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魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~

作者:かやちゃ
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第2章:埋もれし過去の産物
  第33話「捜索」

 
前書き
ぶっちゃけて言おう。
冒頭の伏線的なモノローグのネタが尽きました。(´・ω・`)
計画性なしにするのは愚策でしたね...。
 

 






   ―――ぁ...ぐ...ぁあ....!

   ―――.........。

   ―――■■...■.....!

   ―――やっぱり...やっぱりダメだったんですよ...!
   ―――私を、止めるのなんて....!

   ―――い..いえ...まだ...です....!
   ―――まだ...終わってなど.....!!

   ―――どうして...どうしてそこまでして....!

   ―――わ、たしは....■■■の騎士....!
   ―――助けようとするのに、それ以上の理由が...必要ですか...?

   ―――っ....。

   ―――....それ、に...そこまで救いを求めた顔で見られて...引き下がれますか!

   ―――っ...ぁ...ぁああああああ....!

   ―――っ...暴走がまた....!

   ―――う..ぁあ...!うぁああああああああっ!!!

   ―――あぐ....!?くっ....!

   ―――に....げ......て.........!!

   ―――....これで....最後です.....!
   ―――はぁああああああああああ......!!!!









       =優輝side=



「.....あの戦闘では助かったよ。」

  一度休憩として、自由時間になったので僕はシュテルに話しかける。

「いえ。ディアーチェが戦闘不能になり、その時の撤退の手助けをしたと知ったので...。」

「えっ?でもここに転移してきた時、直接会うのはって...。」

  直接会ってないなら念話か?

