双子の悪戯
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2部分:第二章
第二章
それでだ。ある日のことだ。
亜実と真実はだ。ふとだ。こんなことを思いついたのだった。
「ねえ、お兄ちゃんでもね」
「わからないようにするのね」
「そうよ。お互いそっくりにして」
「それでわからないようにするのね」
二人でだ。笑顔で話していた。高校の帰りにファミレスに寄ってだ。向かい合って話をしている。
オレンジのビニールのだ。ファミレス独特の壁とそのままになっている席に座って話をしている二人を見てだ。店員さん達もだ。
首を捻ってだ。そうして話すのだった。
「ええと、あの娘達って」
「どっちかな」
「どっちがどっちなのか」
「わからないわよね」
「あの二人って双子かしら」
「そうじゃないの?」
こうだ。首を捻って話すのだった。
「一体どっちがどっちなのか」
「わからないけれど」
「あんなにそっくりな双子ってね」
「ちょっとないわよね」
「まるで鏡映しね」
彼女達もこう言う始末だった。とにかくそっくりの二人だった。
その二人がだ。さらに話していた。
二人はアイスティーを飲みながら話しているの。その飲むタイミングも飲み方も全く同じだ。本当に見分けがつかない。丈以外には。
その二人がだ。話していることは。
「それでよ」
「うん、それでよね」
真実が亜実の言葉に応える。
「具体的にどうするの?」
「まず。格好はね」
「格好は?」
「お兄ちゃんが今まで見たことないみたいな格好にするのよ」
亜実は笑顔でこう提案する。
「人間初見は中々わからないじゃない」
「それは確かにね」
「そう。それでね」
さらにだというのだ。
「二人共ね」
「同じ格好よね」
「そう、何から何までね」
同じ格好にするというのだ。
「完全によ」
「衣装もアクセサリーも」
「メイクも派手にして」
そこもだ。そうするというのだ。
「もうお兄ちゃんがわからないようにするのよ」
「それで今度こそお兄ちゃんがわからないようにするのね」
「一回だけでもそうしたいじゃない」
亜実は彼女なりの意地を見せた。116
「そう思うでしょ、真実も」
「ええ、それはね」
真実もだ。その通りだとだ。亜実の言葉に頷く。
「子供の頃からいつもだからね」
「どんなにしても見分けられるじゃない」
「だからなのね」
「そう、だからよ」
亜実はここで真実にさらに言った。
「もうね。思いきりね」
「思いきり。派手な格好になるの」
「派手も派手によ」
亜実のその言葉は自然に上ずってきていた。
「これでもかっていう位にね」
「派手な服を着てメイクをして?」
「それでわからないようにするのよ」
これが亜実の提案だった。
「二人で同じ格好をしてね」
「それでお兄ちゃんを化かすのね」
「そうするのよ。どうかしら」
ここまで話してだった。亜実はだ。
真実にだ。再び問うた。
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