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いつの間にかハイスクールD×Dの木場君?

作者:ユキアン
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日常風景のパフォーマンス
  第33話

 
前書き
久しぶりの投稿で書き方が微妙に変わったかもしれません。ちょっとずつ戻ればいいなぁ〜 

 
side プロフェッサー

「そろそろ開始か。それじゃあ、打ち合わせ通りにな」

「うぃ~っす」

「りょ~か~い」

「それじゃあ、ゆるく軽く捻くれて行くぞ~。とっとと終わらせて寝たい」

時間となったので転移魔法陣をくぐってゲーム会場へと転移する。今回のゲーム会場は古代遺跡のような感じで余計に都合が良かった。ルール説明が終了した後に回線をジャックしてサイラオーグ・バアルたちに声を届かせる。

「ふはははは、今回のゲームは先ほどのルール通りではあるが、こちらは『断罪の剣』魔導技術開発班の3人での参加だ。そして、君たちには追加で指令を与える。今回のゲーム会場内に3つの書類を配置する。分かりやすいところにファイルを置いておく。それを全て回収するまで我々をリタイアさせてもすぐに復帰する。君たちの強さは十分に把握しているからな。だが、強さだけではどうにもならない相手というのは存在するし、ただ倒すだけで情報を回収できないというのも問題だ。それを確認するためにこのようなルールを追加させてもらった。では、頑張りたまえ」

放送ジャックを終えてすぐさま散開して各自で迎撃の準備をする。くはははは、深夜テンションって怖いよな。





side サイラオーグ


相手は三人だが、油断はできない。慎重に全員で固まって移動する。そして、最初の小部屋に木場祐斗らしき白衣を着た男が大きな釜の中身をかき混ぜている。

「サイラオーグ様、ここは私が!!」

ベルーガが小部屋へと飛び込み

「私は主君サイラああああああ!?」

名乗りあげようとした瞬間、床が崩れて落下する。落とし穴だと!?助けようと部屋に突入するがそれよりも先に相手が動く。

「喰らえ、聖水で練ったコンクリートだ!!」

ベルーガが落ちた穴に木場祐斗らしき男が釜の中身をぶちまける。

「ぐわあああああ!!!!」

穴の底からベルーガの叫び声が聞こえ、唐突に聞こえなくなる。

『サイラオーグ・バアル様の騎士1名リタイア』

「撤収!!」

木場祐斗らしき男が何かを足元に投げつけると同時に煙幕が発生する。吸い込むと激しい痛みと涙が出ることから催涙ガスだと判断して部屋から飛び出す。ガスが晴れた後には釜も木場祐斗らしき男の姿も消えてしまっていた。念のために部屋を漁ってみたが、ファイルらしきものは見つからなかった。

罠が満載である前提で動くことを決め、さらに捜索を続ける。次は大広間のような場所で割烹着にエプロンを付け、黒いフードを被った女性が釜の中身をかき混ぜている。

「そっちから来たってことは、プロフェッサーの落とし穴+聖水コンクリートのコンボを食らって来たかな?にゅふふふふ、私も一人ぐらいはリタイアさせるかな?」

また似たような罠があると思い身構えるが、予想外の行動に出られた。

「出でよ、龍牙兵!!」

釜を蹴り飛ばして中身の液体が周囲に散らばり、液体から骨でできた兵士が少なくとも300は現れる。

「ありゃ?数が少ないような?おかしいな~、レシピ通りにやったはずなんだけど、素材の質?仕方ない、私も出張るか」

そう言いながら背中に背負った風呂敷からいくつかの試験管やフラスコを投擲してくる。割れると爆発したり、ガスが発生するので割らないように何人かでキャッチする。むっ、どこに行った?