「はい。ディアーチェが借りを返すためだと。...まったく、照れ隠しなどせずにきっちりと助けてくれたお礼だと直接言えばいいものを...。」

「おいシュテル貴様!なに勝手な事を言っておる!?」

  シュテルがなんかばらしてはいけない事をばらすと、案の定ディアーチェが来た。

「い、今のはシュテルの冗談だ!実際は借りを返しただけだ!真に受けるでないぞ!?」

「....あー、うん。」

  これは照れ隠しだな。うん。
  でも、彼女の威厳とかのためにも黙っておこう。

「...本当に貴女は素直ではありませんね。」

「貴様...本当は我を敬っておらぬな....?」

「いえ、そんな事はありませんよ。我が王よ。」

  ....あ、これは完全におちょくってますわ...。

「(...邪魔しちゃいけないし、クロノの所にでも行くか。)」

  多分、クロノもクロノで忙しいと思うけど。





「...何をしてるんだ?」

「ん?君か...。いや、とりあえず分かった事をまとめているんだが...彼女達...ギアーズの二人については、どうしてもロストロギア扱いになるんだ。」

「死触によって汚染された土地を復興させるための機械で作られた存在...か。しかも魔法も使えるのなら、そりゃあロストロギア扱いだな。」

  そこら辺の事でクロノは滅茶苦茶頭を悩ませていた。

「...忙しそうだし、僕は退散するね。」

「そうしてくれ...。今すぐにでも報告書に書く事を放棄したい....!というか帝が目覚めたらまた説明しなきゃならんのか...!」

  ...あー、うん、頑張れとしか言いようがないな....。
  というか王牙やっぱり撃墜されてたのな。

「....ちょっといいか?」

「うん?」

  話しかけられたので、そっちを向くと織崎がいた。
  ...そういえばさっきは緋雪や椿たちの方に行ってたな。
  一体なんの用なんだ?大体察しがついたけど。

「二人だけの話にしたい。こっちに来てくれ。」

「あー、分かった。」

  変に勘違いするようなら適当にあしらっておくか。面倒だし。





「...単刀直入に言おう。お前は転生者か?」

「....やっぱりその質問か...。」

  いや、もうわかりきってた事だけどね?
  改めて言われると面倒臭さ倍増って言うか。

「そう答えるって事は、やっぱり転生者か...。」

「どうせ、緋雪たちにも聞きに行ってたんだろう?さっき話しかけてたの見たし。」

  椿たちはいい迷惑だろうな。身に覚えのない事を言われるんだから。

「...いや、探ろうとしただけだ。やりとりを見てそうではないと思ったが。」

「なんだ。...で、イレギュラーな僕に直接聞きに来たって事か?」

  多分、緋雪たち全員を僕が転生者な事によるイレギュラーだと考えたんだろうな。

「そう言う事だ。それで、お前はこの世界で何をしようと...。」

「平穏に暮らす。以上だ。悪いが今は緊急時で考えるべき事が多い。じゃあな。」

  簡潔に伝え、すぐに皆がいる方へと戻る。
  どうせ、どんな風に答えても疑ってくるような奴だし。

「.....怪しいな.....。」

  ...ほら、簡潔に答えただけでもこれだ。





「(...あ、そういえばヴィヴィオとアインハルト、マテリアルの三人は魅了に掛かってなかったよな?)」

  チラッと状態を視た感じでは正常だったはずだが...。

「(....ま、耐性でもあるんだろ。司さんも似たようなものだし。緋雪は違うけど。)」

  ...それよりもこれからの事だ。
  U-Dをなんとかするのも相当重要な事だが、どうも嫌な予感がする...。
  無事に未来に帰れたらいいんだが...。

「おいクロノ!今はどうなっている!」

  ....あ、王牙が目を覚ましてやってきた。

「帝か...。実はな....。」

  クロノが簡単に説明していく。
  王牙の顔が百面相のように変わるが、気にしないでおこう。
  どうせ碌な事考えてないし。

「―――と言う訳だ。」

「なるほど...なんだ、俺がやれば楽勝じゃねぇか。」

「君のその自信はどこから来るんだ....。」

  クロノ言うとおりだな。おそらく闇の欠片に撃墜されたんだろ?
  なのに、どうやって闇の欠片が束になっても勝てなさそうなU-Dに対して楽勝って言えるんだよ...。

  その後は、一度僕の方を睨んできたけど、気にせずに緋雪たちに言い寄ってた。
  緋雪たちは一蹴してたけど。







「...では、詳しい作戦を伝える。」

  再びクロノの招集がかかり、皆が集まる。

「カートリッジシステムを持つ者は皆一つずつ彼女達から貰っておくように。余ったのは彼女達が持っておけばいいだろう。」

「次に、U-Dに関してだけど実は少し前のあの戦闘で最後はサーチャーが全部壊されちゃってね。居場所が分からないの。だから、手分けして捜索するよ。」

  クロノ、エイミィさんの順にそう言う。

「手分けに関してだが...こちらで用意したグループに分かれてもらう。そしてU-Dを見つけたら連絡を入れてくれ。決してすぐに手を出さないように。」

  クロノは特に王牙に対して強く言う。
  ...まぁ、この中で一番先走りそうだしな。

「全員..は難しくとも、主力になる者達が集まれば攻撃開始だ。ユーノ達妨害組がバインドでできるだけ動きを阻害。カートリッジがない、決定的火力がない者は同じく動きを阻害するように援護してくれ。そして、決定的火力がある者はできればU-Dを怯ませてくれると助かる。後はカートリッジがある者で弱体化。弱体化に成功したらカートリッジがある者も火力があれば攻撃、なければ援護に回ってくれ。....いいな?」

