発進!!最凶マスコットせん○くん
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16部分:第十六章
第十六章
「それで攻撃を仕掛けるとする」
「雷なら風の影響をそれ程受けないからですね」
「そういうことじゃ。それではじゃ」
「ナラッ」
また博士の指示に応える巨大マスコットであった。その巨大なつぶらな瞳も可愛いどころか実に気色悪いからかえって不思議ではある。
「雷を放て。よいな」
「ナラッ」
ここでも博士の言葉に従い二本の角に雷を受けてそのうえで一つにして天使達に向かって放つ。天使達はその雷に対してそれぞれ手を前に出してきた。
金髪の天使は右手を、黒髪の天使は左手を。それぞれ前に出して人差し指から白い光の帯を放ってそれと共に叫ぶのであった。
「ダブルゆっくり」
「ビーーーーーーーーーーム!」
その二本のビームと雷が激突する。するとそれにょり雷もビームも消えてしまった。天使達はまたしてもマスコットの攻撃を打ち消してしまったのであった。
「また相殺しましたね」
「流石にやるものじゃ」
博士はそれを見てまた言った。
「伊達に最高位の天使達だけではないのう」
「まあ翼が六枚ありますからね」
小田切君もその翼ははっきりと見ている。
「それだけ力が強いってことですか」
「しかしマスコットの力はまだまだこんなものではない」
だが博士も引くことはなかった。
「まだまだのう」
「というと今度は何をやらかすんですか?」
「見るのじゃ」
また見るように小田切君に勧める博士であった。
「これからをのう」
「けれど武器は全部使いましたよね」
しかし小田切君はこう博士に返した。
「通用しそうなものは」
「何、一つ一つはそうかも知れん」
博士の言葉はいつもと変わらない余裕の中にあった。
「一つ一つはのう」
「一つ一つっていいますと」
それを言われてこれまたきょとんとなる小田切君だった。
「何かまたとんでもないことをするんですね」
「三本の矢じゃ」
毛利家の話まで出す博士だった。
「いや、三本が駄目なら五本じゃ」
「ロスチャイルドですね」
小田切君はその五本の矢が何なのかすぐにわかった。ユダヤ系のあまりにも有名な世界的富豪である。欧州に五つの家を持ちその繁栄を支えてきた。今も欧州はおろか全世界でかなりの力を誇っている。
「五本ですと」
「それでも駄目なら十本じゃ」
博士の言葉は一見際限がないように聞こえるものだった。
「とにかくこの考えじゃよ」
「つまり総攻撃ってことですか」
ここで察した小田切君だった。
「そういうことですよね」
「左様。それではじゃ」
博士は小田切君の言葉に頷いた上でまたマイクを手に取った。そうしてそのうえでまた巨大マスコットに対して指示を出すのであった。
「総攻撃じゃ」
「ナラッ」
返事はすぐに返って来た。
「そうしてあの天使達を退けるのじゃ。よいな」
「ナラッ」
また応えるマスコットだった。
「よし、それではじゃ」
「ナラッ」
「発生パターンは一つなんですね」
小田切君はマスコットの今の言葉を聞いてこのことも指摘した。
「ずっと聞いていて思ったんですけれど」
「それ以外いらんからのう」
博士の返答は実に素っ気ないものであった。
「じゃからこれだけ言えるようにしたのじゃよ」
「そうだったんですか。それでですか」
「それにじゃ」
そしてまた言う博士だった。
「今度の総攻撃は凄いぞ」
「そんなにですか?」
「一回の総攻撃で地球が崩壊する」
そこまで豪語する程であるというのだ。
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