「はい、隙あり」

いつの間にか骨の兵士に紛れて仕込み箒ですれ違いざまに切りつけて広間から逃げ出していく。追おうにも、追撃の際の罠や置いてあるファイルの回収を考えれば迂闊に追うことができない。骨の兵士を殲滅する頃には無傷の者は一人もいなかった。

「くっ、まんまと手のひらで踊らされている!!」

「まともにこちらと戦うつもりはないのでしょう」

初めてだ。ここまで正面から戦おうとしない相手と戦うのは。相手は3人と言っていた。残りの一人は一体どんな手で襲ってくるんだ。最低限の治療を終えて、さらに遺跡を探索していく。通路にも罠が仕掛けられており、リタイアまでは行かないまでも消耗はしていく。そして最後の一人を見つけた。露出の高いレオタードなのかドレスなのかわかりにくい服を着た金髪の女がオレ達が来た方とは逆の入り口の方を見ながら釜を掻き混ぜている。

「ぐ~るぐ~るぐるぐるぐる~のぐ~るぐるっと。よし、会心の出来ッス!!」

ちょうど何かが完成したようだ。リタイアはさせられないが奇襲で倒しておくべきだ。

「超最高品質のたるの完成ッス!!」

金髪の女ではなく釜から取り出した樽に向かって全員が遠距離攻撃を放ったのも無理はない。

「た、たるーー!?お前ら、たるになんの恨みがあるんっすか!?」

「残りの二人にろくな目にあわされてないからだ!!」

「結局は師匠が原因ッスか!?もう、行け、生きているナワ、箒、ノコギリ、クワ、台車、つるはし、スコップ、戦う魔剣!!たるの仇を討つッスよ!!」

腰につけているポーチから様々な物が飛び交い、襲いかかってくる。どれもが意外と攻撃力があり、油断できない。その上、また新たに釜を掻き混ぜ始めている。オレはダメージを無視して釜に突撃する。だが、あと一歩というところで間に合わず、何かを取り出す。

「3時のおやつにロシアンルーレットパイ」

パイを蹴り飛ばしたオレは悪くないと思う。

「パ、パイーー!?3時のおやつに恨みでもあるんっすか!?」

「レーティングゲーム中におやつを作ってる方が悪い!!」

「何処がッスか!!どうみても武器っしょ!!」

「3時のおやつと言いつつ武器と言い切ったな!?」

「バカみたいに強い師匠に仕返しできるのがこれぐらいだからッスよ!!喰らえ、微妙なアイスフレーバー!!」

ポーチから新たに色々なアイスが袋ごと投げつけられる。焼きそば、たこ焼き、お好み焼き、生ハム、半熟卵、ゴーヤ抹茶、ドリアンミックス、トロピカルすぎた、カレーは飲み物、などなど途中から本当にフレーバーの名前なのか疑うような物が多かった。

「続いて、あれっ、弾切れ!?まさか先に捨てられた!?ちょっとタンマ!!すぐに用意するから待つッス!!」

釜に適当に材料らしき物を放り込んで掻き混ぜ始めたので待たずに全力で殴り飛ばす。そのまま吹き飛び通路の壁にぶつかる。

「あべし!?ぐぅおおおおっ、例えウチが滅びようとも、第2第3のウチが現れて「くたばれ!!」ふぎゃ!?」

普通のレーティングゲームのように退場するがアナウンスが流れない。破壊した生きている台車の残骸からファイルの回収する。次の瞬間、釜が大爆発を起こす。

『サイラオーグ・バアル様の騎士1名、僧侶1名、女王リタイア』

迂闊だった。ふざけているようにしか見えなかったから大したことはないと思い込んでいた。釜を見てみると黒焦げの何かが落ちていた。近づいて確認してみると、原型は

「パイかよ!!というか、どういう原理で釜をかき混ぜるだけでパイとか樽とかを作ってるんだ!!おかしいだろう!!」

残骸を叩きつけて壁を殴り壊して叫ぶ。眷属に無様な姿を見せるが構う物か。ここでガス抜きをしなければもっとひどいミスをする。だから、一度全てを吐き出してリセットする。

「行くぞ!!これ以上茶番に付き合ってられるか!!」

探索を続け、最後のファイルを手に入れ、遺跡内の捜索が終わる。どういうことだ?これ以上部屋はなかったはず。もう一度捜索をし直そうと振り返ると何食わぬ顔で一番後ろに三人が揃っていた。