「「「「「はいっ!!」」」」」

  クロノの指示にほぼ全員が元気よく返事をする。

「捜索する際に、闇の欠片に接触する場合、できれば倒しておいてくれ。...と言っても、闇の欠片は基本的に捜索の邪魔になるから結果的に倒す事がほとんどだろう。」

  そう言ってグループに分けられていく。
  いちいち全員のを確認してられないので、身内のだけ確認しておく。

「(僕は緋雪、司さんと一緒か。...で、椿は葵、ヴィヴィオ、アインハルトと同じグループ。)」

  何ともまぁ、未来組でほとんど固めたな。
  ちなみに、大体が三人グループで、葵はユニゾンデバイスで椿が飛ぶには葵が必要なので特別に四人グループだそうだ。

「では解散!決して無理はするなよ!!」

  そう言ってクロノはユーノ、王牙と共に一足先に捜索に行った。
  ....にしてもクロノのグループ、どう考えても王牙を抑制するためだよな...。

「...緋雪、司さん、僕らも行くよ。」

「うん!」

「よろしくね。二人共。」

  僕らも転送ポートを使って転移する。

「(.....なんだろうか、この胸騒ぎは....。)」

  ....途轍もない不安を抱えながらも、僕は捜索へと向かった。









       =椿side=



「では、私達も行くわよ。」

「うん!」

「お願いします。」

  私を先頭に、ヴィヴィオとアインハルトが返事をする。

『じゃあ、転移いっくよー!』

  そして、ユニゾンした葵の言葉と共に、私達は転移した。





「...そういえば、闇の欠片って偽物が出るんだよね?」

「急にどうしたのよ?」

  ヴィヴィオが転移先で飛行中にそんな事を聞いてきた。

「妖の偽物とは戦ったけど、私達魔導師とかの偽物とは戦ってないなぁ...って。」

「...負の面を強くした状態らしいから、出会っても何の得もないわよ。」

  まぁ、稀に違う場合があるらしいけど...。

「...と、言ってる傍からいたわよ。」

「えっ...?....あ、私だ。」

  遠くの方に、ヴィヴィオと同じような姿をした者がいる。

「っ...!?...いえ!あれはヴィヴィオさんではありません!」

「えっ...?」

「....そうね。魂の雰囲気が違うわ。」

  姿こそヴィヴィオに似ているものの、魂の雰囲気が違った。
  ...闇の欠片なのだから、魂なんてないんだけどね。

「....あれは聖王オリヴィエ、その闇の欠片です....!」

「わ、私のご先祖様!?」

  聖王...また知らない単語が出て来たわね。
  ヴィヴィオの先祖らしいけど...。

「...すいません。おそらくあの闇の欠片は私の...クラウスの記憶から生まれたものだと思います。」

「アインハルトさんの謝る事じゃないよ!」

「どの道、誰かの記憶を読み取って闇の欠片は現れるわ。」

  ...むしろ、“あの子”じゃないだけマシかもしれないわ。
  “あの子”の場合は魔力じゃなくて霊力だから大丈夫かもしれないけど。

「.....ごめんなさい。」

「....えっ?」

  どの道倒すので、接近していくと、聖王とやらの闇の欠片が突然謝罪の言葉を発した。

「ごめんなさい。貴女を、狂気の道から救う事ができませんでした....ごめんなさい...!」

「っ......!」

「...どういうことなの?」

  誰かに謝るように呟く闇の欠片。
  その言葉にアインハルトが少し動揺したのを、私は見逃さなかった。

「...聖王オリヴィエ...と言ったわね。貴女は今、夢を見ているようなものよ。さっさと現へと還りなさい。」

「えっ?椿お姉ちゃん!?あっ....。」

  アインハルトの動揺からするに、あまり思い出したくない事でもあるのだろう。
  だから私は容赦なく矢で闇の欠片の頭を撃ち抜いた。

「...容赦ないなぁ...相変わらず...。」

『あたしにもよく矢を射るからね。』

「あんたは射ぬいても死なないでしょうが...。」

  しかも大抵の場合は偽物だし。
  ...というか相変わらずってなによヴィヴィオ!?
  そ、そこまで容赦なくないわよ!....優輝とかには....多分...。

「....()()()()....。」

「....アインハルト。」

「っ、は、はいっ!?」

「...行くわよ。」

「....はい。」

  ....本当に、何があったのかしらね。





「...さっきから出てくるのは闇の欠片...しかも妖のばかりね。」

「あぅー...偶に気味悪いのが出てくるよー。」

  まぁ、U-Dを見つけた所で私達では敵わないのだから別にいいのだけどね。

「....誰か見つけたわ。今まで見た事ない奴ね。」

「ふえー...相変わらず椿お姉ちゃんは目がいいなぁ...。」

  弓を扱うのだから、遠くは見れるようになっておかないとね。

『あ、こっち来るよ!』

「っ....一応、警戒はしておいてね。」

  ヴィヴィオとアインハルトにそう呼びかけておく。
  ...だって、私の見えている人間、明らかに見た目が禍々しいもの。

「....っ!やっぱり椿さん!ヴィヴィオとアインハルトも!」

「....へ?」

  私達が誰か分かる距離になって、やってきた“彼”は開口一番にそう言った。

「.....誰?アインハルトさん、知り合い?」

「いえ...記憶にありません。」

「でもヴィヴィオとアインハルトを知っている...。...もしかして未来の住人かしら?」

  少なくともそれは合ってるはず。

「えっ.....?」

『と、トーマ、やっぱり何かおかしいよ!』

「最初は緋雪さんそっくりの誰かで、次に俺たちの偽物...あーもう訳わかんねぇ!」

  近くまで来て私達の声が聞こえたのか、固まる彼。
  それより、葵みたいに頭に響くような声と、気になる単語が...。

「(緋雪の偽物.....優輝の危惧してた事が起きたのかしら...?)」

  ふと、そんな事を考えるが、今は置いておこう。

「...あなた達が誰かは分からないけど、あなた達は未来から来たのよね?確認するわ。今は新暦66年よ。」

「ろ、66年!?81年じゃなくて!?」

  じゅ、15年後....ヴィヴィオ達より未来じゃない。
  道理でヴィヴィオ達を知っているのにヴィヴィオ達は知らない訳ね。

「...一応、自己紹介してくれないかしら?ここにいる私達はあなた達より過去の人物なのだから。」

「わ、分かりました...。えっと、俺はトーマ・アヴェニール。」

『リリィ・シュトロゼックだよ。』

  名前が分からずにずっと“彼”と呼ぶのも忍びないので、名前を聞いておく。
  ...さっきから聞こえる声は、葵と同じユニゾンデバイスなのかしら?

