SAO オンラインゲームの中で拳闘士は生き残れるのか?
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協力依頼
「協力依頼?」
「そうだ。世界チャンピオンであり、強盗事件の立役者であるあなたに依頼したい」
それは、俺が三人の強盗を殴り倒した事件より五日後の事。
自宅の二階でのんびりしていた俺の元に、一人の男が訪ねてきた。
そいつの名前は芽場晶彦。なんでもゲームの開発者であり量子力学の専門家であるそうだ。
用件は、というと。今度リリースされる新作ゲーム、ソードアート・オンライン。略してSAOの戦闘モーションを撮るのに協力して欲しいというものだった。
SAOの事は知っている。世界初のVRハードであるナーブギア、それのソフトでありβテストが最近終わった。その結果は最高の一言。確かに手直しして欲しい箇所は出たらしいが、たとえされなくても今期最高のゲームであることは疑いようの無いモノと言われている。
俺、新屋樹はボクシングの世界チャンピオンだ。勿論強くなるために毎日の練習は欠かせない。
だが、同時に俺はゲームが好きだ。小さい頃からゲームに嵌っていた俺は、暇が出来ればやっていたからな。
空き時間の確保が難しく、ネットゲームは敬遠していたが、家庭用ハードは一通り持っているし話題のソフトは全てプレイ済みだ。
その中にはナーブギアも入っている。しかし、SAOのβテストには当選しなかった。
そんな俺に、開発者である芽場本人が依頼してきたのだ。
「私はゲームのスキルの一つに“拳闘士”というものを追加したいと考えている。その為には、是非とも貴方の協力が必要なのだ」
とまぁそういうこと。
拳闘士というのは、素手で戦うスタイルである。剣で戦うSAOにしては異端っつーか常識外れなスキルだ。だが、それもまたSAOの一つなのだそうだ。
自由度の高いSAO。戦闘以外にも楽しみは腐るほどあるそうだ。これもそのウチの一つなのだとか。
「報酬としては製品版の優先無料購入券、ナーブギア、30万でどうだろうか?」
「まった。そんなに貰えるもんなのか?」
「当然だ。新屋樹という、君の存在にはこんな物では到底足りないほどの価値があるだろう。それは、自覚しているはずだ」
正直驚いた。
たかがゲームのモーション撮り。数万程度で終わりだと思ったいたんだが、とんでもなかった。
破格の報酬だろ。たしかに俺の収入からしたら、低すぎる金額だ。だが、これはボクシングの仕事じゃない。ゲーム関連の仕事だ。
いいだろう、受けようじゃないか。
「・・・分かった、受けようじゃないか。日にちを明けておく、何時だ?」
「今から、というのは無理だろうか?」
「今から!?・・・いや、逆にその方がいいかもな。今日は練習も終わったところだから、予定はない」
「そうか、ありがたい。では早速行こう。車で来ているのでね、それでどうだろうか」
「オッケー、直ぐに用意する」
今は上下ジャージだ。流石にこんな格好で行ける筈もない。俺は準備するために自室へ戻る。
「しっかし、世の中どうなるか分かったもんじゃねーのな」
先日の強盗事件がこんな形で取り上げられてるとは、意外だ。
転がり込んできたチャンスに、俺は心を躍らせながら着替えをするのだった・・・・・・。
後書き
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