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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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35.若い内の苦労は買ってでもしろ。でも買う金がありません。

<ラインハット城>
ヘンリーSIDE

「兄さん!」
デールが騒がしく俺を呼ぶ。
珍しいな…あいつは冷静な方なんだが…
「どうしたんだ、デール?」
「お客さんが…リュカさんがお見えになりました!」
ほう、良い所へ来たもんだ。
「やあ、ヘンリー。まだマリアさんは愛想を尽かしてない?」
相変わらずだな…
「あのなぁ…まったく…お前こそどうなんだ?ピエール達に嫌われたん…じゃ?」
あれ?
リュカ一人だ!?
「おい!ピエール達はどうした!?本当に…」
あ、あり得るからなぁ…
「そんな訳ないだろ。他のみんなはサラボナで人質になっている」
「人質!?どういう事だ!」
「うーん…僕が逃げ出さない様に…かな?」
何なんだ!?いったい…
「これ…読めば分かるから」
俺はリュカに渡された書状に目を通す。
「お前、結婚すんのか!?」



式まで時間が無い為に新郎自ら参列者を迎えに来ているそうだ。
どんな式だよ…

皆に声をかけ参列を確認すると…
俺、マリア、ヨシュアさん、マリソル、デルコ、この5人が参列する事に決まった。
マリソルなんかは泣きながら「私がリュカさんと結婚したかったのに…」と、リュカを困り顔にさせる。
珍しいな、普段のリュカなら『僕もマリソルと結婚しちゃうぅ』とかふざけた事、言うのに…
後で聞いてみるか。
「リュカさん、このままサラボナへ行くのですか?」
「いえ、マリアさん。次は海辺の修道院へ行きます」
なるほど…各所を回ってサラボナへ…か!

ヘンリーSIDE END



<海辺の修道院>
マリアSIDE

ここへ戻ってくるのは随分と久しぶり。
お世話になったのに、そんな事ではいけませんわね。
リュカさんが修道長様とお話をしている。
「まぁ、おめでとうございます。リュカもとうとうご結婚されるのですね」
「はい。つきましては、お世話になったシスター方にご参列頂こうと思いまして、お迎えに上がりました」
「シスター・アンジェラ。貴女がご出席してあげなさい」
「修道長様は?」
「私はここでリュカの為に祈りを捧げたいと思います。リュカ、シスター・アンジェラを連れて行って頂いてもよろしいですか?」
「はい」
リュカさんはとても嬉しそうだ。

「では支度をして参ります。少々お待ち下さい」
そう言うとシスター・アンジェラは奥へ下がっていった。
「アンジェラさーん!荷物はそんなに必要ないですから。殆どサラボナでルドマンさんが用意してくれます。着替えを1.2枚で大丈夫ですよ。何なら裸でもいいし…いや、むしろ裸の方が…」
(ゲシ!)
「お前は…結婚すんだろ!」
「関係ないだろ!結婚したって、嫁がいたって、女の裸は見たいだろ!」
リュカさんとヘンリーさんは相変わらずです。
「リュカさん!私なら何時でも見ていいですよ!」
「マリソル…期待…しちゃうよ、僕…」
(ポカ!)(ポカ!)
「「いたーい」」
「お前らは~…」
「ふふっ…アナタは弟妹が沢山いますね」
「まったく…手のかかる…」
そうこうしていると、シスター・アンジェラの支度も終わり、次の目的地へ向かった。

マリアSIDE END



<サンタローズ>
フレアSIDE

私は今、信じられない…いや、信じたくない書状を見ている。
「リュー君、結婚するの!?」
「はい。アルカパに住んでいたビアンカと…」
私はリュー君に抱き付きキスをした。大勢が見ている前で…
「こんなに愛している私を捨てるの!?」
「捨てないよ。結婚はするけど捨てないよ」
え!?
どういう事?
私が考えていると、ヘンリー様がリュー君を蹴飛ばす。
「そんな訳いかねぇーだろ!」
「あいた!」

「ちょっと!ヘンリー様!リュー君に乱暴しないで!」
「そうよ!ヘンリー様!」
「うっ!マリソルまで…」
このお嬢ちゃんもリュー君が好きらしい。
さすがもてるわねぇ…
「じゃぁ…それでいい!リュー君の事お祝いするね。でも、サラボナへ行ったら悔しいからビアンカちゃんをいぢめる」
「(クス)…ビアンカは強いよ。かなりの修羅場潜り抜けたから」
うっ…負けない!
リュー君の初めては私が貰ったんだから!

