ドリトル先生北海道に行く
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第四幕その九
先生は湯舟の中で言うのでした。
「お酒を飲んだ後はよくないけれどね」
「はい、お風呂は」
「本来はね」
「けれどいいね」
こう王子とトミーに言うのでした。
「本当にね」
「お風呂いいですよね」
トミーも言います。
「それこそ、ただ」
「ただ?」
「ここでお酒がです」
お酒のことをです、トミーは言いました。
「抜けますから」
「うん、いいことだね」
「お酒を沢山飲んですぐはです」
「お風呂に入ったらよくないね」
「ですが僕達結構歩いていてです」
「飲んでから時間も経っているしね」
「そのこともありますから」
だからというのです。
「いいと思います、ただ」
「すぐにサウナに入るとね」
「それはよくないです」
絶対にという口調でした。
「飲んですぐに、かなり酔っている状態でサウナに入りますと」
「身体に悪いからね」
「絶対に止めた方がいいです」
「うん、イギリスにいた時は気にしていなかったけれどね」
「大体イギリス人はお酒に強いですしね」
「日本人よりもね」
先生もこのことについて言及しました。
「アルコールの分解が早いね」
「エールを毎日飲んで慣れてもいますし」
「そう、だからね」
それでというのです。
「僕達も日本人から見れば相当に飲んでるけれどね」
「あまり酔っていませんし」
「こうしてお風呂にも入られるね」
「そうです、ですが」
「サウナはね」
「もっとお酒を抜いて」
そしてというのです。
「すっきりしてから入りましょう」
「アルコールを抜いてね」
「それからです」
「そういえば日本人はね」
王子も言います。
「すぐに酔っ払う人多いよね」
「そうだね」
「僕から見てもね」
「日本人は縄文系の人と弥生系の人が混血しているんだ」
先生は王子にこのことからお話しました。
「それで弥生系の人は身体の中にアルコールを分解するものがなくてね」
「お酒に弱いんだね」
「そうなんだ」
「そういうことなんだね」
「例えば織田信長さんはお酒を全く飲めなかったんだ」
戦国時代の英雄です。
「あの人はね」
「へえ、如何にも相当飲みそうな人なのに」
「実はお酒は本当に駄目で」
それでだったというのです。
「甘いものが好きだったんだよ」
「意外だね」
「そうだね、けれど実際にそうだったらしいんだ」
「織田信長さんはお酒に弱かったんだね」
「そうだよ」
「成程ね」
「織田信長さん以外にもそうした人が結構いてね」
「弥生系の血が強い人がだね」
王子もこのことを理解して言いました。
「お酒に弱いんだね」
「そうだよ」
「わかったよ、そのことも」
「うん、僕達とはそこが違うんだ」
「確か三河町の親分もそうだったし」
王子は捕物帳のお話を出しました。
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