既に失われたもの
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2部分:第二章
第二章
「やっぱりな。体操服はブルマの中に入れるんだよ」
「何言っているんだ、出すに決まっているだろう」
細長い男も言い返す。彼はこちらであった。
「体操服からちらりと見えるのが醍醐味だろうに」
「入れたら全部見えるだろう。それもわからないのか」
「ちらりがいいんだ」
「丸見えが最高だ」
御互いに言い合いだ。このことでも一歩も引かない彼等であった。しかしだ。
それまで自分だけでビールを飲みつまみを食べていた青年がだ。二人に対してこう言うのだった。向かい合う二人の顔の真ん中に位置する様にしてだ。二人を交互に見ながらこう言ったのである。
「ブルマって何ですか?」
「何っ、知らないのか?」
「女の子の体操服だぞ」
「半ズボンかスパッツでしょ。女の子の体操服は。ブルマなんて知りませんよ」
彼は本当にそれは何なのかという顔で二人に対して言ったのである。この言葉で二人は沈黙してしまいいささか奇妙な議論は終わってしまった。最早ブルマをその目で見たことのある者は少なくなろうとしている。かろうじてアニメやゲームで見られる位である。若い女の子で知っている者は殆どおらず知っている女の人に聴くと確実にぶん殴られる話である。まさに今ではもう昔のことであるが。ブルマもそうしたものになってしまったのである。
既に失われたもの 完
2011・3・31
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