| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ウルトラマンゼロ ~絆と零の使い魔~

作者:???
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

任務-ミッション-part5/ゼロVSボーグ星人

 
前書き
913日のカイザの日、誤字修正しました。めちゃくちゃ痛恨の奴です!またしても間違えました!! 

 
「か、怪獣が…!?」
なんてことだろうか。ルイズたちはこの悪い状況下をさらに悪化させる要素、怪獣が現れた現実に絶望さえ覚えた。サイトもこの場にいたら、きっとこの怪獣の名前を、ゴモラの名前を驚きながら叫んでいたことだろう。
「…退却」
「そうするしかないわね。ルイズ、いつもの失敗魔法でいいから適当に詠唱を終わらせときなさい」
「失敗言うな!…って、それより!そんなことしたらサイトたちが!」
「…近づいたら私たちが危険」
「でもッ…!」
星人だけでも勝てるとは思えないのに、そこに追い打ちをかけるように怪獣が現れてはもはや立ち向かうだけ死に向かっているに等しい。
魔法を使って奴らの注意を逸らし、銃士隊のメンバーたちと共に、退却する。それが今できる最善の手なのだが、ルイズとしては何よりサイトを放って逃げることは選ぶことはできなかった。
「キシャアア!!」
怪獣が、再び動き出した。もはや一刻の猶予もない。真っ先にタバサが杖を構える。
しかし、次に起きたことは予想外な出来事だった。
「ぐおおおお!!」
なんと、怪獣がゴドラ星人を殴り飛ばしたのだ。しかも驚くべきは他にもあった。
「こ、この獣風情が…!」
立ち上がってきたゴドラ星人が、知性を持たない獣などに!とゴモラに敵意を向けると、助走をつけつつダッシュパンチを繰り出す。それに対し、ゴモラが容易くそれを避け、振り向きざまにゴドラ星人の後頭部を殴り、地面にたたきつけた。
ゴドラ星人は苛立ち、ゴモラに向けて足払いを放つも、ゴモラがそれさえも軽くジャンプして避けたのち、着地の際にゴドラ星人を頭から踏みつけた。今の出地面を張ったゴドラ星人を無理やり立ち上がらせ、その腹をグーパンチで殴りつけ、怯んだところで尾を振るって星人の顔をバシン!と叩いた。
ゴモラの動きは、とても怪獣の動きとは思えない…荒っぽくはあるものの、人間の格闘技に近いスタイルだった。
「怪獣って、あんな動きをするものなの?」
キュルケもそうだが、タバサもその人間臭さもある動きに違和感を覚えた。
「そんなの私に聞かないでよ…!」
キュルケからの問いかけにルイズはそういいかえすしかない。怪獣や異星人のことはサイトの方がよく知っている。最近になってそれらのような人外を知ったばかりの自分が知るわけがない。怪獣がここまでできた戦いを見せるなんて。しかも星人が全く歯が立たずにいる。
「…とにかく、ここから離れる」
タバサはシルフィードに、星人とゴモラから距離をとるように命令した。
「我々もヴァリエール嬢たちと合流するぞ」
アニエスたちも地上で待機させていた銃士隊の隊員たちと合流し、ルイズたちの下へ向かった。





