DQ5~友と絆と男と女 (リュカ伝その1)
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32.結婚って何の為にするの?
<滝の洞窟>
洞窟の最下層は滝が落ちる美しい泉だった。
滝の水しぶきが舞う最下層で、ビアンカは俺の手を握り先程から沈黙している。
さっき男を殴った事を軽蔑してるのかな?
ついカッとなってしまったがマズかったかな?
だってムカつかない!?
楽しくデートしてたのに、いきなり人の彼女の尻触って邪魔するなんてさぁ…
やっぱりいきなり暴力は軽蔑対象だよねぇ…
あの男も見た目より軽く、盛大に吹っ飛んだから俺が暴力的に見えちゃう。
「ビアンカ…ごめんね…さっきの…」
「リュカが謝る必要なんてないのよ。むしろ感謝してるわ、私を守ってくれて」
ブラボー!!ブラボー、さっきの俺!
水しぶきで服が濡れ見事なボディーラインのビアンカを見て、俺の暴れん坊将軍が騒ぎ出す!大暴れ寸前!
ビアンカを抱き寄せキスをする。
最初はビアンカも絡ませてきたが、すぐに俺から離れ寂しそうに呟いた。
「ダメよ…リュカ、貴方は結婚するのよ。私達は昨晩だけ、一度きりなの…」
俺は何も言えなくなった。
そう、俺は結婚する…そして天空の盾を手に入れる…
フローラはいい娘だ。もっとよく知れば愛せるだろう…
だが、天空の盾の為に結婚する事実は消えない。
フローラは俺の事が好き、だろう…
ビアンカはどうだろうか…?
いや、それより俺はどうなんだ!?
俺は…
しかし天空の盾を手に入れないと、父さんとの約束を果たせない!
志半ばで殺された…俺の目の前で殺された父さんの遺志を…
だが…
・
・
・
俺は思考の迷路に迷い込んでいた。
そんな俺を連れ戻したのはビアンカの明るく爽やかな声だった。
「見てリュカ!水のリングがあるわ!」
「ビアンカ!危ない!!」
俺は死の火山での事を思い出し、剣を抜き放ち左腕でビアンカを抱き庇い、四方を警戒する。
…が、何も現れない…何も起きない…
「リュ、リュカ?」
腕の中を見るとビアンカが真っ赤な顔で俺を見上げている。
かわゆス…とっても、かわゆス!
「ご、ごめん…以前…リングを手にしたら、モンスターに襲われたから…その…ごめん…」
「守ってくれて…ありがとう。あの…もう危険は無さそうだから…あの…腕の力を…」
俺はビアンカを離せないでいる。
キスする事も、離す事も出来ないでいる。
俺はどうすればいいのですか?
誰か、教えて下さい!
父さん、教えて下さい!
<サラボナ-ルドマン邸>
フローラSIDE
今、リュカが帰還したとの報を受けた。
サラボナ運河に突如船が出現し、船からはリュカ達が下船してきたらしい。
船ごと移転してくるなんて、やっぱりリュカはすっごい!
マーリン様に聞いた話しでは、本来術者一人しか移転出来ないらしいのだが、リュカは大人数…いや、船ごと移転出来る。
お父様もお母様も、リュカの事を高く評価している。
「旦那様。リュカ殿がお見えになりました」
来た!
とうとう水のリングも手に入れて!
「あ~…遅くなりました~、水のリングです」
少し遠慮がちに入ってくるリュカ…
「おぉ!リュカ!待っていたよ。どれ、水のリングも預かろうか」
間違いなく水のリングだ!
リュカはお父様にリングを渡す。
あら?疲れているのだろうか?
リュカの表情が暗い様な気がする?
…後ろの女性は誰かしら!?…まさか…
「あ、あの…リュカ!…そちらの…方は…」
「あぁ、彼女は僕の「私はビアンカ!リュカとはただの幼馴染みよ!」
リュカの言葉を遮り、自身の事を説明する女性。
この人やっぱり…
「じゃ、じゃぁ、私はこの辺で帰るわね!」
「ちょっと待ちなさいよ!」
ビアンカさんが帰ろうとすると、ドアからデボラ姉さんが入ってきてビアンカさんを止めた。
「リュカ…って言ったけ?あんた凄いわね!本当にリングを2つ手に入れるなんて」
「はぁ、どうも…あの…どちら様?」
いきなりの登場でリュカも困っている…
「姉のデボラ姉さんです」
「そう言う事!だから、私と結婚しても盾は手に入るわ。そうよね、パパ」
え!?急に何を…?
「あ、あぁ…まあ…そうだが…急に何を言「つまり、私と結婚しなさいって事!」
そんな!
「いきなり何だ!リュカがお前と結婚する訳ないだろ!」
「分かってないわねパパ。リュカは天空の盾を手に入れたいのよ。だったら、私の様な絶世の美女を選ぶでしょ!」
そんな…酷い…
「あの…ちょっ「今回の試練は私の婚約者を決める試練です!」
「それが?」
「それに参加したリュカは私と結婚するつもりなんです!」
そうです!
リュカは私の為に危険な試練をやり抜いたんです!
「見なさい、リュカの連れている女を!」
え!?ビアンカさんが…
「フローラ。貴女は可愛いわ。お淑やかだし清楚で可憐よ。でも、リュカの好みはスタイルの良い美女よ!」
うっ…
「僕の話を聞「そう言う訳よリュカ!私と結婚するのなら、そんな田舎娘とは金輪際逢わないでもらうわよ!」
「田舎娘って私の事!?」
デボラ姉さんの不躾な物言いに、怒りを露わにするビアンカさん…でも、その通りです!
リュカとは二度と逢ってほしくない!
リュカは貴女の事が好きなはず…
そんなの…
「他にいないでしょ。さっさと帰りなさいよ!何時までも彼女面して居座らないで頂戴!」
「そうです!貴女がいなければ話がややこしくならなかったのに」
「な!?話をややこしくしたのは貴女のお姉さんでしょ!私は帰るつもりだったの!」
「ちょ、みんな僕の話し「静まらんか!」
お父様の一喝が静寂を呼び戻す。
「みんなの気持ちはよく分かった!だが、リュカは一人しかいない。だからここは、リュカに決めてもらおうじゃないか」
…つまり?
「あの、僕は「つまり今夜一晩ゆっくり考えて、明日の朝に結論を出してもらう。リュカは宿屋に泊まりなさい。部屋を用意しておこう。ビアンカさんは我が家のゲストハウスに泊まるといい。遠慮はいらんよ」
お父様が強引に決めて、リュカとビアンカさんをそれぞれ案内させている。
私は…リュカに選んでもらいたい!
どんな事をしても…
でも…どうすれば…
フローラSIDE END
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