「トーマ...もしかしてあのトーマ!?」

「知っているのですか?」

  ヴィヴィオはトーマとやらの名前を知っているみたいね。

「で、でも、私の知ってるトーマはもっとちっちゃいし...。」

「...それぞれ違う時間から来ているのなら、相違点なんてあるに決まってるわよ...。人間なら、成長とかもあるから余計に。」

  ....私は式姫以前に草の神だからもう体は成長しないけどね!
  .......自分で言って悲しくなったわ....。
  ち、小さいって訳じゃないわよ!?

「....とりあえず、葵。クロノに連絡入れておいて。私達以外にも未来から来た人がいたって。」

『りょーかい。すぐにでも通信するよー。』

  とりあえず簡潔に説明はしておこうかしら?

「あなた達、さっき偽物とか言ってたわね?無事で済んでるところを見るに、それなりに強いか逃げ足は速いと判断するわ。」

「そ、そうだ、あの偽物は一体....?」

  トーマも気になるのか、私達に尋ねるような顔をする。

「その偽物は“闇の欠片”と呼ばれるものよ。人の記憶から偽物が作りだされるから、色々と厄介よ。....例えば...。」

  すぐに私は下へと矢を放つ。

「....あれみたいにね。」

「なにあれ!?虎?いや....えっと、何!?」

「鵺よ。」

  確かに体は虎に見えるわね。

「鵺...ですか?」

「...あなた達は異世界の住人だから知らないのも無理ないわね。...鵺と言うのは昔、この日本に存在していた妖...あなた達でいう魔法生物の一種よ。」

  これもまた、私か葵の記憶から....ね。

「鵺と言うのは正体が分からない妖として有名で、本当の姿は誰にも分からないわ。虎だったり、猿だったり、鳥に見えたという人もいたわ。」

「じゃ、じゃああれが本当の姿?」

「...いえ、あれもまた、鵺の多面性の一つかもしれないわ。...つまり、先程挙げた動物の要素も持ってるかもしれない。...気を付けなさい!!」

  そう言うや否や、もう一度矢を放つ。
  しかし、その矢は鵺の爪によって弾かれる。

「っ....ようやく手応えのある妖が現れたって所ね....。」

「...でも、あれ飛べないんじゃ....。」

  ヴィヴィオがそう呟いた瞬間、鵺の背に烏の羽が生え、私達の所まで飛んできた。

「え、えぇえええええええ!!?」

「鵺は鳥の要素も持ってるって言ったわよ!いいから早く戦闘態勢取りなさい!トーマも!」

「は、はい!!」

  恐らく、鵺程の相手となると弱体化した私だと苦戦するかもしれない。
  ...いえ、地上に降りて葵と二人掛かりなら簡単に倒せるけど...。

「本物と比べれば、とんでもなく弱いわよ!落ち着いて戦えば苦戦しないわ!」

  鵺は飛べるとはいえ、空中戦には私同様慣れていない。
  だから、そこに付けこめば無傷で倒せるだろう。

「爪の攻撃と牙の攻撃、そして溜めに入った時は注意しなさい!」

「は、はい!」

  攻撃の注意点を教え、私は弓で援護をする。

「(このままなら―――!)」

   ―――“泣けなかった”

「っ!?きゃぁあっ!?」

「ヴィヴィオさん!」

  瞬間、ヴィヴィオは薙ぎ払うかのような腕の一振りに吹き飛ばされた。
  ...ギリギリで直撃は避けたみたいだけど....!

『かやちゃん!こいつは....!』

「...ええ。...訂正よ!こいつは鵺じゃない...正しくは、鵺の記憶よ!」

「記憶?」

「...鵺は陰陽師...あなた達で言う魔導師ね。それを取り込む事に成功しているわ。そして、今相手にしているのは、その陰陽師の“死をもたらした妖”として強化された記憶よ。」

  ...その記憶の中心は、(すず)...“あの子”の先輩にあたる人物...。
  だから、アレの想いから来る強さに飲み込まれてはいけない...!

