戦国異伝
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第二百四十七話 待つ者達その十一
「これまで通りな」
「それはしていきますな」
「そのつもりじゃ」
こう言うのだった、羽柴にも。
「南蛮人をそこの一部に押し込めてもな」
「やっていきますな」
「それはな」
こう言うのだった。
「続ける、しかしその政はこれからする」
「では」
今度は家康が信長に言って来た。
「敵が見付かり次第」
「鶴姫の策通りに動く」
鶴姫を見つつの言葉だ。
「そうする」
「では」
「敵の居場所がわかればそこに兵をやってじゃ」
そしてというのだ。
「そこから出してじゃ」
「陸と海で」
「討ち滅ぼすとしよう」
「どうやら最後の戦は」
元就は目を鋭くさせて言った。
「壇ノ浦やも知れませぬな」
「平家が滅んだか」
「はい、その場での戦ですな」
「そうなるやもな、実際に」
「面白いですな」
元就はそのことに喜んで言った。
「では上様その時は」
「壇ノ浦での戦になるのならば」
「平家はそこで滅びましたが」
「うむ、平家の護りの社であったがな」
「厳島に参りましょう」
「そうしようぞ、皆でな」
信長も笑って応える。
「そしてな」
「神に祈りますか」
「いや、誓う」
祈るではなく、というのだ。
「勝ちをな」
「そうされますか」
「厳島の神にもな」
「そうですか、そうですな」
そう聞いてだ、元就は笑って信長に話した。
「それが上様ですな」
「うむ、わしは必ず勝つからな」
「祈るのではなくですな」
「誓う」
そうするというのだ、
「そうするつもりじゃ」
「そういうことですな」
「さて、では今は待つ」
魔界衆が見付かるその時をというのだ。
「この岡山でな」
「次の戦に備えつつですな」
「その通りじゃ」
信長の笑みはいつも通りだった、そしてその笑みで最後の戦いに向けて手を打ってもいた。それから先のことも見据えながら。
第二百四十七話 完
2015・10・10
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