暁の舞R
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プレスト城
前書き
マリアに誘われた赤虎、渚。
お城に辿り着いた。
俺たちが噴水に辿り着くと、そこには1人の男性が立っていた。
「貴方達がマリアンヌ様が、ご招待されたご友人の方々ですか?」
「マリアンヌ…?もしかしてマリアのことか…?」
「ええ。マリアンヌ・ユーファ・プレスト様のことで御座います」
「凄い…、本名って本当に偉い人って感じだね」
「ああ、そうだ。すまないがマリアに来たと伝えていただけないか?」
「承りました。暫しお待ちください」
そう言い残すと男性は一礼をした後、
早足で城内に入って行った。
「マリアさんの本名ってマリアンヌさんだったんだね、なんか急に女王って感じの名前に感じて、緊張しちゃうなぁ…」
「ああ、そうだな。俺も緊張してきたよ」
俺たちが緊張でドキドキしていると、城の扉が開いた。
そしてそこに姿を現したのは、純白に輝いたドレスを身に纏ったマリアの姿だった。
「綺麗……」
「ああ。美しいな…」
俺たちがマリアに見惚れていると、マリアが城の階段を下りながら俺たちに近付く。
「ようこそ赤虎、渚。父上と母上にも話は通しているわ。是非、城内を満喫して行って!」
「ありがとうマリア。でも城内ではやっぱりマリアンヌ様って呼んだ方が良いかな?」
「気にしないでいいわ。城内でもマリアで結構よ」
「そうか、なら遠慮なく」
「では、城に入りましょうか?」
「ああ」
俺と渚はマリアに続く形で、城内に足を踏み入れた。
そこには、絵本でしか見たことのないようなシャンデリアがいきなり俺たちを出迎えた。
「す、スゲェ…。こんなシャンデリア本当にあるんだなぁ…」
「うわ〜!すっごく広いね〜。あっ、螺旋階段もある!!」
俺たちが城内をキラキラ見渡していると、先程の男性が現れた。
「どうしたのシンカー、何か用かしら?」
「はっ!先程謁見室に赴いた処、どうしてもマリアンヌ様のご友人を一目見たいと王が申しておられますが如何されますか?」
「父上が?2人がいいんだったら大丈夫だけど…」
「俺は大丈夫だ、王がそう仰ったのなら、こちらこそ是非お会いしたい!」
「緊張するけど、あたしも王様にお会いして見たいです!」
「……だそうよ。シンカー、父上にすぐに向かうと伝えておいて」
「かしこまりました。王にそうお伝え致します」
俺たちはマリアと軽く見学しながら、謁見室に向かった。
コンコン
「マリアかい?」
謁見室の中から男性の声が響き渡る。
「ええ父上、友人を連れて参りました。失礼しても宜しいでしょうか?」
「勿論だとも…!遠慮せずにお入りなさい」
「失礼します」
マリアがギィィィと扉を開けると、謁見室の奥に髭を生やした男性の姿があった。
「お初にお目にかかります!マリアの友人の赤虎と申します!」
「あたしは暁 渚と申します!お目にかかれて光栄です!」
「まあまあ、そう緊張なさるな…。ワシはマリアの父親であり、このプレスト街の王…ヴァン・ユーファ・プレストじゃ」
王は俺たちを見ると、嬉しそうに笑う。
「いやぁ、マリアが友人を城に招くなんて初めてだからのう!父親として娘に友人が出来て本当に嬉しいわい!」
王はマリアを見ると、思い出したように話す。
「そうじゃ…!今からホールで踊りなどの見世物などがあるんじゃが、君達も一緒にどうかね?」
「自分達が参加して宜しいんですか!?」
「勿論じゃよ!マリアの友人なら是非とも参加していただきたい」
「お誘いありがたくお受け致します!」
「うむ。マリア、ご友人を試着室に案内しておやり。そこに衣装が何着か用意してある筈じゃ」
「はい、わかりました父上。赤虎、渚。試着室はこっちよ」
「ヴァン王失礼致します」
「失礼致しました!」
「うむ、ではまたあとでな…」
