機動戦士ガンダム0091宇宙の念
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宇宙編
月決戦編
第30話 生命
「アイラ、機影だ!」
レーダーに、無数の赤い点を確認し、敵の気配を感じ取る。
「ええ、初めてじゃない。感じたことのある気配です」
グラン大尉のドライセンが先行し、ビームトマホークのビーム刃を形成する。
後続にはギラ・ドーガが控え、援護の準備は完了している。
「この感じ…あの時の…黒いMS‼︎」
忘れもしない、あの時の記憶。圧倒的な実力差を見せつけられたあのMS。
「気をつけろ‼︎来るぞ‼︎」
目標を捉えたレギーナが、両掌からビームを吐き出し、それを寸前で避けた二機が加速して肉薄した。
「私の射撃をっ‼︎避けるのか!」
デブリとビームの嵐を潜り、ビームトマホークを構えたドライセンが懐に突っ込む。
「ニュータイプでも、接近戦ならッ‼︎」
「‼︎」
咄嗟に形成された掌のビーム刃が、トマホークとの間にIフィールドの干渉による反発を生み、二機が後方に飛ぶ。
「ナナ‼︎」
ジン中尉の一喝で、周りの状況に気を張る。
「まずいっ‼︎」
AMBACで機体を制御しつつ、メインスラスターをフルスロットルに入れ、急上昇するレギーナ。
「逃がさない‼︎」
その素早い挙動に唯一対応出来たアイラが、ライフルを据える。
「墜ちろ‼︎」
黄色いビーム光がレギーナの左腕部を直撃し、辺りの装甲を融解させる。
「退いてろナナ‼︎俺がやる!」
割って入ったジムIIIが肩部ミサイルポッドを展開し、爆光に包まれる敵機を見下ろしながら左腕を失ったレギーナが一旦距離をとる。
「大丈夫か⁉︎」
「はい、なんとか」
機体がこちらを向いた刹那、ジムIIIの前に振り上げられたトマホークが目に入った。
「‼︎ジン中尉‼︎」
叫ぶ声など構わず、ジムIIIをデブリに叩き付けたドライセンのモノアイがギラリと光る。
「メインカメラは潰した、あとはこいつだ。いくぞ!」
手首から迫り出したガトリングの光弾がジムIIIを直撃し、微かな爆炎が目に映る。
「了解です」
機体がジェットストリームアタックの形で突撃してくるのを見、ナナは自分の脳内でなにかが弾けるのを感じた。
「うぁぁぁあああ‼︎‼︎」
叫声が響くコックピット目掛けて飛んくる二機を縦貫するように右手からビームを放つレギーナ。
「くっ‼︎その機体で、まだやるのか‼︎」
直後、回り込んだレギーナのバイザーカメラが全天周モニターに映る。
「は、速い‼︎」
ドライセンの肩から右足を切り抜き、一蹴したレギーナから、アイラは戦慄を覚えた。
「大尉‼︎」
後退した敵機を確認し、弾き飛ばされたドライセンを見るアイラ。
「大丈夫だ…誘爆の危険はない…しかしもうこれでは戦えんか…アイラ退くぞ」
「いえ、行きます。あんな化け物、放っておくわけには‼︎」
「待てっ‼︎独りで戦うな!奴はニュータイプだ!」
静止を振り切り敵機を追うザクIII改のスラスター光を見ながらグランは、コンソールに拳を叩き付けた。
「追ってくるのか…ならば仕留める‼︎」
編隊から離れ、デブリも少ない月外周の宙域。
「墜とさせてもらう‼︎」
ライフルから吐き出されたビームが脚部を掠めるのと同時に、機体を振り返し、ザクIII改のライフルを二つ斬断するレギーナ。
その紫の機体色の手から形成されたビーム刃がザクIIIを切り裂く直前に、頭部のバルカンが火を吹く。
「どうして…」
黄金色の弾丸がバイザーを破壊し、ピンクのモノアイが露わになったレギーナから距離を取り、離れたレギーナを追う形でスカートアーマーのビーム砲を放つ。
「どうして?」
虚空を舞う貴婦人を撃つアイラの心に、黒いヒビが刻まれていく。
「どうしてそんなに哀しい戦い方をするの…!」
「退けない…墜ちろ‼︎」
放たれたビーム光とビーム光が交差し、二つ生命の炎が強く輝いた。
後書き
この度第30話を迎えることができました!
これも読者の皆様のお陰です!(*´∀`*)尸"
あと少し?ですがこれからもどうぞよろしくお願い致します!
次回に続きます!
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