その頃、一人姿を消していたボーグ星人は…。
「よし、ゴドラの奴は表の連中に気を取られているな」
漁夫の利を狙っているかのように、星人はすでに地上に出ていた。そこは屋敷からは離れた場所に位置していた。奴の周りにはあらかじめ洗脳しておいた学院の生徒たちが立っている。しかし中には、土やほこりでまみれた生徒も混ざっていた。どうやら爆発に紛れて何人か確保していたらしい。
星人は頭上に広がる夜空見上げると、ちょうど自分の頭上に、突如円盤が現れる。かつてボーグ星人はウルトラセブンやウルトラ警備隊に戦いを挑んでいた時は、宇宙船を湖に隠していたのだが、今回奴が乗ってきたのは、空間に姿を溶け込ませるステルス機能を持つ円盤だったようだ。
現れた円盤が、真下にいる魔法学院の生徒たちに光を浴びせる。それは地球にて、宇宙人は円盤を使って人類を連れ攫う想像図とよく似ていた。光に包まれた生徒たちは吸い込まれるように円盤の中へ消えて行った。生徒たちを吸い込んだ円盤は、そのままハルケギニアの空へと飛んで行った。
と、それと同時だった。
「デュ!!」
「ぬぉ!?」
地面から何かが勢いよく飛び出してきた。サイトが変身したウルトラマンゼロが、意識のないミシェルや、瓦礫の下に埋まったままだった学院の生徒たちを手の中に収めた状態で姿を現したのだ。彼はミシェルたちをちょうど地面からはみ出ていた岩陰に置き、ボーグ星人と対峙する。
ゼロの姿を見ると、ボーグ星人は一瞬動揺を露にした。
「貴様、セブンか!?……いや、違うな。どこか面影はあるが」
「へ、どうやら親父のことは 知ってるみたいだな」
「親父だと?…なるほど、奴の息子が。知っていて当然だ。我々ボーグ星人は貴様の父のおかげで、地球侵略の機会を失ったのだからな」
「当然だろ。人の星を乗っ取ろうとしやがったんだ。しっぺ返しを食らって当然だろうが!」
恨みがましく語るボーグ星人だが、ゼロは澄まし声で差も当然に言い返し、真っ先にボーグ星人に飛び掛かる。星人はゼロの体を飛び越え、彼の後方の位置に降り立った。
「ふん!いい機会だ…貴様の父に、無残にも首をはねられた我が同胞の恨み…息子の貴様の命で晴らさせてもらうぞ!」
「ボーグ星人、お前に聞きたいことがある。お前ら、どうして魔法学院の生徒を狙った!ケムール人と何を企んでいた!」
再び互いの方を向きあうと、ゼロはボーグ星人に向けて話を続けてきた。
ケムール人を倒せば戻ってくるはずの、さらわれた人たちを、こいつが捕まえ逃がさないように計らっていたことは、もうわかりきっている。侵略のためか、それとも何か別の理由があってなのか。ゼロはそれを尋ねた。
「企む?俺たちはあくまでビジネスのためにこの星を利用しようとしただけだ」
「ビジネスだと!?」
「そうだ。この星の人類は地球人類に限りなく近い外見を持っている。その上魔法という宇宙でも珍しい能力を持っている。商売品としてはなかなか面白いものだと思ったまでのことだ。ケムール人共は老化を抑えきれなくなったらしくてな、若い肉体を求めて俺たちと手を組んでいたのさ」
つまり、実験動物として…仕事で取引する際に利用するカードとして彼らをとらえていたということだ。それは、そのように扱った対象を人種的に完全に見下しているという何よりのあかしだった。
「この星の連中との取引を通して、そいつらをも自分の傘下に入れて意のままに操り、内部からこの星を侵略するのが最終目的ってことか…。
お前、自分のしていることがどういうことがわかってんのか!人の命と…人間としての誇りを踏みにじりやがって!」
怒りを吐き出すゼロに対し、ボーグ星人は詫びれもしなかった。今度はボーグ星人の方からゼロに掴み掛る。
「ふん、人間としての誇り?笑わせるな。そんなものがこの星の人間にあるわけがなかろう。せっかくだ、セブンの息子、この機会だから教えてやる」
勝負する前から勝ち誇ったような態度で、取っ組み合いの状態のまま、ボーグ星人はゼロに向けて語り始めた。
「我々はこの星の人間どもの生活を観察してきた。そうしたら…まったくもって野蛮なものだったよ。
地球人よりも野蛮で愚かで…醜いではないか!
今、地球は怪獣や我々異星人という共通の敵がいることが影響していたとはいえ、同じ地球人同士での戦争が終わった状態といえる。
だがこの星は…エスメラルダとやらはなんだ?貴族だの平民だの、弱小種族のくせに魔法が使えるというちっぽけすぎる理由で強者気取りだ。この星は、これまで我々が見てきた星の中でも外面は美しいが、そこに住む下等な人間どもの身勝手な行いのおかげで、マイナスエネルギーが地球以上に蔓延している。たとえ俺たちや噂の黒いウルトラマンたちがいなくとも、そのエネルギーの影響で怪獣どもはいずれ目覚め、この星の知的生命体すべてに仇なすのは必然だ。
一ついいことを教えてやる…俺がメイジを売買している相手だが…その中には…」
奴の甲冑に包まれた顔に、人間でいう表情が出ているのなら、きっと奴はほくそ笑んでいることだろう。ボーグ星人はあることをゼロに告げた。
「俺の取引相手には、この星の権力者も…それも貴様が必至こいて守っているトリステインの貴族も混ざっていた。私が異星人であることを承知の上で…奴隷を買うために高い金をつぎ込んでなぁ!」
「何だと!?」
それを聞いて、ゼロは絶句した。この星の連中が、それも自分がサイトを通して主な拠点としているトリステインの貴族が、『こいつらが異星人であることを承知の上』で、メイジたちを奴隷として買い取っていたことに。く
その際にわずかにゼロの、ボーグ星人の腕を掴む力が緩んだ。それを見逃すまいと、星人はゼロの手を振り払い、彼の顔に向けて拳を、続けて彼の体をつかんで腹に膝蹴りを叩き込んだのち、思い切り彼を蹴飛ばした。