俺たちはマリアに連れられ試着室に辿り着くと
男女別の試着室に入った。
「ここのクローゼットかな?」
俺は男性用の試着室にあったクローゼットを開くと
目の前にあった黒色のタキシードを身に纏った。
「初めてだな、こんな服…。でも、たまには良いかな」
俺がネクタイを微調整しながら、試着室を出ると
隣の女性用の試着室から髪を結い上げ、淡い水色のドレスを纏った渚が出て来た。
「お、お待たせ…。ど、どうかな…?」
俺はいつもと違う渚の美しさの息を呑んだ。
「や、やっぱりあたしには似合ってないよね…ドレスなんて」
「と、とんでもない!綺麗だよ渚…!まるでお姫様みたいだ!」
「あ、ありがとう…。赤虎も服似合ってて素敵だよ!」
俺たちは近くで待機していたマリアに合流すると、ホールに向かった。
「普通はお城のホールに一般人は入れないんだけど、今日はパレードだから一般人でもお城のホールに入ることが出来るの。2人には踊りにも参加して欲しいんだけど…いいかしら?」
「うん!大丈夫だよマリアさん!」
「そう…それなら良かったわ。渚、貴方にも私をマリアって呼んで欲しいわ。友人だもの」
「マリア……うん!」
「着いたわよ、ここの螺旋階段を降りればホールよ」
マリアが先に階段を降りていき、続いて俺と渚も続いて行く。
「渚…。手を出して」
俺が右手を渚に差し出し、手の平を見せる。
「…うん」
渚は俺の出した手にそっと左手を乗せると、俺たちは一緒に螺旋階段を降って行く。
螺旋階段を降って行くに連れて、拍手が大きくなっていく。
俺たちがホールを確認すると、そこには沢山の人達が集まっていた。
螺旋階段を降りきった俺たちに品の良い女性が声を掛けてきた。
「この度はようこそプレスト城へ。貴方達がマリアの友達ね?」
「もしかして貴方様が女王陛下でしょうか?」
「ええ。私がエリザベス・ユーファ・プレストですわ。赤虎くんと渚ちゃんね?マリアの友達に会えて嬉しいわ」
「こちらこそお会い出来て光栄です、エリザベス女王陛下」
「今日は楽しんで行ってね?アーロン!彼らにも護衛を…」
「はっ!護衛隊、マキシとロイ!マリアンヌ様のご友人の護衛に付け!」
「「はっ!!」」
アーロンという髭を生やした筋肉質の男性が指示すると
俺にマキシという青髪の男性。渚にはロイという緑髪の眼鏡の男性が付いた。
しかし、あのアーロンという人。
とんでもないオーラを纏っているようだ。
「アーロンね…」
どこかで聞いたことあるような、ないような。
そんな気持ちでいると、護衛のマキシが俺に話し掛けた。
「あんた18なんだよな!?」
「ああ。そうだけど?」
「なら、俺とはタメだな!俺はマキシ・クーリッジ!宜しくな!」
「同い年なのか…!俺は赤虎だ、宜しく!」
俺がマキシと話していると、隣の渚とロイの姿が目に映る。
「………………」
「……………………」
「「……………………………」」
そんな沈黙した2人を見た俺が、マキシに話し掛けようとすると
俺が今から聞こうとしたことを、教えてくれた。
「ああ、なんで無言何だろう?って思ったんでしょ。仕方ないさ、ロイの奴は女性が嫌いって言う訳じゃないけど、何故か遠ざけてて、必要以外女性とは話そうとはしないんだ」
「そうなのか。彼もいろいろ抱えてるんだな」
「まあそんなことより!今日は楽しめよ、俺が赤虎のこと守ってやるからよ!」
「それは頼もしいな、護衛は頼んだぜマキシ」
「おうよ!」
会話を終えた俺たちにマリアが近づいて来て話し掛ける。
「そろそろ踊り始まるわよ、赤虎、渚こっちに来て」
「わかった、行こう渚」
「うん!」
俺たちはそのままマリアに続き、奥に入って行った。
後書き
赤虎「緊張するなぁ」
マリア「しょうがないわ、私も多少緊張してるもの」
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