   ―――“東の方角を見ている”

「っ....!全員!防御魔法よ!!」

   ―――“帰りたかった”

  私が指示を飛ばし、全員が防御魔法を張ると同時に、悲しい想いが呪いの塊として私達を襲った。

「『なに...?これ....?』」

「『気をしっかり持ちなさい。....所詮は偽物よ。』」

  ヴィヴィオ達は苦しそうだが、こんなの、本物に比べたらどうってことない。

「....悪いわね。私達のどちらかの記憶から出てきたのだろうけど...貴女は、もう解放されてるのよ。すぐに夢から覚めなさい。」

  レイピアを構え、一気に接近、連撃を繰り出し、置き土産に“火炎”の御札を置いて行く。
  さらに間合いを取る際に身を翻しながら弓を構え、“弓技・瞬矢”を撃ちこむ。

「.....葵!」

『....“呪黒剣”!!』

  鵺の足元から大量の黒い剣が生え、鵺を串刺しにする。
  ....それだけで終わったのか、鵺は消え去る。

「....鵺の記憶は特別、人の精神へと影響を与えるわ。...少し、あなた達には荷が重かったかしらね。」

「...椿、お姉ちゃん....。」

「いえ...大丈夫です。」

「なんとか...行けます。」

  ヴィヴィオは少しきつそうだけど、アインハルトとトーマは何かで慣れたのか幾分かマシだった。...これなら大丈夫そうね。

「っ....。」

『...かやちゃん。』

  そう思った矢先、私は下に広がる街中にとある人影を見つける。
  ...葵も気づいたようね。

「『.....行くわよ。地上に降りたらユニゾンは解除よ。』」

『分かってる。』

  ヴィヴィオ達を置いて一度私達は地上に降りる。
  ...そして、地上に降りると同時に葵がユニゾンを解除する。

「...薄々出るとは思ってたけど。」

「案の定...だったね。」

  私達の目線の先には、桃色と薄桃色の縞模様のような着物に赤い袴を着ており、くせっ毛な紫の長髪の頭に赤いリボンを付けた少女がいた。リボンからは少し髪の毛がちょこんと出ている。
  ....間違い、ないわね...。

「.....()()()....。」

「....ん....あれ...?」

  “あの子”の...彼女の名前を呼ぶと、彼女はこちらに気付く。

「...椿ちゃん、葵ちゃん?」

「....あの日以来ね。とこよ。」

  有城(ゆうき)とこよ....江戸時代、幽世の大門を閉じた要因の人物として陰陽師の間では知られている陰陽師。
  けど、彼女は幽世の大門が閉じられたと知れ渡った時にはもう行方不明となっていた。
  私と葵は、幽世の大門を閉じに行く前に重傷を負って、それ以来会えなかったのよね。

「ん~....ねぇ、ここどこか分かる?」

「....ここは200年以上未来の日本よ。」

「未来...?」

  本来なら、すぐにでも彼女は倒した方がいいのだろう。
  ...けど、懐かしさからつい私は彼女と話してしまう。

「...ねぇ、とこよちゃん。一度、全力で勝負しようよ。」

「実力が一歩足りなかったが故に、私達は重傷を負った。でも、私達は強くなろうと努力してきた。...その成果を見てほしいのよ。」

「成果...うん、わかったよ。」

  自身の状況があやふやにしか考えられないのか、明らかにおかしい私達の提案にあっさり承諾するとこよ。

「...今の貴女は夢の中にいるようなもの。...全力で来なさい。」

「その分、私達も全力で行くよ。」

  私が弓を、葵がレイピアを構える。
  すると、とこよも差していた刀を構える。

「「.....いくわよ/いくよ!!」」

「うん!!」

  そして、私達はとこよへと攻撃を開始した。





 
 

 
後書き
無駄なオリジナル展開になりましたがここまでです。
...い、一応椿たちが前の主に未練があるって言う意味で出したから...。(震え声)

トーマは過去に来て早々に緋雪の闇の欠片(?)に襲われたので、状況把握ができないまま椿たちの所まで逃げてきた感じです。なので、トーマの闇の欠片とは戦ってますが、過去に来た事を把握しきれてません。
...あ、Forceはにわかどころか全然知らないので、原作と違う所があっても優輝たちがいる事による変化と捉えたりして妥協してくれればありがたいです。

後半に出てきた彼女は、自分のかくりよの門でのアバターの姿です。公式四コマの髪の色を紫に変えただけですね。(詳しくは“式姫四コマ”の277話辺りか、かくりよの門のトップの右上にいるキャラ。) 
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