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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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30.どうにもならない事がある。どうにも出来ない事がある。でも、どうにかしないと。

<サラボナ近郊の川>

ルドマンさんにリングを渡すと「次は『水のリング』だな。北の『滝の洞窟』にある。町の外の川に船を用意したから、自由に使ってくれたまえ」って、船貸してくれた!
船って言ってもクルーザーぐらいの中型タイプ。
でも、凄く立派な帆船で買えば高そう。
世の中の男の子(大昔男の子も含む)には分かると思うけど、船とか、電車とか、飛行機とか、そう言うの「自由に使っていい」って言われたらテンション上がるよね!

そんな訳で、船に一番乗りして「どっちが面舵か分からんけど、面舵いっぱ~い!」って、舵を回したら(バキッ)って壊れた。
じゃぁ今度は!とばかりに帆を広げるロープを引っ張ったら(ボキッ)って折れた。
んで、修理に半日かかり、ルドマンさんに怒られ、マーリンに説教され、ピエールに「お前、船の上では何もするな!」って釘刺された。


そんな訳で、俺は甲板の上で静かにくつろいでいるプックルの腹を枕代わりに横になっている。
船の事はキャプテン(仮)ピエールと一等航海士(仮)マーリンに任せて…
(俺的に)優雅な船旅を満喫していると、行く手にでっけー水門が出現!
水門の至る所に看板が掛けてあり『水門の事は、山奥の村へご相談を』って書いてある。
「めんどくせーから、ぶっ壊しちゃおうぜ!」と言う意見を、多数決でボコボコにされ、俺・プックル・キャプテン(仮)ピエールの三人で山奥の村まで足を運ぶ事となった。


プックルに乗って約2時間。(プックル便利)
山奥の村、正式名称『温泉で超有名な山奥にある村』は名前の如く温泉の香りがする、風光明媚なステキな村だ。
村人に聞いた話では、「名前が長すぎたので山奥の村と呼ばれてる」と言う事だが、名前が長いと思った時点で『サンタローズ』とか『サラボナ』とか、イカニモな名前を考えれば良かったのにって思います。(ま、どうでもいいか!)
村の一番奥(山奥の村の奥って奥すぎ!)に、水門を管理しているお宅があるらしい。

とぼとぼと奥の奥まで歩いていると、突然プックルが走り出した!
プックルは絶対に人には危害を加えないけど、そんな事知らない人からすれば、大きいトラが襲ってきたとしか思えない!
俺とピエールが慌てて後を追いかける。

プックルは村の墓地へ入り込み、お墓にお祈りを捧げている女性へ近づいていた。
とても綺麗に整備されたお墓は、生前とても大切な人だった事を物語っている。
そのお墓に祈りを捧げている女性は、後ろ姿ながら美しさを醸し出していた。
とても話し掛けられる雰囲気ではなく、邪魔をしてはいけないので、立ち去ろうとプックルを呼んだ。
「プックル!ダメだよ、邪魔しちゃ!」
「え!プックル…」
その女性は立ち上がりプックルを見る。

普通の女性はプックルを見ると、悲鳴を上げて腰を抜かす。
しかし彼女はプックルを見ても、驚いてはいるが悲鳴を上げない。
俺は彼女を見て息が止まった!
彼女は美しかった。
美しい金髪。
美しい青の瞳。
俺が今まで出会ってきた女性の中で一番…いや、他の女性の追随を許さない程の美しいさだ!
そして彼女は俺を見てプックルを見た時以上の驚きをした。
「…貴方…リュカ?」

え!?
…俺の事を知っている!?
ま、まさか…もしかして…!?
「ビ、ビアンカ!?」
「やっぱり!リュカだ!リュカ!!」
やはり彼女はビアンカだった!
ビアンカは俺に駆け寄り抱き付いてきた。
あまりに不意打ちだった為、俺はビアンカに押し倒された。
ビアンカに押し倒されるのは2度目だ。以前はお尻で…

「ビアンカ!逢えて凄く嬉しいよ!最初、美人過ぎて分からなかったよ」
「ふふっ、ありがと。リュカもお世辞を言える様になったのね」
お世辞なもんか!
俺はビアンカを見つめながら彼女を抱き続ける。
俺の祈りが通じたのか、ビアンカはとても女性的に成長していた。
特にオッパイ。(フレアさんに勝るとも劣らず)
何時までも墓地でイチャついていた為、ピエールに「死者の前で何時まで抱き合っているつもりだ!」と怒られた。

二人とも服に付いた土を叩きながら、ビアンカの家(なんと、水門管理者宅)へ歩き出した。
「私ね、絶対リュカは生きているって分かっていたの!」
「ありがとう。僕はアルカパにビアンカがいないから絶望してたよ」
もうあの時のガッカリ感は最悪だった…
「大袈裟ねぇ」
「くすっ。アマンダさんもダンカンさんも元気にしてる?」
「…母さんは…」
ビアンカの表情が暗くなる。
俺は自分の愚かさ加減が嫌になった!
さっきビアンカは墓地で祈っていた。
それを考えれば、安易に聞ける質問ではない!

