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『最低な女』

作者:零那
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『育児』



いろんな事が在ったけど、何とか娘と同じ日に退院できて嬉しかった。
入院中から、いろんな不安や悩みなど絶えることはなかった。
子宮収縮である産後陣痛もカナリ痛くて、まともに眠れることも少なかった。
裂傷して縫合した部分の、つっぱるような痛みもカナリきつい。

御飯だけは辛くても食べた。
母乳を出す為に。
御祝い膳とやらの高級料理は、半生の赤い肉だったりして、どうしても嫌だったので普通食にして貰った。

退院後は蒼のお母さんの手料理が待っていた。
何故か妙に落ち着く。
ジジババがベッタリ孫にくっついているので、未桜は邪魔者扱いだった。
あんなに反対してた皆が、すっかり娘の虜。

まだまだ、お世辞にも可愛いとは言い難い顔だが、少しずつ顔も変わると言われていたので楽しみだ。

親は皆、我が子をカワイイ愛しいと想うのが当然だと言う。
確かに愛しい想いは在る。
けれどどう見てもカワイイとは言えなかった。
其れは未桜がおかしいからなのか、生後1週間だからなのか...?

案外すぐに育児の壁は現れた。
いや、壁なんてものは常に在った。
ただ、ほんの少し今迄の壁とはワケが違った。
次元が違う。

なんせ育児は初体験。
施設で見てた乳幼児、職場実習で見た園児。
何ひとつ参考にもならない。
未だ其処に辿り着いていない。

夜泣きは激しく、カンの虫も強かった。
物音や光にも敏感で、寝ているときは少しの物音でも起きてしまう。
神経質なんだろうか...。

入院中でも生活音レベルは常に在った筈だし、寝ているときの光も勿論在っただろうに。
環境が変わったせいだろうか。
ベッドが気に入らないのか。
空間や室温などに違和感を抱いてるのだろうか。
汗や体温など見ながら調整してる。それこそ神経質になりそうなくらいの勢いで。

何をしても泣きやまない。
解らないことだらけ。
何故だろう。
悔しい気持ちがこみ上げる。

どうしてあげたら良い?
どうして欲しい?
教えて?
どうしてあげたら貴女はグッスリ眠りにつける?
未桜も泣きながら娘に問い掛ける。
答えはなく、脳の奥に響く泣き声のみ。

思い切り一緒に泣いてしまいたい。
叫ぶ様に泣いてしまいたい。
娘は泣き疲れて眠りにつく。
未桜は娘を抱き抱えたまま布団に座り込む。

ベッドに下ろすと泣くので抱いたまま一緒に布団に入る。
娘を包むようにして眠った。

こんなに悩んだことが嘘のように、抱いたまま眠ってやると娘は落ち着いて眠る。
とりあえず良かった。


 
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