「ガウァ!!」
地面に落ちたゼロを見下ろしながら、星人は話を続けた。
「連中はな、我々という明らかに異質な存在に頼ってでも慰み者や召使として奴隷を常に求めているのさ。俺はその願いをただ聞き入れてやっているだけ。最も、俺が売っている人間は俺たちの都合のいいサイボーグに改造してある。お前の予想通り、そのサイボーグどもを使い、内部から貴族共をとらえ、そいつらもまたサイボーグに変える。
所詮、社会のクズでしかない下等生物を、いずれ我らボーグ星人のサイボーグへ改造するために、すぐに殺さずに効率よく利用してやっているんだ。寧ろありがたいと思ってもらいたいな」
確かに、この星の人間には許容すべきでないところはあるのは隠せない。その証拠に、さっきゼロは星人を捕まえていた腕の力を一瞬弱めてしまっていた。
しかし、ボーグ星人の言い分はあまりに身勝手さに満ちていることに変わりなかった。星人は顔の甲冑からゼロに向けて光線を放ってきた。
「…このぉ!!」
ゼロは、その光線に向けてゼロスラッガーを投げつけた。一本は高速回転しながら星人の光線を弾き、もう一本はその隙にボーグ星人の甲冑に傷をつけた。敵が怯んだ!ゼロは走りこみながらゼロスラッガーを頭に戻し、ボーグ星人の両腕をつかんで、右腕から繰り出すパンチで星人の甲冑に覆われた体を殴りつけた。
「ぐ、貴様ぁ!!」
殴られ続けながらも、星人はもがきながらゼロの束縛から逃れようとする。その果てに二人は取っ組み合いを続けたまま地面を転がっていく。その最中、ゼロは自分が馬乗りの状態に持越し、ボーグ星人の顔を殴りつけるが、星人はゼロの背中を蹴りつけて怯ませると、今度は自分が馬乗り、甲冑に進まれたその両腕を振るい、先ほどまでの仕返しといわんばかりにゼロに殴りかかった。数発殴られたところで、ゼロはボーグ星人の顔に向けて額から光線を放った。
〈エメリウムスラッシュ!〉
「シュア!!」
「ぬぅお!?」
今の光線を至近距離から受けた影響でボーグ星人は転がり落ちた。光線と同時にボーグ星人の体に火花が散り、ボーグ星人は膝を付いた。
「自分たちの過ちの重さもわからねえてめえらなんかに、俺は…
ウルトラマンゼロは絶対に負けねぇ!!」
立ち上がったところで、ゼロはL字型に両腕を組み、怯んでいるボーグ星人に向けて必殺光線を放とうとした。しかし、その時だった。
「ちょっと待て」
突然ボーグ星人が、追い詰められているというのに落ち着いた…いや、余裕のある口調で口を開いてきた。
「あ、なんだよ!?」
ぶっきらぼうに言い放つゼロに、ボーグ星人は立ち上がって話を続けた。
「俺の円盤には俺の星で作られた爆弾が何百個も仕掛けられている。もし俺を殺せば、俺が商品として確保した人間どもの命はないぞ?」
「何!?」
その手を使ってきたか!とゼロとサイトは動揺した。そうだ、すでに奴に攫われてしまった魔法学院の生徒たちの命を握られていた。
「俺が確保したメイジはなにもトリステイン魔法学院の生徒だけではないぞ?ゲルマニアやガリアからも多少ながらも拝借させてもらっている。もし貴様が俺を殺せば、くっくっく…貴様は父を始めとした同胞たちの顔に泥を塗ることになるな…」
「て、てめえ…!!」
それは、ゼロのトラウマを掘り起こす言葉だった。ゼロはサイトと和解するまでの間、何度もウルトラ戦士にあるまじき間違いを犯してきた。地球をはじめとした数多の星々を守り抜いていた父、ウルトラセブンの息子でありながら、己の身勝手さのあまりその父の心をどれだけ傷つけてしまっただろうか。
「安心しろセブンの息子。貴様の力は殺すには惜しい。我々のサイボーグに改造してやろう。お前のこの星での仲間と一緒になぁ!!その暁には…セブンと親子同士で戦わせてやる!!」
今度はゼロさえも利用しようとしている。しかも、今度はボーグ星人のサイボーグとしてだ。しかも戦う相手が、自分の父。
「ざけんな…んなの、死んでもごめんだぁ!」
これ以上父や、光の国の同胞たちを苦しめてたまるものか。ゼロは真っ向から否定するが、星人はせせら笑いを止めない。
「望まずともそうなる。大丈夫だ…その嫌がりの感情も、忘れる…ふん!」
ボーグ星人は再び顔の甲冑から光線を放つ。
「ウグァ!!」
その攻撃は、ゼロは避けることも防ぐことも許されなかった。光線を受け続け、ゼロの体から火花が散り、彼の体を痛めつける。
「どうした!死んでもごめんじゃなかったのか!?」
己の卑劣さをつみ隠すことなく、ボーグ星人はゼロに向けて光線を発射し続ける。爆発の中に一瞬姿を消すほどの煙が立ち上り、煙の中から這い出てきたゼロは膝を突いてしまうほどに消耗していた。すでに彼のカラータイマーも赤く点滅し始めている。
「どうやらもう限界のようだな。このまま貴様の意識を奪ってくれる!」
人質をとられ、手を出せないゼロに止めを刺そうと、ボーグ星人は彼に接近した。
(くそ、このままじゃやられる!だが…)
ボーグ星人に人質をとられてしまっている以上、攻撃することは許されない。なんとかしなければならないのに、それさえもできないなんて。
(せめて…せめて人質にされている人達の居場所さえわかれば…!)
奴の円盤はすでに遠くへ飛び去っている。なら、一度ここから飛び去り、奴の円盤を探すしか…。
(いや、だめだ!そうしたらその間にミシェルさんがこいつに!)
そうだ、思い起こせば自分は意識を手放したままのミシェルたちを連れて地上へ脱出していた。彼女たちはまだ目を覚ましていない。自分が目を離してる好きにこの狡猾な侵略者が何もしないといえようか。
カラータイマーの点滅がさらに早まっており、もうゼロは膝を着くのもやっとで、立ち上がれるだけのエネルギーさえ失っていた。

