「わしの力か」
「はい、そうかと」
「いやいや、しかしな」
 それでもと言う羽柴だった。 
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