「逃げろ!!」

「「アイアイサー!!」」

「逃がすな!!」

逃げる三人を追いかけて、割烹着の女がいた広間に誘導される。そこには再び釜が3つ置かれている。だが、三人は釜の前で反転して釜を背にする。





side プロフェッサー


「楽しんでもらえたかな、サイラオーグ・バアル」

「貴様、何者だ」

「『断罪の剣』魔導技術開発主任、プロフェッサーだ。どうだ?オレ流錬金術は?」

「ふざけているのか!!」

「ふざけてなんていないさ。まあ、最初の聖水で練ったコンクリはふざけてたが。オレ流錬金術は冥界に新たな風をもたらす。既存の錬金術とは違い、難易度はそれほど高くない。5年もあれば一流を名乗れる。材料があればの話だが。まあそこは頑張って栽培なり養殖なりしろ。そして何より魔力をほとんど使わないのも特徴か。魔力は多少あれば、それこそ一般的な平民の悪魔の魔力があれば十分だ。で、こいつがまともに作ったアイテム。N/A!!」

品質120、特性は『特性で強化・大』『少ない敵に大効果』『小さな敵に超有効』『最後の一撃・大』『初心者でも大丈夫』こいつを作るためにここ数日寝てないんだよ。N/Aの連鎖爆発に何人かが巻き込まれてリタイアしているが音が激しくてアナウンスがわからない。そんな爆発の中をサイラオーグは突き抜けてオレに殴りかかってきた。無論、運動神経が皆無なオレにそれが躱せるわけもなく直撃を喰らう。ふむ、これを使わせられるはめになるとわな。

「ししょ~、無事ッスか?うわちゃ~、ミンチよりはマシとかお茶の間に見せられないじゃないッスか」

「あちゃ~、無事なら返事しなさいよ~」

『たかが肉体が壊れただけだ。既に新たな器に移動したわ』

釜の中から起き下がり、左右の釜から武器を取り出す。

「このキラーマジンガが相手だ、傷付いたお前がどこまで耐えられるかな、サイラオーグ・バアル?」

「規格外にも程があるだろうが!?」

「ラスボスの倒したと思ったら2段変身とか最終兵器が起動するなんて当たり前だろう?」

「どこの当たり前だ!!」

「「「変態国家日本のサブカル」」」

変態とは言っても良い意味での変態だ。世界中を見ても珍しい民族だぞ、日本人は。職人気質なくせに妙なこだわりや遊び心を忘れない所や、恐ろしいぐらいに様々なことに寛容であり怖いもの知らずな所とか。

「ふざけるなあああ!!」

「結果が全てじゃボケ!!」

サイラオーグ・バアルの拳をキラーマジンガのボディで受け止める。結果はキラーマジンガのボディにはキズやヘコミもつかず、逆にサイラオーグ・バアルの拳の皮膚が裂けるだけに終わった。

「さすがキラーマジンガ、何ともないな。今度はこっちの、ってあれ?よっ、ほっ、はっ、おいおいマジかよ。動かし方がわかんねえ」

「だっせ~」

「ミッテルト、後でショッカーも真っ青な改造を施してやるからな」

「ちょっ、事実っしょ!?」

「うるせえ、改造されたくなかったらブルーメタルでキラーマシーンを作れ!!」

「横暴ッス!!眷属虐待ッス!!」

「師匠からの愛の鞭、ってこうか!!」

ミッテルトと漫才をやっているうちに動かし方を掴む。移動を翼での飛行、4本ある腕はマリオネットを操るように両指を動かす感覚なのか。それさえわかればこっちのものだ。

「剣の舞!!」

「くっ、動かし方が分かったばかりなのにこの精密さだと!?」

「火炎斬り、マヒャド斬り、真空斬り、稲妻斬り!!」

まあ、それっぽく見せてるだけのただの斬撃だけどな。それでも吹き飛んだので良しとする。だが動きにくい。

「もういい!!飽きた!!」

手に持っていた武器を投げつけて、ぐちゃぐちゃになったさっきまでの肉体を釜に突っ込んで再錬成して元に戻る。ただ、材料が足りなかったのか体が縮んだ。ミッテルトと同じぐらいに。服もそれに合わせて再錬成して着替えてから釜をよじ登る。