「これで…チェックメイトだ!」
ゼロが頭上を見上げ、ボーグ星人がとどめの一撃を与えようとしたときだった。

ガシッ!!

なんとゼロは、ボーグ星人の振りかざしてきた右腕を真っ向から掴み取った。しかも彼はそのまま、さっきと打って変わってボーグ星人を殴り飛ばしたのだ。
「き、貴様…正気か!ここで俺に抵抗するということは…人質の命を無視するということだぞ!」
予想しない彼の抵抗に、ボーグ星人は動揺を隠せなかった。
「…ウルトラサインだよ」
「何!?」
「ウルトラサインで連絡が来たのさ。『人質は無事確保、爆弾も解除した。遠慮なく戦え』ってな」
そうゼロが星人に言ったとき、空には光の国の住人だけが目視し理解できる光の文字『ウルトラサイン』が輝いていた。


それは、ゼロがボーグ星人と戦っている間のことだった…。
星人の円盤はハルケギニアの上空から、宇宙空間まで飛んで行き、もはや誰の手にも届かない場所へ向かうところだった。
しかし、そこへハルケギニアの地上から、一筋の赤い光が飛んでいた。それは円盤の前に飛来し、宇宙へまっすぐ向かっていくはずだった円盤を押し戻していく。
やがて円盤はハルケギニア大陸の、それもトリスタニアと魔法学院の間を繋ぐ道の上に下ろされた。
「これでよし…」
ボーグ星人の円盤をとらえ、地上に戻し、人質を救ったのは…。



