ほね・骨 ・Bone!!~【30万人の骸骨が、異世界に移住した結果がこの有様だよ!】
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8話 祖国戦争 序戦 -4「聖なる太陽」
大きな石造り塔の上。そこで戦況を見渡していたワルキュラは焦っていた。
戦場に突如と現れた謎の人工太陽。それによる自軍の超弱体化。状況は最悪だと言ってもいい。
跳ね橋が外部と首都をそのまま繋げてしまっている。
攻城戦でこれは……何時でも強盗しに入ってくださいと、泥棒にアピールしているようなもの。
「なぜ跳ね橋を上げない!?」
「……跳ね橋に使っていた鎖に、何らかの薬品がかけられた跡があると、ゴースト達は言っている。
恐らく敵軍の工作。首都の中にスパイがいると思われる」
クレアが静かに答えてくれた。
ゴースト達が使う電波は暗黒魔法じゃないから妨害されずに、連絡を取り合えているようだ。
(跳ね橋を調査するのが早すぎる!?何時、調査をしたっ!?怖いっ!
いや、それよりもスパイだと……今はそいつの対処はどうでも良い)
先にやらないといけない優先目標。それは敵を勝たせない事。
(跳ね橋をどうにかしないと破滅しかねない!ルビーちゃん達を二度も失うのは嫌だ!)
城塞は、壁という横に連続して存在する障害物があるからこそ、防御拠点として機能するのであり、城門を突破されて抜かれたら、スケルトン達がパニックになる可能性がある。
なにせ、ここは見知らぬ戦場。夜なのに輝く太陽。各地で分断されてもゴーストを使えば連絡が取れるとはいえ、不利になる可能性が濃厚だ。
(必要なのは情報だ。情報はクレアがいればいくらでも手に入る)
独裁者に求められる才能を使って、早急に決断したワルキュラ。彼は空中を漂うヤンデレ少女に話しかけた。
「クレア。今、城壁に展開している部隊はどこの部隊だ?」
「デスキングのスケルトン大陸軍1万。レベル300超えの精鋭」
「ん?残り29万はどこに行った?」
「残りは昼間に太陽光浴びすぎて倒れた。今は発見した地下遺跡で休んでる。
骨折した兵士が大量にいるから、彼らは傷を治すために骨とミルクが欲しい。そう現場のゴーストは言っている」
物量が最大の強みの大陸軍が動けない。その報告にワルキュラはこの世の終りを感じた。
敵軍は14万。動ける部隊を集めたら多少はマシになるだろうが、スケルトンが一万しか動けないのは絶望的。
今の状況は、本能寺にいる織田信長さん。戦争はやっぱり数だよ。
(これじゃ陥落確定じゃないかっ……!兵力差が現時点でも14倍だとっ……!?)
一箇所に全兵力を集める馬鹿はそうはいない。敵軍は目の前にいる連中が全てではないはずだ。
しかも、敵は『謎の人工太陽』を作れる。その時点で、水爆を持ったプレイヤー並にやばい奴らだと、ワルキュラには簡単に推測できた。
しかし、敵の情報が少なすぎる。雑魚だと思ってまともに情報を集めてなかったツケが来た。
取れる手段は少ない。既に状況は動いている。
人工太陽を生み出せる敵軍は、恐らく地球の軍隊すら超越し――
(んっ……待てよっ……?)
ここでワルキュラは違和感に気づいた。
人工太陽が核融合や攻撃魔法の産物なら、首都カイロンに直接打ち込めば良い。それで全て解決するはずだ。
金のなる木である首都を壊す気がないなら、城壁だけぶっ壊せば昼間のうちに全ては終了していたはず。
これが意味する事は――
(俺……相手を過大評価しているんじゃ?)
ワルキュラの何もない眼窩が、遠くから押し寄せる敵軍を見つめる。
装備は弓、槍を中心とした中世感溢れる武装の兵士達。魔法が発展しているならもっと良い装備を持たせるはずだ。
軽騎兵が側面に展開しているが市街戦では役に立たないから、突入してくる気配はない。
つまり勝ち目はある。謎の技術を持っている敵だが、そんなに万能ではなさそうだ。
「……クレア、デスキングに伝えろ。
スケルトン大陸軍に防衛を一任する。
デュラハン機動軍は待機状態を解除。城門から先に敵を通すなと伝えろ」
「うん、わかったお父様」
今、ワルキュラが取れる手は全て打った。残りは緊急時のための予備兵力。
最高司令官の仕事は、細かい指示を出す事じゃない。
全体を見渡し、全体の事を考え、責任を取る事。
部下達は、命令だけを忠実にこなす、お人形さんじゃない。
ちゃんとこういう日のために、仕事をぶん投げて自分たちで判断できるように訓練させてきた。
(いきなり水爆使ってくるような相手だったらどうしようっ……)
でも、ワルキュラの脳裏には不安がよぎる。
ノーライフ・オンラインの最終決戦。プレイヤー達が使ってきた水爆による一発逆転。
ほとんどの階層が消し飛んで、デスキング達も恐らく蒸発して消えてしまった大惨劇。
あのような事態が起こる可能性があると思うと……白い骨の腕がプルプル震えた。守りたい娘達をまた失う不幸。
絶対に繰り返したくない。
「大丈夫ですよ、ワルキュラ様」
その優しい声に、ワルキュラは左隣を振り向いた。
ルビーの紅い瞳が見つめてくる。
「デスキングさんは名将ですから……信じてあげてください。
一度失敗しちゃいましたけど、あの程度の敵に屈する骸骨じゃありません」
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この話のコメントまとめ+作者の感想
http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Fusiou/c11.html
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ルビー(´・ω・`) あ、ワルキュラ様がプルプル震えて・・・怒ってる・・・?
デスキングさんが無能なんじゃないかって疑ってるんじゃっ・・・!?
よ、擁護しなきゃ!
ワルキュラ(´・ω・`) 一番、俺を理解しているはずのルビーですら、この有様だとっ・・・!?
ルビー(´・ω・`)アヘン入りの線香吸います?
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