Blue Rose
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第五話 姉の苦悩その十七
「ではまずはです」
「お酒をですね」
「何とかです」
「今の様にですね」
「飲まない日はないという様な」
「そうした状況からですね」
「出て」
そしてと言うのだった。
「それから弟に言います」
「ご自身のお身体のことをですね」
「あの娘自身に」
「そうされて下さい」
「そしてそこから」
「弟さんをですね」
「守ります」
確かな声での返事だった。
「そうします」
「是非そうされて下さい」
「それでは」
優子は誓った、院長にそして何よりも自分自身に対して。そしてだった。
この日家に帰った彼女にだ、優花は驚いて言うことになった。
「姉さん今日は何だ」
「ええ、今日はね」
実際にという返事だった。
「飲まないわ」
「久し振りじゃないの?」
「飲まない日はね」
「ここのところずっと飲んでたからね」
「お酒を飲んでも」
今は紅茶を飲んでいる、優花が淹れてくれたミルクティーだ。砂糖を入れていないそれを飲みつつ言うのだった。
「逃げるだけだから」
「そう思ったからなんだ」
「そうよ」
だからと答えたのだった。
「だからね」
「もう飲まないんだ」
「暫くはね、そういえばね」
こうも言った優子だった。
「姉さん言ってたわね、お酒はね」
「うん、楽しんで飲むものだってね」
「沈んだ気持ち、逃げたりする為に飲んだら」
「身体に悪いってね」
「自分で言ってたわね」
「そうだよね」
「だからね」
昨日までの自分を振り返って言うのだった。
「今日は飲まないの」
「そうするんだ」
「暫くはね」
「何かよくわからないけれど」
姉が酒を飲まなくなった理由はだ、それでも言った優花だった。
「とにかく自棄酒みたいなのはよくないしね」
「そうよね」
「そうした飲み方をしないのはね」
「いいことよね」
「僕もそう思うよ」
優花は微笑んで姉に答えた。
「そのことはね」
「ええ、だからね」
「今日からはなんだ」
「暫くは飲まないわ」
「最近毎日深酒だったし」
「少しお酒を抜くことにもするわ」
「本当にそれがいいね」
姉のその言葉にだ、優花は微笑みで返した。
その弟の顔を見てだ、優子もまた微笑んで言った。
「そうよね、ただね」
「ただ?」
「今度何処か行こうかって考えてるの」
「何処って?」
「まだそこまでは決めてないけれど」
「それでもなんだ」
「あなたと二人でね」
優花を見て言うのだった。
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