ガールズ&パンツァー SSまとめ 西住みほと角谷杏(暴力シーンあり)
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その2
「会長」
「なーに西住ちゃん、こんな時間に」
西住みほが夜遅く、私しかいない生徒会室を訪れる。
今日の聖グロリアーナ女学院との練習試合は、みほの善戦むなしく敗北。
みほを初めとするあんこうさんチーム一同と我々生徒会カメチームは、公衆の面前で恥ずかしいあんこう踊りを踊る羽目になった。
「今日はごめんねー。私があんなこと言ったばっかりに恥ずかしい思いさせちゃてさ」
「いいえ、いいんです。ただ……」
「ただ?」
「今日のわたし、あんこう踊り、あんまり上手く踊れませんでした」
「いーよいーよ、もう二度と踊ることないんだし」
「いや、下手なままだと、次にもっと恥ずかしい思いをするかもしれません」
みほの顔が、ぐっと近づく。真剣な目をしている。
「いや、もう二度とないから、大丈夫……」
「会長、わたしにもう一度、踊りを教えて下さい!」
「え、いや、別に今日じゃなくても、また今度でいいじゃん」
「嫌です。今日踊ったばかりですから、忘れないうちに。今晩お願いします」
「……」
みほの瞳に怪しい光を感じた私は、不承不承ながらみほのお願いに従う事にした。
今のみほに逆らうのは、危険だ。
その直感は正解であり……不正解だった。
「じゃぁいくよ西住ちゃん。通しで踊るからよーく見てて」
「……」
あ、あ、あん、あん。
手を抜いちゃダメだ……私は懸命に踊る。
私の姿を、瞬きもせずにみほがじっと見つめている。
恥ずかしがっちゃダメだ……。私は懸命に踊り終え、ふーっと息を吐いた。
「ふぅ、どーお? 西住ちゃん」
彼女は私の顔に瞳を向け、それまできっと閉じていた口を開く。
「服が邪魔で身体の動きが見えませんでした。身体の線が見えないと、動きが分かりません」
「え? あ、あのー、あんこうスーツ、クリーニングに出しちゃったんだけど」
「じゃぁ、裸で踊ってください」
「はぁ?」
「裸です」
「あの、別に裸にならなくても、下着とか……」
みほの唇がにやつく。私の背筋に、幾筋もの冷たい汗が走った。
「身体の……筋肉と関節の動きが分からなくなります。全部脱いでください」
私はその場で制服を脱ぎ、シャツもブラも靴下も……パンツも脱ぐ。
見ているのはみほ1人とはいえ、恥ずかしさで心臓が高なり、頭がかあっとなる。
俯いて、股間を両手で隠して黙っていると、みほの……まじめで、冷たい声が響いた。
「どうしたんですか会長? 始めて下さい」
「……ううっ!」
断ったらどうなるかは、自分の身体が知っている。
がくつく足を思い切って踏み出し、右手を上げ、左手を腰に……全裸あんこう踊りを、始めた。
身も心も羞恥にもやして、焦がして……。
「会長、ちょっと止めて下さい」
「……」
「今の動き、よくわかりませんでした、もう一度踊ってください」
みほがぐっと顔を近づける。やめて。私を見ないで。
おおよその女子高生とは違う貧相な私の肢体をそんなに見つめないで。
「会長、お願いします」
「……はい」
彼女の視線は……汗だくになった、体毛の生えていない私の股間に釘付けになっている。
「あっ……」
「止めないで、続けて下さい」
逃げ出したい、もう逃げ出したい。
でも逃げ出したらどうなるか……考えたくない。
みほを戦車道に繋ぎ止めておくためには、彼女の奥に潜む狂気に応え続けねばならない。
やるしか、ないんだ。
私は身をよじり、腰を振り、全身を動かし、汗と涎と……を撒き散らしながら、踊り続けた。
「ありがとうございます。だいたい分かりました」
みほがやっと、私を解放してくれる。
「ふ、服着て、いいかな……?」
「私も踊ります、会長はそこで見ててください。正座で」
「正座……?」
床に座り込み、下着を掴みかけた私はその場で凍り付く。
「真剣に踊りますから、会長も真剣に見ててもらえると嬉しいです」
視界がぐにゃりと歪む。
みほが、私に全裸で正座し、あんこう踊りを見ろと要求している。
「い……」
「嫌、ですか? じゃ、私も服を脱ぎますから」
「ち、ちが……」
するすると服を脱ぎ捨て、みほも全裸で私に向き合う。
私は正座をし姿勢を正して、彼女と正対する。
目の前に、彼女の股間が露わになった。
「行きます。見ててください」
一糸纏わぬ西住みほが、真剣な表情であんこう踊りを踊っている。
誘っている。じらしている。月の光を浴び、光っている。
……いったい、これはどういう光景なのだろう。何を見ているんだろう。
意識がふっと飛びかけたその瞬間、みほの眼光が私の瞳を捕らえる。
「くっ……!」
目を逸らしてはいけない。
最後まで見届けないといけない。
少しでも目を逸らしたら何が起きるか……考えてはいけない!
みほが踊りを終え、一礼をして直立不動の姿勢を取った後、私の前に歩み寄る。
「会長、どうでした? わたしのあんこう踊り」
「完璧だ。問題ない」
実際に、みほは私と寸分たがわぬ踊りを踊り切った。凄まじい観察眼だ。
「ありがとうございます。じゃぁ、お礼をしないといけないですね、角谷会長」
みほがしゃがみ込み、正座をしたままの私の肩を掴んだ。
「お礼……?」
「目、閉じてください」
私は全てを諦め……みほに任せるべく、目を閉じる。
唇に濡れた唇が触れ、舌が唇と歯をこじ開けてくると同時に、私は絨毯に押し倒された。
みほの手指が、私の全身と皮膚を摩り……人に見せない場所を嬲る。
私の身も心も西住みほの手や唇や舌で、吊るされたあんこうのようにバラバラにされ、熱く煮えたぎらされる。
身が蕩け、がくん! と落ちていく感触を覚え、意識が遠のくと……みほが耳元で囁いた。
「会長、ごちそうさまでした」
「みほ……んっ!」
締めは、みほの口づけ。
私の味とみほの味の混じった濃厚な出汁を、ごくんと飲み干す。
私が脅して散らして誘った小魚は、人食い鮫だった。私は……鮫に食いちぎられ、呑み込まれる。
これからも、ずっと。
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