ゼロの師、ウルトラマンレオだったのだ。


「これで遠慮はいらん、ゼロ、お前の力を見せてこい」
レオは、人質を確保したという内容のウルトラサインを飛ばし、同時に自身のカラータイマーからエネルギーの塊を形成する。それと引き換えに自分のカラータイマーが点滅を開始し始めたが、構わずそのエネルギーの塊を飛ばした。



その一筋の光は、ゼロのカラータイマーに吸い込まれる。瞬間、エネルギー切れだったはずのゼロのカラータイマーが、再び青く輝きだした。
「ありがとな、レオ…またあんたに助けられたぜ」
ゼロは陰で支えてくれていた自分の師に感謝の言葉を述べた。
「なに、、レオだとぉ!!?」
レオの名前を聞いて、ボーグ星人はこれまでにないほどの驚愕を露にした。その様子にゼロは呆れた様子を見せる。
「んだよ、お前…レオがこの星に来ていたのに気づかなかったのか?レオがこの星に来ていたことを知らなかったこと、メイジの生態にやたら知りたがっていたことと照らし合わせて考えると…お前、この星に来たのはつい最近…それも一月かその程度みたいだな」
「ぐ、ぐぬぉ…!!」
人質という最強の盾を失った今、もはやボーグ星人に遠慮する必要はない。
「ボーグ星人、最後に言っておいてやる」
再びL字型に両腕を組みながら、ゼロは星人に向けて口を開いた。
「俺は、この世界で守るべきものを見つけた。そいつらには可能性があるんだ。無限の可能性を持った奴らを。俺は…その可能性がゼロじゃないことに懸けてんだ。
だがお前ら侵略者は、自分の強さにおぼれて他人の未来をつぶし、過ちを犯した。その点じゃ、お前が見下している貴族となんら変わらねぇ。だからお前の先輩は親父たちに負けたんだ」
「だ、黙れえええええ!!」
イタチの最後っ屁というべきか、ボーグ星人が顔の甲冑から光線を放つ。それと同時に、ゼロもとどめの必殺光線を放った。
〈ワイドゼロショット!〉
「デュワ!!」
「ぐああああああああああああああああああ!!!」
回復したエネルギーで力が十分すぎるほどの満ちていたゼロの光線はボーグ星人の光線をあっさりと押し返し、星人の体を貫き、粉々に粉砕した。
(…よし…)
戦いに勝った。人質のことも、レオのおかげで心配はない。
しかし、ゼロの頭の中にデルフの警告が聞こえてきた。
『相棒、安心するのはまだ早いぜ。娘っ子たちのほうからとてつもねぇ気配を感じる!』
それを聞いてゼロはしまった、そうだ!と勝利の余韻を打ち消した。思い出せば、自分の敵はボーグ星人だけじゃない。
まだゴドラ星人が残っていたではないか。
「ルイズ!」
こうしちゃいられない。ゼロは直ちにルイズたちの下へ急いだ。
デルフは結構急な事体が起きたとき、その気配を強く感じる。

…が、急いだ先で驚くべき光景を目の当たりにする。

「な…!?」
ルイズたちは確かに無事であった。しかしそれ以上にゼロの気を引いたものは、ゼロにとっても予想外のものだった。
「ぐあ、あ…!!」
屋敷の付近の草原地帯。そこで見たものは…


ゴドラ星人が、突如表れたゴモラの鼻の角に腹を貫かれた姿だった。


「キシャアアアアアアアアア!!」
「ぐぎゃあああああああああああああ!!!!」
ゴモラが吠えると同時に、ゴドラ星人の体が灼熱のような強い光の中に包まれる。ゴモラが顔を押し上げると同時に、ゴドラ星人は中に投げ飛ばされ、木っ端微塵に砕け散り、空の藻屑と化した。
まさかこんなときに新手が…それも怪獣、ゴモラが現れるなんて。ゼロはゴモラに向けて身構える。ゴモラもゼロの存在に気づいたのか彼の方を見やる。
しかし、これといってゴモラはゼロに敵意を向けなかった。それどころか、小さくなって光のカードとなり、地上の方へと向かっていく。
その先は…。

一人の若い男の手に握られた、角のような飾りが施された機器だった。

(あいつは!?)
その男は、ゼロを見ると、彼に向けてふっと笑みを見せた。月の光を利用し、その端正な顔に埋め込まれたオッドアイを見せ付けながら。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