フレアSIDE END



<山奥の村>
マリソルSIDE

温泉の匂いがする静かな村に私達は来ている。
ここはリュカさんのお嫁さんになる人が住んでいた村だ。
リュカさんはここへ、お嫁さんのお父さんを迎えに来たみたい。
リュカさんのお嫁さんはどんな人なんだろうか?
こう言っては何だが、私は将来美人になる自信がある。
ヘンリー様もデール陛下も、リュカさんまでも美人になるって言ってくれた!
あと5年早く産まれていればなぁ…

リュカさんのお嫁さんのお父さんはダンカンさんと言うらしく、とても優しそうなおじさんだ。
「おや?リュカ…どうしたんだい?こんな大人数で…ビアンカの姿が見えないが…いったい…?」
「ビアンカはサラボナで結婚式の準備をしています。お義父さん」
「…?お義父さん?…リュカ…お前はサラボナのフローラさんと結婚する為に、危険な試練を受けたのではないのかね!?」
「何!どういう事だ!詳しく聞かせろ、リュカ!」
ヘンリー様が大声で問いかける!
みんな、リュカさんに大注目だ。



私の想像を超える事態が起きていた様だ。
それにしてもリュカさんは格好いい!
お金目当てで変な人がフローラさんを不幸にしない様に、危険な事をやってのけるなんて…
そして三人の女性の中からビアンカさんを選んだのか…
私もその中に加えてほしかったなぁ…自信あるもん!
「今、私と同じ事考えているでしょ!」
シスター・フレアが小声で話しかけてきた。
「私は自信ありますよ。まだ、若いしこれからですもの」
私も小声でシスターに話す。
「ふふっ…どうかしらね?」
む~!私だってシスター・フレアくらいのオッパイになるもん!…多分…

「…リュカよ!父親としては嬉しい限りだが…ビアンカと結婚しては、天空の盾が手に入らないのでは?」
「いりません、あんな物!どうせ装備出来ませんし!」
でも勇者を捜す為に必要なのでは…?
「しかし…パパスの…」
「僕はこの世界の何よりもビアンカが好きなんです。ビアンカと結婚して後悔はありませんし、これからもしません」
出来れば聞きたくない言葉だった。
自信が揺らぐ…
シスター・フレアも唖然としている…
早く見てみたくなった…
嫌な女だったら絶対いじめる!

「リュカ…お前に話しておく事があるんだ…」
「もしかして、ビアンカとは血の繋がった本当の親子じゃないんですぅ~とか言う?」
「!!知っていたのか!?」
「え!?…えぇ…まぁ…」
「そうか…知っていたか…ビアンカは私とアマンダの「どうでもいいです!」
「おい!リュカ!どうでもいいはないだろ!」
私もそう思う。
重要な話だ。
「僕とビアンカが実は血の繋がった姉弟だったら重要な事だけど、この場合はどうでもいいです」
みんなキョトンとしている。
「僕が愛しているビアンカという女性は、ダンカンさんとアマンダさんに育てられた素敵な女性です。そしてビアンカがダンカンさんをお父さんと呼ぶ限り、僕にとって貴方はお義父さんです。これからも娘夫婦を暖かく見守って下さい。よろしくおねがいします」
もう…ズルイよ。
リュカさん、格好良すぎる。
諦められないよ…
私は耐えられなくなり、外へ出てしまった…
隣を見るとシスター・フレアも一緒だ。
お互い顔を見合わせ、抱き合い泣く。
あと5年、早く産まれても無理だったかもしれない…

マリソルSIDE END



 
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