「ごめん!ビアンカ…その…」
「ちょっと、ヤダ!いいのよ、そんな顔しないで。知らなかったんだから…」
ビアンカは最高の笑顔で許してくれた。
正直ビアンカを押し倒しそうになったが、存在を忘れていたピエールが氷の様な視線で睨んでいるのに気付き、踏みとどまった。
「パパスおじさまは元気にしてるの?」
「…」
「…ヤダ!私こそごめんなさい…」
「いや、いいんだ。その事はダンカンさんと一緒に聞いて欲しいから…」
俺は笑顔でそう言ったが、きっと先程のビアンカの笑顔には遠く及ばないだろう…昔は出来たのになぁ…最高の笑顔…


ダンカンさんはベットで横になっていたが、俺の事を聞くと飛び起き盛大に歓迎してくれた。
俺の生存を心から喜んでくれて、涙が出てきてしまった。
ダンカンさんは俺の頭を抱き締めると「男がこんな事で泣くな!」と、さらに俺を泣かしやがった。
このおっさん、昔飴をやったのに恩を仇で返しやがった。
今日は最高の日だ!(水門ぶっ壊さないでよかった)

今日はもう日暮れも近く、夕食を作るので泊まって行く様誘われ、お言葉に甘える事にした。
夕食の席で、11年前アルカパで別れてから今日までの事を、順を追って説明する。
パパスの死、奴隷生活、そこからの脱出、母の事、伝説の勇者の事、天空の武具の事、そして天空の盾に関する今の事態。
そして夜は更けて行く…


俺達は一人一室でゲストルームを宛われた。
ビアンカは予想以上…いや、想像を絶する美女に成長していたのには驚いた。
彼氏いんのかなぁ~…いたらヤダなぁ~…まだ処女かな?…あんな美人ほっとかないよなぁ~…
などと、一人思春期男児を行っていると、
(コンコン)
「リュカ?いい?」
と、ビアンカが入ってきた。
「ど、どうしたの?」
正直ビアンカと二人っきりで緊張している。
何故緊張しているのか分からない。
女の子と二人きりになって緊張する事などなかったのに…

「水門の事だけど…」
あぁ…そうだよね…そう言う話だよね…変な期待しちゃダメだよね…
「私が水門を開けてあげるね。それと…」
「それと?」
私の水門は貴方が開けて♥とか…?

「約束…守ってもらうわよ!」
約束!?
何!?
どんな約束した!?
もしかしてヤバめ!?
「忘れてるでしょ~!」
「ごめんなさい」
声が裏返ってしまった。
「もう、一緒に冒険しようねって約束したじゃない!」
「………あぁ!その事!」
ホッとしたぁ~。
言った!確かに言った!

「でも、ダンカンさんは平気なの?」
若い娘さんを危険な冒険に連れ出すのって…
「お父さんにも許可は取ってあります。それに連れて行かないと、この場で大声出すわよ!」
「何て言って?」
「みんなにリュカが勝手に外へ出てお化け退治に行こうとしているって」
「ぷー」
あまりの台詞に吹き出し笑い転げてしまった。

「そう言えば子供の時も、そう言って渋々連れて行ったけ」
「渋々~?」
「いえ、失言でした。是非一緒に来て下さい」
俺もビアンカともう別れたくない。
今回は本心から付いて来て欲しかった。
「それに…リュカ…結婚するんでしょ?」
…言われて俺は自分の立場を思い出した。
ビアンカに逢い、浮かれて忘れていた…

「これが最後のチャンスかもしれないし…」
最後のチャンス……ビアンカの言葉を聞いた時、俺はもうどうにも出来なくなっていた。
退室しようとするビアンカを抱き締めキスをしていた。
ビアンカに嫌われたくない、そう思いつつ自分の欲望を止められない。
だがビアンカは両腕を俺の首へ絡め受け入れてくれた。
俺は唇を離さず、手探りでビアンカの服を脱がして行く。
ビアンカも同じ事をしている。
ビアンカは俺を裸にすると俺の身体を見て驚いた。
「ごめん…こんな酷い身体で…」
「何言ってるの!酷いのはリュカにこんな事をした奴らよ!絶対…私、絶対許さない!」
そう言うとビアンカは、涙を流しながら俺の身体の傷にキスをしてくれた。
俺とビアンカの夜は更けて行く…返らぬ過去を惜しむかの様に…



 
 

 
後書き
リュカさん、やっと念願だったビアンカの洞窟を攻略!
やったね! 
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