「見下ろさないだけでなんか新鮮だな」

「そう簡単にころころ体を代えて大丈夫なんッスか?」

「オレ自身もモルモットなんだよ。それにしてもキラーマジンガは失敗だったな。というか、オレの持ち味を殺すほどのメリットがない。倉庫行きだな」

「結構貴重な金属を大量に使ってそれッスか。ま~た徹夜で作成する必要があるッスねー」

「プロフェッサー、ミッテー、おやつできたよ」

「「うぇ~い」」

テーブルと椅子を取り出してブレイクタイム。お茶請けは錬金釜で作った普通のアップルパイだ。無論、周辺には結界を張って守りは完璧だがな。なんだかんだでN/Aは全員に耐えられるか逃げられるかしたからな。オレの投擲が下手なせいで。まあ、既に勝敗は決しているがな。

「な、なんだ、体が痺れて、眩暈に吐き気まで!?」

「毒だよ。気づいてないだけでこの部屋には毒ガスが充満してたんだよ。ちなみにオレ達は毒を無効化する術式を刻み込んだ衣装をまとっているのでな。伊達でこんな服装で戦ってないんだよ。まあ、白衣はオレの戦闘服だがな。久遠のいかにもなフードはともかく、ミッテの改造レオタードはどうかと思うけどな」

「これを錬金術士の正式衣装にしたら面白そうっしょ?」

「えっ、男にその格好をさせるとかミッテってそっちの住人?うわぁ~、引くわぁ~」

「誰が野郎にこんな服を着せるか!!女の子限定に決まってるッス!!」

「つまり百合の住人か。レイナーレをお姉さまとか呼んでたっけ。アーシアに近づかないように注意しとかないとな」

「白音も近づかないように言っとかなきゃ」

「ちょっ!?誤解ッスよ、誤解!!」

そんなグダグダな会話を5分ほど続けたところでサイラオーグ・バアル達全員がリタイアする。やれやれ、やっと寝れるな。ゲーム会場から転送され、さらに転移魔術で研究室まで戻る。

「それで、サイラオーグ・バアル達の誰を下部に入れるんすか?」

「全員。実力はあるからな。後は、今回みたいな搦め手の対処法を叩き込めば使えるだろう。まあ、誰も入らなかったら入らなかったで構わないんだけどな。利益分配として下部組織を作ったんだから。それを向こうから蹴るならそれまでの話だ」

「そんなものでいいの?」

「いいのいいの。悪魔より堕天使の方がオレ寄りの考えの奴が多いから扱いやすいし、天使も術式を刻み込むのが得意なのが多いから搦め手に強いし。本当にソーナ・シトリーが拒否したのが痛いわ~」

「まあ、あれはあれで師匠寄りの考えッスもんね。大多数の下を底上げしようと考えるのは」

「底上げされた本人が一番よくわかるだろ?」

「どうよ、若手上級悪魔で一番強いとされるサイラオーグ・バアルのパンチを受けて?」

「意外と効かなかったッス。ウチ、強くなってたんッスね」

そりゃあ戦闘班にあれだけ追い回されてボコられてれば素の能力も上がるし、何よりその改造レオタードを作ったのは三日前。つまりはミッテが今使える全ての術式を好きに刻み込んで作った一品だからな。なんだかんだで、上級の中位までは完全に覚えきってるからな。

「素質はまあ、悪くはなかったからな。あとは、努力の結果だ。これからも精進しろ」

「ウッス、頑張るッス」

「それじゃあ、褒美ってわけじゃないが明日と明後日は完全休養だ。存分に羽を伸ばせ」

「よっしゃああ~~、久々の完全休養ッス!!しかも二日も!!何をしようっかな~?」

スキップしながら研究室から出て行くミッテを生暖かい目で見送り、白衣を脱いでソファーをベッド代わりに寝転び、白衣を毛布代わりにかける。久遠はそんなオレの上に猫の姿で飛び乗って丸くなる。

「久遠、寝苦しいから降りろ。もしくはもう少し上に移動しろ」

降りる気はないらしく、白衣に潜り込んで胸元から顔を出して眠り始める。まあこれぐらいなら構わんだろう。さて、半日ぐらい寝るか。
 
 

 
後書き
次は、聖女マニアがすでにご臨終なされてるのでわんわんおとスケベジジイとエロゲに出てきそうな見た目だけど中身がちょっと、いやかなり残念なヴァルキリーさんかな?個人的にはあのポンコツ具合は好きですよ。面倒を見てあげないと簡単に騙されて落ちぶれちゃいそうな残念さが。けど、そのおばあちゃんも大好きです。あと40若かったらなぁ。 
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